超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION   作:投稿参謀

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第103話 涙

 プラネテューヌのオートボット基地。

 オプティマスは自身の書斎でイストワールと通信していた。

 

「それではネプテューヌは今日も?」

『はい。ネプギアさんやプルルートさんとピーシェちゃんを探しに……仕事はちゃんとしているのですが……』

 

 通信の向こうのイストワールの表情は暗い。

 あのネプテューヌがちゃんと仕事をしているにも関わらずだ。

 

『何だか、無理をしているみたいで……もう、仕事をしてもしなくても心配をかけるんですから……』 

「そうか……分かった。ありがとう」

 

 ワザと冗談めかしたことを言うイストワールに、オプティマスはこちらも柔らかく……少なくとも、そう見えるように……笑みを返すのだった。

 

  *  *  *

 

 ピーシェが姿を消してから、すでに一週間……。

 

 皆で必死に捜索し、人工衛星による捜索も試みられたが結果は芳しくなかった。

 

 女神たちもそれぞれの政務に追われて捜索を警備兵に任せるようになっていったが、ネプテューヌだけは連日連 夜、仕事の合間を見てはピーシェを探しに出かけているのだった。

 

  *  *  *

 

 プラネテューヌ近郊の山中。

 

「はあッ!」

 

 ネプテューヌは女神化して山犬型のモンスターと戦っていた。

 いや、それは戦いと言うにはいささか一方的だった。

 近くではネプギアも銃剣を振るっているが、プルルートだけは人間の姿のまま木陰に腰かけていた。

 

「ぷるるん! あなたも手伝って!」

「やだ~……」

「何言ってるの! もしもこいつらがぴーこを襲ったらどうするの!」

「お、お姉ちゃん……」

 

 焦燥と異様な空気を滲ませるネプテューヌに、ネプギアは戸惑いプルルートは顔をしかめる。

 

「皆、ここにいたのか」

 

 そこへビークルモードのオプティマスが走ってきてロボットモードに変形した。

 ネプテューヌは山犬を斬り捨てながら、オプティマスの方を向く。

 

「オプっち、ちょうどいいところへ来てくれたわ。山犬たちを退治するのを手伝ってちょうだい!」

 

 だがオプティマスは悲しげに頭を振った。

 

「いや、それはできない」

「どうして!?」

「……彼らにもはや戦意はない。これ以上の争いは無駄だ」

 

 その言葉の通り、山犬たちは我先にと逃げていく。

 

「……ッ! 逃がさない!!」

「ネプテューヌ、やめるんだ」

 

 太刀を振りかざして山犬を追おうとするネプテューヌをオプティマスが止めた。

 

「どうして! もしも、アイツらがぴーこを襲ったら……!」

「ネプテューヌ……辛いのは分かる。だが、それを他者にぶつけることは、酷い結果しか生まない」

 

 カッと、ネプテューヌの表情が怒りに歪む。

 

「何よ! もっともらしいことを言って!! オプっちに、オプっちに何が分かるって言うの!!」

 

 怒鳴り散らしてから、ネプテューヌはハッとなる。

 オプティマスは、何も言わずに目を伏せるだけだ。

 

「ご、ごめんなさいオプっち。わ、私はただぴーこが少しでも危険な眼に遭わないように……」

「ああ、もうイライラするなあ……」

 

 ネプテューヌが何とかフォローしようとしていると、事態を静観していたプルルートが立ち上がった。

 人間態であるにも関わらず女神の姿の時のようなドスの効いた表情だ。

 

「ぷ、ぷるるん?」

「まったく、オプっちにまで八つ当たりするような悪い子って~……」

 

 瞬間、プルルートの体が光に包まれ、アイリスハートへと変貌する。

 

「すっごくムカつくのよねぇ……」

「ぷ、ぷるるん……」

 

 ネプテューヌの言葉を封じるように、プルルートは手の中に蛇腹剣を召喚して鞭のように地面を叩く。

 

「誤解しないでねぇ、あたしぃ、ねぷちゃんのことは大好きよぉ……でも今のねぷちゃんはぁ、無性に苛めたくなるのよ……ねえッ!!」

 

 裂帛の気迫と共に、プルルートはネプテューヌに向かって蛇腹剣を振るう。

 太刀でそれを受け止めるネプテューヌだが、ジリジリと押されていく。

 

「やめてよ、ぷるるん! 私、あなたと戦いたくなんか……」

「あらぁ? あたしだってそうよぉ? だから素直に苛められなさいよぉ。そうすれば戦わなくって済むでしょう?」

 

 怒涛の連撃を放つプルルートと、それを太刀で必死にいなすネプテューヌ。

 だが徐々にネプテューヌが押されていく。

 

「何とかしないと……!」

「待つんだ、ネプギア。ここはプルルートに任せよう」

 

 ネプギアは二人を止めようとするが、オプティマスが沈痛な面持ちでそれを止めた。

 

「ほら、どうしたの? この程度なのぉ?」

「やめなさい、ぷるるん! ……やめてよ。…………やめてってば!!」

 

 絶叫と共にネプテューヌはプルルートを弾き飛ばすと、燐光に包まれて人間の姿に戻る。

 そのまま地面にへたり込んだネプテューヌを見て、プルルートはニヤリと笑った。

 

「やるじゃない。さっすがねぷちゃん」

「……ぷるるんは、友達でいてよ。……わたし、謝るから……」

「はあッ! 違うでしょ、ねぷちゃん。……謝りたい人は、他にいるんじゃないのぉ?」

「ッ!」

 

 呆れたように息を吐くプルルートに、ネプテューヌはビクリと体を震わす。

 無言の時間が流れ、やがてネプテューヌがポツポツと言葉を漏らす。

 

「ぴーこ……」

 

 それはやはり、ピーシェのことだった。

 

「……ぴーこと、もっと遊んであげればよかった。もっと、ねぷのプリンを食べさせてあげればよかった。…………ぴーこに、あんなに酷いこと、言うんじゃなかった!」

 

 ピーシェなら時間が経って落ち着けば、きっとロディマスにごめんなさい出来たはずだ。

 あの子は、素直で優しい子なのだから。

 

「……それでいいのよ」

 

 プルルートがネプテューヌの肩にゆっくりと両手を置く。

 顔をあげれば、プルルートは柔らかく微笑んでいた。

 

「どうしようもない気持ちは、吐き出しちゃえばいいの」

 

 ネプテューヌは涙を流しながらプルルートの胸に顔をうずめる。

 プルルートは、変身を解いて優しくネプテューヌを抱きしめるのだった。

 

「そんなねぷてちゃんも、みんな大好きなんだよ~」

 

 そう言うプルルートは、やはり彼女も女神なのだと再確認させるにたる慈愛を感じさせた。

 

「お姉ちゃん、よかった……あっ、通信?」

 

 ようやく安堵の表情を見せた姉にホッと息を吐くネプギアだったが、自分のNギアに通信が入っていることに気付き、通話ボタンを押した。

 事と次第を見守っていたオプティマスは安心したように表情を緩め、傍に膝を突いて視線を下げる。

 ネプテューヌは顔を上げて恋人を見上げた。

 

「オプっちもごめん。酷いこと言っちゃって……」

「構わないさ。プルルートも、嫌な役を押し付けてしまって済まない」

「別にいいよ~」

 

 ようやく力を抜くことが出来た三人だったが……。

 

「お姉ちゃん、プルルートさん、オプティマスさん!!」

 

 突然、ネプギアは酷く慌てた声を上げた。

 

「どうしたの、ネプギア? ネプギアもぷるるんと抱き合う? いや、中々心地いいよこれ」

「あ、あのね……」

 

 いつもの調子を取戻し、呑気かつボケたことを言い出すネプテューヌだったが、続く妹の言葉に仰天することになる。

 

「今、いーすんさんから連絡があって……」

 

 

 

「新しい国が出来たって!!」

 

 

  *  *  *

 

 突如として各国の教会に匿名で送られてきた文書。

 その内容はR-18アイランドに新国家を建国するので、それを記念する式典への女神たちの出席を求めるものだった。

 

 すぐさま、ネプテューヌとネプギア、プルルート、各国の女神たち。

 そしてオートボットたちは、R-18アイランドへと急行するのだった……。

 




Q:短いのに時間がかかったの何で?

A:普通に書くのに時間がかかったから。そして長くなったので分割してるから。

次回、いよいよ新国家旗揚げ。
では。

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