超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION   作:投稿参謀

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第168話 反逆するは我に在り

 走る、走る、惑星サイバトロンに覆われた空の下、ネプテューヌは走る。

 

 瓦礫を乗り越え、

 飛び交う弾雨の下を抜け、

 アイエフやネプギアの援護を受けて、

 自分に車の姿で突撃してきた敵をバンブルビーが受け止める後ろを、

 ディセプティコンと取っ組み合うスティンガーの脇を、

 顔面から砲塔を生やして戦闘艇を撃ち落とそうとしているロックダウンの股下を潜り、

 自分に跳びかかろうとしたディセプティコンの首がラチェットの回転カッターで斬り飛ばされるのを横目に、

 敵の砲撃から自分を庇った人造トランスフォーマーが爆炎に包まれることに唇を噛みしめ、

 

 愛しいヒト(オプティマス)のもとへ走り続ける……。

 

 プラネタワー跡のクレーター、そこに立てられている十字架が見えた。

 

「もうちょっと……!」

 

 爆炎で髪の先や服が焦げるのにも構わず、

 割れたガラスの破片で膝を切ろうとも、

 銃弾が頬をかすめて熱さと痛みにも顔を歪めることなく、

 飛んで来た石か何かが頭にぶつかって流れた血を拭い、

 転んで泥に塗れても立ち上がって、

 

 それでも、走ることを止めない。

 

「ネプテューヌ君! 急げ!!」

「『GOGOGO!!』」

「行きなさい! ネプテューヌ!!」

 

 ラチェットやバンブルビー、アーシーの声が聞こえる。

 

「ネプ子! 行きなさい!!」

「あとちょっとです!!」

「お姉ちゃん、頑張って!!」

 

 アイエフ、コンパ、そしてネプギアの声援を受ける。

 

 そしてついに、オプティマスが磔にされた十字架の麓に辿り着いた。

 

「オプっち……」

 

 見上げれば、物言わぬ亡骸のまま、そこにオプティマスはいた。

 胸に大穴が空き、身体のあちこちが傷つけられ、パーツも一部毟り取られている。

 身体に書かれたサイバトロンの言葉は、言うのも憚れるような内容だ。

 顔も殴られて歪んでおり、かつての精悍さは失われていた。

 

 映像で見て覚悟していたつもりだったが、実際に見たその姿はあまりに無残だった。

 

「今、生き返らせてあげる……!」

 

 瓦礫を組み上げて作られた十字架は、出っ張りやへこみが多く、何とかよじ登ることが出できそうだった。

 ネプテューヌはすぐに、十字架に手を掛け…………上からの砲撃で、弾き飛ばされた。

 

「ねぷねぷ!!」

「ネプ子!!」

 

 アイエフとコンパが叫んだのが聞こえた。

 身体が10m近く吹き飛ばされ、地面に落ちてゴロゴロと転がる。

 

「が、はあ……!」

 

 息を吐いて立ち上がろうとするが、血を吐いた。

 身体がかつてなく痛い。

 ひょっとしたら骨が何本か折れているかもしれない。

 霞む目で見れば、爆発の余波で十字架が倒れるのが見えた。

 

「お姉ちゃん!!」

「まちなさい、ネプギア……きゃあああ!!」

 

 ネプギアやアイエフたちがネプテューヌを助けに走ろうとするが、さっきと同じ砲撃が上から降り注ぎ、彼女たちの動きを止める。

 

 次いで、二つの影が戦場の真ん中に落ちてきた。

 プルルートとピーシェだ。

 

「ぷるるん! ぴーこ!」

「ごめんね、ねぷちゃん、ちょっとドジ踏んじゃったわぁ」

「あいたたた……」

 

 ダメージを受けた様子ながらも立ち上がるプルルートとピーシェの前に一つの影が舞い降りた。

 

 それは、何処かオプティマス・プライムに似た姿をしていた。

 それは、しかしオプティマスよりさらに二回りは大きく、色は神々しい白銀だ。

 それは、右肩に長大なビーム砲を備え、両下腿にも二門ずつのビーム砲が設置されていた。

 それは、背に翼とスラスターを持ち、翼の先端にもビーム砲が備わっていた。

 それは、両手に大口径のブラスターライフルを握っていた。

 それは、オプティマスによく似た顔の部分の装甲を展開し、中の素顔を露出した。

 ネプテューヌは、それの名を呼んだ……。

 

「センチネル……!」

 

 センチネルはニヤリと笑うと見せつけるようにして足元に手を伸ばす。

 そこには、光り輝くマトリクスが転がっていた。

 

「ッ!」

 

 ネプテューヌは首から下げていたはずのマトリクスがなくなっていることに気が付いた。

 攻撃された時に、はずみで外れてしまったらしい。

 

「ああ、やっと手に出来た……これは私の手にあるべきだ。私はプライムなのだから」

 

 何処か感慨深げなセンチネルだが、ネプテューヌはそれどころではない。

 ここまで来て、諦めるワケにはいかないのだ。

 

「いいや、それは貴方には相応しくない!!」

「『返せ!!』『それは司令官のだ!!』」

 

 ラチェットがまるで猛犬のようにセンチネルに襲い掛かり、反対側からはバンブルビーも飛びかかるが、センチネルは頭部の装甲を閉じる、

 それだけで、躱すことも防御することもない。

 

 必要ないからだ。

 

 事実、ラチェットの回転カッターもバンブルビーのゼロ距離射撃も、センチネルのアーマーに傷一つ付けることができない。

 

「ッ! 『硬い……!』」

「無駄だ。このエイペックスアーマーに、貴様ら如きの攻撃は効かん」

「エイペックスアーマー……古代オートボットの遺産の一つか!」

 

 ラチェットは、センチネルのアーマーの正体に戦慄する。

 エイペックスアーマーとは、サイバトロン最強の鎧であり、破壊不可能と言われている。

 すぐさま距離を取って再攻撃に移ろうとする二人に、センチネルは手に持ったブラスターライフルを発射する。

 バンブルビーは避けたがラチェットには光弾が命中する。

 

「ぐわああああ!!」

 

 大きく吹き飛ばされるラチェット。

 バンブルビーは、素早い動きでセンチネルに組み付き、スティンガーはブラスターで援護する。

 ロックダウンはブラスターに変えた腕を撃とうとし、アーシーは懐に飛び込もうとする。

 

「サンダーブレード!」

「ハードブレイクキック!!」

 

 そこへ、プルルートとピーシェが、強力な電撃を纏った蛇腹剣と渾身の飛び蹴りを繰り出す。

 アイエフとコンパも援護射撃しようとし、その間にネプギアは姉を助けるべく走る。

 

 だがその誰よりもセンチネルの動きは早かった。

 

 エイペックスアーマーの全身に配置された砲が一斉に光弾を噴く。

 発射された強大なエネルギーは分散し、破壊の雨となってオートボットたちに等しく降り注ぐ。

 

「ぐわああああ!!」

「きゃあああ!!」

 

 相次ぐ爆発と破壊音で、悲鳴が誰の物かも分からない。

 

 ネプテューヌは、それを茫然と見ていた。

 身体が動かず、見ていることしか出来なかった。

 どこかに力を入れようとしても、入らない。

 辺り一面が火の海で、仲間たちの姿は見えない。

 

 炎に照らされて、センチネルがこちらを向く。

 

「……お前たちは良く頑張ったよ。本当だ。心の底から感心している」

 

 本心かは分からないが、センチネルはネプテューヌを褒め称える。

 しかし、それを嬉しく思う余裕など有るワケがない。

 

「しかし、ここまでだ」

 

 ブラスターライフルの銃口が、ピッタリとネプテューヌの頭に狙いを付け、引き金を引こうとする。

 それでも、ネプテューヌは諦めない。

 まだ目は死なず、隙を窺い、激痛に耐えて体を動かそうとする……。

 

 だが、絶望はさらに続く。

 

 突然、空に光が柱のように立ち昇った。

 その光には見覚えがあった。

 時空を超えて離れた場所を繋ぐ、スペースブリッジだ。

 

 光の中から、次々と戦艦や降下艇、戦闘艇が現れる。

 ディセプティコンの援軍が、サイバトロンから転送されてきたのだ。

 

「そんな……」

 

 その光景は、ネプテューヌをして、ついに絶望させうるには十分だった。

 

  *  *  *

 

「空を見ろ!」

「敵の援軍か……!」

 

 空中神殿を目指す一団からも、それは見えていた。

 ザンディウム号で到来した援軍を加えても、数の理はあちらにあり正直状況が好転していたとは言い難かった。

 そこに来ての敵の増援。

 

「サイドウェイズ、サイドウェイズ! こちらアリス! 我、支援砲撃を求む! 片っ端から撃ち落としてやりなさい!!」

『……すまないアリス。それはできない』

 

 アリスはすぐさま山に潜んでいる狙撃手に通信を飛ばす。

 しかし、サイドウェイズの返事は望んでいたものと違った。

 

「な……!? サイドウェイズ、何を言ってるの!?」

 

 混乱するアリスだが、状況はさらに悪化する。

 

「クソが、そろそろ役満だぜ! テメエらも来たってワケか! コンストラクティコン!!」

 

 レッカーズの一人、レッドフットが睨む先では、ビルの影から巨大な影……神話の怪物のようなデバステイターが、のっそりと顔を出した。

 建機集団コンストラクティコンが合体した巨大な獣は、大気を鳴動させる咆哮を上げると、こちらに向かってきた。

 

 アリスは、もう一度サイドウェイズに援護を乞う。

 

「サイドウェイズ! お願い、砲撃して! このままじゃ全滅よ!!」

『いいやアリス、大丈夫だ。だってあの援軍は……』

 

  *  *  *

 

 襲来した新たなディセプティコンに、オートボットと女神は揃って混乱していた。

 しかし混乱しているのは彼らだけではなかった。

 

「な!? これは……どういうことだ!?」

 

 アーマーの顔部分を開いて光の柱とディセプティコンを見上げ、センチネル・プライムこそが、最も困惑していた。

 スペースブリッジを使えるのは、彼のみ。しかし今、確かに異星への橋は掛けられている。

 いやそもそも、ラステイションでの戦いで損傷した中心柱は、まだ修理を終えていないのだ。

 

 そんな中、地に伏していたプルルートはヨロヨロと立ち上がった。

 空に広がる光景に、柄にもなく諦めそうになる。

 

「ふむ、状況把握。実に論理的ではない」

「…………ッ!」

 

 その時、不意に聞こえた台詞にそちらを向いた。

 いつの間にか、紫の筋骨隆々とした男性を思わせる体躯と、赤い単眼を光らせるディセプティコンが立っていた。

 

 科学参謀ショックウェーブだ。

 

「ショッ君……!」

「しばらくだな、プルルート。極めて非論理的だが……会えて嬉しいぞ」

 

 再会に表情を硬くするプルルートに、ショックウェーブは静かに言う。

 その手には、スペースブリッジの中心柱が握られていた。

 

「それは……! 貴様がスペースブリッジを起動したのか!? しかし……」

「『しかし、壊れていたはず』かな? それとも『しかし、自分にしか使えないはず』だろうか?」

 

 センチネルの質問を先読みしたショックウェーブは平静なまま言葉を続ける。

 

「壊れていたのは、もちろん私が修理した。そしてセンチネル・プライムにしか使えないと言うのは、あくまでも技術的な問題であって何かしかのセキュリティがあるワケではない」

「だからこそだ! そのスペースブリッジの構造は、儂にしか把握できん!」

「ふむ、その言葉は論理的ではないな」

 

 ショックウェーブの単眼がギラリと輝いた。

 怒りと、愉悦に。

 

「私の頭脳を、舐めてもらっては困る。時間は掛かったが、これの使い方は習得した。幸いにして、観察する機会には恵まれたのでね」

「そんな機会がいつ……!?」

 

 センチネルは自分の背中から一匹の羽虫が飛び立ったことに気付いた。

 その虫は、金属の体と赤い眼を持っていた。

 

「インセクティコン……!」

「ラステイションでの戦いで、お前は複数回に渡りスペースブリッジを使用した。特等席で見させてもらったよ」

「おのれ……!」

 

 目にもとまらぬ速さで手を伸ばしインセクティコンを握り潰したセンチネルは、ショックウェーブを睨み付ける。

 しかしショックウェーブは先代プライムへの興味を失ったように視線を移す。

 真っ赤な単眼には、困惑しているプルルートのみが映し出されている。

 

「そんな表情は君らしくないな、プルルート。君はもっと、堂々としているほうがいい」

「……ハッ! 久し振りに会えたと思ったら、随分な口ぶりじゃないのよぉ!」

 

 顔に獰猛な笑みを浮かべ、蛇腹剣を握り直すプルルートに、ショックウェーブは微かに満足そうだった。

 センチネルは、ハッとなって全身の砲を構える。

 ショックウェーブがスペースブリッジを開いたなら、それは何のためか?

 

「貴様……あの援軍は、まさか!?」

 

  *  *  *

 

『あの援軍は…………俺たちの味方だからな!!』

 

 サイドウェイズがそう言うのと、デバステイターが地上のディセプティコンに襲い掛かったのは、ほぼ同時だった。

 

 巨体でディセプティコンたちを踏み潰し、背中から発射するミサイルで戦闘艇を撃ち落とす。

 それだけではない。

 上空では、スペースブリッジから現れた戦艦が、すでにいた戦艦に砲撃を初めていた。

 さらに何処からか大型輸送ヘリの姿で飛来したブラックアウトとグラインダーの義兄弟がロボットモードに変形するや着地し、プラズマキャノンで並み居る雑兵を薙ぎ払う。

 地中から現れたスコルポノックが、巨体のディセプティコンを不意打ちで仕留める。

 ブロウルがその頑強な身体で、敵の砲撃からオートボットを庇う。

 

「ブラックアウトのオッサン……」

「……ふん! 寝ぼけている暇があるなら撃て!!」

「案ずるな、味方だ。の意だ」

 

 思わぬ味方に、スキッズが驚愕しているとブラックアウトは厳しく言い放ち、グラインダーがそれを噛み砕いて伝える。

 一瞬キョトンとしたスキッズだが、ニッと笑うとヘリに変形して飛び立とうとしたブラックアウトのスキッドに掴まる。

 

「うお!? お、おい小僧、何をする!」

「いいじゃん、硬いこと言いっこナシだって! ……おおお! すげえ! ホントに飛んでる!!」

「すっごーい! 空飛ぶスキッズだー!!」

「はしゃぐな! 落ちても知らんぞ!!」

 

 騒ぎながらもしっかり眼下の敵を撃つスキッズと、それを見て歓声を上げるラムに、ブラックアウトはピシャリと言う。

 いきなり仲良さげな彼らに対し、他の多くの女神やオートボット、人間は困惑していた。

 

「どういうこと……!」

「ディセプティコンが味方ですって!?」

 

 戸惑いの声を上げるブランやユニだが、ノワールはデバステイターを見上げて問う。

 

「信じても?」

 

 合体兵士は、咆哮で答えとした。

 どうやら、肯定であるらしい。

 

「……なら、いいわ。渡りに船よ、進みましょう!!」

「敵の敵は味方、ってことにしておくか!!」

 

 アイアンハイドも頷き、両腕の砲をデバステイターに当たらないようにして撃つ。

 信用できるかどうかは別にして、迷っている暇はない。

 

 連合軍は再び前進を開始した……。

 

  *  *

 

 撃ち合いを始める艦隊を見上げ、センチネルは怒りにワナワナと拳を震わせる。

 

「馬鹿な……!! 寝返っていただと!? しかしそれなら、報告の一つもこないのは不自然……そうか! サウンドウェーブか!!」

 

 衛星軌道上に浮かんでいるはずのサウンドウェーブなら、反乱が起こったとしても通信を妨害して、それがこちらに伝わることを防ぐことが出来るはず。

 そして、その黒幕はメガトロン以外には有り得ない。

 しかし、納得できないことがある。

 

「だとしても……だとしても! いったい誰がケイオンのディセプティコンたちを寝返るよう誑かしたというのだ? メガトロンはこちらにいた、奴以外の何者が軍を率いることができる……!?」

「ふむ、意外と鈍いな。こと、この分野に置いては彼以上の適任はいないだろう?」

 

 変わらず無感情に返しショックウェーブは、空の一点を視線で指した。

 エイリアン・タトゥーが全体に刻まれたステルス戦闘機が、魔物のような不規則な動きで戦闘艇を翻弄し、矢継ぎ早に撃ち落としている。

 それを見上げて、センチネルがその名を呼ぶより早く、立ち上がって声を上げる者がいた。

 

「すたすく……? すたすくー!!」

 

 もちろん、ピーシェだ。

 髪やプロセッサユニットは煤けているが、大きなダメージはないらしい。

 幼い心を持った女神は、自分のヒーローの名を叫ぶ。

 

「すたすくー! すたすくー!」

 

 それが聞こえたのだろうか?

 スタースクリームは宙返りして見せた。

 

「わーい! すたすく、カッコいいー!」

 

 両手を上げて大喜びするピーシェだが、センチネルは愕然としていた。

 

「奴が、メガトロンのために動いたというのか……!? あの、生まれついての反逆児が、裏切りの代名詞が、誰にも従わぬスタースクリームが!!」

 

 心の底から驚愕した様子で、センチネルは叫ぶ。

 それほどまでに、スタースクリームの行動は予想外だった。

 彼の知る航空参謀は利己の塊だった。

 どれほど取り繕っても、その性は邪悪にして狡猾であり、その正体は幼稚な小悪党だった。

 

 だからこそ、ラステイションの戦いの後に姿を消しても大した事はできないだろうと放っておいたのだ。

 

「センチネル・プライム。君の知性は賞賛に値するが……どうやら、情報の更新を怠っていたようだな。我々はゲイムギョウ界に来て……変わったのだ」

 

 ショックウェーブは平然と、しかしどこか強い意思を感じさせる声で言う。

 その言葉に、センチネルは思わず失笑する。

 

「変わった? お前たちが? 悠久の時を、飽きもせずに殺し合い続けてきたお前たちが、この世界に来て劇的に変わったと言うのか? 第一、ならばメガトロンは何処に……」

 

 そこまで言って、センチネルはハッとなって空中神殿を見上げた。

 スタースクリームが援軍を寝返らせ指揮し、サウンドウェーブがその情報を遮断し、ショックウェーブが彼らをここへ招いた。

 ならば、それを指示したであろうメガトロンの目的とは……。

 

  *  *  *

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

「……………」

 

 空中神殿の中枢、悲鳴を上げ続けるレイの前で、ザ・フォールンは瞑目していた。

 

 新たな女神の登場、オートボットの援軍、さらにはディセプティコンの裏切り……。

 イレギュラーもここまで来ると、逆に落ち着いていた。

 そして次に来ることも分かっていた。

 

 彼はディセプティコンの祖であるが故に。

 

「来たか……メガトロン」

「ええ、来ました。師よ」

 

 当然の如く、メガトロンが部屋の入り口に立っていた。

 すでに腑抜けた様子は一切なく、立ち振る舞いは覇気と決意に満ち……しかし今日の彼は君臨する王者ではない。

 今のメガトロンは、かつて闘技場で初めてリングに上がった時と同じ、挑戦者だ。

 

「師よ……レイを返してもらいにきました。……その女は、俺の物だ」

「……く、くはは、はははは!!」

 

 堪えきれないとばかりに、ザ・フォールンは嗤いだした。

 

「これだけのことを起こして、この俺に逆らい……求めるのは、女一人か。破壊大帝などと名乗る者が落ちぶれたものよ……!」

「それだけではない」

 

 煽られてもメガトロンは動じず、右腕をフュージョンカノンに変形させる。

 

「返してもらうぞ。俺たちの、餓鬼どもの、ディセプティコンの未来……!!」

「よかろう、今や貴様もまたイレギュラー。この場で処分してくれる……!!」

 

 メガトロンとザ・フォールン。

 欺瞞の民の、その頂点に立つ二人の戦いが始まった。

 




やっと反逆開始。

今回の解説。

反乱にあたり、各員の役割。
スタースクリーム:離反したと見せかけてサイバトロンに向かい、ケイオンにいる軍を寝返らせる。
サウンドウェーブ:通信を妨害(または捏造)して反乱が漏れないようにする。
ショックウェーブ:スペースブリッジを修理、操作して軍団を呼び寄せる。
メガトロン:ザ・フォールンに挑む。レイの救出。

こんな感じです。

エイペックスアーマー
センチネルが着こむのは、メガトロン・オリジンのネタ。
プライムでスタスクが着こんでたことで有名だけど、本来は超神マスターフォースのゴッドボンバーのことらしい(ゴッドボンバーの英語名が、エイペックスボンバー)
なので、その姿はゴッドジンライをモチーフにしていたりします。

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