超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION   作:投稿参謀

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最後の騎士王、コグマンなる新キャラが鍵を握っているようですが……。
情報によると、名優アンソニー・ホプキンス(レクター博士で有名な人)演じる貴族の忠実な仲間で、内心に怒りを抱えていて性格は卑劣……どういう風にストーリーにかかわってくるんでしょう?

※いやまさか、投稿した直ぐ後に新PVが出回るとは思わんかった。……すげえことになってますね。


第133話 オプティマス対メガトロン part4

 月。

 

 ゲイムギョウ界に寄り添い、夜を照らす衛星。

 古来より、人々の想像力と好奇心を掻き立て、あるいは魔性の者と強く結びついていると言われる星。

 その実態は生命の存在しない岩と砂の星であり、この地を踏んだ者は数えるほどしかいない。それも随分と昔の話だ。

 

 しかし、今日は久方ぶりに命有る者が荒涼とした月面に落ちてきた。

 

 無論、オプティマスとメガトロンだ。

 

 二人は地面に落下するより早く離れ、距離を取って月の大地に降りる。

 

「ネプテューヌ! 大丈夫か!」

『うん平気! シェアもまだ来てる! ……あ、うわあ』

 

 ネプテューヌは、合体しているオプティマスの目を通じて宇宙に輝く星を見た。

 深い青に輝く真球の……言葉に出来ないほど美しい星だ。

 

『あれが……ゲイムギョウ界なんだ。本当に真っ青なんだね。でも映像で見るのと全然違うや。なんていうか、凄く……綺麗』

 

 命の溢れる星の、その輝きに心奪われるネプテューヌだが、オプティマスは冷静に敵の出方を見ていた。

 対面に着地したメガトロンは、全身から黒いオーラと稲妻を立ち昇らせディメンジョンカノンを発射。着弾より一瞬早く、オプティマスは横に走って光線を躱す。

 しかしメガトロンは光線を発射し続けながら体ごと腕を動かし、薙ぐようにオプティマスを狙う。

 破壊光線とそれが地面に当たって巻き起こる爆炎から逃げながら、オプティマスは背中のスラスターを噴射して飛び上がる。

 

「消え去れぇぇええええ!!」

 

 背中や頭、メガトロンの体から放たれた雷が集まっていくつもの球体になり、それがオプティマスに向けて殺到する。

 ジェットスラスターを吹かして後退したオプティマスは、動き回りながらヴァイオレットバルカンで雷球を撃ち落としていく。

 メガトロンは空中を飛び回るオプティマスに向け、拡散モードでディメンジョンカノンを撃つ。

 オプティマスはいく筋にも分かれた光線の隙間を縫うように飛び、躱し切れない光線を防壁を張って防ぎながらメガトロンに向かって突撃する。

 

「オプティマァァァァス!!」

 

 咄嗟にメガトロンは砲に力を溜め、自分に向かって来るオプティマスに向ける。

 異次元から引き出された破壊の光が放たれる……その瞬間。

 メガトロンに肉薄したオプティマスは右腕のプラネティックキャノンを突き出し、その砲口を相手の砲口に重ねて発射した。

 二人の武器から放たれるエネルギーが干渉し合い、弾ける。

 爆発によってそれぞれ後方に弾き飛ばされた二人は、すぐさま体勢を立て直した。

 大きく咆哮を上げ、メガトロンは手の中に剛剣ハーデスソードを召喚する。

 

「オプティマス! オプティマァァァァス!! 許さぬ! 許さぬぞおお! オートボットも、女神どもも、ゲイムギョウ界の連中も! 殺して、殺して、殺し尽くしてくれる!!」

 

 怨念を垂れ流す宿敵に、オプティマスは奇妙な感覚を覚えた。

 今まで永く……永遠とも思えるほど永く戦ってきたが、こんなにも恨み節を言う続ける姿は初めて見た。

 

 同時に酷く不愉快と感じた。

 

 メガトロンは憎むべき敵だが、その信念の強さは認めていた。ずっとずっと昔から。

 だが、今の彼に信念は無い。

 そのことが、不愉快でならなかった。

 

「そうはさせない。ゲイムギョウ界も私自身の命も、貴様にくれてやるワケにはいかない。……ネプテューヌのために」

 

 その言葉を聞いて、メガトロンは嘲笑と憤怒がない交ぜになった顔をした。

 

「ハッ! 愛か! 愛が何の役に立つ!! 愛だの情だの、そんな物は自己満足に過ぎん!」

「いつか誰かに言った。愛は私の力の源だと。……私自身、その言葉の意味を真には理解していなかった。だが、今なら分かる」

 

 オプティマスの体から、虹色のオーラがメガトロンの黒いオーラに負けない勢いで噴き出す。

 

 それはシェアエナジーだ。

 

 信頼の、友情の、希望の、……愛の力だ。

 

 同時に、愛刀テメノスソードが、その手の内に現れる。

 

 剣を構えた両者は雄叫びと共に相手に斬りかかる。

 攻撃する時に出来る一瞬の隙。それを狙い、相手の手を読み合って。

 

 剣閃が閃き、両雄が交差する。

 

 結果は……相打ち。

 

 オプティマスの顔を覆うバトルマスクが砕け、メガトロンの右側頭部の角が落ちる。

 

 だがお互いにダメージに拘らず、雄叫びを上げて剣を振るう。

 

 斬る!

 

 テメノスソードがメガトロンの肩の装甲を斬り飛ばす。

 ハーデスソードがオプティマスの左の翼を中ほどから断つ。

 

 斬る、斬る!

 

 オプティマスの胸に一文字に傷が走る。

 メガトロンの胸に斜めに大きな傷が刻まれる。

 

 斬る、斬る、斬る!

 

 互いに一太刀一太刀に、意地を、魂を込める。

 剣を振るう度に、剣が閃く度に、両雄の身体に傷が増えエネルゴンが散る。

 

 斬る、斬る、斬る、斬る!!

 

 いったい何度目になるか分からない打ち合いの末、オプティマスとメガトロンはバックステップで距離を取る。

 

『ッ……!』

「ネプテューヌ、大丈夫か!?」

『少し痛いけど、これくらいヘッチャラ!』

 

 合体時のダメージは、オプティマスが優先的に請け負っているが、それでも大き過ぎるダメージはネプテューヌにも負担をかける。

 ただでさえ、オプティマスは先ほどの戦いで大きく傷ついている。シェアの共鳴で回復したとはいえ、これ以上の長期戦は無理だ。……そしてそれはメガトロンも同様だ。

 

 故に、オプティマスとメガトロンはお互いに愛刀に全ての力を籠めていく。

 ただ一撃、一撃を持って全てを終わらせるために。

 

 メガトロンがさらなる力を合体しているレイから絞り出す。

 悲鳴のような声が上がり、メガトロンのオーラが大きくなってゆく。

 

 オプティマスとネプテューヌが、心を合わせてさらなるシェアエナジーを引き出す。

 テメノスソードを包む光が輝きを増していく。

 

 両雄の間に流れる殺気と緊張感が高まりに高まり最高潮に達すると、まるで質量を持つかのようにぶつかって……弾けた。

 

「おおおおおおッ!!」

「はあああああッ!!」

 

 発声回路も割れよとばかりの咆哮と共に、オプティマスとメガトロンの剣が衝突し、莫大なエネルギーとエネルギーがぶつかり合って……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてハーデスソードの刀身が砕け散った。

 

 

「な、なんだとぉぉおおおおッ!?」

 

 オプティマスとネプテューヌの全ての力を込めた一撃が、メガトロンの金属の肉体を大きく傷つける。

 

「ぐわあああぁぁああああッッ!!」

 

 凄まじい衝撃によって、メガトロンは遥か後方まで弾き飛ばされ、月面に仰向けに倒れた。

 

 それでも合体を解かず、スパークを燃やして体をギシギシと軋ませながらも立ち上がろうとする。

が。

 

 

「ぐ、ぐおお……」

 

 もはやシェアの共鳴があってなお限界を超えた肉体は精神に付いてはこれず、指の一本さえも動かすことは敵わなかった。

 オプティマスはゆっくりと、メガトロンに近づいていく。

 

「おのれぇええ……条件は同じだったと言うのに……!!」

「いいや。お前はレイを利用していただけだ。お前はこの大事に一人で戦うことを選んだが、私は……私たちは二人だった。それだけの差だ」

 

 メガトロンはレイの力を無理やり引出していたが、オプティマスはネプテューヌと力を合わせていた。それが、勝敗を僅差で分けたのだ。

 しかし、メガトロンはなおもギラギラと憎しみでオプティックを燃やしていた。

 

「殺せオプティマス! 俺の息子を殺したように、俺のことも殺すがいい!」

「……何を言っている?」

『ああ~……そこで行き違いがあったかー』

 

 呪いに満ちた言葉に、しかしオプティマスは戸惑う。

 一方で、ネプテューヌは得心がいったとばかりだ。

 

「俺の息子、俺のCNAを継いだガルヴァ……やっと言葉が話せるようになったばかりだったのに……!」

 

 言葉を発しながら、メガトロンは全身をチェックして反撃の機会をうかがっていた。

 エネルギーを腕に集中し、右腕のディメンジョンカノンを密かに発射できるようにする。

 

「子供だと? 何を馬鹿なことを言っている。我らトランスフォーマーに子供を作る機能など無い」

『いや、オプっち。それが出来ちゃったみたいなんだよこれが。……うん、一回落ち着いて話そう。わたしがずっと黙ってたのが悪くもあるし』

 

――この身果てるとしても、オプティマス! 貴様だけは……!

 

 言い合うオプティマスとネプテューヌに、メガトロンは好機と見てディメンジョンカノンを向けた。

 その瞬間、顔面に何かが落ちてきた。

 

「ッ!? 何だこれは!」

「何……!」

『え、え? 嘘!?』

 

 貴重なエネルギーを消費して顔に張り付いた物を掴んで見れば、それは赤とオレンジの体色を持った、トランスフォーマーの幼体だった。

 深い青のオプティックが、オートボットであることを示している。

 面食らうメガトロンだったが、その雛は何故か酷く嬉しそうにしていた。

 

「ロディマス!? 何故ここに!」

 

 仰天しているオプティマスの様子を見て、メガトロンは察した。

 何故かは分からないが、メガトロンはこの雛から確かにオプティマスを感じた。

 

「なるほどな……これは貴様らの子か」

『ええええ! そっちに勘違いしちゃう!?』

 

 こちらも死ぬほど驚いているらしいネプテューヌに構わず、その雛を手に握って潰してやろうとする。

 自分の子が死んだのだ。奴らの子も死ぬのが道理だ。

 

「ッ! 待て、メガトロン!!」

『ダメ、ロディマスはあなたの……』

 

 喚くオプティマスたちにニヤリと歪んだ笑みを返したメガトロンは、雛を一息に握り潰してやろうとするが、凍りついたように手が動かない。

 

「ッ? 体が動かん……!」

『……違う。違うの……メガトロン様……聞いて、この子は……』

「レイか!?」

 

 メガトロンと融合していたレイが、意識を取戻してメガトロンの体の自由を奪ったようだ。

 

「レェェェイ! 貴様まだ邪魔をするか!!」

『駄目ですよ……この子を……殺しちゃあ……』

「俺の子が死んで、奴の子が生きている! 不公平ではないか!! 奴らに、同じ苦しみを与えてやる!!」

 

 慟哭するメガトロンに、レイは力を振り絞って真実を告げる。

 

『違うんです……この子も、あなたの子供……』

「………………なんだと?」

 

 当然のことながら、メガトロンにはレイの言うことが理解できなかった。

 

『タリで……行方が分からなくなった、卵……それから生まれたのが、この子なんです……』

「あの時の……いや、やはり有り得ん」

 

 筋は通っている。

 しかしメガトロンはレイの言葉を受け入れられず、頭を振った。

 

「この餓鬼は……オートボットではないか。俺の遺伝子を継いでいるなら、ディセプティコンのはずだ」

『それは……私にも分かりません。でも、感じるはずです……その子のこと』

 

 メガトロンはもう一度、手の中の雛に目を落とした。

 ロディマスはようやっと会うことが出来た父の手を愛情を込めて甘噛みする。

 その感触は、伝わってくる温もりは、確かにガルヴァたちと同じ物を感じさせた。

 混乱するメガトロンだが、それはオプティマスも同じだった。

 

「ロディマスが……メガトロンの子供だって? いやしかし、ラチェットが言うのは確かにオートボットのはずだが……」

『でも、そうなんだよ。……ごめん、黙ってて』

 

 申し訳なさそうなネプテューヌに、しかし怒りは湧いてこなかった。

 最初の段階でメガトロンの子だと知らされていたら、自分はロディマスのことを受け入れることが出来なかったかもしれない。

 

『わたし、オプっちのこと、信じきれなかったよ……』

「ならば、今度は信じてもらえるように頑張るよ。大丈夫だ」

『オプっち……あ、それとガルヴァって子のことなんだけど……』

 

 ネプテューヌは、頃合いと見てメガトロンにガルヴァの現状を告げようとする。

だが……。

 

「いや、いいや! やはり有り得ん!!」

 

 突然、メガトロンが叫んだ。

 

「俺の子がオートボットだと!! レイ、またしても俺を謀る気か!!」

『め、メガトロン様、落ち着いてください……! 子供の前でそんな……』

「……そうか貴様、さてはこの餓鬼はオプティマスとの子だな!!」

『は……はあぁぁッ!? 何でそうなるんです! 思い込み激しいのもいい加減にしてください! 本当、オプティマスへのコンプレックスをいつまでも引きずって!! 豪快そうに見えて小心なんだから!!』

「小心!? 言うに事欠いて俺が小心だとう! だいたい、思い込みの激しさ云々を貴様に言われたくないわ!!」

 

 急に喧嘩を始めたメガトロンとレイに、オプティマスとネプテューヌは面食らう。

 

「こ、これはいったい……?」

『ああ……犬も食わない系のあれじゃないかな。でもロディマスの教育にも悪そうだしちょっと止めないと』

 

 戸惑うばかりのオプティマスだったが、ネプテューヌに促されて、喧嘩を続ける二人の間に割って入る。

 

「君たち、ちょっと止めないか。子供の前で」

『やかましい、お前は口を挟むんじゃあない!!』

「アッハイ……」

 

 しかし、こんな時ばかり声を揃える敵方二人に怒鳴られて引き下がる。

 

「そもそも貴様と言う奴は、貞操観念が緩いのだ! 愛しているとか言いながら他の男と仲良くしおって!! あの教授とはどういう関係なのだ!!」

『トレイン教授とは、何でもないわよ!! それなら、あなただっていっつもいっつも! オプティマスのことばっかり!! コンプレックスってレベルじゃないわよ! 本当に同性愛者じゃないんでしょうね!?』

「断じて違う!! 俺は普通に異性愛者だわい!! 貴様が一番良く知っておろうが!!」

 

 言い争い続ける二人だが、それを間近で見上げる者がいた。メガトロンの手の中にいるロディマスである。

 内容までは理解できないが、二人が喧嘩しているのは分かる。

 

 そして父と母の仲が悪ければ、子が悲しく思うのは真理だ。

 

 だから、ロディマスは大声で泣き出した。

 

『ちょっと、二人が喧嘩するから、ロディマス泣いちゃったじゃん!!』

『ああ、泣かないで~!』

「むうッ!?」

「…………」

 

 怒るネプテューヌとオロオロするレイ。驚くメガトロンに、そして完全に置いてきぼりのオプティマス。

 

 オートボットとディセプティコンにこのヒト有りと謳われた英雄二人も無く子には形無しだ。

 闘争の空気がすっかり白けてしまった。

 思わず、メガトロンが一喝する。

 

「ええい! 男なら泣くでないわ!! ……む?」

 

 しかし、ロディマスが一際大きく鳴くと、突然、一同の頭上の空間が歪み、星空に『穴』が開いた。

 『穴』はロディマスの泣き声に呼応するように大きくなっていき、同時に『穴』から発生する引力に引かれて、月面の小石や土埃が舞い上がる。

 

『ポータル!? それもこんなに大きな! まだ小さい子なのに、なんて力!!』

 

 レイは、すぐにそれが自分の力によって生み出す空間の裂け目と同じ物だと気が付いた。

 

『いけない! あれに吸い込まれたら、何が起こるか分からないわ!!』

 

 唯でさえ、ポータルについてはそれを操り空間を飛び越えることを可能としているレイにとってさえ未知の部分が多い。

 それも一人で通るのが限界なのに、こんな人数で入ったりしたら、どうなるか全く予想できない。

 

「ロディマスがやっているのか!?」

『何にしても、これヤバい感じ!』

「…………」

 

 驚愕するオプティマスとネプテューヌ。

 そしてメガトロンは唖然と中空に開いた穴を見上げていた。

 

『メガトロン! 何してるの、早く逃げて!!』

「ッ!」

 

 レイに言われて正気を取り戻したメガトロンだが、負傷のせいで満足に動くことが出来ない。

 灰銀の巨体が宙に浮き上がり、ポータルに引き寄せられていく。

 

「ロディマス!!」

 

 オプティマスはジェット噴射してロディマスを救出しようとするが、渦の力はどんどんと増していき、思うように身動きが取れない。

 

「ほわあああ!!」

「ぬおおおお!!」

『おわあああ!!』

『きゃあああ!!』

 

 オプティマスとメガトロン、ネプテューヌとレイ、そしてロディマスは、引力の渦に翻弄されたままポータルの中へと吸い込まれていった。

 

 一同を諸共飲み込んだ後、ポータルは満腹とばかりに口を閉じる。

 

 後に残されたのは土と岩だけだ。

 月は、ようやく本来の静けさを取り戻したのだった。

 




何故だろう? ロディマス乱入以降はもっとシリアスになるはずだったのに、何でだかメガトロンとレイが痴話喧嘩してた……。

実は、オプティマスとメガトロンの決戦に(しかもメガトロンがだまし討ちを謀ったトコに)ロディマスが乱入してきて有耶無耶になる……って展開はザ・ムービーのオマージュだったりします。

次回、オプティマス対メガトロン、最終ラウンド。

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