あれは嘘だ
12月31日
1年の終わり、次の年を祝う日である今日はアラガミの脅威を忘れお祭りのような雰囲気が外部居住区を包んでいる。
それは常に最前線に立ちアラガミの脅威から人類を守るゴッドイーターたちも同じであった。
「それじゃあ、今年1年を戦い抜いたことを祝して、カンパーイ!」
「「「カンパーイ!!!」」」
極東支部エントランスでは藤木コウタの言葉でパーティーが開始されていた。
普段の少し質素な食事ではなく清掃員のおばちゃんや居住区に住む人たちが有志で集まり作ってくれた豪華な料理がテーブル一杯に広がってる。
未成年が多いため酒類は少ないがそれでも上等な物が揃っている。
生き残れたことへの喜びに泣く者、必死に意中の相手を口説く者、一発芸を披露し合う者、静かに酒を飲みながら馬鹿騒ぎを見つめる者、料理に夢中な者と様々だ。
しかし、よく見れば明らかに人じゃないのが混じっている。
サリエルとシユウだ。
この二人はこのパーティーに誘われているため特に問題はないのだが、馴染めずにいた。
周りがゴッドイーターだらけなのもそうだが、ここにいるほとんどのゴッドイーターとはあまり面識がないのだ。
あったとしてもコウタたちの第1部隊か防衛班くらいなのだが、第1部隊のメンバーはあっちこっちに引っ張りだこで防衛班の方はタツミはヒバリのことで夢中であり、ブレンダンとはそこまで話す仲でもなく、シュンとカレルはそもそも馬が合わない。カノンは間違って酒を飲んでしまい裏人格が現れ近づけず、ジーナは一人で飲むといって辞退した。
取り付く島が無いとはまさにこのことである。
「積極的に関わろうとしなかった私たちにも問題があるとはいえ、暇だなぁ」
「どうにも避けられてるみたいだしねぇ」
「そりゃ、アラガミの私たちと仲良くなりたいなんて物好きはそういませんよ。姐さん」
「私は特に避けられてるような気がするんだけど・・・」
「き、気のせいですよ、姐さん(姐さんの戦闘を間近で見たら避けたくもなりますよ・・・)」
実際、救援に向かうことが多いシユウは防衛を任せられているサリエルよりもゴッドイーターと接する機会が多いのだが、チートくさい戦闘能力を持つシユウを見たら誰だって避けたくなる。
具体的には世紀末バスケしたり、ジョインジョインしたり、トベウリャしたり、か○は○波したりするのだから仕方ないといえば仕方ない。
ちなみに二人とも元の大きさではエントランスに入れないので人間サイズまで体を小さくしている。
「あ、そうだ。今度武器を使った戦い方がしたいから練習に付き合ってくれない?」
「いや、近接の練習は私じゃなくて大佐(ザイゴート)とやってください。私だとまたワンサイドゲームになりますよ」
「ぐぬぬ、飛び道具が豊富だからって生意気な・・・。アンタも近接の練習したらどう?」
「私はコウタからバレットについて学んでる途中なので興味ないです」
そんなことを話しているとコウタがやってきた。
どうやら先輩ゴッドイーターに無理やり酒を飲まされたようで頬が赤く、どこか眠たげだ。
「よぉ、楽しんでるかぁ?」
「コウタ、大丈夫?今にも眠りに落ちそうな顔してるけど」
「先輩たちに酒を飲ませられたんだよ。酔ってるわけじゃないから安心しろ」
「ああ、私ちょっと席外すからごゆっくり~」
「ちょっ、待ってください、姐さん!」
サリエルの言葉を無視しつつシユウはエントランスから出て行った。・・・こっそりとコウタに盗聴器を仕掛けて。
「あんま他のみんなと混じってないけどどうかしたのか」
「いや、あまり面識がない人が多いからどう接すればいいか分からないだけ」
「う~ん、それならいいけど何かあったら遠慮なく俺に言えよな」
「はいはい、お気遣いありがとう」
たわいのない会話だが、先ほどよりもサリエルの顔に笑顔が増えてきたようだ。
コウタもサリエルと話すのが楽しいのかこちらも笑顔で会話を楽しんでいる。
端から見たらただのカップルだ。
しかも、どちらも近くにあった酒を飲んでしまったせいで酔っ払い熱っぽくなってきている。
なんでアラガミであるサリエルが酔っ払うのかというとアルコールに慣れていないためである。
「コウタはさぁ、私に構い過ぎだよぉ。もう少し人間の女の人と話したらぁ?」
「俺はサリエルのことが好きだからいいの」
「おお、コウタありがとう。私もコウタのこと好きぃ」
「「あはははは・・・・zzz」」
翌日の1月1日
サリエルとコウタが抱き合った状態で寝ている写真と出所不明の会話テープが原因でコウタはゴッドイーターたちや職員の人たちからおめでとうコールをされ、サリエルは近所の人々から子育ての基本や彼氏の躾け方に教えられた。
話題の中心の二人は昨日のことをよく覚えていないため、首を傾げるのだった。
これがとある支部長とアラガミの暗躍の序章に過ぎないことを二人はまだ知らなかった。
外堀は確実に埋められてきている、その事実に・・・
つづく?
もっといちゃいちゃさせたいけど恋愛描写がむずい
とりあえず、書いていて思ったこと
コウタ末永く爆発して、どうぞ