超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION 作:投稿参謀
ブロウルの話が時間がかかりそうなので、ちょっと息抜きに書いてみた。
こういうなんちゃって神話的なもんを考えるのは、すごく楽しかったり。(成功したかは別)
短いのでまあ、気楽にどうぞ。
伝説……それは、遠く過ぎ去った昔日の記憶。
曖昧な口伝や欠損した文書に想像力をかきたてられた者たちが創り上げた幻想。
それでも、失われた過去を偲ぶ助けにはなる。
儂の名はアルファトライオン。
これから儂が語るのは、我が惑星サイバトロンに伝わる、ある兄弟たちにまつわる物語だ。
もし、君が少しでも興味を持ったのなら、足を止めて聞いて欲しい。
過去とは未来へ向かうための大切な指標なのだから。
* * *
まずはサイバトロンの成り立ちについて語ろう。
サイバトロンは最初、虚空に浮かぶ石と土の塊に過ぎなかった。
星の上に生命は無く、サイバトロンは只々、幸運の到来を待っていた。
やがて、その時はやってきた。
オールスパークが空より舞い降りたのだ。
それが何処から来たのか、何のために現れたのかは諸説あり、ある者は善なる神の意思であると言い、またある者は単なる偶然に過ぎぬと言うが、未だ明確な答えは出ていない。
確かなことは、オールスパークの力により、サイバトロニアンは誕生したということだ。
オールスパークが最初に産み落とした、十三の金属生命体。後の世では、これを指して、『最初の十三人』あるいは『プライム王朝』と呼ぶ……。
生まれてすぐは、十三人は皆同じような姿をしていたが、オールスパークは子供たちに啓示を与えた。
『己の思う姿に
こうして、兄弟はそれぞれが己の好みの姿へとアップグレードしていった。
ある者は自らの肉体と精神を五つに分けた。
ある者は一つの体に五つの顔を宿した。
ある者は『女性』となった。
ある者は有機生命体の要素を取り込み、獣を模した。
だが、たった一人、この啓示に逆らった者がいた。
メガトロナス。
そう呼ばれる十二番目の兄弟は、オールスパークから拝領した自らの姿に誇りを持っていた。
オールスパークは、それもまた彼の選択であるとしてこれを許した。
それぞれの兄弟は、オールスパークの力を借りて、自らの眷属となる種族を生み出していった。
これが、現在のサイバトロニアンの原型であるとされる。
十三人の長兄プライマには、オールスパークより特別の贈り物がもたらされた。
『リーダーのマトリクス』
叡智の集合体にして、闇に光を照らす至宝である。
十三人のプライムによる統治は長く続き、平和と繁栄は永遠の物であると多くの者たちが考えていた……。
やがて、星そのもののエネルギーが少なくなっていることに気が付くまでは。
* * *
兄弟たちは、すぐにエネルギーを補填する方法を模索し始めた。
最初は宇宙の彼方、光り輝く星々からエネルギーを取り出す方法が取られた。
だがオールスパークより、二度目の啓示があった。
『他者を犠牲にする方法を取ってはならぬ。子供たちよ、今は時を待て』
十三人はこれに納得したが、メガトロナスだけは、この啓示に不満を持っていた。
それでも、他の兄弟に説得されてその場は啓示に従った。
……あくまでも、その場は。
しかし、啓示の内容は兄弟たちに波紋をもたらした。
時を待てとは、どういう意味なのか?
やがて兄弟たちは『世界の外』に答えを見出そうとした。
異なる次元へと接続する方法を見つけたのだ。
そこには豊かなエネルギーと原始的な有機生命体に溢れた世界が広がっていた。
仮にこの世界を、ハイパーユニバースと呼ぼう。
それを見たメガトロナスが言った。この世界を支配し、エネルギーと労働力を得よう、と。
兄弟たちはこの申し出を受け入れることはなかった。
ハイパーユニバースの有機種族は野蛮で未熟ではあったが、限りない可能性に満ちていたからだ。
メガトロナスは、兄弟たちの言葉に従ったように見えた。
だが、その内心には……いや、やめよう。
彼が何を考えていたのかは、もう分からないのだから。
……とにかく、メガトロナスは兄弟たちに隠れて行動を開始した。
注意深くハイパーユニバースを観察したメガトロナスは、ある一人の女性に目を付けた。
孤独で、貧しく、弱々しい、常に飢えと他者に怯え、しかし自分に秘められた偉大な可能性に気付いていない、そんな女性だ。
彼女に接触し巧みに誑かしたメガトロナスは、彼女を国の指導者に仕立て上げた。
その女性の統治の下、国は大いに栄え、世界中に版図を広げていった。
そしてその国から有機生命体たちが、その価値を知らない資源をメガトロナスは女性の影に隠れて搾取していたのだ。
だが、やがて女性は増長し、自らに逆らう者を弾圧するようになっていった。
そして、ついに反旗を翻した国民によって討ち取られ、国は亡ぶに至った。
この女性に破滅に繋がる傲慢さや強欲さが無かったとは言わない。だが、メガトロナスによって運命を捻じ曲げられたのは事実である。
国の滅亡が、メガトロナスの思惑の内だったのかは定かではないが、これをきっかけにメガトロナスの所業は他の兄弟たちの目に留まることになった。
兄弟たちはメガトロナスを説得しようとしたが、今度は、メガトロナスは兄弟の言葉に耳を貸そうとしなかった。
メガトロナスは、特に強く反対した兄弟の一人、ソラスを殺害して逃走。
賛同者を集い、ここに『ディセプティコン』が誕生したのである。
対するプライム王朝も、自衛のために『オートボット』を組織、争いが始まった。
戦いは熾烈を極めた。
この世界の住人たちや、この世界で生まれた騎士たち、ディセプティコンのやり方についていけず離反した者たちも加わった、この大戦争の果てメガトロナスは追放された。
これ以降、メガトロナスはその名を剥奪され、こう呼ばれることとなった。
『
しかし、勝利は多大な犠牲の上に成り立つ物だった。
サイバトロンを創り上げた『最初の十三人』は、その最後の一人を残して死に絶えたのである。
そして最後の一人は、本来次代に受け継がれるべき『リーダーのマトリクス』を盗んで姿をくらまし、その後歴史に現れることはなかった……。
この最後の一人の名はいかなる情報媒体にも記されておらず、また彼がどうなったのか知る者はいない。
ただ、もし彼が何処かで生きているとすれば、果てしない後悔と懊悩に苛まれていることだろう。
それが兄弟を見捨てて逃げた臆病者に相応しい、永遠に続く罰なのだ……。
* * *
こうして、プライム王朝の時代は終わりを告げた。
滅んだ王朝に代わり、プライムのCNAを持つ者の中から『プライム』と呼ばれる指導者が選ばれることとなった。
ここからは、歴代のプライムを簡単に記す。
ノヴァ・プライム
偉大なる冒険家にして開拓者、そして征服者。
多くの星を開拓し、サイバトロンに黄金時代をもたらした。
最後は宇宙探索に出かけ、二度と戻ることはなかった……。
彼がどこに消えたかは、宇宙の闇の中だ。
ガーディアン・プライム
有志を募って評議会を発足した、民主制の父。
演説の最中に一発の銃弾によって倒れるが、その犯人は今も分かっていない。
しかし、これをディセプティコンの仕業と考える者は多い。
ゼータ・プライム
激化するディセプティコンとの戦いに人生を費やした。
実直な好人物だったが、評議会の腐敗を止めることができなかった。
戦いの中で名誉の死を遂げるも、彼の傷は後ろから撃たれてできたものだった。つまり……?
センチネル・プライム
天才的な科学者であり、一級の戦士であり、思想家でもあった万能人。
今日日に置いては、オプティマスとメガトロンの師としても知られる。
戦争の中、重要な任務のためサイバトロンを離れるも、行方不明になった。
そして、オプティマス・プライム
今代のプライム。
そして、儂の息子。
その謎めいた出生と彼に課せられた使命は、周囲が、そして本人が思っている以上に重要で複雑な物だ。
私心になるが、儂は彼の未来に安らぎがあることをオールスパークに祈らずにはいられない。
* * *
過去は現在へ、そして未来へと続いていく。
この物語から何を読み取るかは、人それぞれだ。
老いた我が身にできることは、こうして過去を語ることくらいだが、それが今代の者たちが未来を造るせめてもの助けになればと思っている。
では、またいつか、物語の中で会おう。
いざ、おさらば……。
今回の解説
啓示をくれるオールスパーク
実写では、意識持ってるのか持ってないのか曖昧なオールスパークだけど、ここでは持ってる設定で。
最初の十三人、プライム王朝
プロトフォームだとリベンジに出てきた姿だけど、オールスパークから「もう少し個性を持ってね」とお達しがあったので、個性的な姿になりました。
だけど、メガトロナスだけ「俺はこの格好が好きなんだ!」とプロトフォームのまま。
ハイパーユニバース
捻りもなんもない。
メガトロナスに誑かされた女性
……ええ、答はいずれ。
マトリクスを持って逃げた十三人最後の一人
兄弟最後の生き残り。
マトリクスは彼の手に。
歴代プライム
名前は、2010でロディマスがマトリクスの中で見た、歴代のサイバトロンリーダーより。
ノヴァ、行方不明。
ガーディアン、暗殺。
ゼータ、戦死だが……。
センチネル、行方不明(?)
と全員不審死を遂げている。
では、ご意見、ご感想、お待ちしております。