超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION 作:投稿参謀
人造トランスフォーマー。
それはオールスパークのみが生み出すことが出来るとされてきた、新たな命の創造を、ある種歪な形とはいえ可能とした革命的な技術である。
それが生命の神秘という非論理的な幻想に対する反証であるという事実に気が付いている者は少ない。
この文章は、私、ショックウェーブが人造トランスフォーマーの成り立ちについて簡単に記した物である。
①:人造トランスフォーマー第1号 スティンガー
武装:右腕部変形式ブラスター、両腕部内蔵式マイクロミサイル
ビークルモード:プラネテューヌ産スーパーカー
オートボットの技術者ホイルジャックと、プラネテューヌの女神候補生の手により誕生した歴史上初の人造トランスフォーマー。
その機体はオートボットの情報員バンブルビーをモデルとしており、外見的特徴を含め多くのデータが類似している。
特筆すべきは、この機体で試験的に使われた『粒子変形』の技術であろう。
これは機体をいったん微小な粒子に分解し、その後別形態に集結することで変形するというものだ。
多くの者は、通常のトランスフォーマー式の変形より粒子変形の方が困難な手法であると考えているが、これは大きな間違いである。
例として、ブロックを重ねて何かしかの形を作るとする。建築物でもいいし、車両でもいい。
そうして作った物を別の形……それこそ人型にするにはどうするか?
多くの場合、ブロックを一度崩して別の形に組み直すと答えるだろう。これが粒子変形である。
対して通常の変形の場合では、積み木を崩してはいけない。
ブロックとブロックが離れないように注意しながら、全く別の形に組み替えなければならない。
こう書けば、通常変形が粒子変形に比べいかに困難なことであるか理解できるだろう。
また粒子変形には、ある種の電磁波によって変形が阻害されるという欠点もある。
もう一つ、スティンガーについて特筆すべきは、コアとなっている疑似シェアクリスタルの存在であろう。
これはゲイムギョウ界各地で少量ながら採掘されるエネルゴンクリスタルにシェアをある程度集めた物で、人造トランスフォーマーの人格、記憶を保存する機能もあることが確認されている。
スティンガー、そして後続の人造トランスフォーマーのほぼ全てに搭載されることになる、このクリスタルは、まさに人造トランスフォーマーの核と言っていいだろう。
これらのことから分かる通り、スティンガーは、それ自体はバンブルビーの模倣の域を出ておらず論理的に考えて無駄も多いが、全ての人造トランスフォーマーの基本となった機体である。
②:科学兵トゥーヘッド
武装:内蔵式粒子波動砲、両腕部ブレード
ビークルモード:ディセプティコン式掘削機搭載車両
オートボットとの戦いのさなか、あの忌々しいプルルートによって破壊されたドリラー。
プルルートには、この代償を必ず払わせるとして、私はドリラーから彼のパーソナルコンポーネントを取り外すことに成功した。
すなわちプルルートはドリラーの破壊を完遂してはおらず、彼女の努力は徒労に終わったワケだ。
……話が逸れた。
とにかく持ち帰ったドリラーのパーソナルコンポーネントを、私は上記のスティンガーから得たデータを基に開発した人造ディセプティコンに組み込んだ。
それがトゥーヘッドである。
バンブルビーをモデルとしたスティンガーに対し、トゥーヘッドは私、ショックウェーブをモデルとした。
このトゥーヘッドは元々生物学的に下等なドリラーを核にしている都合上、不足の事態に備えて各機能に余裕を持たせてある。特に二つの頭部にそれぞれ存在しているブレインは、並行して使うことにより、通常のトランスフォーマーと遜色のない高度な知能を実現した。
我ながら単純ではあるが、分かり易い発想である。
③:量産兵士トラックス
武装:手持ち式機銃、右腕部二枚刃ブレード
ビークルモード:小型クロスオーバーUSV
モージャス・インダストリーがトゥーヘッドのデータを基に作り上げた、初の量産型人造トランスフォーマー。
と、言うことになっているが、実際に設計したのは私である。
マジェコンヌに設計図を渡し、彼女がハイドラに譲渡した。
その設計図をそのまま使って生産されたのがトラックスである。
私の設計そのままであるのは、この企業の科学者の発想の貧困さ、危機管理能力の欠如の証左であり、彼らの驚くべき無能さの表れである。
このあたりは、優秀な科学者や技術者を多く協力者に持つオートボットへ羨望を禁じ得ない。
さて、トラックスであるが、スティンガーのデチューン版とでも言うべきこの人造トランスフォーマーの性能はそこまで高いとは言い難いが、この機体は極めて安定性が高く低コストで生産でき、また拡張性が高い。すなわち量産に適しているのである。
論理的に考えて、戦争は数なのである。
④:監理兵アビスハンマー
武装:右腕部ブレード、電撃銃(ブレードに内蔵)、電気鞭
ビークルモード:クーペ
両側頭部から突き出たカナード状の角が特徴的なこの人造トランスフォーマーは、トラックスの発展系だ。
背中のジェットブースター二機によって高速移動とホバリングが可能であり、また武装には電気を利用しており、対オートボットに大きな戦果を発揮するはずである。
この機体はどちらかと言えば接近戦を想定した機体であり能力は高いが、そのぶん高コストである。
当機とある女神の武装が似通っていることに着目する者もいるだろうが、偶然である。
⑤:環境保全兵ジャンクヒープ
武装:なし。ただし腕力は驚異的
ビークルモード:ゴミ収集車
少し変わり種なのが、このジャンクヒープである。
ゴミ処理用の車両に変形する、この機体は、直接的な戦闘力は低い。
と言うのも、この機体の究極的な目的は戦闘ではなく、その後処理だからだ。
戦闘で発生した瓦礫や、有機的残骸などの廃棄物を体内に取り込み、徹底的に洗浄消毒。
その後、再利用可能な物と不可能な物に分別、再利用可能な物は小さなキューブ状に圧縮し、不可能な物は微細な粒子にまで分解してそれぞれ排出する。
⑥:販売員クッキークッカー
武装:なし
ビークルモード:クッキーの自動販売機
モージャス・カンパニーの科学者が、協賛企業である菓子メーカーとのタイアップのために製作した人造トランスフォーマー。
クッキーの販売機に変形し、クッキーを販売する。
…………何の意味があって、こんな論理的でない機体を作ったのか理解に苦しむ。
プルルートなら、喜びそうではある。
番外:ネメシス・プライム
武装:手持ち式のマジカルブラスター、内蔵火器多数
ビークルモード:トレーラートラック
武装組織ハイドラがオプティマスのデータを基に独自に造り上げた人造トランスフォーマー……と呼べなくもない機械人形。
スティンガーからの系譜の外にいる存在。
かの組織の首領がオプティマスに拘っていらこともあり、姿はカラーリングの違うオプティマスそのものである。
ただし機能は大きく劣り、特に変形機構は変形するたびに火花が散る、異音がする、速度が遅いと失笑ものである。
また、内部に火器を多数搭載しているが、これが全体のバランスを欠いている。
有人式であるのも、操縦者が脆弱な有機生命体であることを考えればマイナスでしかない。
ある程度の数を生産したものの、コストが高すぎて量産には向かない。
兵器としての観点からも、トランスフォーマーの複製という観点からも、失敗作としか言えない。
番外:その他兵器。
人造トランスフォーマーではないが、モージャス・インダストリー製の兵器とその改良案を便宜上ここに並べる。
①:二足歩行自動兵器シゲミ
武装:両腕部内蔵式機銃、本体内蔵式ロケットランチャー
一応はオートボットからの技術を利用して作られた、この社の商品。
箱状の本体に、逆関節の下肢と機銃を内蔵した腕を付けた物。
あまりにも幼稚な玩具のような兵器であるが、特に足回りとAIは杜撰。
転倒すると起き上がることが出来ず、また僅かな段差を越えることが出来ない。
AIは低能でフレンドリーファイアを頻繁に起こす。
これを作った科学者曰く、『可愛いからいいのだ!』
プルルートなら、間違いなく苛め倒して可愛いと言うに違いない。
さしあたって、足回りとAIの改修を実行。
結果、それなりにはなった。
②:無人攻撃ヘリ クマンバチ
武装:本体前方に機銃二門、本体下部に大型キャノン砲、左右ウイングにガトリング砲とミサイルポッド
ブラックアウトのデータを基に作られたヘリ型無人兵器。
搭載している火器が多すぎて機動力を殺している。
AIも極めて単純。
プルルート辺りなら、さぞ楽しそうに撃墜するのだろう。
さしあたり、デッドウェイトになっているキャノン砲をオミット。内部機構も大きく改良。
結果、機動力と火力の両立に成功した。
余剰スペースを上手く使えば歩兵や人造トランスフォーマーを運搬することも出来るだろう。
科学者曰く、「何で砲を外すんだ! 大火力重点がコンセプトなのに! これじゃ輸送ヘリじゃないか!!」
そもそも、ブラックアウトのビークルモードは輸送ヘリだ。
③:無人戦車 チバタン
ブロウルのデータを基に作られた戦車型無人兵器。
とりあえず、AI以外は他よりはマシである。
だが戦車の兵器としての役割は、砲台であると同時に歩兵を守る移動トーチカであるが、全体的に装甲が薄いので、その役を果たさない。
あのプルルートなら嬉々としてなぶるのだろう。
科学者、「チバタン、バンジャ~イ!」
意味が分からない。
とりあえず装甲追加。砲も強力なビーム砲に交換。
名前も公募の結果、ガッヂタンになった。意味は知らない。
番外:人型ロボット ターシネーター
オートボットの技術を応用して作られた人型ロボット。
金属の骨格に疑似皮膚を被せ人間に偽装した物である。
動きがぎこちなく表情も変えられないなど極めて稚拙であるが、量産にも適しているし、人間に偽装して敵地に潜入することが出来るという強みもある。
改良次第では有用な兵器になるだろうし、現状でも歩兵としてそれなりに役立つはずだが、現在は製造していないうえに設計図も破棄されている。
科学者「破壊力に関係しないだろ!!」
論理的に考えて、何故この男、ローマン・モージャスが開発部主任なのだろうか?
番外:機械系モンスター
話は逸れるが、このゲイムギョウ界には『機械系』と言われるモンスターがいる。
機械系モンスターは人間に製造された物であると広く考えられているが、これは間違いだ。
彼らは機械の廃棄場などで『生まれる』
そう、『
廃材に残留する人間の思念(専門外ではあるが、因子と呼ばれる)が機械モンスターを生み出す。
彼らは極めて原始的な機械生命であり、もしこの世界に置いてサイバトロニアンに最も近い者を選べと言うのなら、機械系モンスターか女神の二択となる。
これは仮説ではあるが、前述の因子が機械系モンスターを生み出すのならば、因子の質と量次第でトランスフォーマーには及ばないまでも、高度な知性と人格を有した機械系モンスターが生まれるのではないだろうか?
……最近、疲労を感じる。
思考の隅に、いつもあの女神がいる。
あの女神の笑顔が、私の論理的なはずのブレインに居座っている。
それを何とか消去し、浮かび上がってこないように思考をコントロールするのは、予想外に消耗する。
……気が付けば、一つの箱をこさえていた。
これは檻だ。
あの女を捕らえておく檻だ。
この檻に接続することで、中の状況をリアルタイムで知ることが出来る。
女神を中に入れれば、それだけで私はあの女神を私だけの物に出来る。
……何を考えている?
あの女を、プルルートを排除して論理的思考を取り戻さねばならないのに、何故こんな物を作ったのだ?
早くあの女を、プルルートをはいじょしなくては。
はやくしなくては、ほかのだれかに、とられてしまう。
プルルートは、わたしのえもの。
ほかのだれにもわたさない。
~~~~~~~~~
オマケ:ネプテューヌ THE TRANSFORMATION簡易年表
約数万年前: オールスパークがサイバトロンに飛来。
最初の十三人が生まれる。
約一万年前: レイ誕生。
最初の十三人がゲイムギョウ界を発見。
メガトロナスがレイに接触、レイ女神化。
タリ建国。
タリ、セターンに侵攻するも、ダイノボットに撃退される。
レイがレジスタンスに倒される。タリ滅亡。
この出来事は俗に『タリショック』として長く語り継がれることになる。
メガトロナス、ソラスを殺害。
賛同者をディセプティコンを結成。他の兄弟に宣戦布告。
これに対抗するため、他の十三人がオートボットを結成。
伝説に語られる『プライム戦争』が開戦。
永きに渡るオートボットとディセプティコンの敵対の歴史が始まる。
ジェットファイア、メガトロナスのやり方に付いていけなくなり離反。
セターン王国にディセプティコンが侵攻する。
ダイノボットが応戦するも、力及ばず滅亡。
メガトロナスが異次元に追放されプライム戦争終結。
しかし、この戦争で末弟をはじめとして多くの兄弟が死亡。
もしくはサイバトロンから姿を消す。
『歴史の記録者』と呼ばれる十三人の生き残りがマトリクスを持ち去る。
この事件で『歴史の記録者』は十三人から除名される。
約9000年前:ノヴァプライムの時代。
ノヴァプライム、星々を征服し黄金時代を築くも、
ディセプティコンや有機生命体への蔑視の価値観も作る。
(被征服星は、アセニア、ジャール、トラカカン、パラドロン、ネビュロン)
(ヴェロシトロン、ギガンティオン、ゴーボトロン、など)
ディセプティコンへの冷遇が始まる。
ノヴァプライム、宇宙探索に出かけたまま行方不明に。
約8000年前: ガーディアン・プライムの時代。
ガーディアンが有志を募って評議会を発足。
ガーディアン・プライム、演説中に狙撃され死亡。
『ディセプティコンの陰謀説』が広がり、ディセプティコンの立場が悪化。
約5000年前: ゼータ・プライムの時代。
オートボットとディセプティコンの争いが激化。
評議会が腐敗し、オートボット至上主義に凝り固まる。
ゼータ、政治には疎かったため、この流れを止められず。
ゼータ、戦死。
約4000年前: センチネル・プライムの時代。
約3000年前: メガトロン誕生。
約2700年前: オプティマス、ポッドに乗ってサイバトロンにやって来る。
アルファトライオン、オプティマスを養子に。
メガトロン、落盤事故に巻き込まれるも、自力で脱出。
メガトロン、剣闘士デビュー。一躍ヒーローに。
メガトロン、プライム御前大会で優勝。センチネルの弟子に。
サウンドウェーブ、メガトロンの部下になる。
オプティマス、公文書館に就職する。
だが健康診断でプライムのCNAを持つことが発覚。
半ば強制的にセンチネルの弟子に。
オプティマスとメガトロン、出会う。
約1500年前: オプティマス、次期プライムに選ばれる。メガトロン、出奔。
メガトロン、有象無象のディセプティコンを統一し、破壊大帝に。
本格的に戦争が始まる。
DD-05がブレイン交換手術を受ける。
DD-05、幽閉される。
DD-05、メガトロンに救出され、ショックウェーブと名を変える。
航空戦士スタースクリーム、信頼していた上司に裏切られる。
スタースクリーム、ディセプティコンに参加。
ホイルジャックが絶対安全カプセルを評議会の依頼で作る。
約1000年前: センチネル、スペースブリッジの柱を持って、アーク号で出発。
直後に撃墜される。
オプティマス、プライムに就任。メガトロン、ぶっちぎれ。
約100年前: タイガーパックスの戦い。
オールスパーク、サイバトロンを離れる。
バンブルビー、オプティマス直属へ。
クリスタルシティの滅亡。エリータ・ワン、死去。
ネプテューヌ、誕生。
2~3年前: ゲイムギョウ界で全面戦争の気運が高まる。
四女神による直接対決。ネプテューヌ、三女神に敗れ記憶を失う。
ネプテューヌ、コンパ、アイエフ出会い、共に旅へ。
水面下では、四ヵ国の教祖が共謀して友好条約を結ぼうと画策。
ネプテューヌ、記憶を取戻し戦争を回避すべく奔走。
数か月前: 友好条約、まとまる。
現代: スペースブリッジ試作型完成。
両軍の戦いが起こるも、スペースブリッジが暴走。
両軍はゲイムギョウ界へ……。
友好条約を結ぶ式典に、オプティマスが落ちてくる。
そして物語は始まる。
今回の解説
ショックウェーブの手記
人造トランスフォーマーは、一応系譜があるんだよと言う話。
モージャス・カンパニーは本来、戦車とか戦闘機を造る会社なので、ロボットを造ろうとしたら、ノウハウ不足&ロマン重点でこんなワケの分からない物をこさえてしまいました。
年表
誰得な簡易年表。
地味~に新情報を入れてあるけど、生かされるかは分かりません。
各TFの年齢は、フンワリとしか決めてません。
では。