超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION   作:投稿参謀

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やー、何とか年内に間に合いました。


第123話 プラネテューヌ 星の叫び

「負傷者を下がらせて! 武器の点検を済ませなさい! ここが落ちたら、後は首都しかないのよ!!」

 

 渓谷から少し離れた場所に敷かれたプラネテューヌの前線基地では、アイエフが兵士たちに檄を飛ばしていた。

 休む暇さえ惜しいようだ。

 

「はい、傷を消毒するですよ! 染みる? 男の子なんだから、我慢するです!! 唾つけとけば治る? そこに直れですぅ!! 清潔! 消毒! 殺菌!!」

 

 コンパは負傷者の治療に当たっていた。

 彼女もすっかり歴戦の医療従事者である。

 

「これで動くはずです! 後は、パーツをスペアの物に交換してください!」

 

 ネプギアはホイルジャックやレッカーズと共に、出来る限りの武器のメンテをしていた。

 ちゃっかり、スティンガーも混じっている。

 

 形勢は明らかに不利なれど、誰の目にも諦めは無い。

 信じる女神の健在な限り、信徒に絶望は無いのだ。

 

 そのネプテューヌは、基地の端に立ち敵陣の方を真っ直ぐに見ていた。

 一端メンテを切り上げたネプギアは、姉の隣に並んだ。

 

「お姉ちゃん、ピーシェちゃんは……」

「大丈夫、大丈夫よ。必ず戻る。戻るはずよ」

 

 自分に言い聞かせるようなネプテューヌに、ネプギアはいたたまれない気持ちになる。

 そんな妹に気付いたのか、ネプテューヌは無理やり笑顔を作る。

 

「スティンガーだって帰って来たんだもの。きっとピーシェも帰ってくるわ」

「うん……そうだよね」

 

 ネプギアも何とか笑う。

 

 と、敵陣の方からワッと歓声が聞こえてきた。

 

 すわ、こちらを攻撃してきたかと身構える二人だが、その様子は無い。

 しかし何か盛り上がっているような気配を感じる。

 

 次いで、一筋の軌跡が流星のような速さで天に向かって伸びていった。

 何か、何か恐ろしく速い物が、空に昇っていくのだ。

 

「……いったい何が起こっているの?」

 

 状況を把握できず、ネプテューヌは茫然と呟くのだった。

 

  *  *  *

 

 時間は僅かに遡る。

 

 スタースクリームはメガトロンに『サイバトロンの掟』を適用した決闘を挑んでいた。

 

 先手はスタースクリームからだ。

 両腕のガトリングをメガトロンに向け発射。銃弾は次々とメガトロンに命中する。

 

「フハハハ! 貴様如きのヘナヘナガトリングを喰らったぐらいで死ぬようなメガトロン様だと思うのか!!」

 

 しかしメガトロンは構わず銃弾の雨の中を突っ切ってスタースクリームに迫る。

 

「そんなことは百も承知だ!」

 

 スタースクリームは右腕をミサイル砲に変形させ、さらに背中のスラスターを吹かしてミサイルを撃ちながら後退、変形して空へと飛び上がろうとする。

 脇腹へのミサイルの直撃で僅かに勢いを殺されたメガトロンだが、瞬間的に手を伸ばしスタースクリームの足を掴み、そのまま大怪力で地面に叩きつける。

 

「ガッ!」

 

 メガトロンはすかさずハーデスソードを振るって頭を真っ二つにしてやろうとするが、スタースクリームは身を捻ってこれをギリギリ躱す。

 そしてバネ仕掛けのように立ち上がり、腕を丸鋸に変形させてメガトロンの脇腹に斬りつけるも、ダメージは与えられない。

 そのままジェットを噴射して飛び去ろうとしたスタースクリームだが、メガトロンは横薙ぎに剣を振るう。

 

 スタースクリームは上体を反らして剣を紙一重で躱し、続いて剣を振った勢いを利用して放たれた回し蹴りもスレスレで避ける。

 

 だが、さらに斬撃と格闘をフェイントにして放たれたフュージョンカノンには、当たってしまう。

 

「ぐがあああ!」

 

 胸に光弾を受けて地面に倒れるスタースクリームに向けて、メガトロンはハーデスソードを握り、ゆっくりと歩いてくる。

 

「どうした? 貴様の意地とはその程度か?」

「…………」

 

 拳を握り締め、スタースクリームは何とか立ち上がる。

 やはり、戦闘力に圧倒的な差が有り過ぎる。

 

 攻撃力、防御力、戦闘技能。

 

 どれを取ってもメガトロンの方が上だ。

 

――いいか? 若いの。

 

 ブレインに、ジェットファイアの声が再生された。メガトロンと対決することを決めた時の会話だ。

 時間の流れが遅くなったように感じる。

 

――あのメガトロンは、トンデモない奴だ。真正面から挑んで、お前に勝ち目なんか無い。まずはそれを認めろ。

 

 ああ、そんなの言われなくても分かってるよ。

 俺は、あの野郎のことは良く知ってる。

 

――なら、この言葉を覚えておけ。『飛ばねえ豚は、ただの豚だ』 この世界の諺らしいが、真理だとは思わないか?

 

 「諺かそれ?」とツッコんだが、同時に深く納得したこともスタースクリームは思い出す。

 もし豚が空を飛んだとしたら、もはやそれを豚と呼んでいいのかはともかくとして、飛ばないジェッティコンなんぞ羽虫にも劣る。

 

「スタースクリーム! どうした、戦わんのかい!」

「やっぱりアイツは臆病なんダナ!」

 

 ランページとロングハウルが騒ぎ立てるが、ブラックアウトは厳しい顔をしていた。

 

「馬鹿めが……今回のスタースクリームはいつもと違う! 奴の目は闘志を失っていない!」

 

 犬猿の仲のヘリ型ディセプティコンの言葉を証明するかのように、スタースクリームはメガトロンに向け突進する。

 メガトロンはその無謀な突撃を嘲笑うかのように剣を大上段から振るう。

 退いたとしても避けたとしても、必ず当たる。そういう振り方だ。

 

 だがスタースクリームは退きも避けもしない。

 

 さらに加速して剣が振るわれるよりも早く破壊大帝の懐に飛び込み、両腕を掴む。

 

「何ぃ!?」

「う……おおぉおお!!」

 

 そのままスラスターを最大出力で噴射し、メガトロンごと空へと上昇していく。

 

「ぬおおおお!?」

「うおおおお!!」

 

 加速、加速、さらに加速。

 それを地上からディセプティコンが、オートボットが、ネプテューヌとネプギアが見ていた。

 

 後に彼ら彼女らは口を揃え、まるで天に昇る流星のようだったと語る。

 

 メガトロンは万力を込めて振り払おうとするが、スタースクリームは頑として離さない。

 

「ええい! 放さぬか!!」

「グッ!」

 

 頭突きと膝蹴りを喰らわせると、ようやく手が緩む。

 その隙を逃さず、メガトロンはスタースクリームを振り払い、当然の如く重力に引かれて地面に向け落下しながらもフュージョンカノンを発射する。

 

 スタースクリームは空中で変形しながら、自分を狙う光弾を回避、さらにミサイルを発射。ミサイルは、メガトロンの脇腹に命中した。

 

「ぐお! しかし、この程度!!」

 

 少々のダメージはあったものの、メガトロンは自身もエイリアンジェットに変形してスタースクリームを追う。

 

 しかしスタースクリームは、一瞬の間にロボットモードに戻ると体を大きく広げて風圧を受け強制的に減速。メガトロンはそれを追い越してしまった。

 

 スタースクリームは、再びジェット戦闘機に変形するとまるで糸で繋がっているかのようにピッタリとメガトロンの後ろに付き、またしてもミサイルを発射。これも命中。

 

 航空参謀がやったように、メガトロンは自らもロボットモードに変形して減速し、足裏からジェット噴射で姿勢制御しながらスタースクリームに向かって手を伸ばす。

 

 だが手が届こうとした瞬間、航空参謀はまたしてもロボットモードに変形、メガトロンの横をすり抜けつつ、すれ違いざまに丸鋸で脇腹を斬りつける。

 

「おのれぇええ!!」

 

 怒りの咆哮を上げてフュージョンカノンを連続で撃つメガトロンだが、光弾は一発たりとも命中しない。

 スタースクリームはあらん限りの飛行技術に変形を織り交ぜた変則的な軌道で飛び回り、メガトロンの攻撃を躱しながら、一瞬の隙を突いてミサイルを浴びせ、丸鋸で斬る。

 

 一回だ。

 

 ただの一回でも剣が届けば、ただの一発でもフュージョンカノンが当たれば、この状況はひっくり返せるはずなのだ。

 しかし、それが出来ない。

 

 あの破壊大帝メガトロンが、スタースクリームにいいように翻弄されている。

 

「これは……スタースクリームの飛行技術が上がっているだと!!」

 

 以前の、いやさ僅かに前のスタースクリームであったなら、メガトロンの攻撃はギリギリ届いたはずなのだ。

 スタースクリームは強気だが慢心の一切ない声を出す。

 

「……全く、あの爺さんには参るぜ。マジで計器も制御装置も無しで飛びやがるんだ。……間違いなく、伝説の戦士だよ」

 

 今まで、スタースクリームに空と言うフィールドで並び立てる者はいなかった。

 

 ……ジェットファイアが現れるまでは。

 

 あの体のあちこちが錆びついて、動くたびに関節がギシギシと鳴り、セレブロシェルは関係なく素でボケている部分のある老兵は、しかし航空参謀に匹敵する飛行能力を持っていたのだ。

 別にスタースクリームは彼に教えを乞うたワケではない。

 ただ並んで飛び、競い合い、技を盗み合っただけだ。

 

 『対等の相手』と言うファクターが、スタースクリームをより高いレベルへと押し上げたのだ。

 

「メガトロン! 認めてやるよ、テメエは英雄だ。俺じゃ逆立ちしたって勝てっこねえ」

 

 暗雲の下、スタースクリームは吼える。

 

「だが、空でなら……空でだけなら! 俺の方が、上だ!!」

 

 空こそは、スタースクリームの領域、スタースクリームの世界。

 彼は、空を飛ぶために生まれ、空で戦い続けてきたのだから。

 

「何が貴様をそこまでさせる! 何が貴様を変えた! あの小娘か! 惑星サイバトロンの未来よりも、あんな小娘の方が大事だと言うのか!!」

「その小娘一人に寄生する未来なんざ願い下げよ! それに言っただろうが! ピーシェがあんなザマだと……俺の何処か胸の奥深く……魂なるスパークが叫ぶのさ! このままじゃいけないってな!!」

 

 吼え合うメガトロンとスタースクリーム。

 そして、またしても一発のミサイルがメガトロンの脇腹に命中する。

 この闘いでスタースクリームが放ち命中させたミサイル、数にして実に20発目。

 

「ぐ、おおおおお!?」

 

 恐るべき頑強さでここまで耐えてきたメガトロンだが、ついに限界を迎え脇腹に大きな傷を負う。

 雨垂れ石を穿つの諺の通り、スタースクリームは執拗なまでに脇腹を狙い続け、メガトロンにダメージを蓄積させてきたのだ。

 メガトロンは姿勢を制御できず、脇腹から炎と煙を上げて地面に墜落した。

 

「め、メガトロン様が……!」

「マジか!? マジでスタースクリームがやったのか!?」

「有り得るのか、こんなことが……!?」

 

 大の字になって倒れピクリとも動かないメガトロンに、ディセプティコンたちが動揺する。

 ここまで黙って闘いを見守っていたレイは、女神化してメガトロンの傍へ行こうとするが、ジェットファイアが立ちはだかった。

 レイは雷を纏い、怒りに満ちた表情で老兵を見上げる。

 

「老いぼれが! 邪魔をするな!」

「それはこっちの台詞だ。男同士の決闘に横槍を入れるもんじゃない。今、お前がメガトロンを助ければ、それは奴の誇りと信念を傷つけることになる」

「……チッ! 男ってのは、本当に馬鹿だね!」

 

 まるでメガトロンのように低く唸るレイだが、納得は出来ずともある程度の理解は出来たらしく女神化を解く。

 

 その間にもメガトロンはダメージのあまり動けないのか、微動だにせず仰向けになってオプティックを瞑っていた。

 いつもなら油断したスタースクリームが地面に降りてきて勝ち誇る場面だ。

 しかし、今のスタースクリームにはそんな慢心は無く、確実に止めを刺すべく戦闘機の姿のまま急降下してくる。

 

 瞬間、カッと目を見開いたメガトロンは、最大までエネルギーを溜めていたフュージョンカノンを死神のように迫るスタースクリームを狙って、撃った。

 

 まるでカウンターパンチのような不意打ち。

 

 だが、スタースクリームは僅かに機体を回転させる。

 光弾は、僅かにかすり装甲を焦がしたものの、それ以上の損害を与えることなく暗雲に向かって飛んで行き爆発した。

 

「見事……!」

 

 メガトロンは賞賛するように口角を吊り上げる。

 

――終わった!!

 

 誰もがそう思った。

 ディセプティコンも、レイも、ジェットファイアも、スタースクリームも、メガトロンさえも。

 

 スタースクリームは持てる全てのミサイルを発射しようとして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 横から閃光のように飛来した何かに弾き飛ばされた。

 

「スタースクリーム!!」

 

 叫んだのは誰だろうか?

 

 表情を固まらせたジェットファイアか、目を見開くメガトロンか、口を押えたレイか、ディセプティコンの誰かだろうか。

 

「馬鹿な……!」

 

 変形しながら墜落したスタースクリームは立ち上がろうとするが四肢に力が入らず膝を突く。

 大きく傷つきエネルゴンが流れ出す腹部を押さえ、口から気泡の混じったエネルゴンを吐きながら、決闘に割り込んできた相手を見上げた。

 

「そんな馬鹿な!」

 

 黄色いポニーテールに、白いレオタードに包まれたアンバランスなほど豊満な身体。

 腕には爪付き手甲、背には光の翼、瞳には円と直線を合わせた紋様。

 

 女神イエローハートが、不機嫌そうな顔で空に浮かんでいた。

 

「パパを苛めるなんて、許さない!!」

 

 スタースクリームの表情に絶望が浮かぶ。

 しかしそれは、自分が傷ついたからでも、千載一遇の勝機を逃したからでもない。

 

「洗脳電波の発生装置を全部無力化すれば、洗脳は解けるんじゃなかったのか!?」

 

 イエローハートに施された洗脳は強力で、各国に設置された洗脳電波発生装置を全て破壊しないと解けないようになっている。

 そう、メガトロンから説明されていた。

 だからオートボットに情報を流し、全ての発生装置を破壊するように仕向け、プラネテューヌの基地には本人の志願もあってホィーリーを忍び込んでもらった。

 

 これで、ピーシェは元に戻るはずだったのだ。

 

「パパ! 今、怪我を治してあげるね!」

 

 イエローハートは無邪気に笑い、自らのシェアエナジーとメガトロンのスパークを共鳴させる。

 見る間に傷の塞がったメガトロンは、明らかに怒りを抑えきれないといった顔でスタースクリームの傍まで歩いてくる。

 

「何故邪魔をした? 男の決闘に、泥を塗りおって……!」

「ほえ?」

 

 メガトロンの言葉の意味が分からず、首を傾げたピーシェだが父と慕う相手の凄まじい怒気を感じ取り、ビクリと体を震わす。

 

「パパ……怒ってるの?」

「メガトロン様! メガトロン様のことを思ってのことです! 子供のすることですので、どうかご容赦を……」

 

 慌てて駆け寄ってきたレイが深々と頭を下げる。

 メガトロンは何も言わずにスタースクリームの首を掴んで無理やり立たせる。

 

「保険はいくつ懸けておいても、損は無いものだ。洗脳装置の他に、シェアブソーバーの本体がバックアップになっているのだ」

「……グッ!」

「邪魔が入った以上、サイバトロンの掟は無効だ。……スタースクリームよ、命乞いをするがいい、いつものように。そうすれば、命だけは助けてやる」

 

 メガトロンの低く平坦な声に対し、スタースクリームはニヤリと不敵に笑って返した。

 

「……やなこった。プライムコンプレックスの野郎になんか誰が命乞いするか」

「何だと?」

 

 メガトロンのオプティックが危険に細められる。

 

「貴様……!」

「ハッ! 本当のことじゃねえか、プライムになれなかったのがそんなに悔しいか? ……ほら、見ろよ。お前の大嫌いなプライムがやってきたぜ!」

「何? ……ムッ!」

 

 ハッとメガトロンが空を見上げると、暗雲の下にクジラのような影がこちらに向かってきていた。

 あれに誰が乗っているのかを察し、メガトロンは地獄から響いてくるかのような唸り声を出した。

 

「オプティマァァス……!」

 

  *  *  *

 

 クジラを思わせる武装飛行船スカイホエールの格納庫では、赤と青のファイヤーパターンが特徴的な勇壮なトランスフォーマー、オートボット総司令官オプティマス・プライムが戦場を眺めていた。

 右肩に四連ミサイルランチャーを装着して背中にテメノスソードとバトルシールド、腰にレーザーライフルをマウントし、両手で三連キャノン砲『メガストライカー』を持っている。

 敵の陣形を把握したオプティマスは、これが完全な奇襲になっていることを把握し、後ろに振り向く。

 

 そこには、ダイノボットたちがロボットモードで並んでいた。

 フライホエールの格納庫はかなり広いのだが、巨体のダイノボットたちには少し窮屈なようだ。

 

「さあダイノボットの諸君、ディセプティコンどもを片付けてくれ!」

「任せろ! ダイノボット、出陣!!」

『応!!』

 

 オプティマスの声に答え、グリムロックが号令をかける。

 下部ハッチが開き、ダイノボットたちがパラシュートも無しに我先にと降りていく。

 

「我、グリムロック! 久々の大戦(おおいくさ)! 腕が鳴る!!」

「俺、スラッグ! 三度の飯より戦い好き!」

「スコーン、推参!」

「風の騎士ストレイフ! いざ一番槍!」

 

 続いて、オプティマスも……こちらはパラシュートを着けて……ハッチから降下する。

 遥か下で、宿敵メガトロンがこちらを見上げているのが目に入った。

 

「例えこの身が犠牲になろうとも、メガトロンを倒すしかない……!」

 

 その身体を構成する金属のように硬い決意を胸に、オプティマス・プライムが戦場に帰ってきた。

 

  *  *  *

 

 降下してくる宿敵を見上げ、メガトロンはスタースクリームの思惑に気付き怒声を上げる。

 

「貴様、最初から時間を稼いでおったな!!」

「保険は懸けておいて損はない? ああ、その通りだ。だから、俺も保険を懸けたんだ。……俺が失敗したとしても、アイツらならきっと何とかするってな!」

 

 スタースクリームは不敵な笑みで答えとする。

 してやられたとメガトロンは歯を軋むほど噛みしめ、スタースクリームを地面に投げ捨てると、部下たちに檄を飛ばす。

 

「ええい、何をしておる! 者ども後に続けぇ!!」

『おおおおお!!』

 

 ディセプティコンもエディン軍も、オプティマスたちを迎え撃つべく動き出す。

 一人残されたスタースクリームは、大の字になってシェアエナジーの共鳴を始めたイエローハートと、先頭に立って戦いに向かうメガトロンの背を見ていた。

 

「あ~あ……やっぱり勝てなかったか。ザマァねえな全く」

「いいや、そんなことはない。見事な戦いだった。近頃の若い者も、捨てたもんじゃないな」

 

 いつの間にかジェットファイアが傍に立ち、手を差し出していた。

 自然とその手を取り、彼の肩を借りる。

 ダメージが酷く強制スリープモードに入ろうとするスタースクリームの視界に、プラネテューヌの前線基地から、こちらを攻撃しようとする部隊の上を紫の女神が飛んでくるのが入った。

 

「俺が届かなくても、テメエなら届くはずだ。後は頼んだぜ、『ねぷてぬ』よぉ?」

 

 その言葉を最後に、スタースクリームの意識は強制スリープモードに入ったのだった。

 

  *  *  *

 

 オプティマスが帰参し、ついにマイダカイ渓谷の戦いは最終局面を迎える。

 

 しかし、その前に語るべき戦いがある。

 

 エディンの本土……今や要塞と化した旧R-18アイランドでの戦いである。

 

 




スタースクリームのターン終了? いいえ、まだここからです。

ちょっと色々解説。

清潔! 消毒! 殺菌!!
唐突なFate/GOネタ。
筆者一押しサーヴァントの鋼鉄の白衣さん。

空中戦
航空参謀なんだから、空で戦ってなんぼ。
……って言うのは浅はかな考えなんでしょうかね?

メガストライカー
ダークサイド・ムーンで使ってた武器。
さしものオプティマスも両手を使わないと撃てない大型武器。

最後の方のオプティマス乱入展開は、ザ・ムービーとオールヘイル・メガトロンのオマージュ。

次回はいったんプラネテューヌから離れ、エディンでの戦いです。

何か異常なほど長くなったこの作品。
来年には、何とか完結させたいです。

それでは、良いお年を。

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