氷雪の魔王と愉快な帝具使い達の話   作:椿リンカ

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ロッドバルト「さぁさぁ後篇ですよ!」
社員1「もうなんか前篇でおなかいっぱいだぜ・・・」
社員2「スズカぱねぇな」
社員4「ドMってすごいアル・・・」
社員3「ですよね・・・そういった性癖の方とはお付き合いが無いので・・・よくわかりませんが、こう、インパクトありますよね」



ドMは地上最強の生物 後篇

「何よ?もうおしまいなの?もっと攻めてちょうだいよ」

 

身体から力の抜けたスズカをベッドに降ろすとつまらなそうにそんなことを言い始めた。なんというか、力が抜けているはずなのに快感を感じているあたり体の構造はどうなってるんだとかツッコミを入れたい。

・・・いや、ツッコミをしても負けるな。よしやめよう。

 

「・・・相変わらずだな」

「・・・スズカさん、変わりませんね」

「その言い方ってもしかして・・・貴方たち、ちゃんと繰り返した世界の記憶とかあるの?」

「まぁな」

「その、はい・・・あります」

「それなら話が早いわ!!!ねぇ、露子!魔王をしてた時みたいにいっぱい攻めてちょうだいよ、お願い。貴方の攻め手っていっぱいあるじゃない!今はどこからどこまでできるのかしら?氷とエネルギードレインは使えるのよね?ほかには何が使えるの?羅刹四鬼の技を模倣していたけれど、あれでせめてくれてもいいのよ?もうなんでもいいから早く責めてちょうだい!」

 

私と露子の呆れた態度も気にせず、もっと攻撃してほしいと露子を見つめて頬を染めて息を荒げている。10歳児相手に欲情している10代後半女子という構図に違和感しかないというか、出来れば見たくない光景である。

あぁ、もうまったく・・・頭が痛くなってきた・・・

 

「ねぇ、ダメかしら?魔王だった期間も長いじゃないの」

「・・・繰り返した記憶が無い人もいるので、そういう人の前では、繰り返したことは秘密にしてください」

「え?」

「・・・魔王だったことは、人前で言わないでください」

 

露子が小さくスズカに呟いた。だがはっきりとした意思を感じる。

それもそうだな。露子は魔王として君臨していた・・・理由にも情状酌量の余地があるが、それでも殺しは殺しだ。ナイトレイドやイェーガーズと変わらない、ただの人殺しである。

 

もしも、記憶が無い者に知られたとしたらかなり印象も悪くなるだろう。

私とて、100%許しているわけではないからな。何度も何度も繰り返されて、何度も仲間を失う辛さも悲しみも味わったんだ。出来ればもう・・・そんなことは経験したくない。

 

しかしスズカは対照的に明るい態度で返答し始めた。

 

「秘密にしてたら、攻めてくれるのかしら?それともバラしたらお仕置きしてくれるの?どちらにせよ最高ね!あぁ、氷で内臓から少しずつ凍らされたり標本みたいな磔もたまらなかったわ・・・あぁでも骨を折られた時の快感もたまらないし、ねぇ、秘密にするからちょっと骨折ってちょうだい。全身なんてわがままは言わないわ!右手の指を一本一本折るだけでいいの!ねぇ!」

 

息を荒げて頬を赤らめながら露子に迫るスズカの姿はまさしく変態、いや、Mの鑑だった。

頼むから少しぐらいシリアスしてくれ、本当に頼むから

今は確実にシリアスをするシーンだっただろう?なんだ、空気が読めないのか?それともあえて読んでないのか?

 

「その・・・もうなるべく、そういうのは・・・」

 

露子も引き気味で答えている。そりゃそうだ。

 

「あらぁ?あなたの魔王としての在り方・・・結構好きなのよ?あの苛烈で禁欲的で、なおかつドSな感じ・・・たまんなかったわよ?」

 

それは褒め言葉になるんだろうか・・・露子ももう一歩引いてしまっている。

しかし、引いている露子とは反対にスズカは頬を赤らめ、妖艶な笑みを浮かべる。女である自分ですら魅了する毒婦のような瞳で露子に熱い視線を送っている姿は本当に変質者そのものだ。

 

「優しくて、甘くて、お人よしで、自分勝手で、自己愛が強くて、小市民で・・・それでも歯を食いしばって帝国全部を幸せにした貴方にこそ、責めてほしいのよ。この世で一番、魔王に相応しい貴方にね。貴方のことが好きなのよ、貴方しか私のことを満足させてくれる相手はいないって思ったの」

 

まるで小説のような台詞を吐き出しながら、心の内を告白する。

一見すれば片思いの相手に告白しているシーンと思えなくもないが、内容がSMプレイの嘆願だからな。世も末である。

 

「愛してるわ、露子。だから私のこと9割殺し程度で責めてちょうだい」

 

前半だけなら同性に対しての告白、後半まで聞くと嘆願・・・いやもう、ここまで来ると新手の脅迫だろう。

 

「・・・」

 

露子の表情を見ると、顔を赤くしたり青くしたり・・・忙しいものだ。

まぁ、一見告白と捉えられるようなものだったからな。ちょっと照れているのもあるんだろう。内容がSMプレイの強要であれ、好かれていることに違いは無い

 

私がそう思っていると、扉が勢いよくブチ破られた

 

「私のほうが露子さんを愛してます!ドMは引っ込んでなさい!責めるなら私ですよね!?」

「俺のほうが露子を愛してる!おい!そんなドMを責めるぐらいなら俺を責めてくれ!」

 

オネスト大臣とチャンプが息を荒げて露子の目の前まで来てそんなことを言い始めた。

扉のほうに視線を移すと、シュテンやスサノオ、アカメにクロメにメズ・・・気が付いたらゴズキとエスデス、シュラまでいた。

 

・・・話を聞いていたのか。どこからどこまで聞いたのか分からないが、少なくともスズカの告白は聞いたのだろう。

 

「あっ・・・ちょっと、ずるいわよ!露子に責めてもらうのは私なんだからね!」

 

スズカもようやく力が入り始めたのか、ゆっくりと起き上がって腕を伸ばして露子をベッドに引き入れる。

 

「あっ!ずるいですよ!?」

「おいてめぇこのカス女!表出ろ!」

 

・・・ドMって簡単に増えるんだなぁ

そう思いながら私はスサノオのところまで歩き、胸元に顔をうずめた

 

「つかれた」

「そうか」

 

あぁ、スサノオは優しいなぁ・・・エスデスやシュラやアカメ達の目の前だろうがもうどうでもいい・・・疲れたよ、スサノオ・・・私、眠くなってきたんだ・・・

 

 

 




社員1「Mが増えた・・・」
社員2「Mは1人いたら30人はいるんだな・・・」
社員3「でもこれスズカさんもフラグなんです?」
社員4「いやこれは違うアル。ただ単にドMなだけアルよ」
ロッドバルト「まぁ、恋愛ではないですね。あくまでもご主人様に対する豚のそれです」
社員1「もっと酷いじゃねーか!」

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