社員2「なんだろうな・・・」
社員3「とりあえず今回は恋愛メイン?」
社員4「誰アル?」
ロッドバルト「それは見てのお楽しみです」
社員1「嫌な予感しかしねぇな・・・」
大人なんて生き物はみんなクソだ。
汚い汚い汚い汚い、自分が大人に近づいていくのも、大人になるのすら耐えれなかった
今の自分もあの汚い大人共と一緒だなんて思いたくなかった
だから子供たちは俺にとっての天使みたいなものだ。
なんて純粋無垢なのだろうか
だから俺はピエロとなって、子供たちが楽しんでくれるように努力した。
手先が器用だったおかげか芸を覚えるのはすんなりといった。
子供は可愛い、子供は天使だ、あぁ、可愛い、可愛い可愛い可愛い
これが大人になるなんて、本当に思いたくもない
どうすれば子供のままいてくれるのだろうか?
ふと、大道芸をしながらそんなことを考えていると、向こうから姉妹がやってくる。可愛らしい黒髪の少女二人。そのあとをもう一人少女がついてくる。
仲良くくっついてるほうの姉妹はとても可愛いらしいし、仲睦まじそうだ。遅れてやってくるほうは姉妹とは少し似てないけれど・・・
ふと、少女が足を止める。メガネと長い前髪に隠された黒と赤のオッドアイが俺のことを見つめている。
おどおどとした、臆病そうな仕草は・・・そう、何かを思い出す
俺も小さい頃はあの大人(カス)共の顔色伺ってこんな感じだった。
「あ、あの、なん、ですか・・・?」
怯えた表情を見るとじりじりと何かがせりあがってくる
このまま裏路地に連れ込んで、あの時の大人(カス)共のように殴りつけたら、あの時の自分のように泣いて謝るのだろうか?顔色を伺って怯えて、それでも抵抗できないまま蹂躙されるのだろうか
「・・・あっ、の・・・」
あぁ、なんて
「ッ!」
小さくか弱い体を引き寄せようとした瞬間、周囲が冷気に覆われた
***
遡ること5分前…
「お姉ちゃん、あっちにピエロさんいるよ!」
「本当だな・・・行ってみるか?」
「うん!」
「ちょっと行ってみましょうか」
アカメとクロメが仲良く歩く姿に微笑みを浮かべる露子。
少し離れて、ナジェンダとエスデスが俺の前を歩いて会話している。
「・・・ループしていた記憶と露子の目的から察するに、露子はもともと普通の人間だったのかもしれない」
「ナジェンダはさすがだな。そこに気が付くとは・・・そう、最初はただの作家だった。が、次から何かが変わった」
「・・・てめぇら、推理ごっこが好きなんだな」
「推理ごっこなんてそんな・・・だが、気になることがあるからな」
「露子が来た時に私やナジェンダに兄弟ができたり、将軍の数も増えただろう?ナイトレイドやイェーガーズにも多くの所属メンバーがいた。しかし今はそれがいない・・・おかしいと思わないのか?」
「おかしいもなにも・・・知るかよ、んなもん」
「しかし今はいないだろう?露子が何か知ってるんじゃないかと踏んでいるんだが・・・」
「私もそれは思ったが、意外と口が堅いからな、あいつは」
「・・・」
ナジェンダとエスデスの会話を聞いて、タツミに殺された時のことを思い返す。
薄れていく意識の中で聞いた会話が断片的に浮かんでいく
・・・知り合いとは言い難いが、お互いに何か繋がりがあった
それしか分からないが、何か・・・そう、あまり良い繋がりとは言い難いのではないか?
「・・・正直、タツミに会いたいのは気になることがあってな」
「好きだからじゃないのか?」
「好きだぞ。だが、露子に会う前と会った後では・・・その、タツミがタツミじゃない気がしたのだ」
「どういう意味なんだ」
「分からん。しかし、繰り返した記憶があるからこそ分かる・・・露子に出会った後のタツミはタツミじゃない」
・・・エスデスとナジェンダの言葉をシュラは頭の中でリフレインする。
・・・タツミがタツミじゃない?
そういえば、俺が露子に出会う前の世界と、露子の目の前で殺されて以降では雰囲気が違っていた。
「・・・おいエスデス」
「なんだ?」
エスデスとナジェンダが二人で俺のほうへ向く
「それについて心当たりが・・・」
「みぎゃああああああああ!!!」
「ッッ!!?」
***
突如聞こえた野太く不気味な悲鳴、午後の昼下がりに似つかわしくない絶叫に思わずその場にいた人々の視線が悲鳴の持ち主が誰かと探し始める。
それはすぐに見つかった・・・と、言うのも、あたり一帯の気温が冷え込んだと同時に・・・巨漢のピエロの周辺を氷が覆っていたのだ。
「・・・おい、あれって」
「ワイルドハントの・・・」
「・・・チャンプのやつ、帝都入りしてたのかよ」
一同は見知った人物であるチャンプから、露子に視線を移す
どうやら彼女の【氷雪】を使ったらしい。なぜかは分からないが、少なくとも彼女が力を使わざる得ないことでもチャンプがしたのだろう
「どうした露子、尻でも触られたのか?」
「露子!あのピエロに犯されそうになったのか!?」
「・・・先生さんよ、あとであいつは殴っておくから、殺しはするなよ」
3人は露子に声を掛けるものの、彼女は少し呼吸を荒くしてこちらを見ようとしない
いつものように気弱そうな、臆病そうな態度で接する余裕が無いらしい
「露子、大丈夫か?」
「露子お姉ちゃん・・・?」
アカメとクロメも心配そうに顔を覗き込む。我に返ったのか、露子はアカメ達に「だいじょうぶ、です、ちょっと、おもいだした、だけなので、つい」と苦しそうに答える。
何を思い出したのかと考えると・・・ナジェンダとエスデスはチャンプを一見してからシュラを睨みつける。
「・・・なんだよ」
「あのピエロに関係あると言えば、お前だな」
「確かワイルドハントは露子を蹂躙したことがあるらしいな」
「・・・繰り返した時の話だろうが。今は何もしてねぇよ」
「そういう拷問や凌辱の傷は存外残りやすい。露子もあまり表には出さないが実際は私のことすら怖がっているぞ」
「いやエスデス、お前は確かに怖・・・いや、なんでもない。とにかく、女というのはそういうことは傷に残りやすい」
「ただ単にサンドバッグやら拷問したぐらいでやかましいんだよ。それに前の話なんだからチャラにしろよ」
「・・・まったく、性格が悪いままだな貴様は」
「(エスデスも変わりないままだから、お互い様だと思うのだが・・・)」
そんな彼らのやりとりを横目に露子はチャンプのもとへと歩いて行く
「あ、あの・・・」
「ひィッ!?」
あからさまに怯える姿に露子は半歩下がってしまう。それもそうだろう・・・いきなり氷で辺りを覆うような能力がある子供なんて、傍目から見ればただの化け物だ。少し様子を伺えば、帝都の住民も恐る恐る見ているようだ。
「ご、ごめん、なさい。ちょっと驚いて、その、私・・・周りを凍らせたりしちゃう力があって。あ、あの!でも、手袋付けてたら凍りません。チャ・・・ぴ、ピエロさん、立てれますか?」
「えっ?あー・・・いや、その、だ、大丈夫だ」
「・・・ごめん、なさい。ごめんなさい、本当にごめんなさい」
「そ、そんなに謝らなくても」
露子があまりにも丁寧に謝る姿に思わずチャンプのほうが委縮してしまう。いや、彼女の能力を知っているからこそ、彼女の様子を伺っているのだろう。
「・・・ただ、ちょっと、手を引こうとしただけなんですよね?」
「えっ・・・あー、うんそうそう。手を引こうとしてね」
「・・・ごめんなさい、怖がらせて、すみません。一歩間違えたら、怪我してたかもしれないのに。本当にごめんなさい。もしも氷の中に閉じ込められてるようなことになってたら、それこそ・・・ごめん、なさい・・・」
「いや、えーと、お嬢ちゃんを驚かせた俺が悪いから、泣かなくても」
「それでも、誰かに痛いことするのはもうやりたくないんです。誰だって、痛いことなんて嫌なのに」
「・・・」
そのままもう一度謝罪して、顔を上げて目線を合わせる露子。
しかしチャンプは少しばかり惚けた顔のまま硬直している
「・・・」
「あ、あの・・・その、お怪我とか、ないですか?」
「・・・天使だ」
「え?」
「いや天使じゃねぇ!女神だ女神!」
「えっ」
チャンプの勢いに、露子が一歩、いや更に下がる。先ほどまでの謝罪ムードも吹っ飛んで、ちょっと引いているようだ。しかしチャンプは彼女に突進するかのごとく近寄って両肩を肉厚な手で包み込む。
「お嬢ちゃん、おじさんとラブラブな結婚式をあげないか」
その瞬間、ナジェンダの飛び蹴りがチャンプの頭にクリーンヒットした。
「・・・私、なんでこうなるんですかね」
ぼそりと露子が一言つぶやく
「・・・アイスぐらいならおごってやるぜ?」
「私は団子でもおごってやろう」
その様子に思わずシュラとエスデスは露子を労わる心を見せた。しかし普段はゲスやらドSな彼らの優しさが逆に痛いと感じる露子であった。
社員1「露子はなんなんだ、ろくでもねぇ男しか引っかからないのか」
ロッドバルト「誰にでも優しいからですよ」
社員2「・・・誰にでも良い顔をするから、が正しいんだろ」
ロッドバルト「おや、よくお分かりで」
社員2「それぐらいは察するわ」
社員3「まぁ、これでランさんの生徒たちの死亡フラグはボッキリ折れましたね。代わりに恋愛フラグが立ちましたが」
社員4「ろくでもねぇ恋愛フラグばっかりアルよ」
ロッドバルト「世界のロリショタのために露子さんが身を犠牲にしました(笑)」