超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION   作:投稿参謀

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今回は、息抜き的な話を三つほど。
作者がやりたいことやってみただけなので、どうぞ肩の力を抜いてお楽しみいただければ幸いです。

その前に、前回の感想覧にて、ご不快に思われるだろう傲慢な表現をしてしまいました。
ご気分を害された皆様に、この場を借りてお詫び申し上げます。

※オプティマスの新武器の描写を多くしました。
※新登場のキャラの描写を直しました。


第45話 超短編を三つほど

 ‐part1:無人島と言えば、個人的にこのイベント‐

 

 

 セターン王国改め、ダイノボット・アイランドからディセプティコンを追い払った女神とオートボット。

 迎えの船が来るまでは時間があり皆でノンビリしていた時に、ネプテューヌがこんなことを言い出した。

 

「お風呂入りたーい!」

 

 すでに数日近く、ダイノボットに連れ回されたり戦ったりで、お風呂に入っている暇がなかったのだ。

 女の子にとって、整容は一大事。他の女神たちも体を洗いたいと思っていたのだ。

 もちろん、オートボットたちは困ってしまう。

 だが、姉妹姫の姉、ヴイ・セターンが笑顔で言った。

 

「なら、いい所がある」

 

  *  *  *

 

 所変わってジャングルの中にある泉。

 テメノスソードが岩に刺さっていた、あの滝のある泉である。

 

 そう、女神たちはここで水浴びをしているのだ!!

 

 余計な前置きは抜きにして、彼女たちの水浴びしている姿をとくとご堪能いただこう!!

 

「なるほど、無人島と言えば水浴び! 昔からのお約束だね!」

 

 ネプテューヌが久し振りに体を洗えて、嬉しそうに言う。

 普段元気に動き回っているイメージに反し、彼女の体つきは華奢で、手足は折れてしまいそうなほど細い。

 しかし、胸はまったくないわけではなく、むしろ膨らみかけの蕾と言った風情である。

 さらに彼女自身が自慢にしている尻は丸く白く引き締まった美尻だ。

 羞恥心を感じさせず体を隠さない所が彼女らしい。

 その姿はある種の人種には堪らないものがある。

 

「でも、こんな所で裸になるなんて恥ずかしいかも……」

 

 姉と対照的に、手で体を隠しているネプギア。

 しかし、そのポーズが彼女の美乳を際立たせている。

 体のラインも非常に女性的であり、それでいて清楚な雰囲気を醸し出している。

 大人へと開花しかける少女特有の美しさがそこにはあった。

 地味? 否、正統派だ!

 

「まったくね。確かに水浴びは気持ちいいけど……」

 

 少し顔を赤らめているノワール。

 彼女はトレードマークのツインテールを解いているが、それだけで普段と雰囲気が大きく異なる

 長い黒髪が水に濡れて、形のいい胸やくびれた腰、白く長い足に張り付くさまは実に官能的である。

 なるほど、どこかオカマがストーカーと化し、黒いオートボットが親バカ化するのも当然のことだ。

 

「…………」

 

 恥ずかしいのか無言で水に浸かっているのはブランだ。

 彼女の体は細く薄い。しかし、腰の括れや僅かに膨らんだ胸が女性的なラインを描き、その肌は、まさにルウィーの処女雪のように白くシミ一つない。

 あどけないながらも神秘的。ブランは小っちゃいもの好きなルウィー国民のニーズに完璧に答えていた。

 

「ふふふ、こういうのも、開放的でいいですわね」

 

 ベールは自慢の肢体を惜しげもなく晒して滝に打たれている。

 その巨乳は見事な大きさにも関わらず、形も張りも完璧だ。

 そればかりか、その裸体のどこにも文句のつけようがない。

 それでいて嫌らしい感じより清楚さのほうが際立つ辺り、彼女が国民から慕われるのも納得だ。

 

「ほえ~、みんな綺麗だね~」

 

 プルルートはニコニコと笑っている。

 彼女の体は酷く薄く手足は細いが、ネプテューヌと違って健康的な感じはしない。

 肌の白さも、日に当たらない植物のように、どこか病的な雰囲気がする。

 だが、それが儚くも背徳的な魅力を彼女に与えていた。

 

「わあ! ぷにゅぷにゅー!」

 

 ベールの裸体を見て歓声を上げるのはピーシェだ。

 彼女について語ることは、さすがにはばかられる。

 

「あら、ピーシェちゃん。何がプニュプニュなのかしら?」

 

 屈んでピーシェに目線を合わせるベール。

 そうすることで、彼女の豊満な胸がより強調された。

 ネプテューヌとブランは、思わず己の胸を撫でる。

 

「べるべるのおむね、ぷにゅぷにゅー!」

 

 そんな二人を気にせず、ピーシェは元気よく答えた。

 

「べ……、べるべる……」

 

 何やらショックを受けている様子のベール。

 ひょっとして怒ったのか?

 だが、そうではなかった。

 

「わ、わたくし、あだ名で呼んでもらったの、初めて……」

 

 なんと、ベールは涙ぐんでいる。

 

「え、え? ベールってそう言うのに弱い人?」

 

 戸惑うネプテューヌの声に、ベールは頷く。

 唖然とする一同に構わず、ピーシェは何とベールのたわわな胸に手を伸ばし、これを揉みはじめた!

 

「きゃッ!」

 

「ぷにゅぷにゅ~♪」

 

 揉み心地が気に入ったのか、激しく揉むピーシェ。

 幼子の小さな手で、ムニムニと形を変えるベールの胸。

 何かに気付いたようにハッとなったベールは、急にピーシェを抱きしめた。

 

「むぎゅ!」

 

「いいですわよ~♪ いくらでもプニュプニュしてくださいな♪ そのかわり、わたくしの妹に……」

 

「ストーップ! なにとんでもないこと言い出してんのさ!」

 

 妹への飽くなき執着を見せるベールに、ネプテューヌはツッコまざるをえない。

 

「あら? 胸の大きさは母性の象徴でしてよ。ピーシェちゃんもネプテューヌよりわたくしの胸のほうが気持ちいいですわよね~?」

 

「むうう……」

 

「くッ! 関係ないけどムカつくぜ……!」

 

 胸を強調しつつギュウっとピーシェを抱きしめるベールに、ネプテューヌのみならずブランも顔をしかめる。

 と、ネプテューヌの身体が光に包まれた。

 

「……どうかしら? これなら、私の胸もなかなかの物になったと思うけど?」

 

 光りが晴れると、そこには女神化したネプテューヌが立っていた。

 三つ編みの髪は解かれて、水に濡れて光を反射している。

 

 もちろん、裸である!

 

 その体つきたるや、出るところは出ていながら締まるところは締まり、それでいて輝くばかりの白磁の肌には傷一つなく、神々しさを感じさせる。

 美の一つの極致といってもいいのではなかろうか?

 それが惜しげもなく肢体をさらしているのだから、この場に男でもいたら発情する前に見惚れてかしずいてしまうだろう。

 

「ねぷてぬ?」

 

「そうよぴーこ。さあ、いらっしゃい」

 

 首を傾げるピーシェに笑顔で両腕を広げるネプテューヌ。

 ピーシェは一瞬考えた後、ベールの手の内を飛び出してネプテューヌに飛び付いた。

 

「わーい! ねぷてぬかっこいいー!」

 

「うふふ。ありがとう、ぴーこ」

 

 仲睦まじげにグルグルと回るネプテューヌとピーシェ。

 

「あら、残念……」

 

「お姉ちゃん……。なんだろう、この気持ち……」

 

 それを見て、ちょっと妬ましげな視線を送るベールとネプギア。

 

「あなたたちね……。ちょっと静かにしなさいよ」

 

「まったく、コイツラは……」

 

 呆れ果てた様子のノワールとブラン。

 世は並べてこともなし。

 時間は穏やかに過ぎていった。

 

  *  *  *

 

 そこから少し離れた草むらから、女神たちの水浴びを覗く者たちがいた。

 

「いや、まさかネプテューヌがあんなナイスバディの姉ちゃんになるとはな。眼福、眼福」

 

「へへへ、やっぱり金髪巨乳は最高だぜ!」

 

 皆さんもうお分かりであろう。

 トランスフォーマーの紳士代表、ホィーリーとブレインズである。

 ハアハアと排気も荒く、腰をカクカクと動かす態はまさに変態。

 しかし、そんな変態にも天罰が下る時がきた。

 

「なにしてるのかな~?」

 

 変態二人が突然聞こえた声にギクリとして後ろを振り向くと、そこには案の定プルルートが裸体を隠そうともせずに立っていた。

 顔は、笑顔のままで。

 

「げ!? いや、これは……」

 

「あくまでも学術的興味から!」

 

 言い訳を始めるホィーリーとブレインズだが、もちろんプルルートが聞き入れるわけがない。

 

「言い訳~……」

 

 プルルートの体が光に包まれ、その体が成熟した大人の物へと変わる。

 

「無用よぉ♡」

 

 普段から露出度の高い、恰好に身を包むアイリスハートだが、こうして裸になると、よりその体が肉感的であり、誘惑するが如く妖艶であることが分かる。

 あらゆる男を虜にしてしまうだろう魔性の美しさを女神化したプルルートは持っていた。

 

「うふふ♡ お痛をする悪い子には、オ、シ、オ、キ、よぉ♡」

 

 妖しい笑みを浮かべホィーリーとブレインズに近づいていくプルルート。

 

「「ひぃいいい!」」

 

 覗き魔二人は抱き合ってガタガタと震えるが、なぜかホィーリーは少し興奮しているようだ。

 

 ジャングルに恐ろしい悲鳴と雷鳴が響き渡り、覗き魔の末路を知らしめるのだった……。

 

 そしてホィーリーはこの後、ことあるごとにプルルートに「女神様ぁあああ! どうぞ俺を苛めてくださいいいい!」と迫り、周囲を大いにドン引きさせることになるのだが、それはまた別の話。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ‐part2:武器選びは慎重に‐

 

 

 ダイノボット・アイランドでの戦いで、全ての手持ち武器を失ったオプティマス。

 いい機会なので、彼は自身の武器を見直すことにした。

 近接武器については問題ない。

 修復したエナジーブレードに加え、新たに得たテメノスソードがある。

 特にテメノスソードは、単なる剣とは思えない凄まじい切れ味と頑強さを誇っている。

 調べてみたところ、アダマンハルコン合金なる、超金属で作られた物であることが分かった。

 残るは射撃武器、つまり銃である。

 メガトロン相手には、やはり今までのイオンブラスターだと火力不足であることを痛感したオプティマスは、新たな武器の開発をオートボットが誇る技術者集団レッカーズの武器デザイナー、レッドフットに依頼したのである。

 

 そして今日は、そのテストの日。

 

  *  *  *

 

『それじゃあ、オプティマス。始めるぜ!』

 

 オートボット基地内の実験場。

 ここは何もないだだっ広い空間に、立体映像をかぶせることであらゆる環境を再現できる。

 分かりづらいかたは、ス○ブラXのポケ○ンスタジアムを思い浮かべていただきたい。

 そこにレッドフットの声が響き、オプティマスが頷く。

 

「分かった。始めよう」

 

『よし! まずは、18連大経口ガトリング砲、『スクラップメーカー』だ!!』

 

 オプティマスは台の上に並べられた剣呑な武器の中から、二連装の銃身が特徴的なガトリング砲を装着する。

 

『じゃあ、的を出すから、それを撃ってみな!』

 

 すると現れたのは、なんとメガトロンだ。

 だがこれは練習用の的に立体映像をかぶせた物だ。

 立体映像のメガトロンに向け、容赦なく引き金を引くオプティマス。

 二連装の銃身が回転し、一秒間に200発を超える銃弾が発射され、メガトロンを粉々に粉砕する。

 

『どうだ、オプティマス! なかなかのもんだろう!』

 

「ああ、破壊力については申し分ない。だが、初速が遅いな」

 

 素晴らしい破壊力を示したスクラップメーカーだが、オプティマスのお眼鏡には敵わなかったようだ。

 

  *  *  *

 

『じゃあ次は、取り回し重点! 二丁拳銃『エボニー&アイボリー』だ!』

 

 次にオプティマスが装備したのは、黒と白の拳銃だ。

 拳銃といってもそれなりのサイズがあり、破壊力もありそうだ。

 左右に現れたメガトロン型の的を次々と撃っていくオプティマス。

 何となく、スタイリッシュな感じがする。

 しかし。

 

「少し軽すぎるな」

 

 オプティマスには物足らなかったようだ。

 

  *  *  *

 

『弾幕はパワーだぜ! ということで、広範囲殲滅兵器『インフィニティ』だ!!』

 

 オプティマスは全身にアーマーを装備していた。

 だがそのアーマーは、肩、腕、腰、足、全身のいたるところにミサイル砲が取り付けられている。

 と言うより、アーマーそのものがミサイル砲なのだ。

 ……そしてなぜか、頭にバンダナを巻いていた。

 

『ファイヤー!!』

 

 全身のロケット砲が発射され、全方位に無数に出現した立体映像のディセプティコンを跡形もなく吹き飛ばす。

 無人の野に立つオプティマスは重々しく口を開いた。

 

「……これでは友軍にまで、被害が及びかねないな」

 

  *  *  *

 

『今度はロマン優先! 男のロマン! ロケットパンチだ!』

 

 オプティマスの右腕には今、手甲が装着されていた。

 ただの手甲ではない。非常に大きく、オプティマスの右腕が左に比べ長く太く大きく見える。

 戸惑いながらもオプティマスが右腕を突き出すと、肘のあたりからバーニアが噴射され、まさにロケットのように手甲は飛んで行く。

 そして、その先にいたメガトロン(立体映像)を貫通すると、元の位置に戻ってきた。

 

「…………」

 

 オプティマスは、無言で手甲をはずすのだった。

 

  *  *  *

 

『それならとっておきだ! 携帯式波動砲『R‐TYPE』だ!!』

 

 巨大な砲身を備えた武器を構えるオプティマス。

 その眼前には、ディセプティコンの合体兵士、デバステーターのホログラムがそびえ立っていた。

 今回は基地の外でのテストだ。

 

『波動砲発射用意。エネルギー弁閉鎖。エネルギー充填開始』

 

 レッドフットの声と共に、砲口に凄まじいエネルギーが収束していく。

 

『セイフティーロック、解除。ターゲットスコープ、オープン』

 

 オプティマスの右目を覆うようにターゲットスコープが装着される。

 

『電影クロスゲージ明度20。エネルギー充填120%』

 

 そして、エネルギーが臨界を迎えた。

 

『総員、対ショック、対閃光防御。最終セイフティー、解除』

 

 オプティマスは冷静に狙いをつける。

 

『発射、10秒前、9、8、7、6、5、4、3、2、1……、波動砲、発射!!』

 

 その瞬間、砲口から凄まじいエネルギーの奔流が溢れ出し、デバステーターを容赦なく飲み込む。

 それだけに終わらず凄まじい爆発を起こし、土砂を巻き上げ巨大なクレーターを創り上げた。

 

『ヒャッハー! どうだいオプティマス! このハードさ!!』

 

 何やら興奮した様子のレッドフット。心なしか正気を失っているようにも聞こえる。

 唖然とクレーターを見ていたオプティマスは、しばらくして声を絞り出した。

 

「……レッドフット」

 

『お! これに決めたかい』

 

「もう少しマイルドなのを頼む」

 

  *  *  *

 

 再び訓練場。

 

『う~ん、これでダメとなると……』

 

 中々決まらない武器選びに、レッドフットはどうしたもんかと唸る。

 オプティマスは大きく排気した。

 レッドフットは確かに優秀なのだが、どうにも脱線が過ぎる。

 と、オプティマスは並べられた武器の中の一つに目を止めた。

 

 それは片手持ちのライフルだ。二つの銃口が上下に並んでいるのが特徴的だ。

 

「これは?」

 

『ん? ああ、それか。『レーザーライフル』だな』

 

 オプティマスの問いに、レッドフットはつまらなそうに答えた。

 

『プラネテューヌの光学兵器を参考に作ってみたんだ。ジリオニウムっていう鉱石を核に使ってて、威力はイオンブラスターよりゃ上だな。あと、ラステイションの女神の妹のほうが使ってる銃を参考に、エネルギー弾と実体弾を撃ち分けられるようにした。のまあ、それだけのつまらん武器さ』

 

 しかしオプティマスは、レーザーライフルを手に取る。

 

「……いい感じだ。レッドフット、訓練用ホログラムを出してくれ」

 

 オプティマスに対する返事は言葉ではなく立体映像のメガトロンの出現だった。

 レーザーライフルを構え、連続して撃つオプティマス。

 発射された光線は違わずメガトロンに命中。

 メガトロンは巨体のあちこちを吹き飛ばされる。

 さらにオプティマスは実体弾をその顔面へとお見舞いする。

 破壊大帝のホログラムは、頭部を粉砕されて消えた。

 

「気に入った。これにしよう」

 

『え!? そんなんでいいのか!?』

 

「ああ」

 

 レッドフットが不満げに排気するのが通信越しでも分かった。

 少しだけ苦笑したオプティマスだが、ふと別の要望を口にした。

 

「後は、盾が欲しいな」

 

『盾ぇ?』

 

「ああ、盾だ。頼む」

 

『……分かったよ。とっときのを用意してやる』

 

 あんまり乗り気でなさげながらも、レッドフッドは承諾する。

 

 こうして、オプティマスの新しい武器が決まったのだった。

 

『盾に銃でも付けっかな』

 

「……ほどほどに頼む」

 

 

~~~~~~~~~~~

 

 

 ‐part3:科学参謀の女神考‐

 

 

 ゲイムギョウ界。偉大なるメガトロン様の下、我らディセプティコンが辿り着いた未知なる世界。

 この世界は有機と無機とが混在し、実に論理的ではない。

 反面、いくつかの事象は科学者としての知的好奇心を大いに刺激する。

 この文章は、その事象の一つ、『女神』とその関連事項に対し、私、ディセプティコン科学参謀ショックウェーブの考察を記した物である。

 

 このゲイムギョウ界に置いて、もっとも知的レベルの高いとされる有機生命体、人間。

 その人間を支配するのが、女神である。

 

 女神は国と呼ばれる原始的な社会体制の頂点に君臨し、人間から信仰という形でシェアエナジーを搾取する。(シェアエナジーについては後述)

 そのシェアエナジーで、我々には知覚不能な何らかの方法で自然環境に影響を与え、人間が生存しやすい環境を整える。

 このことから女神と人間はある種の共存関係にあり、また女神とは一種の環境改造、維持のための装置であることがうかがえる。

 一見すると女神は外見、生態としては人間となんら変わらないように見えるが、実態としてはまったく違う生物である。

 まず、彼女たちには一般的な有機生命体にあるような生殖機能は存在しないと推察され、シェアエナジーが一点に集中することで誕生するとされる。

 これが本当なら、女神とは有機生命体と言うよりはエネルギー生命体に近いことになるが、前述のように多分に有機生命体的な特徴を備えており、一概には分類できない。より深い研究が必要であろう。

 

 さて、女神の最大の特徴が状況に合わせて姿を変える能力である。

 女神は非戦闘時に置いては人間の姿で活動する。これを仮に人間体と呼ぶ。

 この形態はある種の省力形態(セーブモード)と考えられ、人間体の女神は、睡眠、食事、排泄などの有機生命体的な活動をしている。

 この状態でも、平均的な人間よりは運動機能、防御機能は高い。

 

 次に戦闘時などに見せる戦闘形態、これを女神体と呼ぶ。

 この姿が女神としての本体的な形態であるとされ、つまり人間体は擬態の意味も持つのだろう。

 運動機能、防御機能、移動機能、全てにおいて爆発的に能力が上がり、またその能力はシェアエナジーの絶対量に左右される。

 興味深いのは女神体と人間体とでは人格に変化が見られることだ。

 例として、プラネテューヌの女神(姉)を上げる。

 人間体に置いては衝動的で意味不明な行動が多く見られるが、女神体になるとその行動は比較的、論理的なものになる。

 形態の変化による人格の変化は個体差があり、妹のほうはほとんど変化が見られない。

 これが潜在意識の発露なのか、自己暗示の類なのか、形態変化により頭脳組織の構造も変化するのか、それはこれからの研究課題である。

 なお、その人間体から女神体への形態変化あるいはその逆は、いったん肉体を粒子にまで分解、そののち再構成というプロセスを経ることが、記録映像を一万倍までスローにすることで判明した。

 これに着想を得て、オートボットの技術者ホイルジャックは粒子変形の技術を確立したわけである。

 おそらく女神たちに自分を分解、再構成している自覚はない。

 一つ気になるのは、確認されている女神の中に一体、変身プロセスが異なる者がいることだ。

 この個体、アイリスハートの場合は粒子化するとコアと思われる菱形のパーツを中心に肉体を再構成することが確認された。

 もしや、彼女は女神の中でも特殊個体に当たるのか?

 疑問は尽きない。

 

 もう一つ、女神について仮説を立てた。

 それは、『女神の存在がトランスフォーマーの精神に影響を与える』ということだ。

 これは単にコミュニケーションの結果、心理的な変化がある、と言うことではない。

 例として、植物と呼ばれる有機生命体の発するフィトンチットと呼ばれる物質を上げよう。

 これは植物が外敵から身を守るために放出する物質であるが、これは人間にとっては心理的安息を誘発する効果がある。

 同じことが、女神とトランスフォーマーの間にも起きているのではないか? そう言う仮説だ。

 これならば、オートボットと女神という、まったく異なる異種族が極めて速やかに同盟を結べたことに説明がつく。

 もちろん、オートボットのまったくもって非論理的な理念も影響しているだろうが、それでもオートボットと女神の結びつきは極めて迅速に行われ、かつ強固な物になった。

 そして我がディセプティコンの中に置ける個体Bと個体Fの有機生命体Rに対する態度にも説明がつくのだ。

 でなければ、有機生命体は下等だと言う思想が蔓延するディセプティコンが、有機生命体Rを受け入れるとは考えがたい。

 

 話がそれた。

 

 とにかく、女神の発する何某か(※それが物質として存在するのか、なんらかのエネルギー波なのかは、まだ分からない)がトランスフォーマーに影響を与えることは、十分にあり得ることだ。

 

 では、ここからは、女神に多大な影響を与えるシェアエナジーについて記していこう。

 一種の精神エネルギーであると考えられるコレは、このゲイムギョウ界なる世界の根幹を成すエネルギーである。

 問題はこれが、実に非論理的なエネルギーであり、シェアクリスタルと呼ばれる物質を介してでないと使用できない物であることだ。

 シェアエナジーの代表的な特性として、まず不可視であることが挙げられる。

 これを視認できるようにするためには、いったんシェアクリスタルにプールしなくてはならないようだ。

 シェアクリスタルを介して、シェアエナジーは女神に供給される。

 では、シェアエネルギーとは何か? それは人間の祈りや信仰であるという。

 そんなことがありえるのだろうか?

 事実であるとして受け止めるにしても、人間の精神が実際的なエネルギーとして存在する、その根底の理屈は何だ?

 この世界の住人は、なぜそんな、未知かつ不安定なエネルギーを受け入れることができるのだ?

 そもそも、なぜ人間が、そしてトランスフォーマーがシェアエネルギーを生み出すことができるのだ?

 考察するには材料が足りない。さらなる研究が必要だ。

 

 最後にシェアクリスタルについて付記しておく。

 シェアクリスタルは、特殊な素材にシェアを集中させ、さらに専門技能的な特殊な製法によって作られる。

その特殊な素材は地方によって呼び方が違う。

 プラネテューヌではカボスエメラルド、ラスティションではムテリア、ルウィーではスタービーズなどである(リーンボックスでは確認できなかった)

 だが、これらは呼び方が違うだけで同一の物質だ。

 すなわち、エネルゴンクリスタルである。

 このゲイムギョウ界において、エネルゴンクリスタルは極めて希少ながら、各地で採掘されることが確認された。さすがにあの島のように大量に埋蔵されていることはないようだが。

 なぜ、エネルゴンクリスタルがゲイムギョウ界に存在するのだろうか?

 我々が日ごろエネルギー源として接種しているのは、エネルギー変換機で作った純度の低い物だ。

 エネルゴンクリスタルほどの純度の高い物は、恒星のエネルギーを専用の機械で取り出すことでしか生成できない。

 にも関わらず、エネルゴンクリスタルはこのゲイムギョウ界で古くから採掘されている。

 これが何を意味するのかは、さらなる研究と考察が必要だ。

 

  *  *  *

 

「……こんなところか」

 

 自身のラボで、頭部から記録装置のコードを引き抜き、ショックウェーブは独りごちた。

 軽く分かっている情報をまとめてみたが、やはり不明な点が多すぎる。

 より研究が必要だ。

 ディセプティコンのために、そしてメガトロンさまのためにも、論理をより完璧な物にしなくては。

 そのための実験の成果の一つが、目の前にある。

 

 思考するショックウェーブの眼前には、照明に照らされて異形の影が佇んでいた。

 ショックウェーブとよく似た姿をしているが、頭が二つあり左の頭に太い一本の角が、右には二本の角がそれぞれ生えている。

 これこそ、スティンガーの一件で得た、人造トランスフォーマーのデータ、それを基に作り上げた人造ディセプティコンの第一号だ。

 コア部分を作るのに手間取ってしまったが、まさかそれがエネルゴンクリスタルにシェアをある程度集めた物だとは。

 不可視の起動キーを押し、それに声をかける科学参謀。

 

「目覚めよ。……ドリラー」

 

「…………」

 

 人造ディセプティコンの赤いオプティックに光が宿り、ショックウェーブのほうを向く。

 

「マスター? 私はどうなったのですか?」

 

 二つの首を両方傾げる人造ディセプティコン。

 

「撃破されたおまえのパーソナルコンポーネントを、人造トランスフォーマーのボディに移植したのだ。これからはおまえを、そのボディの呼称を取ってトゥーヘッドと呼ぶ」

 

「はい、マスター。ありがとうございます」

 

 素直に喜ぶドリラー改めトゥーヘッド。

 ショックウェーブは心なし満足げに頷く。

 

「よし、ではこれからおまえには、私の助手として働いてもらう。知能も向上させたので、可能なはずだ」

 

「分かりました! マスターのお役に立てると思うと、嬉しいです!」

 

 全身で喜びを表現するトゥーヘッドに、ショックウェーブは分かりづらいが薄く笑む。

 本来トランスフォーマーより生物学的に下等なドローンのパーソナルコンポーネントを人造トランスフォーマーに組み込むのは中々に大変な作業だったのだが、上手くいって良かった。

 ドリラー……、今はトゥーヘッドは、ショックウェーブのたった一人の『トモダチ』なのだから……。

 

 

 




ちょっと、各エピソードの解説。

『個人的に無人島と言えばこのイベント』
ちょっとエロい物に挑戦してみた実験的な話。
自分じゃこれが限界だった。
はたして、女神たちの魅力を伝えることができたでしょうか?

『武器選びは慎重に』
米国のプライムの玩具のCMを見て思いついた、思いっきりゲームネタに走ってみた話。
全部わかる人はいるのでしょうか?
ちなみに最後にオプティマスが選んだ武器は、栄光の初代コンボイガン。
でも微妙にゲームネタが入ってます。

『科学参謀の女神考』
ショックウェーブの口を借りて永延とオリ設定を語る話。
あくまでショックウェーブの考えなので、全部が正しいわけではありません。
ちなみにトゥーヘッドのビークルモードはドリル戦車。ドリラーだけに。

次回は、ある意味TFらしいカオス回か、レイが休暇もらってマジェコンヌがキレる回のどっちかの予定です。

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