氷雪の魔王と愉快な帝具使い達の話   作:椿リンカ

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社員1「サブタイトルどういうこと」
社員2「羨ましいって・・・」
社員3「誰が誰を羨ましいと思ってるんでしょうか」
社員4「朕もヒロインになりたいアル!」
ロッドバルト「貴方ではヒロインになりませんよ」


羨ましいからそこ代われ

オネスト大臣と会話(と呼べるのかは謎だが)した後、宮殿内の一室に引っ越し作業をすることになった。

私の荷物なんてそんなに無かったのだが、オネスト大臣が用意したらしい。

基本的な家具類や調度品はあるが・・・そういえば服が無いなぁ

 

そんなことを考えていると、復活したらしいオネスト大臣が「おや、ここにいましたか」と声をかけてきた

回復速度早いな・・・いや、まぁ、もしかしたらシュテンさんが手加減したのかな?

割と本気で腹パンしたようにも思えたが・・・

 

「あ、あの、洋服が無くて・・・」

「一緒に買い物にでも行こうと思いまして」

「・・・大臣様と!?」

「えぇ」

 

なんだろうか、身の危険を感じてしまう。

どうにかできないことはないが、私自身・・・魔王のスキルはあまり使いたくないからなぁ・・・

 

「・・・」

「なんでも買ってあげますよ」

「え、あの、いえ・・・服はそんなには、というか下着なんかもあるので、その」

「それこそ私が選びますよ」

「やめてください・・・」

 

ブラフなのか本当なのか分からないが、少なくとも下着を選ばせるほど私は女を捨てていない(はず)

いや、恋人同士なら下着を選ぶこともありうるだろうが、恋人でも何でもない相手に選んでもらうのは・・・しかもこの場合、下着を全部把握されるという恐ろしい事態にもなりかねない。

 

「そ、それに、オネスト大臣も忙しいでしょう?」

「いえいえ、後妻になる相手の服を選ぶんですから時間もやりくりしますよ」

「さ、すがに、その、それは・・・迷惑になるんじゃ」

「迷惑だと思いませんよ、それよりも下着を選ぶほうが有意義じゃないですか。選びたいです」

 

できればしないでほしいです

 

「えっと・・・あの・・・」

「あぁ、もしかして緊張してるのですか?ふむ・・・少し待っていてください」

 

そう言って大臣は席を外した。

この間に部屋の様子を確認して、おかしなものや何かのギミックが無いか調べてみた。

・・・疑心暗鬼に陥っているのだろうけど、100万回も繰り返してきた経験からチェックしているだけだ。

・・・もう死んでもいいかもしれないけれど、故郷に残してきたタツミ君がいるからなぁ

 

タツミ君の記憶が無いのは、多分モニターのせいなのだろう

だからこそ、故郷の村の中で唯一私のことを覚えていない、いや「知らなかった」のだ。

 

タツミ君はとても純粋だ。真っ直ぐすぎるところがある。

だからこそ今のまま、幸せになってほしいと思う・・・憧れの主人公としても、弟としても大事だから

 

「こちらです」

「そうか」

 

可愛らしい声と共に大臣の声が聞こえてきた。

大臣が連れてきたのは・・・小さい頃のエスデス様ことロリデス様そっくりの少女だ。

 

「こちらは帝国最年少の将軍であるエスデス様です」

「・・・露子、か」

「あ、あのっ、は、はい・・・露子と言います」

 

この年齢の頃のエスデスさんって確か帝国の辺境にいたんじゃ・・・というか殺気を!感じるんですけど!怖い!

魔王を生業にしていたせいか、殺気には敏感になっている。だからこそ余計に、肌を刺すような殺気を感じる。全身にナイフを刺されているような気がしてくるレベルでの殺気と言えば、少しは伝わるだろうか。

 

「私も準備して参りますゆえ、その間にお二人で話していてください」

 

大臣が席を外した途端に、エスデスさんに一気に距離を詰められて押し倒された。

 

「貴様、記憶はあるのか?」

「え、あ・・・」

「魔王としての記憶があるのか?」

 

エスデスさんの視線は恋敵を発見した時と同じような、それこそ視線で殺すと言わんばかりの殺気を宿している。

 

「ひゃ、ひゃい・・・」

 

あんまりに怖くて半分泣きながらも返答する。

 

魔王をしていたからといって、何度も死んだからといって・・・怖いものは、怖いのだ

 

「・・・そうか」

 

殺気を消して、馬乗りになったままのエスデスさんが髪を掻きあげた。

掻きあげる仕草も様になるのだから、美人ってやつはすごいと思う

 

「あ、あの・・・」

「相変わらずお前はよくどもるな。しかしそうか、記憶があってわざわざ来たのか」

「はい・・・その、えっと」

「貴様の目的は前の世界で果たされたのだろう?」

「そ、その、そうなんですけど・・・私もよく分からなくて、気が付いたらタツミ君の・・・」

「タツミ!?」

 

私がタツミ君の名前を出した瞬間に私の両肩を掴んで嬉しそうに顔を赤らめる

 

「タツミがいたのか!?」

「あ、あの、なぜかタツミ、じゃない、タツミ君の、姉として生まれ変わってて、その」

「なん・・・だと・・・!?」

 

珍しい驚愕した表情のエスデスさんに戸惑ってしまう。

確かに驚くことだとは思うけれども・・・

 

「露子、お前がタツミの姉・・・なのか?」

「あ、はい・・・でもタツミ君、まだ7歳だからこっちには連れてきてなくて」

「7歳のタツミか・・・羨ましすぎる」

 

まさか天下のドS将軍であるエスデスさんに羨ましがられる日が来るなんて思わなかった。

 

「大丈夫かなぁ、すごい泣いて駄々こねてたから、ちょっと心配になってきた」

「なんだそれは、タツミのそんな姿を見たのか、私にも見せろ」

「さ、さすがにそれは・・・」

「魔王ならできるだろう」

「えっ、あ・・・が、頑張ります、けど・・・」

 

 

「お二人とも準備ができま・・・」

 

 

部屋に入ってきたオネスト大臣がその場で硬直してこちらを見ている。

そういえばエスデスさんが私に馬乗りになってたから、襲われて殺されそうになっていると思ったのだろうか?

 

「大臣、タイミングが悪すぎるぞ」

「え、えっとですね・・・」

 

 

「エスデス様、羨ましいのでそこ代わってください」

 

 

こちらも目が本気である

 

 

「エスデスさん、全力で弟の姿を見せてあげるので大臣と代わらないでください」

 

 

男性特有の獣の目って、怖いですね・・・




社員1「・・・社長」
ロッドバルト「えぇ、タツミ君は原作やアニメの記憶がありますが、それらの軸に露子さんはいないでしょう?」
社員2「あとは全部憑依してたモニターだったと」
ロッドバルト「イグザクトリィ」
社員3「・・・なるほど、だからタツミさんは覚えていない、と」
社員4「本当に社長は性格悪いアルネ」
ロッドバルト「モニター様の御意向通りのことをしただけです」
社員3「次回は買い物回ですか。本当にのんびり進みますね」
社員2「ま、平和でいいじゃねぇの」
社員1「下手したらロリコンとか変態が増えそうだけどな」

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