超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION 作:投稿参謀
短いです。
「それでは、みんな無事に再会できたことを祝して! カンパーイ!!」
『カンパーイ!』
ネプテューヌの音頭に、一同は手に持ったグラスを掲げる。
ついにゲイムギョウ界へと帰還した女神とオートボット。
彼ら、彼女らは姉妹や仲間たちとの再会を喜び、これを記念してプラネタワー前庭にて、ささやかながらパーティーが開かれることとなったのだった。
各国の女神と女神候補生、ほとんど全員のオートボットが集合している。もちろんアイエフとコンパもいっしょだ。
「それにしても驚いたわ。ネプ子たち急にいなくなっちゃうんだもの」
「と~っても、心配したんですよ~」
二人はさっそく、親友である自国の女神と話し込んでいた。
「いやー、ごめんごめん! でもほら、わたしたちが留守の間は候補生のみんなやぷるるんが頑張ってくれてたみたいだし、結果オーライ!」
「はあッ……、まったくアンタって娘は……」
悪びれずに笑うネプテューヌに、アイエフは頭痛を覚えたかのようにコメカミを押さえ、コンパは苦笑する。
「私たちが国を治めてはみたけど、やっぱりなかなか上手くいかなかったよ」
「大変だったんだよ~」
ネプギアとプルルートが笑顔で言う。
そうは言うものの、実際のところネプギアたち候補生は随分と頑張った。おかげで各国のシェアは女神不在という緊急事態にもかかわらず、ほとんど減少していない。
イストワールも自分サイズのグラスを揺らしながら微笑む。
「いえいえ、皆さんはとても頑張っていましたよ」
もちろん、各教祖をはじめとした周囲のサポートがあればこそであるが、真面目に働くネプギアを見てイストワールがこの期にいっそ世代交代してもらおうかと考えたのは、ここだけの話し。
「ねぷてぬー!」
と、どこからかピーシェが突撃してきた。
「お、ぴーこ!」
久し振りということもあり、ピーシェを受け止めて抱きしめてやろうとするネプテューヌ。
だがピーシェはそのままスピードをつけてタックルをしかけてきた。
「ぴぃたーっくる!」
「え、ちょ!? ねぷおおお!?」
止める間もなく、スピードが十分に乗り角度も完璧な体当たりがネプテューヌに炸裂した。
「きゃははは!」
「う、う~ん、さすがはぴーこ……。相変わらずの破壊力……」
倒れた自分の腹の上に跨って無邪気に笑うピーシェに、ネプテューヌは呻きつつも笑顔になる。
そんないつものやり取りをする二人に周囲も苦笑混じりながらも微笑むのだった。
「ユニ、あなたも頑張ったみたいね。偉かったわよ」
「えへへ」
ノワールは妹の頭を撫でてやりながら、素直に褒める。
それからちょっと真面目な顔になった。
「ねえユニ? あなた、お母さんって欲しくないかしら?」
「え? な、何、お姉ちゃん? 話が唐突過ぎてわからないよ」
「ん、まあそうよね。後でゆっくり説明してあげる」
突然に姉の問いに、目を白黒させるユニ。
そんなユニに、ノワールは優しく微笑みかけるのだった。
「ふふ~ん! わたしたちはお姉ちゃんがいなくたって、うまくやってたんだからね!」
「……ミナからは、『うわ~ん、お姉ちゃん帰ってきてよ~!』って泣いてしまったと聞いたのだけど?」
「そ、それは……、し、しょうがないじゃない、さみしかったんだもん……」
ブランに対して胸を張ってみたものの、逆にからかわれてモニョモニョと口ごもるラム。
「うん、わたしたち、さみしかったんだよ」
「……ふふふ、ロムは素直で良い子ね」
一方のロムは、素直に姉に抱きつき甘える。
それを見て、ちょっと複雑そうな顔をするラムだったが、ブランに手招きされて抱き締めてもらうのだった。
「あらあら、皆さんは妹がいていいですわね」
少し離れた所では、ベールがグラスを傾けながらじゃれ合う姉妹たちを眺めていた。
そして良いことを思いついたとばかりに、脇に立つ教祖補佐アリスに笑いかける。
「そうですわ、アリスちゃん! せっかくですから、私たちも仲良くいたしましょう!」
しかしアリスは、自国の女神に似て形のいい眉根を不機嫌そうに吊り上げる。
「……それよりもですね、ベール様。お聞きしたいことがあるのですが」
「あら? 何かしら?」
たおやかに首を傾げるベールに、アリスは一気にボルテージを上げる。
「何で、ベール様の不在時に私がベール様の仕事を受け持つことになってんですか!!」
「あら、そのことですの」
なーんだ、とばかりにベールはマイペースな笑みを浮かべる。
「ほら、リーンボックスには女神候補生がおりませんでしょう? ですから、こういうときのための緊急マニュアルをジャズやチカといっしょに作成しておいたのですわ」
「それは分かってます! 問題は何で、その緊急マニュアルに私がベール様の仕事をするって書いてあるかです! 普通ああいうのはチカ様の仕事でしょう! これじゃ私が女神候補生みたいじゃないですか!!」
なまじ造形が整っているだけに中々の迫力で怒るアリス。
だが、ベールは動じずにニコニコと微笑むばかりだ。
「あら、結構好評でしたと聞きましたわよ? 巷では、さっそくアリスちゃんのファンクラブもできたそうですわ」
「いりませんよ、そんなもん!」
本気で怒るアリス。
この数日というもの、普段ベールが何気なくこなしている仕事が、いかに激務であるかを思い知ることとなった。
チカに手伝ってもらって何とかこなせたものの、おかげで女神不在という千載一遇の好機にも関わらず碌な行動が取れなかったのだ。
――これじゃ何のために潜入してるんだか、わかりゃしない!
内心で愚痴りつつイライラと唇を噛むアリスに対し、ベールは穏やかに笑むのみだった。
「とりあえず、皆変わりないようで何よりだ」
「『司令官も』『ご無事なようで』『よかったです』」
そんな女神と仲間たちを見つつオプティマスはオイルを飲み、バンブルビーがエネルゴンを齧る。
オートボットたちには彼らサイズの机が用意され、その上にはオイルとエネルゴン、金属片が置かれている。トランスフォーマーにとってのご馳走だ。
「しかし、まさかサイバトロンに跳ばされちまうとはな……。世の中何が起こるか分かったもんじゃないぜ」
アイアンハイドは鉄片を肴にオイルを煽りながら言う。
「しかし、久し振りにクロミアとイチャつけたんだろう? よかったじゃないか」
横に立つサイドスワイプがからかうような声を出した。
アイアンハイドは無言で弟子の頭を小突くのだった。
「そういやさ、オプティマス何かあったのか?」
「ああ、ちょっと雰囲気変わった気がする」
エネルゴンを奪い合っていたスキッズとマッドフラップは気になったことを師であるミラージュに問う。
「さてな」
「え~!? 何だよそれ~?」
「答えになってねえよ~!」
壁にもたれかかるミラージュはそっけなく答えた。
師の答えになっていない答えに双子がブーブーと文句を言ってくるが、ミラージュはまったく気にせずにいた。
「それで? 実際何があったんだ?」
双子の疑問をジャズが引き継ぐ。
彼もまた、古くからの友人の様子が気になっていた。何と言うか、感じが柔らかくなった気がする。
ジャズやアイアンハイド、ラチェットらの知る、しかし久しく見ていない『素』のオプティマスに少しだけ近くなったようだ。
メガトロンと戦って撃退したらしいことまでは聞いたが、そこから先は聞かせてもらえなかった。
「ああ、まあ、ちょっとな」
照れくさげに笑うオプティマスを見て、ジャズはふと遥か昔のサイバトロンでの日々を思い出していた。
あのころのオプティマスはよく、こんなふうに笑っていたものだ。
そして同時に、オプティマスの視線が妹や友人たちと談笑しているネプテューヌに吸い寄せられているのも、ジャズは目ざとく察していた。
――これは聞くのは野暮かね。
そう思い、話しを打ち切ろうとしたジャズだったが、次のオプティマスの言葉に仰天することになる。
「ただそうだな。私とネプテューヌは『合体』したんだ」
ガシャーン、と何かが割れる音が響いた。
オプティマスが驚いてそちらを向けば、いつの間にかバンブルビーの近くに来ていたネプギアが、手に持っていたグラスを落としたらしい。
「おおお、お姉ちゃんとオプティマスさんが、ががが、『合体』……!?」
何やらショックを受けた様子で口元を押さえるネプギア。
オプティマスはメカ好きな彼女のこと、合体という単語に反応したのだろうかと考えたが、すぐにそうではないと気が付いた。
「ネプギア? いったいどうし……」
「お姉ちゃんが、お姉ちゃんが! 大人の階段を登っちゃったあああぁ!!」
轟く絶叫に、周りのメンツが何事かと注目する。
「お姉ちゃんの純潔が散らされちゃったよおおお!!」
「おいおいおい! 誤解を招くようなことを言うなって」
「『ちょ、おま!』『おちけつ!』」
明らかに誤解しているネプギアをジャズとバンブルビーがなだめようとするが、彼女は止まらない。
「ふむ、どうやらアルコールを摂取したことによる酩酊状態だね。ジュースと間違えて酒を飲んでしまったようだ。まあ急性アルコール中毒とかにはなっていないようだから、しばらくすれば元にもどるだろう」
諾々と涙を流すネプギアをスキャンしたラチェットが、呆れたように排気しながら言った。
さらに混乱は周囲に伝播していく。
「ちょっと、ネプテューヌ! どういうことなの!」
困惑したノワールがネプテューヌに詰め寄ると、紫の女神は恥ずかしげに頬を染めた。
「どういうことって、あの、その、告白されちゃって……」
『告白~!?』
絶叫する一同。特に女神たち。
そりゃ、皆で発破をかけたりはしたが、ここまでの急展開を迎えていたとは!
「それで! あなたは何て答えたの!?」
「う、うん、えっと、その、わ、わたしも好きだよって……」
顔を真っ赤にしてオズオズと言うネプテューヌ。
この、ネプテューヌらしくもない乙女な反応。いつもの悪乗りではないだろう。
つまり、オプティマスとネプテューヌは種族の差を超えて恋人同士になったということだ。
それ自体は非常にめでたい。めでたいのだが……。
「ででで、でも合体っていきなりそんな、物事には色々と段階とか順序ってものが!」
こっちもかなり混乱しているノワール。
「いや、ちょっと待ちなさいよ。オプティマスとネプ子が合体って……、物理的に不可能でしょうが!」
思わずアイエフがツッコむ。あたりまえだ。
ちなみにオプティマスは身長9m前後、ネプテューヌは身長146㎝体重37㎏。
体格が違いすぎる上にそもそも金属生命体と有機生命体、そういう意味での合体なんか不可能である。
「い、いやそれができちゃったんだよ、これが……」
ネプテューヌはみんなが騒ぐ『合体』の意味が理解できておらず、正直に言ってしまう。
「だ、大丈夫だったですか!? は、初めては痛いって言いますよ!」
「う、うん。むしろ暖かくて、フワフワして、気持ちよかったかなー」
動転するコンパの問いに、そのときのこと思い出したのか、自分の頬に手を当てながら幸せそうに笑むネプテューヌ。
「あ、あの、ネプテューヌが『女』の顔を!」
驚くポイントがおかしいベール。
「そ、そっか……、できちゃうんだ……」
顔を赤らめつつも、興味津々といった様子のユニ。
「ねえ、みんなどうして驚いてるの?」
「分からない……」
幼さゆえによく分かってない、ラムとロム。
「あなたたちには、まだ早いわ……」
そんな二人にどう答えたものか悩むブラン。
「ネプテューヌさんが、告白から合体!? こ、こんなことが国民に知れたら……。でもオプティマスさんなら受け入れてもらえる気も……」
頭を抱えているイストワール。
「ほえ~、すごいね~、おめでと~う」
「ねぷてぬ! おぷちー! おめでとう!」
分かっているのか、いないのか、素直にオプティマスとネプテューヌを祝福するプルルートとピーシェ。
「うえええん! お姉ちゃんが傷物にぃいいい!」
本格的に酔っぱらっているらしく泣きじゃくるネプギア。
ああ、まさに
オプティマスは、自分の一言が招いた大惨事を茫然と見ていた。
彼としては波風の立たなそうな部分を言ったつもりだったのだが、ご覧の有様である。
「あちゃー……」
「……やれやれ」
大騒ぎする周りをよそにネプテューヌとオプティマスは視線を合わせて苦笑し合う。
この後、一同の誤解を解いて騒ぎを鎮静化するのに中々の時間を用いることとなったのは言うまでもない。
その後も周りから弄られたり、恋バナに花を咲かせることになるのも、また道理である。
宴は騒々しくも賑やかで、プラネテューヌの夜は楽しく更けていくのだった。
なんかネプテューヌって、いざ恋とかするとすごい乙女になりそうなイメージがあります。(しばらくすると慣れていつもの調子に戻りそうだけど)
今週と先週のTFA。
ドリフト再登場、そして居座り決定!
やっぱり侍というかSAMURAIですね。
アドベンチャーのドリフトは、元ディセプティコンなんでしょうか?
何で他の奴らを差し置いてカエルが玩具化するんだろう?
そして翌週には、すっかり馴染んでるドリフトと弟子たち。
グランドブリッジ使うのは久しぶりですね。
グリムロックが安定の良い子。さすが萌えキャラ担当。
しかし、オオウ……フィクシットォ(の同型多数)……。
では次回は、ディセプティコン側のエピローグ。
レイの胸中とは?
基地でメガトロンたちを待ち受ける者とは?
そして明かされる、メガトロンとレイの間の衝撃の真実とは!?