フリーターと写本の仲間たちのリリックな日々   作:スピーク

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今回も短め、かつ雑です。


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ぱちり、と目を開ける。

 

最初に目に映ったのは、ここ最近で見慣れた天井。室内は仄暗く、窓からカーテン越しに光が差し込んでいる。枕元に置いておいた携帯で時間を見ればすでに朝の8時を回っており、どうやら結構な時間あの場所にいたようだ。

事前にフランとの段取りではやて達にはフランから話しが通っているはずなので、無用な心配はしていないはず。

 

このまままた寝直すかと思い、目を瞑ろうとした時、不意に隣でもぞりと何かが動く感触を感じた。

いつもだったらフランかはやてがいつの間にか侵入して来たかと疑うが、今日はこの部屋に入るなとフランに厳命しておいたのでそれはない。

 

であれば、誰なのかというと。

 

「おはようです、隼」

「……ふぁ~。あいよ、おはようさん」

 

布団の中に潜っていたのか、仄かに頬を赤くしながらひょっこりと顔を出した金髪の幼女が一人。

 

元夢の中の住人、最強魔導師、砕け得ぬ闇、紫天の盟主……ユーリ・エーベルヴァインがそこにはいた。

 

「まっ、何はともあれ、ようこそ。夢と希望が溢れたクソッタレな楽しい現実へ」

 

言いつつむにむにと頬を触ってみる。

うむ、温かい。あの空間の中でもスキンシップは何度もあったが、現実だとそれが一層実感出来る感じだ。そして、それはガキもだったのか、頬を触っていた俺の手を掴むと自分からより強く摩る感じで押し付ける。

 

「えへへ。やっぱり隼はあったかいです」

 

言いながら、俺の手をさらに顔にすりすり。頬だけでなく鼻の頭やら唇にまで押し付けてくる始末。

くすぐってーよ。

 

「離せバカ、鬱陶しい」

「いやで~す」

 

どうやらユーリはかなり上機嫌なようだ。今まで接してきてここまで満足そうな顔は見たことがない。にへら、とした締まりのない顔は何とも愛らしくガキらしい。

 

「まあ、改めてよろしく頼むぜ、盟主さんよ」

「はい、もちろんです。私はもう隼のものですからっ」

 

頬に押し付けていた俺の手を胸に抱き、淡い笑顔を浮かべるユーリ。

 

なんとも誤解を招きそうな物言いだが、事実でもある。こいつが封印されていた領域を書から切り離し、俺の写本へと移したからだ。プログラム的に言えばカット・アンド・ペーストってやつらしい。よって現在こいつは俺の写本のプログラムの一つとして存在している。

だから、事実、このガキの所有権は俺という事。

 

「バーカ。その気持ちも行いも有り難く貰うが、テメエはテメエだけのもんだ。ユーリ・エーベルヴァインはもう囚われのお姫様じゃねーんだからよ。気の向くままに好きなことやりゃあいい。あ、勿論、俺の事を護るのが最優先な」

「はい!あ、それと鈴木です!鈴木ユーリ!何度言えば分かるんですか?」

 

むっ、と眉間に皺を寄せ、不満な表情を見せるユーリ。

書の中でこいつが大泣きしたあの後、落ち着いたのを見計らってフランから聞いていた本来の名前を教えてやった。するとガキは。

 

『ユーリ・エーベルヴァイン……という事は、えっと、ユーリ・鈴木?……何か可愛くないです。じゃあ鈴木ユーリ……うん、こっちですね』

 

だそうだ。

なにが『という事は』なのか疑問だが、まあ追々ウチで住むことになるんだ。シグナムたち同様鈴木姓を名乗っても問題はない。問題はない……はずだ。『という事は』が何かちょっと引っかかるが、うん、きっと問題ない。

 

「はいはい、鈴木ユーリな。まったく、大声上げやがって。おかげで眠気が覚めたぜ。2度寝しようと思ったのによ」

 

俺はベッドを出て寝巻きを脱ぎ捨て、はやてかシャマルが洗濯したのであろう綺麗に畳んであったジャージに着替える。

その様をニコニコとベッドの上で眺めているユーリ。何が楽しいんだか。

 

「そういやお前、その服以外持ってねーの?」

 

ガキの服装はいつもの見慣れた服。この寒い季節、下のズボンは暖かく見えるが流石にヘソ出しは見てて寒い。一応、室内ではあるが暖房をつけていないここはそれなりに寒いから余計だ。

 

「服、ですか?いえ、持ってないです。えっと何か変ですか?」

 

ぴょんとベッドから降り、くるくると回るように自分の姿を確認するユーリ。

どうやら物々しい二つ名を沢山持っているコイツにとって、純粋な力の強さに加えて気温の変化にも強いようだ。

 

暑いのや寒いのが嫌いな俺にとっては何とも羨ましい限りだ。不死な事といい、マジで人間からプログラムになる術はないもんか。

 

「いや、変じゃねーよ。でも、まっ、流石にその格好は目立つからな。おいおい地球の服買ってやんよ」

 

もちろん出世払いでいずれ返してもらうけど。

 

さて、そうこうしてるうちにこっちの着替えは済んだし、そろそろ下に降りますかね。この時間ならもう皆リビングにいるだろ。

 

「っと。なんだよ、いきなり」

 

部屋を出ようと扉に手を掛けようとして、その手ががっしりと掴まれている事に気づく。視線を下に向けると何とも嬉しそうに顔を緩めているガキが一人。

なんだよ、このまま下に行けってか?まあ別にいいけど。どうせコイツの事を紹介しとかなきゃならないし。

 

(いや、いいのか?このまま行って?この状態、確実に変態王が食いついてくるぞ)

 

ちらりともう一度ガキを見やる。

 

「♪~」

 

上機嫌。

 

ちっ。

まぁいいか。どうあれ食いつかれんのはハナから決まりきった事だし、好きにさせるよ。

 

 

 

────────なんて言うのは甘い考えだった。

 

 

 

「虫に犯された後自死するか、豚に犯された後殺されるか今すぐ選べいこのクソガキャアア!!」

 

まったくもってよくなかったよ。リビングに降りた瞬間これだよ。

 

「主の御手をただ握るだけでも百刑に値するのに、さらにはあまつさえそれが恋人握りぃい!?紫天だか何だか知らぬが五体満足で明日の紫色の天が拝めると思うなよ小娘ェエ!!」

 

騎士甲冑をまとい、今にもユーリに向かい飛び掛りそうな激怒フラン。というかシグナムたちヴォルケンズが総出で押さえてなかったら何か言う前に確実に物理的制裁(死)を行っていただろう。

 

ユーリはユーリで目を白黒させて驚いてるし。どうやらこいつの知るフラン……ディアーチェと目の前のディアーチェはまったく別物のようだ。よかったよかった。

 

「隼さん、隼さん」

 

はやてがいつの間にか傍に来ていて、俺のユーリに握られている手とは反対の手をくいくいと引っ張ってきた。

 

俺、ユーリを数度交互に見て一言。

 

「説明!」

 

なんでお前もちょっとキレてんだよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…………」

 

沈黙が部屋を満たしていた。

いつもこの時間は騒がしく朝食を取っている時だが、今はシンと静まり返っている。それはユーリが話した内容のせいだろう。

 

鈴木ユーリ……過去の孤独なユーリ・エーベルヴァインの話は、何とも空しいものだった。まるで干からびた寒村に独り蹲り、誰に聞かれる事もない歌を歌っているようなもの。誰かが聞いてくれる、誰かが通りかかってくれる、誰かが助けてくれる──そんな思いはとうの昔に捨てたという心情がこちらにも伝わってくるような話。

 

鈴木ユーリ……俺と書の中で出会い、過ごした約半年間のユーリ・エーベルヴァイン話は、何とも満たされたものだった。まるで皆と一緒に管楽器の調べに乗って踊れや踊れと騒ぎ立てるような陽気なもの。暖かい、楽しい、嬉しい───そんな思いがこちらにまで伝わってくるような話。

 

鈴木ユーリ……今ここにいる鈴木ユーリの話は──まあ、しなくてもいいだろう。その何とも幸せそうな顔を見れば十分なのだから。

 

「と、まあこれがコイツの身の上であり、ここにいる理由だ。だから、まあよろしくやってくれや」

 

ぽんぽんとユーリの頭を叩く。照れてむずがるような仕草して気楽な様子を見せるコイツとは対照的に、対面に座るシグナムたちは何とも言えない様子だ。

まあそりゃ何と言えばいいか分かんねーだろうな。

書の中には自分たち騎士以外にこんなデタラメな存在がいた事を知らず、それが人知れず消滅間近だったんだ。あまり気持ちのいい話じゃないだろう。それに加え、今は違うとはいえもともとユーリは書を乗っ取ろうと後付けされたプログラム、シグナムたちにとっては敵だった存在。余計どう接すればいいか分からないといった風だ。

 

(まあ、でもそんな都合をものともしない奴がここにはいるから心配なし)

 

俺ではない。しかし俺と同じ立場の奴。俺と同じように訳の分からない存在を受け入れ、家族として暮らしている奴がここにはいる。

 

「ユーリちゃん」

 

ガキらしく無邪気に、しかしそれに矛盾した母性のある微笑みを浮かべたはやて。

ゆっくりと車椅子を動かし、テーブルを回ってユーリに近づく。

 

「私は八神はやて。闇の書の主で、この子等の家族や」

「ええっと……」

 

戸惑うユーリにはやては構わず話を続ける。

 

「私な、この足を見ても分かる通りあんまり外に出て遊ぶ事がないんよ。学校も行ってへんし。せやから同い年の友達も少なくてなぁ。というわけでユーリちゃん」

 

はやてがユーリに向かって手を差し出す。それが何を意味するのか、ユーリはよく分かっていないようでさらに深く戸惑いの顔。

無理もない。今までこうやって近づいてくる相手なんていなかったんだからな。けれど、それは『今まで』であり『これから』は違う。俺が檻をぶち破った。ガキは一歩出た。あとはお節介な奴らが勝手に近づいてきてくれる。このはやてのように。

 

「私と友達になってくれへん?」

 

お節介ってか優しい奴か。

ああ、やっぱ俺は好きだな、はやて。ちっと大人っぽい考えするが、まあそれも許せる。

 

「だとさ、ユーリ。おら、記念すべきダチんこ1号だぜ。応えてやれや」

 

ようやっと意味を理解したユーリは、少しの驚きと照れと緊張、そして大きな喜びの感情を湛えてはやての手を取った。

 

「あ、あの、鈴木ユーリです。こちらこそよろしくお願いしますっ」

「あはは、そない肩肘張らんでもええよ。今までの分、これからいっぱい皆で楽しもうな~」

 

……まったく、はやてにゃかなわん。単純かつストレート、加えて周りの事まで慮っている。見ろ、今のはやての言葉でシグナムたち共も顔の強張りがとれて笑みを浮かべている。

過去は過去の分として、それ以上に今を楽しむ。

俺もその考えだがはやてはガキな分、無邪気さも加わってさらに深くなる。自分の命も掛かった状況なので尚更だ。

 

まあ、何にせよだ。

これで無事八神一家との邂逅は済む────

 

「どぅえ?」

 

事もなく。

『我、キレてますよ?』とでも言いたげなフランがその気持ちを隠そうともせず、ユーリに向かって射殺さんばかりの視線を投げる。

 

「そ・れ・どぅえ~?闇と紫天が仲良く手をとってお友達万々歳すべて解決~……とでも?反吐が出るわ!ふざけるな!」

 

こいつは何をそこまで怒ってるんだ?

 

「小烏も小烏よ!気持ち悪い偽善ばかり口にしおって!」

「偽善って……フラン、私にそんな気持ちないよ。ホンマのホンマの本心や。それを否定するのは、いくらフランでも許さへんよ?」

「ほう、そうか。うむ、では言い直そう。ユーリに対して言いたい事はそれだけか?」

「………」

 

フランの言葉にはやてが少しばかり沈黙。それはつまり肯定ということ。

 

言いたいこと?何かあるのか?見ればシグナムたちも俺と同じように疑問の表情。という事は俺とシグナムたちは分からなくて、はやてとフランは共有した気持ちを持ってるってことであり……つまりはやての言いたいことはフランの言いたい事。

 

「……ハァ、フランはせっかちやなぁ。こういうのはもうちょっと打ち解けた後聞くべきことやない?」

「アホ抜かせ。こういう事は最初から問い詰めるべき事よ。喧嘩は友情を育むというしの」

「喧嘩って物騒な……まあ返答の次第によってはそうなるけど」

 

え、なに、どういう事?喧嘩?何故そんな事になんの?意味分からないんですけど。

 

「しゃあない。確かにフランの言う事も一理あるし、それとは別にして突っ込み所があるし」

「はん、よう言う。貴様も胸中では焦りに焦っておる癖して」

「しょうがないやろ。だってユーリちゃん、めっちゃ可愛いんやし。絶対隼さんのドストライク範囲やん」

「ふん、流石によう分かっておるな」

「まぁ、なぁ~。取りあえずは、何よりもまず突っ込まさせてもらうわ」

 

二人してこちらを見てくる。ややあって一言。

 

「何でユーリちゃんはさも当然のように隼さんの膝の上に座り、隼さんもそれを当然のように受け入れとるんや!!」

「『これ絶対入ってるよね』な~んて我が言うとでも思うたか嫉ましやあああ!!」

 

なんて事を同じ顔と声で主張するガキども。

フランはともかくはやてまで一体なんだっつうの。

 

確かにはやての言う通り、このリビングに降りてきてから話をしてる間、そして現在進行形で俺はユーリを膝の上に乗せている。ユーリもユーリで俺の膝の上、というか腿の上に腰深く座って離れようとしない。

が、これにはちゃんと意味がある。こいつの緊張を少しでも和らげるためだ。こんなアウェイなとこでガキに暗~い話をさせるのは流石に気が引けたからな。

正直足がダルいが、まあこのくらいは我慢弱い俺でもかろうじて我慢出来る。それに慣れてるし。

 

「あの、いけなかったですか?」

「あ、いや、違うよ?別にユーリちゃんの事責めてるわけじゃあらへんよ?」

「我は責めてる!そして主から責められたい!」

「フランはちょう黙っとき。ただな、さっきの話は聞いたけどそれでもな、ちょ~と仲良すぎやないかな~てな」

 

ジト目で俺を見てくるはやて。……いや、なぜに俺よ?てか別に仲良すぎという程でもねーだろ。むしろお前との方が期間的に考えれば俺と仲良しだろ。てかふてぶてしい仲だろ。特に最近はフランと結託して風呂やら布団やらにも突撃してきやがって。プライベート時間返せ。

 

「仲が良い……えへっ、えへへっ!でも、それもそうですよね!だって私は隼の……うきゃ~♪」

 

だらしなく垂れ切った顔でボソボソと呟きながら膝の上でくねくねと動く物体Y・Sさん。

一体どうした?なんかキめたか?まあ、何か幸せそうなんで別にいいんだけどさ。ただ、それと対極するようなはやての膨れっ面とフランのしかめっ面はまったくもって良くない。

 

「……こりゃあかん。フラン、ちょう耳かしや」

「なんだ?」

 

少し離れ二人は顔を寄せ合いボソボソと何事かを話し合いだす。声は聞こえないが、はやては真剣な表情、フランは忌々しそうな表情だ。

 

「ちっ、ここまで強敵だと是非もなしか。よかろう。取り合えず今は乗ろうではないか」

 

程なく何かの結論を出したのだろう。フランのその言葉の後、はやてがユーリに近づき手を取った。

 

「よし、ちょうお話しよか。世に言う女子会?ってやつや!さっ、行こかユーリちゃん」

「おい、ヴォルケンズ、貴様らもだ。ああ、鈍感な将はいらん。ここで待て」

 

はやてがユーリの手を引き、シグナムを除く騎士たちを伴って別室へと向かっていく。女子会と言っていたが、何故かザフィーラも連れて行かれてる。

そして残ったのは俺とシグナムの二人のみ。嬉しいような、ハブられてムカつくような。

 

「なあ、隼」

「あん?」

「一体全体何がどうなっているか分かるか?」

「分かってりゃこんなポカンとした顔してると思うか?」

「そうだな。私もだ。……なあ、隼」

「あん?」

「私は鈍感なのか?」

「知らん」

「……そうか」

 

言ってる間に、別室では話し合いが始まったらしい。フランの怒声や破砕音も話し合いの内に入るのならばだが。その間、シグナムはどうしようかとオロオロと取り乱し、俺はその姿を堪能しながら待っていた。

 

結局、はやてたちが出てきたのは約一時間後だった。

 

「なあ、ユーリちゃん。実は今晩、私の友達とその家族が来てお鍋するんやけど、その準備手伝ってくれへん?」

「はい!勿論です!お鍋ってみんなで中に入ってるお肉とかお野菜をお箸で突くんですよね?私、やってみたかったんです!」

「慌てるでない、ユーリ。肉も野菜も良いが、海鮮も美味ぞ。そして何よりも重要なのは主のエキスが間接的にだが摂取出来る所だ!主味の鍋サイコー!!」

 

何があったか知らんが、はやて、フラン、ユーリは何故か1時間前より更に仲良くなってる気がした。まあ良かったのか?てか、あの喧騒でどうやったらそんなに仲良くなるんだ?喧嘩するほど仲が良いってやつ?

 

ただ、まぁそれに反してかどうかは知らんが……。

 

「クソッ、こんな奴のどこがいいんだか。あー、初めて会ったときアイゼンで潰しとくんだった!」

「まぁまぁ、ヴィータちゃん。はやてちゃんもユーリちゃんもフランちゃんもまだ子供だから、社会的価値観にともなった正常な善し悪しの判断が出来ないのよ」

「我が主は聡明な方だ。ゆえに過ちに気づくのも早いだろう。無論、他の二人もな」

 

何か俺が滅茶クソ言われてるような気がする。てか、確実に俺だ。クソロリがかなりガンつけてきてやがるし。

 

まあ、いいや。取り合えずユーリを無事紹介出来て、かつはやてたちとも仲良く出来そうだし。

 

(今晩も蒐集に行く予定だが……さて、どうすっかね)

 

きゃいのきゃいのとはしゃいでいるはやて、フラン、ユーリが目に入る。いずれはこの輪の中にフェイトやアリシアもきっと入るだろう。そう思うと俺も頬が緩む。やっぱガキはこうでなくちゃよ。

 

(フランはともかくユーリなら、夜天たちもすんなり受け入れてくれるだろうし)

 

アリシアと同じくらい邪気のないユーリだ。すんなりウチにも溶け込める。………そのはずだ。

 

(……ユーリとウチの奴らを会わせた瞬間に家がグラウンドゼロと化し、何故か俺だけ被害を被るような気がするのはきっと気のせいだろう)

 

死を回避する為にユーリを連れて出したのに、それがまた新しい死因になってしまった感をひしひしと感じる。

いや、まさかね。うん。だって、俺悪い事してないし。……ただまー念のため、ユーリには下手なこと言わないよう言い聞かせとこう。

 

ともあれ。まっ、取り合えずは、だ。

 

「お~い、団欒すんのは構わねーけどそろそろ朝飯にしようや」

 

昨晩から何も食ってないから腹減ったわ。

 

 




45話分と一緒にすればよかったと後悔。次回はちょっと早めの更新予定。

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