超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION   作:投稿参謀

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吹き荒れる嵐の中、若者たちの戦い。


第26話 花は開き、産声は上がる

 ゲイムギョウ界某所、とある火山。

 山頂から絶えず噴煙を吐き出すここに、突如異形のジェット機が飛来した。

 ジェット機は噴火口に飛び込むと、ギゴガゴと音を立てて変形し、長い縦穴の中ほどに突き出た岩の上に着地する。

 内部を満たす高熱も気にせず銀色の異形、破壊大帝メガトロンは驚くべきことに頭を垂れた。

 

「師よ、参りました」

 

 メガトロンが恭しく言うと、突然火口の底から立ち昇る噴煙が渦巻き、巨大な顔を作り上げた。

 太古の部族の仮面を思わせる縦長な顔で、輪郭を縁取る羽飾りのようなパーツが生き物のようにうごめいている。

 その表情にはメガトロンさえ超える果てない狂気に彩られ、オプティックは底なしの憎しみにより輝いていた。

 火口の底のマグマにより下から照らされる姿は、途方もなくオドロオドロしい。

 その顔の輪郭はある物を思わせた。ディセプティコンのエンブレムだ。

 あるいは、エンブレムがこの顔に似ているのか。

 煙でできた顔は、おじぎをするメガトロンを見て重々しく口を開いた。

 

「御苦労、弟子よ。まずは褒めてやる。無限に連なる次元世界の中から、よくぞ目的の世界に辿り着いた」

 

 声は静かだが、遠い遠い闇の中から轟いて来るようにおぞましい響きだった。

 

「これも、師がお導きくださったからにございます」

 

 ある程度の敬意を込めて、破壊大帝は慎重に言葉を選んだ。

 その思考は母星での戦い、オールスパークが失われたタイガーパックスでの戦いを反芻していた。

オールスパークが宇宙に放逐されたあの時、メガトロンはすぐさまオールスパークを追いかけるべく宇宙へ飛び出した。

 だが、サイバトロンが見えなくなる寸前、師から啓示を受けたのだ。

 

 すなわち、「ゲイムギョウ界を目指せ」と。

 

 煙でできた顔は、メガトロンの言葉にオプティックを鋭くした。

 

「しかし、辿り着いてから先は、上手くはいっていないようだな」

 

 危険の響きを帯びる声に、メガトロンは偽ることなく事実を述べる。

 

「スペースブリッジの暴走は不可抗力でした。結果、少数の手勢とともにこの世界に転送され、さらにオートボットどもの介入を許してしまいました。奴らは小賢しくも、この世界の住人を味方に着けたのです。……すなわち、女神を」

 

 女神という単語が出た瞬間、顔はくぐもった笑いを漏らした。

 

「女神、だと? 愚かな者どもめ、身の程知らずにも神を僭称するか」

 

 嘲笑を浮かべ、オプティックをさらに危険に光らせる。

 

「だが、それもあと僅かの間だ。あるべきものが、あるべき場所、あるべき姿へと戻る日は必ず来る」

 

「無論」

 

 メガトロンは短く同意した。

 

「して、師よ。どういったご用件で私を呼びつけたのです? 作戦行動中だったのですが……」

 

 弟子の言葉に師は、鼻で笑うような音を出す。

 

「愚かな弟子よ。おまえのくだらん策よりも、俺の声のほうが幾倍もの重さを持つのだ」

 

「…………もちろんですとも」

 

 深々と頭を下げたメガトロンが一瞬、歯を強く喰いしばったのを見た者はいない。

 

「まあいい、呼んだのは他でもない。例の物が見つかったのだ」

 

 その言葉にメガトロンは頭を上げた。

 

「なんですと!? それは真ですか!」

 

「真だ。近い内にそちらの次元に送る。上手く使え」

 

「ははッ!!」

 

 弟子の態度に満足したのか、顔は低く唸るように笑う。

 

「我らの栄光を取り戻す時は近い。そのときメガトロン、おまえはプライムの力と称号を得るのだ」

 

 それだけ言うと、顔は文字通り雲散霧消した。

 しばらく炎と熱気が渦巻く噴火口に佇んでいたメガトロンはやがて誰にともなく口を開いた。

 

「その言葉、とりあえずは信じましょう」

 

 だが、言葉とは裏腹にオプティックは鋭く細められていた。

 

「しかし、俺の策が上手くいけば、例の物は必要なくなるかもしれんがな」

 

 どこか皮肉っぽく言うと、メガトロンは戦場に帰るべくエイリアンジェットに変形して飛び去った。

 

  *  *  *

 

 アイエフとコンパは、いままさに絶体絶命の危機に陥っていた。

 銃器で武装した機械鳥と機械豹に挟まれ、さらに機械巨人が銃を手に睨んでいる。

 

「さあ、お嬢さんたち! まずは銃を捨ててもらおうか! そのロケットランチャーもだ!」

 

 レーザービークが甲高い声で言った。

 ラヴィッジが単眼をギラリと輝かせて唸る。

 

「……仕方ないわね」

 

 なす術なく、アイエフは銃を捨てざるを得なかった。コンパも悔しげにビーム銃を捨てる。

 二人の頭上を旋回するレーザービークは満足げにニヤつく。

 

「よしよし、それにしても健気な奴らじゃねえか。自分の無力さを顧みず親友を助けにくるなんてそうそうできることじゃない」

 

 アイエフは目を鋭くして睨みつけるが、レーザービークは嘲笑を大きくして主を仰ぎ見る。

 

「捕虜にするかい?」

 

 それに対しサウンドウェーブはめったに見せない、それだけに血の気も凍る笑みを浮かべて冷酷に言い放つ。

 

「捕虜ハ取ラナイ。コイツラハ『戦利品』ダ」

 

「だってよ。可哀そうに、おまえたちは人間扱いしてくれないってさ」

 

 ワザとらしく悲しそうな顔をした後、レーザービークは再び酷薄に笑う。

 

「まあ、すぐには殺さないから安心しな。おまえたちはオートボットに対する人質として……」

 

「おっと、そうはさせないよ」

 

 振動ブラスターを構えるサウンドウェーブの後ろから声がした。

 情報参謀が振り向くとそこにはオートボット看護員ラチェットがEMPブラスターを構えて立っていた。

 後ろにはアーシーとホイルジャックもいる。

 

「さあ、頭を吹っ飛ばされたくなければ大人しくするんだ。そっちのペット君たちもね」

 

 声は静かで顔は穏やかだったが、ラチェットの纏う雰囲気は酷く剣呑だった。

 

「ドレッズ ハ、ドウシタ」

 

「奴らならフィールドに叩き込んでやったよ」

 

「ソウカ」

 

 サウンドウェーブがまったく動揺を見せずたずねると、ラチェットはなんてことないように答えた。

 それに対してバイザーのディセプティコンはやはり動揺しないものの、振動ブラスターを捨てた。

 ディセプティコンがオートボットを捕らえるために造りだしたアンチスパークフィールドだが、当然オートボットだけに効いてディセプティコンには効果がない、なんて都合の良い物ではない。

 フィールドに落とされたドレッズたちは今頃、折り重なって動けなくなっているだろう。

 

「コンパ、さあフィールドを破壊してくれ!」

 

「はいです!」

 

 ラチェットが言うと、コンパは主の危機に動けないレーザービークとラヴィッジを後目にロケットランチャーを拾い上げてフィールドを発生させている機械目がけて構えるが……

 

「させるかよ!!」

 

 岩陰から突然飛び出してきた影が、コンパに殴りかかった。それは下っ端ことリンダだった。

 

「きゃあ!」

 

 コンパは間一髪よけるが、尻餅を搗いてしまい誤ってロケットランチャーの引き金を引いてしまった。

 発射されたロケット弾は真上に向かって飛んで行った……

 

「コンパ!」

 

 アイエフが慌てて駆け寄る。

 

「わたしはだいじょぶです。それよりロケットが……」

 

 茫然とコンパは呟いた。アイエフは得意げなリンダを睨む。

 

「あんた、なんてことを!」

 

「へへッ! どうだ! これがリンダ様の実力よ!」

 

 だがリンダは笑うばかりだ。手柄を立てたのがよほど嬉しかったらしい。

 ラチェットをはじめとしたオートボットも一瞬意識が明後日の方向へ飛んでいったロケットに向いた。

 その瞬間、サウンドウェーブが素早く振動ブラスターを拾い上げオートボットに向け発砲する。

 放たれたエネルギー弾はラチェットたちの装甲を抉る。

 ホイルジャックの持っていたスペアのロケットランチャーも破壊されてしまった。

 たちまち壮絶な撃ち合いが始まる。

 

「さすがはサウンドウェーブだぜ! 俺たちも小娘を片づけるぞ!」

 

 レーザービークとラヴィッジもそれを援護すべく、すでに戦線に復帰したアイエフとコンパに向かって行こうとするが……

 その背後にロケット弾が降って来た。

 さっき真上に飛んで行った物が、やがて推進力を失い重力に負けて落ちてきたのだ。

 

「どわぁあああ!!」

 

 爆発がおこり二体は大きく吹き飛ばされる。

 その先は、アンチスパークフィールドだ。

 

「あが、あがががが!!」

 

 二体はフィールド内の電撃状のエネルギーに囚われ、身動きが取れなくなる。

 

「レーザービーク! ラヴィッジ!!」

 

 それを見て、初めてサウンドウェーブが動揺を見せ、部下たちのほうへ向かって走って行く。

 ラチェットはその隙を見逃さなかった。

 

「オートボット、本隊に合流するぞ!!」

 

 そう言ってラチェットはUSVレスキュー車へと変形した。同様にアーシーはバイク、ホイルジャックは青い高級セダンへと姿を変える。

 作戦が失敗した以上、残された手段は総力戦しかない。

 アイエフとコンパがそれぞれのパートナーに素早く乗ると、オートボットは発進する。

 サウンドウェーブは分身たちを助けるのが現状では無理と判断すると怒りを露わにした。

 そして自らもスパーカーに変形してそれを追うのだった。

 

 ちなみにリンダは捨て置かれた。

 

  *  *  *

 

 ついに変身を果たしたネプギア。

 彼女はビークルモードのバンブルビーに並んで飛び、同じくビークルモードのサイドスワイプに乗り込んでいる ユニとインカム型通信機で話していた。

 

「私、気付いたの。お姉ちゃんにずっと守られていたい。だから弱い私でいい。そう思ってたって」

 

 飛行するネプギアの横顔は、どこか大人びていた。

 

「でも、それじゃダメだって、強くなりたいって願ったら……」

 

「変身できたっていうの? 参考にならないわね」

 

 ユニはどこか憮然とした調子だ。

 

「弱くていいなんて思ったことないもん!」

 

「そ、そうだよね」

 

 その声に、ネプギアは困ったように笑う。

 そこでサイドスワイプが緊迫した声を出した。

 

「……そろそろだな」

 

 女神たちを捕らえている結界とオートボットの力を奪っているフィールドが近づいてきた。

 そのときラチェットから連絡が入った。

 

『バンブルビー、こちらラチェット。すまない、作戦は失敗だ! そちらに合流する!』

 

 了解、みんな気をつけて!

 

 こうなった以上は自分たちの力で囚われた司令官たちを救い出すのみだ。

 彼らのセンサーは、後方からディセプティコンが追ってきていることを察知していた。

 いざというときは女神候補生たちのことを、なんとしても守らねば。

 時に空気の読めないツインズも、戦闘凶のレッカーズも、言葉を交わさず通信せずとも思いは同じだった。

 彼らも、問題を抱えてはいてもオートボットなのだ。

 

 そしてついに、フィールドの前に到達した。

 中央の三角錐型の結界の中に、女神たちが、ネプギアたちの姉がコードに絡め取られて空中に吊り上げられていた。

 

「お姉ちゃん!!」

 

「ネプギア!?」

 

 思わず声を上げるネプギアに、ネプテューヌは驚く。

 

「「「お姉ちゃん!!」」」

 

 ユニ、ロム、ラムも自分の姉を呼ぶ。

 

「ロム……! ラム……!」

 

「ユニ……!」

 

 女神たちは愛する妹たちの姿を見て感動する。

 ほんの一日なのに、もう何年もあっていなかったように感じた。

 事実、まだ幼い妹たちは仲間と力を合わせてここに辿り着くまでに成長したのだ。

 特にネプギアは姉を驚かせた。

 

「ネプギア、変身できたんだ!」

 

 その声に、ネプギアは力強く答える。

 

「うん! すぐに助けてあげるからね!!」

 

 フィールドの中で倒れ伏すオートボットたちも、傷だらけの仲間たちを見て誇らしい気分だった。

 

「バンブルビー…… よく来てくれた……」

 

「『司令官!』『今度こそ』『お助けします!!』」

 

 若き情報員は決意を口にする。

 今度こそ大切な者たちを取り返す。

 この場にいる全員の共通の思いだった。

 

「さて、そう上手くいくかな?」

 

 そこに声が響いた。

 高台に女が立っていた。

 黒衣に身を包み、頭にはトンガリ帽子。魔女のような異様な風体の女性だ。

 

「よく来たな妹たち、そしてオートボットたちよ」

 

 女性は不敵な笑みを浮かべて名を名乗る。

 

「私の名はマジェコンヌ、四人の小娘が支配する世界に、混沌という福音を……」

 

「コンパちゅぁ~ん! コンパちゃんはいないっちゅか!?」

 

 大仰なマジェコンヌの名乗り上げを、またしてもワレチューが邪魔をした。

 

「おいこらぁ! 邪魔をするな!!」

 

「……いないみたいっちゅね」

 

 怒るマジェコンヌに対し、意気消沈するワレチュー。

 息が合っているのかいないのか。

 

『呼んだですか~?』

 

 通信機からコンパの声が聞こえてきた。

 見ればラチェット率いる別動隊がこちらに向かってくるところだった。

 ラチェットたちはアイエフとコンパを降ろすとすぐにロボットモードに戻る。

 

「アイエフさん! コンパさん」

 

「コンパちゅぁああん!! 会いたかったっちゅ!」

 

 ネプギアとワレチューがそれぞれ声を上げた。

 当惑するコンパのことはとりあえず置いておいて、アイエフはネプギアに謝る。

 

「ごめんなさい。作戦に失敗したわ……」

 

「いいんです! みなさんが無事なら!」

 

 対するネプギアは笑顔で答えた。

 アイエフは申し訳なくてしょうがなかった。

 そして、親友の新たな姿に微笑む。

 

「変身、できたのね」

 

「はい!」

 

 笑顔のネプギアはそこで顔を引き締め、マジェコンヌに向き直る。

 

「どうして、こんなことをするんですか! ディセプティコンと手を組んでまで!!」

 

 マジェコンヌは女神姿のネプギアに対して不敵に笑う。

 

「教えてやろう。私が求めているのは女神を必要としない新しい秩序、誰もが支配者になり得る世界だ」

 

 静かに自らの野望を語らうマジェコンヌ。

 その内容は、ネプギアたちには到底受け入れられないものだった。

 

「それって、あなたが支配者になろうとしてるだけじゃないですか!」

 

「私より強い者が現れれば、その者が支配者になる。これぞ平等な世界だ!」

 

 なおも自らの思想とでも言うべきものを語るマジェコンヌ。

 

 一方、ラチェットたちを追ってきたサウンドウェーブもまた、オートボットに追いついてきたディセプティコン本隊に合流していた。

 

「ドレッズ ト レーザービーク、ラヴィッジ ガ戦闘不能二ナッタ。スグニ奴ラノ殲滅ヲ提案スル」

 

 無感情な調子にあらん限りの怒りを滲ませ、一応の指揮官であるスタースクリームに提案、するが、スタースクリームはニヤリと笑って見せた。

 

「まあ、待ちな。どうやらあの女が何かするみたいだぜ。ここは高見の見物としゃれ込もう」

 

 この期に及んで呑気なスタースクリームに、サウンドウェーブは珍しくあらかさまに顔をしかめる。

だが、一応は従っておく。

 

 マジェコンヌに対し、怒りを漲らせる一同。

 口火を切ったのはユニだ。

 

「ふざけないで! ようするにあんたは女神の力が羨ましいんでしょう! それにあんたの理屈で言ったら支配者はメガトロンになるでしょうが!」

 

 その言葉に、マジェコンヌはそれでも邪悪に笑ってみせた。

 

「まあ、その通りだ。メガトロンが支配者というのなら、それも悪くはない」

 

 一同は驚く。マジェコンヌはマジェコンヌなりに、自らの思想に覚悟を背負っているらしかった。

 

「だが無論、ただでは支配者の座は譲らん。……見るがいい、これが私の新たなる力だ!」

 

 マジェコンヌが吼えると、その身体が光に包まれる。

 だがその光は女神たちが変身するときに放つ神々しいものとは違う、見る者を不安にさせる禍々しい光だった。

 光りが収まったとき、マジェコンヌは露出度の高い衣装に、手には槍のような物を持ち、背中には刺々しい翼を背負った姿へと変身していた。

 

「見よ! これが女神の力を宿した支配者の姿だ!」

 

「変身!?」

 

「あの人は女神じゃないのに!?」

 

 ユニとネプギアが驚愕の声を上げる。

 変身は女神にしかできないはず。だが、マジェコンヌから感じる力は女神に準ずる物だ。

 マジェコンヌは凶悪な笑みを浮かべると手にした槍を太刀に変化させてネプギアへと斬りかかる。

 

「クロスコンビネーション!!」

 

 鋭い連撃がネプギアを襲う。防御したものの、ネプギアは大きく吹き飛ばさされて地面に倒れる。

 それを見て、ネプテューヌが声を上げた。

 

「嘘! わたしの技!?」

 

 ネプギアは起き上がって聞く。

 

「どうして、その技を……!」

 

 マジェコンヌは嘲笑を浮かべると答えてやる。

 

「フフフ、私には他人をコピーする能力があってなぁ。遂には女神の技さえも我が物にしたというわけだ!」

 

「そんなこと、できるわけない!」

 

「だが、そうなのさ!」

 

 さらなる技をマジェコンヌは放つ。

 

「テンツェリントロンぺ!!」

 

 今度は戦斧を手にブランの技、横薙ぎの重たい一撃をぶつけてくる。

 

「きゃぁああ!!」

 

 またしてもネプギアは吹き飛ばされる。

 だが、すぐに体勢を立て直し、空中へ飛びあがる。

 マジェコンヌもそれを追った。

 

 その戦いを静観していたスタースクリームとオートボットと睨み合っていたディセプティコン。

 

「なるほど。あの力なら、メガトロンともいい勝負ができるかもな……」

 

 スタースクリームは感心して呟いた。

 同時にあの女をどう利用すれば、自分がディセプティコンのトップに立てるか皮算用を始める。

 

「スタースクリーム」

 

 脇に立つサウンドウェーブが押し殺した声を発した。

 他のメンバーを見渡せば、皆痺れを切らしそうになっている。

 

「あ~、分かった分かった! 俺らはオートボットを片づけるぞ!」

 

 兵士たちから歓声が上がる。

 スタースクリームはさらに一手打つことにした。

 

「コンストラクティコン、『あれ』をやれ!!」

 

 その通信にミックスマスターが反応する。

 

「チッ! スタースクリームの野郎、偉そうに! ……だが、しかたねえか!」

 

 意を決したように仲間たちに指示を飛ばす。

 

「野郎ども! 合体、デバステーターだ!!」

 

 リーダーの言葉にコンストラクティコンたちは口々に声を上げ、ミックスマスターの周りに集結した。

 

「みんな息を合わせてください!」

 

「ついにこのときが来たんダナ!」

 

「うおおお! やったるんじゃぁああ!!」

 

「ウフフフ、さあ、や ら な い か !」

 

「よっしゃぁああ!! 見せ場だぜぇええ!!」

 

「いよいよオラが名誉返上するときが…… あれ、汚名挽回だったべか?」

 

「よし! コンストラクティコン部隊、トランスフォーム、フェーズ1!!」

 

 ミックスマスターが高らかに号令すると、コンストラクティコンたちは建機へと姿を変える。

 ホイールローダー、ダンプカー、ブルドーザー、クレーン車、ダンプトラック、パワーショベル、そしてミキサー車。

 

「アゲイン、トランスフォーム、フェーズ2!!」

 

 七体の建設車両が、轟音を立てて寸断され折れ曲がり移動し、悪夢の立体パズルのように組み上げられていく。

 ロングハウルとランページが屈強な両脚に。

 スクラッパーとハイタワーが破壊的な両腕に。

 オーバーロードが堅牢な腰回りに。

 スカベンジャーが強固な上半身に。

 そしてミックスマスターが、神話の怪物のような頭部に。

 全ての行程を終えたとき、そこにコンストラクティコンの姿はなく、代わりに山のように巨大な機械の怪物が立っていた。

 四つんばいで、無数の金属パーツが絡み合ったそれは、子供じみた悪夢の顕現だ。

 

 これぞ、七体のコンストラクティコンが合体することで誕生する、合体兵士デバステーターである!!

 

 その馬鹿馬鹿しいなまでの巨体を、女神候補生も、若きオートボットたちも、歴戦のレッカーズまでもが茫然と見上げた。

 デバステーターは大気を震わす恐ろしい咆哮を上げると、敵をまとめて叩き潰すべく地響きを立てて移動を始める。

 他のディセプティコンたちは巻き込まれないように退避していった。

 

「……ッ! 『オートボット!』『攻撃せよ!!』」

 

 いち早く正気に戻ったバンブルビーのラジオ音声に、まずレッカーズが各々の重火器で攻撃するが、デバステーターの圧倒的な巨体の前には自慢の武器も豆鉄砲同然だ。

 続いてサイドスワイプが果敢に怪物ロボットの足元に潜り込もうとするが、デバステーターは全身から機銃をばらまいてそれを阻む。

 さらに建築物が動いているかのような腕を振り回してサイドスワイプを叩き潰そうとするが、銀色の戦士は素早く退避してその爪先をかわした。

 だが、この恐るべき合体兵士の攻撃は終わらない。振り回された腕は廃棄物の小山に当たり、小山はたやすく吹き飛ばされバラバラになってオートボットたちの頭上に降り注いだ。

 

「な、なんて奴なの!?」

 

 バンブルビーの影に退避したユニは、悲鳴を上げる。

 何もかも規模が違い過ぎる。

 デバステーターは一気にかたをつけるべく、大口を開いて内部の機構を回転させ、空気を吸い込み始めた。

 

「『まずい!』『みんな、退避だ!』」

 

 勇猛果敢なサイドスワイプも、怖い物知らずのツインズも、女神候補生たちを抱えて全力でデバステーターから遠ざかろうと痛みを無視して走り出す。

 戦闘凶のレッカーズでさえビークルモードになるとエンジン全開で逃げ出す。

 デバステーターの吸い込む力は徐々に強くなり、土や小石を、転がっている廃棄物を、生き残ったモンスターたちを巻き込んでいく。

 大口に飲み込まれた物は、喉の奥の何重にも連なったミキサーで粒子にまで粉砕されて背中から排出される。

 生き物が飲まれれば、それが有機生命体であれ金属生命体であれ生き残れる道理はなかった。

 ヴォルテックス・グラインダーと呼ばれるそれは、トランスフォーマーたちの故郷、惑星サイバトロンの大型台風に由来する名を持つデバステーターにふさわしい技だ。

 

「ディセプティコンの奴らめ、こんな奥の手を隠していたとはな……」

 

 空中で、ネプギアと戦っていたマジェコンヌも、感嘆の声を出した。

 あれを相手にするのは骨が折れそうだ。

 

「ミラージュダンス!!」

 

 それを隙と見たネプギアが高速で舞うように斬りつけるが、マジェコンヌはそれを軽くいなす。

 

「クリティカルエッジ!」

 

 そしてカウンターの要領で斬撃を叩き込んでやる。

 

「きゃあああ!」

 

 悲鳴を上げて、ネプギアは地面へと落ちていく。

 

「ギ…ア…!!」

 

 それをバンブルビーがすかさずキャッチする。

 だが、その後ろにはデバステーターの巨大な影がのっそりと近づいて来ていた。

 大口を開き、全てを飲み込む大風を吹かせたまま。

 

「バンブルビー!」

 

「危ねえ!!」

 

 そこにスキッズとマッドフラップがデバステーターの左右から銃撃を浴びせる。

 豆鉄砲もいいとこだが、それでも煩わしかったらしくヴォルテックス・グラインダーを中断し腕を振るって双子を追い払おうとする。

 スキッズは問題なくかわせたが、ダメージの大きかったマッドフラップはかわし切れず、巨大な腕にぶつかり、悲鳴とともに飛んで行った。

 

「マッドフラップ!!」

 

 それを追おうとするスキッズにも、デバステーターの背中から発射されたミサイルが襲い掛かる。

 それを掻い潜り、片割れのもとへ辿り着いたときスキッズは全身が焼け焦げていた。

 倒れたマッドフラップは傷口からエネルゴンを漏らしヒューヒューと排気しながら、片割れを見た。

 

「ひでえ面だな、おい」

 

「馬鹿野郎! おまえこそ……!」

 

 こんなときでも軽口をかかさない片割れに、スキッズは言い返しながらも微笑む。

 デバステーターはその知能の低さゆえに標的を双子へと変えたらしく、ゆっくりと迫ってきていた。

 スキッズはマッドフラップを抱き起し、右腕のブラスターを構える。

 もはや、双子のオートボットの命運は尽きたかに思われた。

 

 ロムとラムはラチェットの影でネプギアの戦いを、スキッズとマッドフラップの危機を見ていた。

 再び空中に舞いあがったネプギアはマジェコンヌに押され、地上ではデバステーターが双子のオートボットを踏み潰そうとしている。

 しかし自分たちにはここでこうして震えていること以外、何もできない。

 

 本当に?

 

 本当に自分たちには何もできないのか?

 

「ラムちゃん……」

 

「何? ロムちゃん」

 

 引っ込み思案な姉は、いつもなら自分を引っ張ってくれる妹に声をかける。

 

「わたし、みんなを助けたい……!」

 

「うん、わたしも助けたい!」

 

 いつまでも、無力な自分でいるのはイヤだ。

 愛する姉を、大好きな友達を助けたい。

 

「助けよう!」

 

「うん、わたしたち、二人で!」

 

 不断の決意が、二人の力を引き出していく。

 煌めく光が、幼い姉妹を包んでいく。

 

「ロム…… ラム……」

 

 幼い妹たちの成長に、ブランは胸を打たれる。

 

 幼い姿態を包むのは、白いレオタード。

 姉は青い髪、妹は桃の髪。

 瞳には同じ女神の証を持ち。

 手にはお揃いの長杖。

 

 ルウィーの双輪の女神、二人のホワイトシスターがここに開花した。

 

 強い光に何事かと歩みを止めたデバステーターに、二人のホワイトシスター、ロムとラムはより強化された魔法を放つ。

 

「「アイスコフィン!!」」

 

 人間の姿のときよりも大きな氷塊が、デバステーターの頭に命中する。

 合体兵士は大きく吼えて悶えるが、大きなダメージがあるようには見えない。

 女神化してなお、二人は無力なのか?

 否。

 なぜなら……

 

「よくもやってくれやがったな、このデカブツが!!」

 

「ロム、ラム! こいつは俺たちに任せておまえらは、あのオバサンを!!」

 

「「うん!!」」

 

 二人には強い味方がいるのだから。

 シェアエナジーとスパークの共鳴により傷が治ったスキッズとマッドフラップは、デバステーターの巨体によじ登りゼロ距離での射撃を敢行する。

 小柄な双子に取りつかれ、強化されたブラスターであちこちを傷つけられて、デバステーターは痛みに咆哮する。

 それでも倒れる様子はなく、全身から火器を放ち、身をよじって双子を振り落とそうとする。

 双子は、師となったミラージュが唯一褒めてくれた武器、何者にも負けぬ根性で、巨大な怪物に食らい付き続ける。

 

 そして空。

 

「レイシーズダンス!!」

 

 蹴りと大剣の連続攻撃がネプギアを襲う。

 マジェコンヌは、その強大な力でネプギアを追い詰めていた。

 

「「アイスコフィン!」」

 

 そこへロムとラムの放った氷塊がマジェコンヌ目がけて飛んで来た。

 

「シレットスピアー!」

 

 しかし、軽くかわされ、お返しとばかりに槍を投擲される。

 さらに翼の突起からビーム弾を撃ちだして候補生たちを攻撃してくる。

 そこへ戦闘機姿のスタースクリームが候補生たちとマジェコンヌの間に飛び込んできた。

 

「ひゃ~ははは! なんだなんだ、それで空中戦のつもりか? 俺が本当の飛び方を教えてやるぜ!!」

 

 巻き起こされる強風に、女神候補生たちは体勢を崩してしまう。

 マジェコンヌもまったくの無事ではいられない。体勢を立て直し、乱入者を睨みつける。

 

「スタースクリーム! 貴様余計なことを……!」

 

「なんだよ! ちんたらやってるから、俺様が空での戦いかたを教えてやろうてのによ!」

 

 不満げに言えば、スタースクリームはロボットモードに戻って滞空し、マジェコンヌをせせら笑う。

 

「スタースクリームまで出てくるなんて!」

 

 ネプギアが叫んだ。

 スタースクリームは言動こそあれだが、実力は確かな空中戦の雄だ。

 彼にまで参戦されては、勝ち目は無いに等しい。

 

 ネプギアたちを翻弄するマジェコンヌとスタースクリームを交互にスコープに治めながら、ユニは手の震えを止めることができなかった。

 

 ――アタシ一人だけ、変身できないなんて……

 

 強烈な劣等感が、宿痾のようにユニの心を苛む。

 

 ――お姉ちゃんだって見てるのに……

 

 姉に認めてもらいたい。

 姉に褒めてもらいたい。

 

 ――! どうしてアタシ、お姉ちゃんのことばっかり……

 

 親友が危機なのに。

 

「今は!!」

 

 それどころではないのだ。

 ユニは空の敵目がけて長銃からビーム弾を撃ちだす。

 しかし、ビーム弾はマジェコンヌにもスタースクリームにも当たらない。

 

「当たれ、当たれぇ!!」

 

 危機感が集中力を奪っているうえに、周りではオートボットとディセプティコンが壮絶な戦いを繰り広げているのだ。

 そう簡単に集中などできるものではない。

 

「ユニ……」

 

 必死に戦う妹を見て、ノワールは呟いた。

 いまだ悩めるユニの背中に、いつの間にか接近してきたバリケードがブレードホイール・アームを投げつける。

 だが、それがユニに到達するより早くサイドスワイプが間に割って入り、腕のブレードで殺人ディスクを弾き飛ばす。

 

「ユニ! 何やってる、集中しろ!」

 

 サイドスワイプはあえて厳しい声を出した。

 

「俺が、おまえを守ってやる! どんな攻撃からだろうと! どんな敵からだろうと!!」

 

 若きオートボットの戦士は、そう宣誓する。

 決めたのだ。あらゆる危機から、自分がこの少女を守るのだと。

 

「だから、おまえはおまえのやるべきことをやれ!!」

 

「……ええ!」

 

 黒い女神候補生は力強く頷いた。

 そして、再び長銃を構えてスコープを覗き込む。

 

 ――そうよ、ユニ、標的のことだけ考えるの。

 

 誰よりも勇敢な戦士が守ってくれているのだから。

 不思議な感覚だった。

 集中力は極限まで高まり、敵影へと意識が注がれていくのに、背後で戦うサイドスワイプの気配を鮮明に感じることができた。

 サイドスワイプは、襲い掛かるバリケードとボーンクラッシャーを一歩も通さず、飛来するミサイルを撃墜し、銃弾から身を持ってユニを守る。

 なんて心強いのだろうか。

 頭は冷静なのに、心は燃え上がる。

 背中を守ってくれる戦士の存在が、ユニを一つ上の段階へと押し上げる。

 

 ――見える!

 

 引き金が引かれ、放たれたビーム弾は狙い違わずマジェコンヌの翼の突起を破壊する。

 一発、二発、三発。

 次々と命中させる。

 気付けばユニは光を纏っていく。

 その髪が、渦を描くようなツインテールへとまとまり、姉と同じ美しい銀へと変わる。

 衣服は黒いレオタードへと変化する。

 

 新たなる女神、ラステイションのブラックシスターが、今殻を破って産声を上げた。

 

「この小娘がッ!!」

 

 スタースクリームが異変に気づき、ユニのほうへと向かってくる。

 ジェットブースターによる超高速の突進は、しかし今のユニには呆れるくらい単調だった。

 

「エクスマルチブラスター!!」

 

 緑の光線が、より巨大に新生した長銃から発射され、スタースクリームの顔面に直撃する。

 

「ぐおわぁあああッッ!?」

 

 悲鳴を上げ顔面を押さえて、スタースクリームは無茶苦茶に飛び回る。

 

「方向指示器がおかしくなった! 方角が分からない!!」

 

 情けない声で叫び、スタースクリームは飛んで行く。

 自らが創り出した、アンチスパークフィールドへと。

 

「ぎょうえぇええええ!!」

 

 フィールドに突っ込んだスタースクリームは、たちまち電撃状エネルギーに囚われみっともない恰好で地面に墜落し、そのまま動けなくなった。

 

「迷いはないわ」

 

 そんな航空参謀を無視してユニは高らかに宣言する。

 

「あるのは覚悟だけ!!」

 

「ユニちゃん、カッコいい!」

 

 その姿を見てネプギアが歓声を上げる。

 

「えッ!? ……変身してる?」

 

 自分が女神化していることにやっと気付いたらしい。

 

「やったね! ユニちゃん!!」

 

「すごーい!!」

 

 ラムとロムも褒め称える。

 

「ま、まあ、当然ね! 主役は最後に登場するんだから!」

 

 照れ隠しに自慢して見せるユニ。

 

「うん、そうだね!」

 

 ネプギアは素直に大きく笑う。

 ユニは自分を守ってくれた勇者に向き直り、大輪の笑みを浮かべた。

 

「どう、サイドスワイプ! アタシの女神化した姿、素敵でしょ!」

 

 サイドスワイプは、なぜかユニの姿をポケーッと見つめていたが……その間もバリケードの攻撃をいなしながら……やがてハッとなって答える。

 

「お、おう。イカシてるぜ!」

 

「あたりまえよ!」

 

 その答えに満足したのか、ユニは胸を張るとマジェコンヌに向かって飛んで行く。

 

「ユニ……!」

 

「みんな、素晴らしいですわ!」

 

 見事女神化した自分の妹に、ノワールは涙混じりの笑みを浮かべ、ベールは明るい声を出した。

 ブランも、ネプテューヌも、希望を顔に浮かべる。

 しかし、結界にたまった黒い液体は、すでに女神たちの足元まで迫っていた。

 

 突然、黒い液体が音を立てて脈打ち、無数の人間の手のように形を変えて女神たちの体に纏わりつきだした。

 

「きゃあ!」

 

「なんなの!?」

 

「こ、これは!」

 

 女神たちは悲鳴を上げる。

 怨嗟の声のような不気味な唸り声とともに女神たちに絡みついていくその手は氷のように冷たく、女神たちの体温と体力を奪っていくかのようだった。

 

「ネプテューヌ!」

 

「ノワール! 大丈夫なのか!?」

 

「…………ブラン!」

 

「ベール!」

 

 突然の異変にフィールドの中で倒れ伏すオプティマス、アイアンハイド、ミラージュ、ジャズの四人は残された力を振り絞って、パートナーの名を呼ぶ。

 いったい、これは何なのか。

 

 状況を整理する暇もなく、さらなる事態の変化が女神とオートボットを襲う。

 

「アレハ!」

 

 フィールドの外、ラチェットと撃ち合っていたサウンドウェーブが空の彼方から飛来する何かを察知した。

 ブラックアウトも、グラインダーも、ブロウルも、バリケードもボーンクラッシャーも、デバステーターでさえも、顔に畏怖を浮かべる。

 結界の中で動けなくなっているスタースクリームは、恐怖に身をすくませた。

 空中で女神候補生たちと戦闘を展開していたマジェコンヌは口角を吊り上げ、フィールドのそばにいたワレチューは体を震わせる。

 それらの視線の先では、灰銀色のエイリアンジェットがこちらに向かって飛んでくる。

 

 メガトロンが、帰ってきたのだ。

 

 ついに全員が変身を果たした女神候補生たち。

 女神の力を得たマジェコンヌ。

 突如、異変を見せるアンチクリスタルの結界。

 いまだ健在のデバステーター。

 そして帰参した破壊大帝。

 

 長かったズーネ地区での戦いも、いよいよ最終局面を迎えようとしていた。

 




ネプテューヌVⅡのOPが公開されましたね。すごく良いけど主役が完全に新キャラな件。
トランスフォーマーアドベンチャーは放映まであと少し。楽しみです。

しかし、上司によると仕事が大変なのはここかららしい……

(色んな意味で)頑張らねば。

ご意見、ご感想、お待ちしております。

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