超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION 作:投稿参謀
グランドガルバトロンにメガトロンの妻(自称)にまさかのバルディガス。
しかしサイクロナスの腹に憑依してるガルバトロン……お前、ガルバトロンⅡの方なんかい!
決戦の日は近し。
歴史に長く語られるエディン戦争。
その最後の戦いが始まろうとしていた。
女神、人間、オートボット、ディセプティコン。
守ろうとする者、攻め込む者、戦う者、暗躍する者。
誰もが、決戦に向けて準備をしていた……。
① 総司令官は援軍を迎えに行く
オートボットの基地の司令室にて、オプティマスは各地の仲間たちと連絡を取っていた。
『こっちでは、まだエディンの部隊が散発的に攻撃してきてる。とりあえず、こっちはサイドスワイプとユニに任せて、俺たちは手筈通り動く』
『ルウィーはまだ時間がかかりそうだ。暴徒が予想以上に粘り強い』
アイアンハイドとミラージュの報告を受けて、オプティマスは難しい顔をする。
「リーンボックスのジャズは、これからベールの救出作戦か。やはり戦力に不安があるな」
ジャズと、影のオートボットからの情報によりエディン軍のプラネテューヌへの総攻撃のタイミングは分かった。
だがその規模は、まさにエディンの総力と言っていい。
各国の女神やオートボットが自国の防衛に当たっている今、プラネテューヌの戦力だけで防衛できるかと言われると……。
「援軍が必要だな」
厳かに、オプティマスは決意を固めた。
* * *
基地近くの平原。
そこには大きな飛行船が停泊していた。
オートボットとプラネテューヌの技術を合わせて開発した、武装飛行船『フライホエール』である。
その名の通り、クジラを思わせる姿のこの艦船は、オートボットを始めとする戦力の素早い輸送を目的として建造された物だ。
既存の輸送機では、離着陸に大規模な飛行場が必要だが、この飛行船なら着陸する場所を選ばない。
見た目よりも遥かに早く空中で静止することも出来る。
オプティマスとネプテューヌはその前に立っていた。
フライホエールの準備が出来次第、オプティマスは援軍を得るためにプラネテューヌを発つ予定だ。
決戦までには帰ってくる予定だが……。
「ネプテューヌ、これから起こる戦いは、おそらくかつてなく苦しいものになるだろう。……私がいない間、どうか持ちこたえてくれ」
「ダイジョブ、ダイジョブ! ネプギアやアイちゃんたちもいるからね! 別に倒してしまっても構わんのだろう!」
明るく答えるネプテューヌに、オプティマスは少し表情を緩めるが、すぐに険しさを取り戻す。
「ネプテューヌ、ピーシェのことは……」
「大丈夫だよ。ネプギアだって目を覚ましたんだし、ピーシェもきっと元に戻るよ! 洗脳は解ける物って、相場が決まってるしね!」
あくまでも明るい表情のネプテューヌだったが、フッと目を細めた。
「それに……あなたがいるから」
ネプテューヌは、そっとオプティマスの顔に手を触れる。
「あなたといっしょなら、どんなコトも乗り越えられる、絶対何とか出来るって、そんな気がするんだ」
「ネプテューヌ……」
恋人の言葉に、心震えるオプティマスだったが、同時に総司令官としての冷徹な部分が、ピーシェの洗脳が解けなかった時の対案を出していた。
その時は、自分がピーシェを……殺すと言う対案を。
これまでメガトロンたちを逃してきた自分の甘さがこの状況を招いたのだから、甘さを捨てなければならい。
甘さのせいでエリータを失った。
今度こそ守り抜く。この世界を、ネプテューヌを。
そのためなら、自分は喜んで鬼にも悪魔にもなろう。
――メガトロン。今度こそ、これで終わりにするぞ……!
~~~~~
② 傭兵は食い扶持を得る
プラネテューヌの首都は未来的な建物の並ぶ大都市である。
しかし、都市とは大きくなればなるほど、人の目の届かない場所が出来る物だ。
そして、そういった場所は人里離れた山や森よりも身を潜め安い。
例えば、この人の住んでいない区画の、廃工場のように。
今ここにはトランスフォーマーでありながらオートボット、ディセプティコン、どちらにも与しない賞金稼ぎのロックダウンと、その一味が住み着いていた。
廃工場の一室では、ロックダウンが廃車を椅子、コンテナを机替わりにして何かコンソールを弄っていた。
「今月の収入がこうで……出費がこうだから……だーもう! どうやっても赤字どころか、来月の食費もままならん!」
コンテナに突っ伏すロックダウン。
この世界での主な顧客だった企業連合とハイドラが壊滅したことで、ロックダウンたちは深刻な資金難に陥っていたのだ。
モンスター退治や犯罪者を捕らえて金を稼いでいるのだが、なにせ、多くの部下やスチールジョーを抱えた大所帯である。
その程度では賄い切れない。
脇に控えていた副官格の傭兵が不安げに進言する。
「オヤビン、やっぱりディセプティコンからの仕事を貰った方がいいんじゃあ……。このままじゃあスチールジョーの餌代どころか、俺らの食い扶持も稼げませんぜ」
「…………致し方ないか」
顔を上げたロックダウンは、傍らに寝転んだ犬型金属生命体スチールジョーの一体を撫でながら排気する。
ディセプティコンは気に食わないが、このままひもじい思いをするよりはマシと考える。
「オヤビーン! ロックダウンのオヤビーン! 大変ですぜ!!」
と、手下の一人が駆け込んできた。
「何だ騒々しい」
「それが、大変なんです! オートボットのカチコミですぜー!」
「何だと!?」
* * *
廃工場の一階部分では、ロックダウンの手下たちが銃を手にラチェットとアーシー、そしてアイエフを囲んでいた。
部下たちの後ろから、ロックダウンが現れると、皮肉っぽい笑みを浮かべた。
「おやおやおや? これはどういう風の吹き回しだ? 俺のプライベートな家に押しかけるとはな。お茶でも出すかな?」
「ロックダウン、何も私たちもお茶を飲みに来たワケじゃあない」
ラチェットが厳しい顔で右腕のEMPブラスターを撫でる。
ハンと排気したロックダウンはアーシーの方を向く。
彼女はいつになく厳しい顔をしていた。
「おやおや、可愛い可愛いアーシーちゃんじゃないか。憶えてるか、俺たちの出会いを。お前さんはあのころピンク色で、足を怪我してたっけか。……まあ、怪我させたのは俺だが」
「……そうね。おかげ様でラチェットに出会えたわ。獲物を逃がした時の、あなたの顔は痛快だった」
その答えに、ロックダウンは眉根をピクリとひそめる。
一方、ラチェットはニヤリとした。
「ところで、君の右腕の予後はどうだい? 手術の腕には自信があるんだが?」
「おかげ様で、調子が悪くてね。どっかのヤブ医者のおかげでな」
お互いに殺気を込めて睨み合うラチェットとロックダウン。
そこでアイエフが半ば呆れた様子で声を出した。
「はいはい! 旧交を温めるのはそれくらいにしときなさい! ロックダウン、今回私たちがアンタを探し出したのは、商談のためよ」
「商談だあ?」
アイエフの言葉にロックダウンは顔をしかめ、手下たちは揃って首を傾げる。
「そう! 知っての通り、今うちの国はエディンと戦ってて猫の手も借りたいくらいなの。そこでロックダウン、プラネテューヌはあんたたちを雇いたいってこと。纏まった戦力は貴重だわ」
「断る」
即、ロックダウンは断った。
「オートボットの下に着くのは御免だね」
「ふ~ん……ねえ、ロックダウン。あんたたち随分と侘しい生活をしてるみたいじゃない。……手を貸してくれるなら、前金でこれくらい出すけど」
悪戯っぽく笑いながらアイエフは小切手を差し出す。
ロックダウンは器用にそれを摘まみ上げて覗き込む。
そしてオプティックを剥いた。
「1、10、100、1000…1万……10万…………50万クレジット!?」
「どうかしら? 成功報酬として倍払うし、働き次第では追加料金も発生するけど?」
ロックダウンは視線で合図して手下たちを集める。
「オヤビン! これは破格の好条件ですぜ!」
「しかしな……」
「オヤビンいつも、仕事を選ぶなっつってるじゃないですか!」
「もう、ゴミ箱から拾った空き缶を齧る生活は嫌です!」
「家庭用コンセントから一人一時間かけて充電するのも嫌です!」
「スチールジョーたちなんか、もう三日もなんも食べてません!」
次々に不満を噴出させる部下たちに、ロックダウンはオプティックを瞑って大きく排気する。
目を開けばスチールジョーたちも集まってきて『おねだり』の顔をしている。
アイエフを見ると、彼女は未だ不敵な笑みを浮かべていた。
「……その依頼を受けよう。ただし、ピンハネは無し! 他の連中と仲良しこよしってのも無しだ!」
「もちろん。これで契約成立ね」
こうして、賞金稼ぎとその一味は、当面の食い扶持を手に入れたのだった。
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③ 紫の女神候補生は未だ迷う。
オートボットの基地。
その一角では、かねてから開発していた新兵器の最終テストが行われていた。
3m程の背丈の機械の塊が、バンブルビーと組手をしている。
一応人型をしているが、ズングリとしていて無骨で、首も腰もなく、顔に当たる部分に付いているのは、バイザー状のセンサーだ。
これこそ、人造トランスフォーマーに対抗するために開発したパワードスーツである。
『こいつ、動くぞ!』
「うん、おめでとう。でも、それはもう分かってるんだけどね、ジェネリア君。もうちょっと駆動系とか兵装の感想を頼むよ」
開発スタッフの一人でもあるジェネリア・Gが乗り込み、ホイルジャックがそれを眺めつつデータを集めている。
『人工筋肉が生み出すこのパワー! 火力、装甲ともに申し分無し! しかも脳波コントロールできる!』
「まあ、脳波コントロールだけだと負荷が半端なくて頭がパーンしちゃうから、マスター・スレイブシステムとの併用に加えてAIが補助してるんだけどね」
『吾輩が一番、パワードスーツを上手に使えるのであります!』
「うんうん、パイロットで一番の成績だからね。でも今は不満とかあったら聞かせてほしいな」
『あえて不満な点を挙げるとするなら、デザインであります! これでは機動戦士と言うよりも炎の匂い染みついて む せ る ! 方であります!』
「うん……デザイン以外は問題ないってことだね。他の皆もデザインに凝りたいようだけど、そんな時間も余裕も無いからね」
今にも絶好調である!とか言い出しそうな高いテンションのジェネリアだが、ホイルジャックは冷静にデータを取る。
「で、バンブルビーの感想は?」
「『この前までは』『ただの案山子ですな』『今日からは』『及第点だな』」
「ほい、ありがとう。それじゃあ、いったん休憩にしよう」
中々に厳しい意見のバンブルビーだが、ホイルジャックはやっぱり冷静……というかマイペースに答えると、傍らにいたネプギアに視線をやる。
「君も休むといい。ネプギア君」
「はい……」
しかし、ネプギアはどこか浮かない顔だ。
メカ好きの彼女のこと、いつもなら盛り上がるのだが……。
「ねえ……戦争ってどんなコトなのかな?」
ふいに放たれた問いに、ホイルジャックとバンブルビーは首を傾げる。
「……私は、戦争を知りませんから。ビーたちのしてる戦争に対しても、いまいち実感が足りない気がして……」
ネプギアが生まれてから今まで、小競り合いはあっても国家規模の戦争は無かった。
四ヵ国による全面戦争は回避されたし、ネプギアは小競り合いには参加しなかった。
それどころか偶然知り合った他の国の候補生たちと仲良くなっていたくらいだ。
だから、この戦争にも実感が湧いてこない。
「ふむ……まあ、私は軍属とは言え技術屋だ。思想家でも政治家でないから、あくまで個人的な考えになるが……あんまりいいもんじゃあないよ」
ネプギアの疑問に最初に答えたのはホイルジャックだった。
「破壊、恐怖、憎悪、そして死。それが戦争だ。……それでも、エディンにせよディセプティコンにせよ、こちらを害そうとするなら、立ち向かうのも有りだと思う。……あくまで個人的な考えだが」
どこか遠くを見るような目になるホイルジャック。
「…………『オイラは』」
そして、バンブルビーはオプティックを鋭くした。
『『オイラは』『兵士だ』『戦争の』『いいとか悪いとか』『は判断できない』『でも』『ディセプティコンは』『許せない』『仲間の』……仇……だ、から……』
最後の方は、自分の声でハッキリと言う。
そろそろ長い付き合いのバンブルビーが自分と出会う前、どれだけの仲間を失ってきたのかネプギアは知らない。
「仇……」
自分にとっても、ディセプティコンはスティンガーの仇と言っていい。
でも……。
――ネプギアは、憎しみなんかより、ずっと強い力を持っている。私が、その証明です。
――あなたを助けるために、こんなにも多くの人々が集まった。あなたはみんなに愛されている。そして、あなたもみんなを愛している……それは、何にも勝る奇跡、創造を為す力です。
――だから、ネプギア。あなたの中にある力を信じてください。それは恨みや憎しみよりも遥かに偉大な力です。
あの時、スティンガーに言われた言葉。
夢とも幻とも付かないが、その言葉はネプギアの中に深く残っていた。
本当に、敵と戦うだけが正解なのだろうか?
答えはいまだ出ない。
『凄いよ、このパワードスーツ! さすがバンブルビーのお兄さん!』
「『そんな』『兄を』『持ったおぼえはない』」
一同がそれぞれに思いに耽るなか、はしゃぎ続けていたジェネリア・Gに、バンブルビーは冷めたツッコミを入れるのだった。
~~~~~
④ 異世界の女神は再戦を予感する
プラネタワーは、シェアクリスタルの間。
イストワールとプルルート、コンパの三人は、プルルートの元いた次元のイストワールと連絡を取っていた。
『その女神さん、イエローハートさんこそ、探していた大きな存在だったみたいです』
相変わらず小さく幼い姿のあちらのイストワール。
それに対し、こちらのイストワールが頷く。
ピーシェは、プルルートたちと同じ次元の出身者だったのだ。どうりでいくら探してもピーシェの家族が見つからないはずである。
「やはりそうでしたか……」
「じゃあ、ピーシェちゃんが出会った時からあいちゃんやわたしのことを知っていたのは……」
「はい、あちらの次元のお二人……並行存在のコンパさんとアイエフさんと知り合いだったから、かと」
「複雑ですぅ……」
こちらのイストワールの説明に、コンパはしっくりこないのか複雑そうな顔をする。
一方で、あちらのイストワールは切羽詰まったバタバタと手足を振る。
『今、こちらでは、世界の一部が凄い勢いで荒廃しちゃってるんですよ!(´Д`;)』
「ッ! 本来ピーシェさんが治めるべき場所……本来、女神となるべき国は、そこだったと言うことですか!?」
ハッとこちらのイストワールが問えば、あちらのイストワールが深刻な顔で相槌を打った。
『はい、多分! ですからプルルートさんには、一刻も早く力ずくでも連れ帰ってもらわないと!(((( ;゚д゚))))アワワワワ』
「無理やりはやだな~……」
『放って置いたら、わたしたちの国も大変なことになるんですからー!ヽ(`Д´)ノウワァァァン』
乗り気でないプルルートに、あちらのイストワールは腕を振り上げて念を押す。
プルルートは、大きく息を吐いた。
「分かってるよ~……それに~、決着を付けたいヒトもいるし……」
スッと、プルルートの目つきが鋭くなる。
女神に変身した時とも、怒っている時とも違う、どこか憂いを帯びた表情にあちらのイストワールは面食らう。
長い付き合いになるが、彼女のこんな顔は見たことがない。
「多分だけど~、あたしとあのヒトは、また戦うことになるよ……」
多分、と言いつつ、その声には何処か決然とした響きがあった。
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⑤ 希望の子は、家族を思う
この所、ロディマスは悲しかった。
自分の姉であるピーシェが、何処かに行ってしまったからだ。
そのせいなのか、自分に近しい大人であるネプテューヌは暗い顔をするようになったし、大きくて強いオプティマスは怖い空気を纏うようになった。
みんな難しい話しばかりして、ロディマスに構う時間が少なくなった。
でも一番悲しいのは、『父』と『母』に会えないことだ。
幼きロディマスは半ば直観的に、ネプテューヌやオプティマスが親でないことを分かっていた。
彼らのことは大好きだが、やはり本当の両親に焦がれる心はある。
そんな時は、手を伸ばすのだ。
すると目の前に、『穴』が現れる。
『穴』は、通り抜けることは出来ないが、向こう側を覗き見ることは出来る。
触れることの出来ない向こう側に、家族がいるのが見えた。
灰銀の体躯を持つ力強い父。
青い髪を長く伸ばした優しそうな母。
自分と似た姿の兄たち。
さらにはピーシェまでも。
何とか通り抜けられないかと手を伸ばすと、穴はフッと消えてしまう。
だが、悲しくはない。
予感がするからだ。いつか、家族と会える時が来ると。
幼いロディマスは、その日を今か今かと待ち焦がれているのだった。
きっときっと、そこにはオプティマスやネプテューヌもいるのだろうと思いながら……。
今回の解説。
援軍
多分、もう皆忘れているだろう、南海の島に暮らす彼ら。
彼らに礼を尽くす形で、オプティマスが直接迎えに。
フライホエール
元ネタは、サクラ大戦の武装飛行船、翔鯨丸(フライ=翔、ホエール=鯨)
パワードスーツ
見た目は、ほぼそのまんまダイアクロンのパワードスーツです。
Q:何でこんなん出したの?
A:①どう考えてもプラネテューヌが戦力不足だから。
②ダイアクロンのパワードスーツがカッコよすぎたから。
③タイタンフォール2がツボったから。
④そもそもS○GAにはサクラ大戦があったから。
『穴』
お母さんの能力を引き継いで発現した能力。
そして次回はディセプティコン側。
早く戦えやって感じですが、結構重要な話なので。