氷雪の魔王と愉快な帝具使い達の話   作:椿リンカ

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社員1「タイトルェ」
社員2「いよいよ、か?」
社員3「この感じだと色々端折りそうな気がしますよね」
社員4「説明不足感が否めない」
ロッドバルト「じゃあいっそ質問コーナー回とか受け付けます?」
社員1「質問するほどでもなくね?」
ロッドバルト「じゃあ勝手に質問を会社で募るとか」
社員2「やめろよ、そういうの空しいから・・・」
ロッドバルト「ではでは、今回は長めですよー。視点替えが分かりやすいようにしておきました。」



実家に帰らせて頂きます

オネスト大臣が露子に無理やりなプロポーズをしたと耳に入った。

公務中であったから良かったものの、おそらくは余の末裔もこの情報を聞いてしまっているだろう。

公務を早く終わらせ、すぐに自室で眠りについた。

 

目が覚めると、いつも通りの精神世界・・・だが、余の末裔は頭からシーツを被って体育座りをしていた。

 

「話を聞いていたのは知っている。だが、オネストは元々あぁいった人間だとお前だって分かっているだろう」

「・・・そっ、それは、そうだが、でもあれは、今までそうだっただけで・・・今度は、今度こそ、余と共に・・・」

 

下手に繰り返してきた記憶があるせいか、どうやらオネストが真人間である希望を抱いていたらしい。

無理もないことだ。余の末裔はあまりにも情が向きすぎる・・・特に自分が心を開いている者に対してはかなり情を向けてしまう。

 

「・・・」

「どうすればいい、余は、余は、今度こそ・・・・・・オネストやブドー達と良い国を、民のための国を・・・」

「他者に目をかける、いや・・・他人に依存するのはやめろ」

 

そんな言葉を投げかけると、涙を目に溜めた末裔がこちらへと視線を移した。

子供との距離感というものは、生きていた時から苦手なもので・・・正直それは今も変わらない。

皇帝としての言葉と、人としての言葉のどちらで語ればいいのか分からなくなるのだ。

だが、そんなことは言ってられない。

 

「お前も自覚しているのだろう?誰かに依存して生きていることぐらいは・・・」

「余は、そんな・・・余も皇帝の、一族で・・・オネストに騙されていたのは余が未熟だったからだ。オネストに依存なんて」

「いや、本当は分かっていたはずだ。だがお前は帝国を統べる皇帝の重責や両親がいない寂しさを誤魔化していたんだろう・・・オネスト大臣相手にな」

 

シーツを被っている末裔の手が、シーツを強く掴む。

余と視線は合わせているが泣きださないようにしているのだけは分かった。

子供を虐めているようで心苦しくなるが、目の前の末裔は・・・子供以前に、この帝国を治めるべき後継者なのだ。

 

「現世では余がお前の代わりに公務をしていた。お前にはまだ皇帝としての才能が発揮されていないからな・・・しかし、そろそろ余も消えるべきなのかもしれん」

「!き、消える、だと・・・」

「いつまでも余が国を治めていることは出来ない。本来ならばお前がこの帝国を治め、家臣たちと共に国を守っていくのが筋だろう。」

「まっ・・・待て、消えるなんて、言わないでくれ」

「・・・いや、余は消えるべき存在だ。もちろん、今すぐに消えることはしないから安心しろ」

「消えるべき・・・?」

 

余の末裔に本当のことを教えなければならない

・・・もう、余の末裔が繰り返した帝国の終焉を回避するためにも

余の末裔が皇帝として、民を幸せにするためにも

 

「余の正体は・・・始皇帝だ」

 

***

 

エスデスの部屋にて、エスデスと露子が荷造りをしながら話し合っていた。

あまり荷物が無い露子に対して、エスデスは何故か捕縛道具などをバッグに詰めているようだ。

いつもの露子ならここですぐにタツミを捕まえるためだと気が付くのかもしれないが、生憎ながら彼女は自分の周りで起きた問題で圧死しかねない。

ようするにスルーしている。

ツッコミなんていなかったのだ・・・

 

「その・・・異性から、告白とかされたことなくて。オネスト大臣の告白を断るべきか分からないんです」

「・・・露子、お前何を言っているのか分かってるのか?オネスト大臣の告白を断るか迷っているだと?」

 

「とっ、特に付き合ってる人とか・・・好きな人がいませんし」

「それで?」

 

「えっ?だ、だから断る理由が無いんです」

「・・・お前は何を言っているんだ」

 

「何をって・・・好きな人や付き合っている人がいないのに告白を断るのって不誠実じゃないですか?」

「・・・相手はあのオネスト大臣だぞ。あんなのが好みか?普通は嫌がる女が多いと思うが。いや、それよりもオネスト大臣は嫌いなんじゃないのか?」

 

「嫌いじゃないですよ」

「・・・なんだと?嫌いじゃない?」

 

「確かにちょっと変質者じみたことしてますし、悪人だとは分かってます。でも、頭が良いことは確かですし・・・コミュニケーション能力もあるからこそ、帝国でのし上がってきたんだろうな、と。」

「そういう見方もできるのだろうが・・・」

 

「そもそも、本当に好きかどうか分からないんですけどね。騙されてるだけかもしれません。けど・・・それならもっと上手くやってたんじゃないだろうか、とか・・・ちょっと色々、今でも考えてます」

「面倒だなお前は」

 

エスデスの言葉に苦笑しつつも、露子は荷造りを終えた。

エスデスが今も怖いことに代わりは無いが、それでもこういった時には真摯に向き合ってくれる彼女に感謝もしている。そういう部分が、きっと部下にも慕われているんだろう、と。

 

こんこん、と部屋がノックされる。

「誰だ?」

「俺だ俺、大臣の息子様が来てやったぜ」

「そうか帰れ」

エスデスはシュラが来たと知ると否や即座に入室拒否をした。さすがにそれは失礼だと露子がエスデスをなだめて、部屋へと招き入れる。

「あー・・・親父がすまねぇな」

「いえ、あの。シュラさんが謝罪しなくてもいいんですよ」

「なんつーか・・・まぁ、いろいろあったんだよ。」

少しだけ遠い目をしてシュラが苦笑する。心なしか疲弊した様子が伺えるが、露子とエスデスにはなぜ疲弊しているのかは分からなかった。

ナジェンダにオネスト大臣共々説教をされ続けたせいか、さすがのシュラも精神的に疲れてしまっていたのだが、そのあたりのことを露子たちが知ることは無いだろう。

「・・・つか、荷造りしてどこかに行くのかよ」

「露子の実家に行くぞ」

「あの、オネスト大臣には内緒でお願いします」

エスデスと露子の言葉にシュラはもちろん驚いた。しかし、すぐに考え直す。

 

露子の故郷にはタツミがいる。しかも、露子の弟としてだ。

この世界でもナイトレイドが発足するとは思えないが、タツミには繰り返してきた世界で何度も痛い目に合されてきた。

エスデスがいる以上、まさかタツミを殴ったりもできないだろう

・・・なら、今のうちにタツミを手懐けてしまえばどうだろうか、と。あわよくば自分の部下にしてしまえば、将軍級の器とされるタツミが自分の戦力になる。

 

「・・・俺もついていっていいか」

「・・・」

 

シュラの言葉にエスデスはあからさまに嫌そうな顔をする。おおよそ原作ではありえないだろう全力の嫌そうな顔だ。

 

「だから、色々気になることがあるから行くんだよ。そこまで嫌そうな顔すんじゃねぇよ!」

「私はいいですよ。エスデスさんもそんなに嫌がらなくても」

「・・・露子がいいならかまわん。しかしタツミに何かしたら私が直々に拷問してやる」

 

 

 

こんこん、と再びドアがノックされる。

「・・・また客人か。今度はスズカか?それともシュテンか?」

エスデスがため息を吐きつつドアを開けると、そこには皇帝陛下がいた。

 

 

「夜分遅くにすまぬ。その、話を偶々聞いたのだが・・・余も、一緒に露子の故郷に連れて行ってくれ」

 

 

***

 

翌朝

 

エスデスの部屋のテーブルに露子の指に嵌められていた指輪がメモ用紙と共に置かれていた。

 

『実家に皇帝陛下とエスデス将軍、シュラさんと共に帰らせて頂きます』

 

そのメモ書きの内容を知ったオネスト大臣は宮殿中に響くほどの絶叫をあげて気絶した。

 

 




社員2「皇帝陛下がグレた!」
社員1「ぐ、グレてはないぜ、多分・・・」
社員4「でも皇帝陛下が・・・あっ・・・」
社員3「ブドー大将軍がぶっ倒れそうですね」
ロッドバルト「いやー、やっと最終章に取り掛かれそうですが、執筆速度が遅いですよね」
社員2「ま、べつにゆっくりでもいいだろ」
社員3「もうすぐ露子さんの活躍も・・・っていうかほとんど活躍してませんね」
社員1「まぁ、なんちゃってシリーズみたいなもんだからな。他の連載と比べたらカスだぜ?」
ロッドバルト「それではー、またみて次回!」

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