氷雪の魔王と愉快な帝具使い達の話   作:椿リンカ

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社員1「しかし原作ルートやアニメルートの記憶までループ周回に含めるのかよ、しかも1回目って設定で」
社員2「これループ時の記憶ある方々大丈夫なんスかね」
社員3「あの悪魔社長が何をするんでしょうか」
社員4「ほんとあいつ、銀髪全部抜け落ちてハゲればいいアル」
社員1「そういや4、お前失恋がどうのって言ってたッスけど」
社員2「そういやそうだな」
社員3「あなた方知らないのですか?ロッドバルトと言えば、白鳥の湖じゃないですか。この会社の名前にもなってるんですよ。それぐらい勉強なさい」
社員4「あの悪魔社長、お姫様に振られたアル。あのフラれんぼ・・・て、ぎゃああああっ!!」
ロッドバルト「誰がフラれんぼですか?それでは本編スタートです」



転生編
タツミの決意とシュラの憂鬱


タツミの故郷は雪が積もる辺境の地である。とはいえ、比較的四季は楽しめるのだけれども・・・

タツミには姉がいる。

名前は露子、父によく似た黒い髪だったが・・・目の色だけは両親と違っていたし、両目の色も色違いであった。

何故だかよく分からないが、聞いてはいけないような気がしてしまい、直接聞いたことは無い。

 

露子はタツミが幼い頃から一緒に遊んでくれていて、面倒見も良かった。

彼女は不思議な力が使えていて、大人からも頼られていた。危険種を追い払うこともできたし、氷で滑り台なども作れた。

 

自分は不思議だと思っていながらも、村の人たちは何も言わないし何も聞かない

姉の不思議な力を不思議だとは言ってないし、当たり前のように受け入れていた。

 

・・・タツミが7歳、露子が10歳になった頃、辺境の村に帝都の兵士がやってきた。

何の話をしていたのか幼いタツミには分からなかったが、どうやら姉を連れて行くとのこと

まだまだ姉に甘えていたタツミはもちろん泣いて引き留めようとした。

 

「ねーちゃん!いっちゃやだよ!」

「タツミ、ごめんね。お姉ちゃんは帝都に行く用事があるから」

「やだやだ!ねーちゃんがいなくなるなんてや”だあ”あ”ぁ”ぁ”!」

 

両親も村の人も困るほど号泣して駄々をこねていたものの、露子は結局帝都へと向かってしまった。

 

そして彼は決意する

 

いつか姉を迎えに、帝都に行くと

 

 

 

 

「タツミだけかよ覚えてないの・・・」

「タツミ以外のみんなが覚えているっていうのにね」

 

泣きじゃくるタツミを両親が宥めている間、彼と同い年であるイエヤスとサヨが呟いた。

 

そう、タツミ以外の故郷の人々はみな・・・ループ時の記憶があった。

最初の記憶も、何度も繰り返した記憶も、(読者の人々に分かるように例えるならば)原作と同じルートの記憶も

 

だからこそ、氷雪の魔王が生まれた時は皆が驚いたものの、普通に受け入れた

かつては彼女が故郷を守ったこともある、その記憶もあったからだ

もちろん滅ぼされたこともあるのだがそこはご愛嬌、要約すれば彼女が前の世界で成し遂げた目的を知っていたりする。

 

知らないのは・・・タツミだけ、だ。

 

「でもオネスト大臣がツユコを呼ぶってどういうことだろうな」

「オネスト大臣も前の世界の記憶があるのかしら?」

「仮にも氷雪の魔王を呼び出すなんて、また死にたいのか?」

「露子がそんなことするとは思わないけど・・・そもそも露子は転生してるじゃない」

「だよなぁ・・・しかもタツミの姉貴だしな」

「・・・帝都が圧政を敷いてるなんて噂も効かないから安心はしてるけど」

「・・・まぁ、露子が本気を出せばなんとかなるだろ」

 

2人はそんなことを言いながらも、明日からタツミをどう慰めるかに頭を抱えるのだった・・・

 

 

***

 

 

私はループ能力はあるが、転生能力は無い

つまりこれは・・・あの株式会社レイクオブスワンの社長か、その関係者が何かしたのだろうか

 

私は確かに、あの時死んだのだ

何度も何度も経験した死の痛みを味わったはずだ

 

私を帝都に連れて行こうとする兵士たちはループしていた時の記憶は無いらしいが、故郷の人々はあったし・・・これは、今まで無かったことだ。

イレギュラーだらけだったけれど、魔王のスキル・・・基本的なものは残っているらしい

 

・・・でも、なぜ私が呼ばれたのか

 

・・・オネスト大臣には記憶があるのだろう

 

・・・私のことを手駒にする予定なのか、よく分からない

 

何度かそういう経験があったけれど・・・

 

不安だらけだが、とにかく大人しくしておこう。

 

周囲を凍らせないための手袋を外す機会が訪れないように祈るしかない

 

 

***

 

タツミに会いたい

 

タツミに会いたい

 

タツミに会いたい

 

タツミに会いたい

 

タツミに会いたい

 

タツミに会いたい

 

タツミに会いたい

 

タツミを全部支配したい

 

タツミの笑顔がみたい

 

私がそう思ったのは記憶を思い出してすぐ思ったことだ。

 

そのためにわざわざ5歳の時に母を危険種から救い、父に認めてもらって帝都へと移り住むことにした。

 

私だけかわからないが、どうやら元々の強さを保ったままらしい

 

これよりもさらに強くなり、絶対にタツミを逃がさない

 

タツミは帝都に来るのはループしていた記憶で知っている

 

だからこそタツミが来るその瞬間にタツミを捕まえて私のものにしよう

 

 

***

 

 

何度も何度も繰り返した記憶が今でも夢で現れる

 

最初の2回は露子がいない世界

 

3回目は露子と出会った世界

 

そして、4回目からはあいつが・・・

 

馬鹿な奴だな。他人助けようとして自殺みてぇなことしやがって

 

露子の前で、俺がタツミの野郎に殺された記憶をまだ思い出す

 

タツミの野郎は最初から知ってて、だから俺を殺したのか

 

・・・露子の野郎も知ってたあたり、問い詰めてぇところだが・・・

 

・・・あの時の必死そうな、泣きそうな顔を今更ながらに思い出してイライラする

 

今度会ったら一発殴ってやる

 

 

 

 

 

「親父、何してんだ?」

 

朝起きると、親父が何やら忙しそうにしていた。

他の兵士たちも使っているようだし、宮殿に賊でも出たのか?

 

「いえ、実は新しく家族を迎えようと思いまして。確か10歳ほどの少女ですね」

「・・・は?」

「かなりの才能を持った少女なんですよ、それこそまるで魔法が使えるような」

「!」

「だからこそ家族として迎え入れようかな、と」

 

おい、それってまさか・・・

 

「名前は露子といいます」

 

やっぱりか!

親父は・・・でも、親父もループしてた時の記憶はあんのか?

俺に一度もそんなこと・・・いや、俺も親父にそんなこと話してないしな。

そんなことはどうだっていい!

それよりも露子がここにいるのか!

 

「それじゃあ、俺の義理の妹とかになるってことか?」

 

「違いますよ」

 

・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後妻にします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、俺は初めて親父を殴った

 




ロッドバルト「紫の上計画って、男性のロマンですよね」
社員1「何言ってんだこいつ・・・」
社員2「増えるペドフェリアに戦慄を隠せない」
社員3「ペドはピエロさんだけで十分です。社長、頭大丈夫ですか?」
社員4「社長が頭おかしいのは元からアル」

ロッドバルト「ちなみに作中での現在の年齢イメージはこんな感じですね」

タツミ7歳
露子10歳
エスデス13歳
シュラ17歳

社員1「原作はもっとこう、ふわっとしてますもんね」
社員2「しかしこれはいいのか・・・」
社員3「原作さんが呼吸困難してますよ」
社員4「これどうなるアルか・・・」

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