超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION 作:投稿参謀
今回はネタ回にしてバカ回でありメタ回、そしてキャラ大☆崩☆回。
そんな回です。
カッコいいオートボットが好きな方はご注意ください。
第28話 ゲイム・プレイ
さて今日の超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMETIONは、プラネテューヌのオートボット基地、そのリペアルームから物語を始めよう。
ズーネ地区での戦いを潜り抜けたオートボットたちは誰一人欠けることなく帰還することに成功したが、やはりと言うかその代償は大きく、損傷を直すために全員がリペアルームに入院することと相成った。
特に、片腕を失ったバンブルビー、スキッズ、マッドフラップ、かなり無理をしたサイドスワイプには本格的なオーバーホールが必要だ。
アンチスパークフィールドに囚われていた面々も、どんな悪影響があるか分からないので、やはり精密検査が必要ということである。
ちゃっかり軽傷だったラチェットは早々に自分の修理を終えると、人間の技術者たちとともに、実にイキイキと修理にいそしむのだった。
ホイルジャックとレッカーズ、アーシーも比較的ダメージが軽く、すでに退院済みである。
そこで問題が生じた。
トランスフォーマーも人間と同様、入院患者はとにかく暇なのである。
女神たちが定期的にお見舞いに来てくれるとはいえ、やはり何もせずにいるのは辛い。
* * *
「そんなわけで、第一回オートボット大ゲーム大会を開催する運びとなったわけだ」
『イエェエエエエイ!!』
オプティマスが無駄に厳かな雰囲気を滲ませて言うと、主に若い面々+ジャズが盛り上がる。
逆にアイアンハイドやミラージュはちょっと冷めた感じである。
「それで? なんのゲームをするんだい?」
副官が聞くと、スキッズとマッドフラップが片方しかない腕を勢いよく上げた。
「はいは~い! 俺スーパーマーリョパーティがいいと思いま~す!」
「馬鹿言え、誰がそんな友情破壊ゲーやるか! F‐ZOROに決まってんだろ!」
たちまち片腕で器用に殴り合い出す双子に、ミラージュが無言で拳固を落として黙らせる。
バンブルビーも手を上げた。
「『イボンコの謎』『が良いと思います!』」
「いや、だめだろそれ。あれ開始三秒で死ぬんだぞ……」
冷静にサイドスワイプが突っ込みを入れる。
「『じゃあ』『スベランカー』『か』『ドラゴンズアレ』『で……』」
「死にゲーばっかじゃねえか! なんなのそのラインナップ!?」
歴史的迷作を次々と挙げるバンブルビーに、サイドスワイプは思わず声を荒げる。
何が悲しくて、永遠とステージ1でミスらなきゃならんのか?
ちなみに彼らがゲームに詳しいのはパートナーの影響である。
「好きにやってろよ。俺は休んでるから」
「同じく」
アイアンハイドとミラージュが我解せずとリペア台に横になる。
しかし、そうは問屋が卸さない。
「いや、二人にも参加してもらう」
オプティマスが厳しい声で言った。
「は!? いやしかし……」
「命令だ!」
「「アッハイ……」」
なおも反論しようとするアイアンハイドに、オプティマスは命令まで繰り出してゲームをさせようとする。
二人はそう言われると素直に頷くしかなかった。
「……それで? 何のゲームをやるんだよ?」
嘆息混じりにアイアンハイドが聞くと、オプティマスは平静に声を出す。
「それについてだが……」
オプティマスは自信に満ちた声を出す。
「私 に い い 考 え が あ る !」
その言葉に、付き合いの長いアイアンハイドとジャズは、これダメなやつだと思考するのだった。
* * *
「超次元ゲイム ネプテューヌ?」
副官の声に、オプティマスはウムと頷く。
「なんでも、ネプテューヌたち女神をモチーフにしたゲームで、ネプテューヌが主人公のRPGらしい」
聞きかじった知識を披露するオプティマス。
「これを期に、より彼女たちのことを理解するためにも、このゲームを皆でやってみようじゃないか!」
そう言われれば、オートボットたちはなるほどと思う。
取りあえず、ゲーム機にディスクをセットして起動させる。
ここで読者諸兄は疑問に思うだろう。
はたして、長い時間のかかるRPGを、ゲーム大会という限られた時間の中でできるものなのかと。
だが、その心配は無用である。
なぜならトランスフォーマーたちは、自分の回路にゲーム機を直結することで、通常では有り得ない超高速でのゲームプレイが可能になるのだ。
もちろん、この能力は当作品のオリジナルである。
閑話休題。
そんなワケで、オートボット一同はネプテューヌシリーズの記念すべき第一作、『超次元ゲイム ネプテューヌ』をプレイし始めるのであった。
「おお、オープニングは5pbなのか!」
「『流星のビヴロスト』、無名時代の曲だが、彼女の代表曲とも言われる名曲だ」
興奮するサイドスワイプに、ジャズが説明する。
今のオートボットたちの状態を説明するなら、同じ視界を共有しながらチャットで会話しているような感じだろうか。
オープニングの後、代表してオプティマスがトップバッターでニューゲームを開始する。
女性の重々しい声が、世界観の説明を始めた。
それを聞いていてスキッズが首を傾げた。
「あれ? この声いーすんか?」
「いや、プロの声優だそうだ。なんでも、声優は本人とよく似た声の持ち主をゲイムギョウ界中から探し出して起用したらしい」
オプティマスが説明すると、双子はホーッと感心する。
本当にイストワールの声にそっくりだ。
しかし、語られる世界観は、何と言うか違和感のあるものだった。
「国じゃなくて大陸なんだな」
「っていうか話、重くねえ?」
スキッズとマッドフラップが、それぞれ言う。
「まあ、あくまでもモチーフにしたゲームだからな……」
自身を納得させるように総司令官が呟くが、その後も違和感は続く。
妙に仲が悪く、ギスギスとした空気を漂わせる女神たち。
なんか真面目で責任感のあるネプテューヌ。
ツンデレどころじゃなく、ツンオンリー状態のノワール。
むしろこっちがツンデレなブラン。
ダメ度が本物よりかなり高いベール。
ぶっちゃけてしまうと、コレジャナイ感がすごいのである。
「なぜだろう、違和感が酷い……」
「家のノワールはこんなんじゃねえぞ!」
「……誰だコイツ」
「ベールは、仕事はキチンとこなすんだが……」
それぞれのパートナーの描かれ方に、文句の一つも出てくるオプティマス、アイアンハイド、ミラージュ、ジャズの四人。
さらにはゲームシステムでも、モッサリした戦闘に鬼のようなエンカウント率。システムの要であるシェアがコンテニューすると絶対量が減るという謎の仕様。
やっとゲームのトゥルーエンドに辿り着いたころには、歴戦のオートボットたちはグッタリとしていた。
「なんというか…… 不思議な魅力はあるんだが、他人には勧められない。そんなゲームだったな」
ジャズの総括に、とりあえずみんな同意した。
「『他に』『どんなゲームが』『あるんです?』」
バンブルビーが聞くと、オプティマスは平時の彼らしからぬ、少しオズオズとした様子で口を開いた。
「いや、このゲームの二作目なんだが……」
「でたの!? 二作目!」
「マジで!?」
「『いろいろ大丈夫!?』」
スキッズ、マッドフラップ、バンブルビーがツッコミを入れる。
正直、二作目が有るとは思ってなかった。
しかし、あるもんはしょうがない。
皆、顔を見合わせた。
そして、せっかくだからとシリーズ第二作、『超次元ゲイム ネプテューヌmk2』を起動させる。
「オープニングはやっぱり5pb.なんだな!」
「これ、確かリーンボックスのライブで聞いた曲だな。『きりひらけ!グレイシー☆スター!』だっけか!」
始まる軽快なオープニングテーマにスキッズとマッドフラップがウキウキと体を揺らす。
そして本編。
「いきなり捕まってんのか。なんかこの前の事件を思い出すな……」
女神が敗れ囚われるという衝撃の展開に、アイアンハイドはズーネ地区での戦いを思い出したらしく複雑な顔になる。
「『わーい!』ギ…ア『が主役なんだ~!』」
「ユニはいつ出てくるんだ?」
「ロム早く仲間になんないかな~」
「ラムは仲間になるときモメそうだな……」
女神候補生が主役ということで、盛り上がるバンブルビーたち。
システム周りも荒削りながらだいぶ改善されており、ストレスなくプレイできた。
キャラクターもオートボットが知っているノリに近く、今回はみんなでワイワイとしながら楽しく遊んでいたのだが……
現実時間にして数分後、オートボットの体感時間にして十数時間後。
「…………」
オートボットたちは全員が沈み込んでいた。
彼らに一体、何が起きたというのか!?
その答えは、プレイしていたネプテューヌmk2にあった。
オートボットたちは代わる代わる順番にプレイし、いくつかのエンディングまで辿り着いたのだが、その一つが問題だった。
シェアがプラネテューヌに集中することで突入する、特殊エンディング。
その名を支配エンドという。
もう、名前の段階でイヤな予感しかしてこないこのエンディングとそこに至るまでの内容は、とてつもなく衝撃的だった。
完全復活してしまった大ボスには、もはや女神たちでは勝つことは不可能。
そこで、女神たちがすがったのは大ボスさえ倒せるという伝説の剣。
だが、この剣は女神の命を奪うことで強くなっていくという魔剣だった。
それゆえに、いままで仲の良かった女神たちは、最後の一人になるまで殺し合う……
「『ひどいよ、あんまりだよ、こんなのってないよ……』」
茫然としたバンブルビーの呟きが、何もかもを現していた。
「クソが……」
「ユニ……」
アイアンハイドとサイドスワイプが、パートナーの無残な最期に項垂れる。
「…………」
ミラージュは何も言わず、顔を伏せていた。
「畜生…… ロムもラムも、まだちっけえんだぞ……」
「どうしてこんなことに…… 酷えよ……」
スキッズとマッドフラップも、いつもの無邪気さを失っている。
「ベール…… 君は本当にそれで良かったのか? ベール……」
ジャズはここにはいないパートナーに呼びかける。
そして止めとばかりに、『ワザと』負けた大ボスが語る、この世界の末路。
それは女神が一人となり競争のなくなった世界は、やがて腐敗して滅ぶということ。
愕然とするオプティマス。
「なんてことだ…… これでは残された者たちも救われないではないか……」
誰も何も言えなかった。
楽しいゲームの場が一転、お通夜の如く重く沈んだ空気に満たされた。
しばらく呆然としていたオートボットたちだが、最初に声を出したのはオプティマスだった。
「すまない皆…… 私がゲームをしようとか言い出したばっかりに……」
「いや、誰もこんな展開予想もできないさ……」
「どいつがこんなシナリオ考えたんだよ……」
フォローを入れるジャズとアイアンハイドだが、暗い空気はいかんともしがたい。
「『とりあえず』『他にどんな』『ゲームがあるんです?』」
それでも、バンブルビーが声を絞り出した。
「実は、あと一本あるんだが……」
消沈した様子のオプティマスが言うが、ほとんどの者たちは反応する余力がない。
「これは、また後日にしよう……」
総司令官のその言葉に皆同意するのだった。
* * *
そして後日。
まだ入院状態のオートボットたちは、なんとかバッドエンド症候群から回復した。
バンブルビーがお見舞いにきたネプギアを見てマジ泣きしたり、スキッズとマッドフラップが元気なロムとラムを見てやっぱりマジ泣きしたり、アイアンハイドが辛いことがあったら何でも相談してほしいとノワールに念を押したり、ジャズが俺は最後まで君の味方だからとベールに宣言したり、オプティマスがネプテューヌにひたすら謝ったり、通常通りに見えるミラージュもしきりにブランのことを気にしていたりしていたが、とにかく回復した。
そして皆、毒食わば皿までという決死の思いでこの日を迎えたのである。(ゲームするだけです)
「それで……」
前回が前回だけにやたら緊張した面持ちで、アイアンハイドが口を開いた。
「今回はどんなゲームなんだ?」
その問にオプティマスは厳かに答える。変なノリだが気にしないでほしい。
「ああ、懲りずにネプテューヌシリーズだが、今回は外伝のような物だ」
「外伝?」
ジャズの言葉に、オプティマスはウムと頷く。
「なんでも、今回はアクションゲームらしい。たくさんの敵を相手に、一騎当千の強さで暴れ回るそうだ」
それを聞いて、オートボットたちはホッと排気する。
とりあえず、前回のような不意打ちはなさそうだ。
「いわゆる無双系か……」
「『楽しそう♪』」
サイドスワイプが呟くと、バンブルビーが期待を表現する。
「うむ、今回は人数分用意しておいたから、皆で遊ぼう!」
『おお~!!』
「よし、では起動!」
部下たちの好ましい反応に、少しテンションの上がったオプティマスは勢いよくゲームを起動させた。
そのゲーム、『超次元アクション ネプテューヌU』を。
「おお、今度のオープニングはノワールの声優さんか!」
「は~ん、上手いもんだな。ノワールの奴、歌は歌えたっけかな?」
例によってオープニングテーマで盛り上がる一同。
ジャズとアイアンハイドが感心した声を出す。
「なんか、今回は軽い感じのストーリーだな」
「まあ、外伝で無双系だしな。重いストーリーやられても困んだろ」
首を傾げるマッドフラップに、したり顔でスキッズが答える。
最初は女神たちを、続いて女神候補生を操作してとりあえず、操作の感覚を掴み、より難しいクエストへと挑んでいく。
この段階でオートボットたちは、自分のパートナーを操作キャラに選らんだ。
楽しくプレイしていた一同だが、スキッズが何かに気付いた。
「なあ、この左端のマークなんだ? だんだん赤くなってんだけど」
「ホントだ。体力ゲージじゃない、SPでもないし、エグゼドライブゲージでもねえなぁ」
マッドフラップも疑問を口に出す。
一同は疑問に思いつつもプレイを続ける。
そして、その時はやってきた。
オプティマスの操作するネプテューヌが、モンスターの一撃をよけそこなってしまいダメージを受けた、そのときである。
『見えちゃうー!!』
ネプテューヌの服が破れて、その柔肌と下着が露わになったのである!!
思わず唖然とするオプティマスは操作を放棄してしまい、ゲーム内のネプテューヌはモンスターにボコスカに攻撃されて哀れゲームオーバーになった。
「……ほ、ほわぁあああ!?」
しばらくしてからようやくオートボット総司令官の口をついて出たのは、意味のない叫びだった。
『やめてぇえええ!!』
「ギ…ア…!?『くぁwせdrftgyふじこlp』!?」
それだけでなく、他のオートボットが操作する女神や候補生たちも次々と服が破れていく。
弾ける肌色、眩しい白(何とは言わない)声にならない叫びを上げるオートボットたち。
阿鼻叫喚とはこのことか。
「おい! おまえらノワールではやるなよ! 絶対やるなよ!!」
「ふざけんな! ロムとラムはまだ子供だぞ! それをこんな……!」
アイアンハイドとスキッズが怒りの咆哮を上げる。
断っておくと、これは一般販売されているゲームソフトである。
つまり不特定多数が女神たちのあられもない姿を目撃しているわけで……
「ちょっとこのゲーム買った奴、斬ってくる」
「おおお、落ち着けって! な、な!」
物騒なことを言い出すミラージュをマッドフラップが必死になだめる。
そんななか、沈黙を保っている男がいた。
オートボットの戦士、サイドスワイプだ。
「おい、サイドスワイプ! おまえも何とか言えって!」
「『どったの?』『冷静か?』『俺は冷静だ。熱く燃え盛るほどにな』」
怒り冷めやらぬスキッズと、混乱から回復しきっていないバンブルビーがサイドスワイプにたずねるが、サイドスワイプはウンともスンとも言わない。
「サイドスワイプ……?」
さすがに妙に思ったスキッズが心配そうな声を出す。
だが。
「……ガハァ!!」
「サイドスワイプが(鼻から)エネルゴンを噴いた!」
「謝れ! 右○さんに謝れ!!」
よく分からないことを言い出すスキッズとマッドフラップ。
「ち、違うんだ! これは違うんだ!」
それを後目に、サイドスワイプは鼻からエネルゴンをダクダクと流しながら言葉を続ける。
「誤解しないでくれ、これは決してユニの半裸に興奮した的なアレではないんだ。露出度低めなところが逆にエロいとか思ったわけでは断じてないんだ!」
「『説得力ゼロなんですが、それは……』」
バンブルビーが呆れて言うと、サイドスワイプは必死になって否定する。
「ち、違うし! これはこないだのダメージが鼻に出ただけだし!」
「いやもう、ぶっちゃけっちまえよ…… 男らしくないぜ……」
「多分読者の皆さんも、薄々感づいてるだろうから。な?」
完全にジト目のスキッズとマッドフラップの言葉にも、サイドスワイプはうんとは言わない。
そんな弟子を何とも言えない表情で見ているアイアンハイドに、ジャズが声をかける。
「で、実際のところどうなんだ? サイドスワイプとユニは」
「ん~? まあ、惚れた腫れたに首突っ込むほど野暮でもねえよ。そういうのは本人らが解決する問題だろ…… どんな結果に終わるにしてもな」
「違いない」
恋愛はあくまで本人たちの問題である。
第三者が過度に干渉していい問題ではない。
というか、いまさらだけどトランスフォーマーと人間(女神だけど)の恋愛ってどうなんだろうか?
ちなみに作者は大いにありだと思っている。
いいじゃないか、巨大ロボ×美少女。
「つうか、おまえはどうなんだよ? 相方がゲームで脱いでることに、なんか思うところはないのか?」
アイアンハイドの言葉にジャズは苦笑する。
「ま、所詮ゲームだからな。魅力っていう意味じゃ本物には遠く及ばないし」
余裕綽々のジャズに、アイアンハイドはそんなもんかと頷く。
さて、ショックから回復したオプティマスはと言うと。
「すまない、皆。またしても失敗だった……」
非常に落ち込んでいた。
結局この後、ラチェットに見つかり、しこたま説教された上でゲームは没収されたのだった。
* * *
同じころ、オートボットたちがそんな馬鹿なことをやっているとは露知らず、ネプテューヌ、ネプギア、アイエフ、コンパの四人はプラネテューヌ市街を見下ろせる丘にピクニックに来ていた。
捕まっている姿が全世界に晒されたことで、シェアの急速な下降もあり得ると思われたのだが、実際にはそこまで酷いことにはならずシェアはあまり下がらなかった。
ただし、プラネテューヌに限って言うなら、相変わらずゆるやかな低下傾向にはあるのだが……
オプティマスに言わせれば、女神と国民との間にある信頼は、女神たちが思う以上に強固な物だったということなのだそうだ。
僅かに失われたシェアを取り戻すことも女神たちは忘れない。
ベールはオートボットの技術を利用した例の体感型ゲームを一般向けに販売して大きな支持を受け。
ルウィーではブランが販売したブラン&ミラージュ饅頭が大ヒットを飛ばし。
ノワールはユニとともにモンスター退治に精を出し、失われた以上のシェアを軽く稼いだ。
かくして、ゲイムギョウ界は概ね元通りになったのであった。
「しかし……」
アイエフは、コンパ特製のサンドイッチを美味しそうにパクつくネプテューヌを半眼で見ていた。
「ネプ子も変わらないわよね……」
「ん~?」
その言葉に、ネプテューヌは口の中の物を飲み込む。
「あんな目にあって、少しは気合入るかと思ったら、ピクニック?」
「逆だよ、逆! あんな目にあったからこそ、毎日がエブリディなのー!」
「意味がわからないわ……」
呆れたようなアイエフに、平常運転で答えるネプテューヌ。
まあ、そんなところも彼女の魅力なのは、アイエフも認めているのだが。
と、そこへ近づいて来る者がいた。
さらにその後ろを小さなラジコンのモンスタートラックが付いて来る。
「お、おい、お嬢ちゃん! じっとしてなきゃダメだろう! おいってば! おい、このリトルモンスター! 聞いてんのか!?」
奇妙なことに、そのラジコントラックからは何者かが喚き散らす声が聞こえてくる。
しかし、前を行く『お嬢ちゃん』は止まらない。
やがて、その『お嬢ちゃん』はネプテューヌたちの座っている場所の近くにやって来た。
「あーーーー!!」
そしてネプテューヌを指差し大声を出した。
その声に、ネプテューヌたちが何事かと振り向く。
声の主である『お嬢ちゃん』は5~6歳くらいの女の子だった。
金髪に青い目の整った容姿だが、可愛さよりも元気さのほうが目立つ雰囲気をしていた。
黄色と黒の縞模様の子供服を着ている。
「な、なに、この娘?」
「さ、さあ?」
面食らうネプテューヌとネプギア。
しかし、その女の子は満面の笑みで指差すのをやめない。
「こんぱ! あいえふ!」
女の子の言葉にアイエフとコンパは戸惑う。
「って、ええ?」
「誰……です?」
なぜなら、二人ともこの女の子とは初対面で、名前を知っているはずがないからだ。
困惑する一同をよそに、女の子は天真爛漫に笑う。
その足元ではラジコントラックがギゴガゴと音を立てて小さな小さなロボットになると、この世の終わりのような顔をするのだった。
もはや、言うべきはこれのみ。
本当にごめんなさい。