氷雪の魔王と愉快な帝具使い達の話   作:椿リンカ

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ロッドバルト「しかし露子さんがいっそのこと最強設定で俺TUEEEEで超絶ハーレムなメアリー・スーであればもっと面白かったでしょうね」
社員1「やめろよ!?なんかどっかから文句言われるから!!」
社員2「そりゃよくある設定ではあるけどよ・・・露子がそれって似合わないよな」
ロッドバルト「性格が卑屈すぎますし、好かれるのはすべて変態、全員から賛同はされてない上にやたらと評価がひどい、魔王のスキルは大体設定のみかギャグでのみ使用」
社員3「・・・それはそれで・・・問題が・・・」
社員4「もうちょっと融通が利いてもいいアル」
ロッドバルト「そもそも前書きと後書きに我々が出ること自体が薄ら寒いんですけどね」
社員1「だから!!そういうどっからか文句言われるのはやめて!!」


実家に帰省しております

現在、露子は実家へと戻っていた。テーブルにはタツミと露子の父親であるミカドが座っており、母親であるタマモは晩御飯の支度をしているらしい。

露子の隣にはエスデスと皇帝が座っている。

 

エスデスからすればもっとタツミと触れ合いたいと思っていたようだが、タツミと露子の両親への顔合わせも重要だと感じたらしい。

皇帝は見慣れない民家の様子に少し落ち着かないようで、部屋の様子を伺っているようだ。

 

「露子、よく戻ったね」

「い、いえ・・・大丈夫、です」

「怪我とかは無いみたいでよかったよ」

「ありがとうございます・・・・・・ミカドさん」

「・・・露子」

「心配させて、すみません」

 

実父への態度に皇帝は露子のほうへと振り向くが、露子はうつむき加減でバツが悪そうにこじんまりと座っていた。皇帝からすれば、なぜ露子が実の父親に他人行儀になっているのかがわからなかった。

もちろんそれはエスデスも違和感を感じたらしい。

ループしていた頃の親と違うからなのだろうかとも予想を立てるが、やはり核心に迫ったものではないとは感じていた。

 

「それにしても・・・エスデス将軍、ですか。初めまして」

「初めまして。タツミの父親だったな・・・早速話がある。将来的にはタツミと結婚をしようと思っているのだが、式はこちらであげるべきか、それとも帝都で盛大にやるべきか?」

「エスデス将軍やめてください、ミカドさんが引いてます」

「そうか・・・・・・では質問を変えよう」

「(タツミ君のことか、私のことかな?)」

「はやく孫の顔を見たいと思わないか?」

「やめてください、お願いしますからやめてください」

 

まるでコントのような流れではあったものの、このやりとりのおかげかその場の空気も少し和らいだかのように思える。それから少しずつではあるが、露子が帝都に行ってからのことをミカドに伝え始めた。

もちろん変態的な部分などは省かれてはいるものの、現在の状況やなぜ帰省してきたかを把握できるほどには説明ができたようだ。

 

「・・・そうかい、オネスト大臣が・・・」

「す、すまぬ!余の家臣である大臣がそんなことをしてしまうとは・・・」

 

ミカドの沈んだ表情に皇帝は思わず椅子から立ち上がり、謝罪の言葉を述べようとする。しかしエスデスが静かに皇帝を引き留めて椅子に座らせた。

 

「陛下が謝ることではないです。この一件は露子が決めあぐねていたのがそもそもの原因です」

「しかし・・・」

「嫌ならば嫌だと答えればいい。良いなら受け入れてしまえばいい。たったそれだけのことを決められない・・・そういった露子の弱さが原因です。決めることができたならそもそもこんな風に実家に戻りません。決断を先送りしたくて、逃げたくて戻ってきたんですから」

「そ、そうなのか・・・?」

 

エスデスの言葉に皇帝は判断がつかないようだ。いや、というよりはエスデスの言葉を聞いてなんだか居心地が悪くなってしまったのだ。それがなぜかは彼は自分自身で自覚することができないけれども。

そしてその場にいたミカドは黙ってうつむいたままの露子をただ見ていた。

 

労わりの言葉も慰めの言葉もいくらでもかけることはできる。けれども彼はそうしなかった。

そんなことをしたところで、露子を惑わせてしまうだろうとわかっていたからだ。

露子自身は身の上のこともあるせいか血を分けた両親であるミカドとタマモに遠慮をして他人行儀にしているが、ミカド自身は露子のことも自身の大事な娘だと思っている

 

・・・たとえそれが、繰り返してきた世界で、数え切れないほどの悪逆を積み重ねていても、だ

 

もちろん、何もかもを受け入れているわけではない。割り切れない感情だっていくらでもある。

それでも今は大事に育ててきた娘なのだから

 

「・・・ゆっくりするといい。部屋はちゃんと掃除してあるから」

「・・・ありがとうございます・・・・・・ミカド、さん」

 

 

気まずくなったせいか、露子は席を立った。エスデスと皇帝と共に外にいるだろうシュラやタツミの様子を見ることにしたのだ。

 

「シュラは何をしているだろうな」

「さぁ・・・あぁ、でもシュラさん、タツミに絡んでそうだなぁ」

「ふん。きっとタツミには嫌われているだろう」

 

露子達にそう言い切ったエスデスの視界に、信じられない光景が広がっていた。

 

「シュラ兄ちゃんすごい!おっきい雪だるま作れた!」

「おうよ。どうだ?」

「シュラ兄ちゃん、作るの上手いな!」

「・・・おう」

「じゃあな、じゃあ、次、もっと大きい雪だるま作ろう!」

「次は三段ぐらいの作るか?」

 

とても仲良く雪遊びをしているシュラとタツミの姿

しかもタツミがやたらと懐いている、ものすごい懐いてる、エスデスに見せなかった満面の笑みを見せている。とっても幸せそうな、笑顔である。

たったそれだけのことだったが、エスデスにとってはかつてタツミに言われた「付き合ってる子がいるんだ」という言葉と同じぐらいの衝撃であった。

 

まずエスデスはタツミ自身から笑顔を向けられることが少なかった。というか、ほとんどなかった。

それはそれでいいのだが、やはりエスデスだって人間なのだから・・・好きな人に自分への好意を含んだ笑顔を向けられたいとも思っている。

それをまさかオネスト大臣の息子であるシュラに見せるだなんてありえなかったし信じたくなかった。

 

だからそう、殺気を放ってシュラに威嚇するのも仕方ないことだ

 

「っうわぁああ!」

「エ、エスデス・・・」

 

その殺気たるや、子供であるタツミにもわかるほどの冷たさと怖気を感じるものだ。すぐさまタツミはシュラの後ろに隠れてしまう。

その殺気を向けられたシュラも正直すぐに殺されると覚悟するほどの、とても純度の高い殺意だ。

 

「シュラ、今すぐそこに座れ、直々に拷問してやる」

 

眼も笑ってないし顔もまるで般若、いや阿修羅像のようだ

 

女の嫉妬って怖い

 

久々のエスデスの殺気に怯えて涙目になりながら露子はそう思った

 

 




社員4「エスデス将軍・・・もっとまじめにシリアスなキャラなのに・・・」
社員3「コメディ作品にシリアスなんて求めてはいけません。シリアスがほしいならよその作品を読みなさい」
社員1「いや、もうなんかシュラどうした」
社員2「同じ男で年上つったら、女よりは近寄りやすいよな」
ロッドバルト「これが例え他の男キャラでも懐いていたとは思いますよ。今回はたまたま男が一人だけでしたから・・・」
社員3「運が良かったのか悪かったのか」
社員1「悪いんだろ」

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