氷雪の魔王と愉快な帝具使い達の話   作:椿リンカ

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社員2「嫌な予感しかしねぇよ!ドリフト走行ってどういうことだよ!」
社員4「まぁ、ボリックあたりじゃないのがマシアルよ」
社員3「それはそうですが・・・通常運転、ですか」
ロッドバルト「通常運転ですよwww」
社員1「信用ならねェ」
ロッドバルト「今回はナジェンダさん視点です」



教主様は通常運転(ただしドリフト走行)

 

“帝国領土内キョロクにおいて、予知と治癒の力を持つ青年がいる”

 

そのような報告が皇帝並びに内政官・将軍たちに知らされた。

謁見の間のため、騒がしくなることはないが一同に動揺は伝わっているらしい・・・同僚同士で顔を見合わせたりしているようだ。エスデスはいつも通りすましていた。

まるでそれは、大臣が連れてきた少女のようではないかと・・・

 

その報告に皇帝は間を置いて、こう発言した。

 

「宮殿に招いて真偽を確かめよ」

 

「・・・陛下、真ですか?」

ブドー大将軍が皇帝に問いかける。周囲の将軍たちもオネスト大臣は視線を皇帝陛下に向けることしかできなかった。彼らは今しがたの皇帝の言葉を信じることができなかったのだ。

皇帝自身がそういった噂や報告に対して興味を持つと思ってなかったという認識がみんな強いからだろうか?

あまり子供らしくは見えないし、何よりも不確かな情報に興味を持つだなんて・・・

「あぁ。先ほどの報告にあった予知のできる青年・・・その者を宮殿に呼び、真偽を確かめる。それが真実であるならば。帝国にとって更なる繁栄の礎となるだろう。よって、その者をここに招くのだ」

静かに、しかし力強く皇帝陛下は臣下たちに命じた。

 

 

 

【露子の私室にて―――――】

 

「・・・それって安寧道の教主様じゃねーのか?」

出来立てのカップケーキを食べながらシュラがナジェンダとエスデスに話しかける。露子はアカメ達のおやつとして作っているカップケーキの準備をしながら立ち聞きしていた。

なお、この場にはスズカもいる。しかし彼女は現在、エスデスの椅子になっているために会話には参加しないのをここに記しておこう。

「そうだろうな・・・」

ナジェンダが頭を抱えながら煙草に火をつける。

「ここで煙草を吸うな」

「ん、あぁ・・・すまない・・・」

エスデスに注意されてすぐに煙草の火を消した。

 

まさかこうして煙草を注意されることがあるとは・・・と、ナジェンダは少し複雑な気持ちでエスデスを見た。ナジェンダが煙草を吸い始めたのは帝国から離反した後のことだ。

こうした和やかな(※一部人間椅子になっているドMもいるが)雰囲気の中、エスデスの傍で煙草を吸うことは初めてであった。

 

「煙草は好かん。煙と臭いがあまり好きではないからな」

「それは初めて知ったな・・・」

「へー、意外だな。エスデスにも苦手なもんとかあるんだな」

 

シュラのその一言でエスデスがジト目でシュラに視線を向けた。

 

「私も人間だぞ・・・芸術の類も分からんし、苦手なものぐらいはある。お前は私のことをどう思っているんだ」

「あんた規格外の化け物女だから、弱点なんか持ってない色気ゼロ男運皆無で男の趣味も悪い人外戦闘狂かと思ってた」

「シュラ、今すぐ拷問室に来い。貴様の股間についてる睾丸を二つとも潰してやる」

 

そんな二人を露子が宥める光景を私はぼんやり見ていた。

100万回繰り返した先の、この世界でこんな光景を見るとはな。

・・・そろそろ、ラバックとまた出会えるのだろうか。他のナイトレイドの者たちや、イェーガーズもそろって、こうして楽しく過ごせるのかもしれないと思うと・・・なんだか不思議な気分になってくる。

 

魔王であった頃の露子を倒した後はタツミがハーレムを築いていたのをふと思い出した。

・・・懐かしいな。露子がいなかった周回はそういった奴じゃなかったが・・・

・・・そういえば以前、チャンプと遭遇した時にエスデスも言っていたな・・・「タツミがタツミじゃない」と。そのあたりのことは、やはり露子は何かを知っているのだろうか?

 

「あ、あの・・・」

 

ふと、聞きなれない声が聞こえた。

声が聞こえてきたほうを見ると、部屋の扉から誰かがこちらを覗いていた。雰囲気からして宮殿の者ではないようだが・・・少しばかり記憶とは違うが、その人物に見覚えがあった。

安寧道の、教主だ

 

どうやらエスデスやシュラ、露子も気が付いたようで・・・

スズカも気が付いているとは思うが、奴は今椅子になることに没頭しているし、露子との約束もあるから変なことはしないはず・・・と、信じたい。

 

「えっと、貴方は・・・?」

 

私が声を掛けると、教主と思しき青年は顔を赤らめながらも手を差し出してくる。

 

「あの、道に迷ってしまったんです・・・ですが、貴方のような美しい方と巡り会えて嬉しい限りです」

 

・・・お、おう。

今はモテ期真っ最中の姿だからな、褒められるのも仕方ないだろう。しかし教主はこんな性格だっただろうか・・・あまり突っ込んだところまで知り合ったり話したことはないから、分かりづらいが。

青年が私の手を取り、にこやかな微笑みを浮かべて見つめてくる。

 

「貴方のことを夢で見たことがあります」

「ゆ、夢か・・・」

「えぇ、夢のなかでのあなたは今よりも少し大人びていて、民のことを真に思う人間として振る舞っていました。しかし真のあなたは清らかな乙女で・・・」

「おっ・・・おう・・・」

 

夢で見ていた・・・自分がナイトレイド時代のことだろうか?

ならば教主も記憶持ちということになるのだろうが、何やら私やエスデスたちとは何か違うようだ。いや、それよりも手の甲に口づけを落としてきたあたりで、正直もう何も考えたくない。

なんだこいつ・・・

 

「あぁ、そこにいるのは夢で見た女性・・・いえ、良く似ていますね。少しお顔を拝見させてもらってもよろしいでしょうか?」

エスデスと露子ににこやかに話しかけて彼女たちと視線を合わせる。

ふむ。やはり教主のようだが・・・それにしても・・・

 

「貴方方と良く似た女性を夢で見ました。あれは予知夢なのかどうかわかりませんが、ここでこうして出会えるということはきっと何か意味のある・・・運命的なものなのでしょうね。・・・ん、お二人とも、口元に食べ物の欠片がついてますよ。とてもかわいらしいですが、折角可愛いのですから身だしなみには気を付けてください」

「そうか」

「えっ、えっと、あの、はい・・・」

「おや、こちらの貴方も夢で見た女性に似てますね。なぜ椅子になってるんですか?折角綺麗な顔立ちでスタイルもよろしいのに体を痛めますよ」

「あたしはいいのよ。好きで椅子になって・・・ハァハァ」

 

・・・もしかしてこいつ・・・

 

「おや・・・貴方は」

男がシュラのほうへと視線を向ける

「・・・俺も夢で見たのか?」

「夢で見ましたが、やはり綺麗な顔立ちとどこか気品を感じさせています。清廉そのものとは言い難いですが、どこか純真な部分も感じさせますね。あぁ、貴方も口元についてますよ。ほら、お気をつけてください」

「っ、な、触んな!!」

 

そんなことをしていると、扉から顔を赤らめた兵士たちが現れた。

「あ、あの、ここにいましたか」

「謁見の間はこちらですよ」

「あぁ、そうでしたか・・・すみません。わざわざお手を煩わせてしまって。貴方方も大変でしょう?息があがっていますね。少し休まれてはいかがでしょうか。もしも倒れてしまったら不安です。先ほどもお声を掛けて頂いた将軍の方々みなさん、腰が抜けてしまっていたようですし・・・心配です」

 

・・・こいつ、天然たらしだ

いや?ジゴロか?ジゴロなのか?

 

「・・・教主様も、状態異常起こしてますね」

 

ぽつりと漏らした露子の一言に、思わず私もうなずいてしまった・・・

 

 




ロッドバルト「教主様が本編よりも天然たらしになってます。男女共に魅了効果があるようですね」
社員1「確信犯ではなく?」
ロッドバルト「・・・・・・・・・・さぁ?」
社員2「否定しろよおおおおお!!!」
社員3「次は何になるんでしょうか?」
ロッドバルト「また気分待ちですが、なんとも言えませんね」
社員4「どうせならまた外伝とか気になるアルよ」

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