超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION   作:投稿参謀

11 / 203
今回は短めです。
やっと戦闘に突入(?)

※12月1日 改めて読み直したら、あまりにも酷かったので、あちこち改訂。
 本当に申し訳ございません。

※2015年12月27日、改訂。


第10話 作戦と、その外

 未来的な建物が立ち並ぶプラネテューヌの街中を、何体もの多種多様なモンスターたちが我が物顔で進んでいた。

 その先には、この国の中枢であるプラネタワーがそびえ立っている。

 モンスターたちは車や露店を破壊し、街路樹をへし折りながらメインストリートを進んでいく。

 

 それを街の上空から見下ろす機影があった。

 内二つは、黒と灰の大型軍用ヘリ、内一つはステルス戦闘機、最後の一つは灰銀のエイリアンジェット。

 そう、ディセプティコンのブラックアウトとグラインダー、スタースクリーム、そしてメガトロンである。

 

「メガトロン様! 身の程知らずにも臨時基地を襲ってきた奴らを、返り討ちにして配下に加えましたが、思っていたよりも使えそうですな!」

「うむ! 進め! 我がディセプティコン軍団の兵士たちよ!」

 

 ブラックアウトの言葉にメガトロンは上機嫌で答え檄を飛ばす。

 

「この軍団の威容を見れば、この国の下等生物どもは泣き喚き、命乞いをしながらシェアクリスタルを差し出すことでしょう!」

「無論よ! フハハハ!」

 

 ブラックアウトはさらに言葉を並べ、メガトロンは機嫌良く笑う。

 しかし、スタースクリームが苦い声を出した。

 

「どうやら、そう上手くはいかないみたいですよ……」

「なんだと?」

「あれを」

 

 その言葉を受けて、メガトロンはセンサーを凝らし、ビルの合間をこちらに向かって飛んでくる四つの人影と、その下のメインストリートを疾走する四台の車を捉えた。

 四つの人影と四台の車……四女神とオートボットはモンスター軍団と数十メートルの距離を挟んで止まる。

 

「そこまでよ!」

 

 先頭で浮遊するネプテューヌの凛とした声がビルの谷間に響き渡り、それに呼応するように、トレーラートラックが、ピックアップトラックが、銀と真紅のスポーツカーがギゴガゴと音を立ててロボットモードへと変形していく。

 その姿に驚いたのか、モンスター軍団が動きを止めた。

 

「生きていたのか、女神ども! ……オプティマス、貴様もか」

 

 メガトロンは自らも変形し、モンスター軍団の前に降り立った。

 部下たちもそれに続き、主君の周囲に並ぶ。

 

「おあいにく様ね、このとおりピンピンしているわ!」

 

 ネプテューヌは不敵に笑って見せた。

 メガトロンの後ろに立つブラックアウトが不機嫌な声を出す。

 

「ぐぬぬ…… まさか、メガトロン様のフュージョンキャノンを喰らって生きているとは」

「残念だったな。おまえの攻撃も大したことなかったぜ」

「あの程度では、女神は倒せませんわ!」

 

 ブランが戦斧を振り回しながら、ベールは槍をクルリと回しながら、ネプテューヌと同じく不適に笑う。

 

「なんだと! 貴様、メガトロン様を侮辱する気か!!」

 

 その笑みを主君に対する侮辱と受け取り、ブラックアウトが吼える。

 

「落ち着け兄者」

 

 グラインダーが以前と同じように兄貴分の同型機を諌めた。

 

「ハンッ! 生きていたのなら、今度こそ殺してやる!」

 

 スタースクリームが、左腕をミサイル砲に変形させるが、メガトロンが手を上げてそれを制し、女神たちを睥睨する。

 

「まあ待て、スタースクリーム。……それで? そろって降伏に来たわけか? シェアクリスタルを大人しく渡すと?」

 

 メガトロンは、その悪鬼羅刹のごとき顔に嘲笑を滲ませながら言う。

 

「冗談を言わないでちょうだい。プラネテューヌの出した答えは一言、NOよ! シェアクリスタルは、あなたなんかには渡さないわ!」

 

 ネプテューヌの宣言に、ディセプティコンが殺気立つ。

 しかし、メガトロンはニヤリと嗤った。

 

「相変わらず愚かだな。力の差は分かったはず、それに加えて今回は数にも差がある。勝ち目がないのは明らかだ。にも拘わらず貴様は俺たちに逆らい、国民を危険にさらすと言うわけだ」

「耳を貸すな、ネプテューヌ!」

「貴様は黙っておれ、オプティマス! 俺は女神様と話しているのだ」

 

 オプティマスが厳しい声を出し、メガトロンも低い声で言う。

 ネプテューヌは鋭い目つきでメガトロンを睨んだ。

 

「国民は不安と恐怖でいっぱいだわ。あなたは暴力で私の国を脅かしている。そんな奴らを許してはおけない!」

 

 オプティマスは少しだけホッとした。心配は無用だったようだ。

 しかし、紫の女神のその言葉と表情に、メガトロンもまた不敵な笑みを浮かべる。

 

「ほう……だが良いのか? ここでこうしている間にも、貴様の帰る場所が無くなってしまうかもしれんぞ」

「! それはどういうこと!?」

 

 メガトロンの言葉にネプテューヌは驚愕する。

 その顔を見て、破壊大帝はさらに笑みを大きくして、大袈裟に両腕を広げて見せる。

 

「なに、ここにいるのがディセプティコンの全兵力だと思ってもらっては困ると言う話だ」

「なんですって!」

 

 ネプテューヌが驚愕する横で、オプティマスがオプティックを細める。

 

「伏兵か」

 

  *  *  *

 

 プラネタワー前庭、ネプギアを始めとする四人の女神候補生は、国民の避難所を兼ねるここを護っていた。周りには警備兵たちもいる。

 護ると言っても、敵は全て四女神とオートボットたちが食い止めているはずなので、ほとんど立っているだけだ。

万が一モンスターが現れても、候補生たちと警備兵だけで十分対処可能なはずだ。

 

「そろそろ始まるころかな……」

 

 ネプギアが不安そうな声を出す。

 モンスターの討伐をしたことはあるが、そのときは姉である女神がいっしょだったし、四女神が互いに争っていた時代であっても、候補生たちはもっぱら留守番だった。

 妹たちのみでの実戦はこれが初めてなのだ。

 

「そんな顔しないでよ、ネプギア!」

「アタシのお姉ちゃんがいっしょなんだから、負けるわけないわ!」

「うん……」

 

 ユニが努めて明るい声を出すが、それでも、ネプギアの不安は消えない。ユニだって本当は不安なはずだ。

 ディセプティコンは、かつてゲイムギョウ界の女神たちが経験したことのない強大な敵だ。

 事実、四女神も一度は敗れている。

 

「しっかりしなさいよ、ネプギア! わたしたちがついてるんだから!」

「わたしも、がんばる。……ネプギアちゃんも、がんばろ?」

 

 ラムとロムも、不安を吹き飛ばすように声を出す。

 

「……うん! がんばろう」

 

 ネプギアも笑顔を作る。

 大切な友人たちが、はげましてくれたのだ。

 自分もしっかりしなければと、気合を入れなおす。

 

「その意気よ! ……?」

「どうしたの? ユニちゃん」

 

 笑顔だったユニが、怪訝そうな顔になったので、ネプギアがたずねる。

 

「いや、なんか変な音しない?」

「変な音?」

 

 言われて、ネプギア、ロム、ラムも耳を澄ませる。

 

「ほんとだ!」

「聞こえる……」

「確かに、なんて言うか、なにかが跳ねるような……」

 

 ラムとロムにも聞こえたようだ。ネプギアにも聞こえた。

 ビョーンビョーンという、バネ仕掛けの玩具が飛び跳ねるときのような音がする。

 それは、だんだん大きくなっていく。

 

「ッ! こっちに、近づいてくる!」

 

 ネプギアがそう言うのと、ビルの向こう側から何かがビョーンという音とともに勢いよく飛び出してくるのは、ほぼ同時だった。

 

「みんな、なにか来るよ! 気を付けて!」

 

 ネプギアの言葉に、女神候補生たちは各々の得物を、警備兵たちは銃を構える。

 その物体は、派手な音と土埃を立てて、プラネタワーの前に落下した。

 

「なに!? 何が落ちてきたの!」

 

 ユニが困惑した様子で叫ぶ。

 土煙が晴れるとそこにいたのは、やはりと言うべきか歪な人型をした金属製のロボットだった。

 赤い体は全体的に猫背で、腕に鞭のようなベルト状のパーツが付いており、何より特徴的なのがエビのそれを思わせる下半身だった。

 

「ワシが……」

 

 そのロボットは、鞭で地面を叩くと大声で吼えた。

 

「ランページじゃあぁぁ!!」

 

 なぜかランページ違いという言葉が、ネプギアの頭によぎった。

 

「今いっぺん言いおる! ワシが、ランページじゃあぁぁ! スキップジャックじゃなああい!!」

 

 怪ロボット、ランページは今一度大きく吼えた。

 

 ……なぜか哀愁の感じられる叫びだった。

 

「な、なんなのコイツ!」

「この人も、ディセプティコン!?」

 

 ユニとネプギアが声を上げた。

 怪ロボット、ランページは、その声で初めてネプギアたちの存在に気付いたように首を巡らす。

 

「なんじゃろか、嬢ちゃんたち? みんなしてワシをお出迎えじゃろか? じゃけどワシは今から、シェアクリスタル言うんをパクるけん、嬢ちゃんたちの相手をしておる時間はあらん」

 

 独特の言語で言うと、ネプギアを睨みつける。

 

「どいてくれんか?」

「どきません! 」 

 

 無論、ネプギアの答えは否だ。

 

「ほうか、そんなら……死んでくれえ」

 

 ランページは、大きく腕を振り上げ、鞭をネプギアに振り下ろした。

 

  *  *  *

 

「フハハ! 貴様らの護るべきプラネタワーには今頃、我がディセプティコンの兵士が攻撃をかけておるわ!」

「そんな……」

 

 メガトロンの言葉に、ネプテューヌの顔が青くなる。

 

 だが、オプティマスは違った。

 

「貴様らしい手だな、メガトロン!」

 

 そう言って、フッと笑う。

 

「オプっち?」

「貴様…… なにがおかしい!」

 

 ネプテューヌとメガトロンが訝しむと、オプティマスは言い放つ。

 

「なに、ここにいるのが全戦力でないのは、我らオートボットも同じ、と言う話だ」

 

  *  *  *

 

 突然振り下ろされたランページの鞭だったが、それがネプギアに届くよりも早く、ランページは後ろから突如として突っ込んできた車に跳ね飛ばされた。

 黄色に黒のストライプが目立つ最新鋭のスポーツカーだ。

 

「なんの! カニ脚モードじゃ!」

 

 しかしランページは、下半身を四本の節足のような形状に変形させ、体勢を立て直しつつ着地する。

 

「なにもんじゃ!」

「『見たか!』『司令官』『直伝!』『ひき逃げ』『アターック!!』」

 

 ランページの言葉への返事は、ラジオ音声を繋げたものだった。

 

「あ、あなたはまさか!」

 

 ネプギアは、すぐに車の正体に思い当たった。

 

「バンブルビー!!」

「『せいか~い!』」

 

 黄色の最新スポーツカーは、ギゴガゴと音を立ててロボットモードへと変形する。

 

「『どう?』『オイラの』『ニューボディ!』」

 

 バンブルビーはネプギアたちに向かってサムズアップして見せる。

 

「カッコいいよ、ビー!」

「カッコいい……」

 

 ラムとロムが口々に褒める。

 

「そうね、前のオンボロよりもずっと素敵よ、ね! ネプギア!」

 

 ユニも褒めるが、ネプギアはなんとも言えない顔だ。

 

「私は、前の姿もクラシックで良いと思うんだけど……」

「『えー……』」

 

 せっかく、新しいザ・ニュー情報員のお披露目で張り切っていたと言うのに、ネプギアのあんまりな言葉に、思わずガックリと肩を落としてしまうバンブルビーだった。

 

「あ、もちろん今の姿もカッコいいよ!」

 

 あわあわとフォローするネプギア。

 しかしバンブルビーはよほどショックだったのかズーンという擬音つきで落ち込んでいる。

 

「ほう、オートボットじゃな。ちょうどええ、雑魚ばかりで張り合いがないと思うとったけん、相手してもらおる」

 

 ランページはニヤリと笑い、バンブルビーを見据える。

 バンブルビーは気を取り直して握り拳を構え、バトルマスクを下す。

 

「ワシの獲物はオートボットで十分じゃけん、おまえらの相手は、コイツらじゃ!」

 

 ランページはそう言うとともに、地面を鞭で叩く。

 すると、地面から、金属のサソリが姿を現した。

 

 スコルポノックである。

 

 さらに、スコルポノックが地面に開けた穴から、次々とモンスターが現れる。

 スコルポノックの掘った穴を抜けて、ここまで移動してきたのだ。

 その軍勢を前に、実戦経験のない女神候補生たちは気押される。

 

「大……丈……夫」

 

 バンブルビーが候補生たちをモンスターからかばう位置に移動し、本来の声で静かに言った。

 

「『オイラが』『ついてる!』」

 

 金属製の大きな背を見て、ネプギアを始めとした候補生たちは表情を引き締めた。

 

「ビー! 私たちもいっしょに戦うよ!」

「あんな奴なんかに、負けないんだから!」

 

 ネプギアがビームソードを、ユニが長銃エクス・マルチ・ブラスターを構える。

 

「ロムちゃん! がんばろう!!」

「うん、……がんばる!」

 

 ラムとロムも、おそろいの杖を握りしめる。

 

「ビー、モンスターは私たちにまかせて! あなたはディセプティコンを!」

 

 ネプギアのその言葉に、バンブルビーは電子音で答える。

 それをゴングに、戦いが始まった。

 

  *  *  *

 

「貴様の考えそうなことなど、お見通しと言うわけだ」

「むうう」

 

 オプティマスの不敵な笑みを浮かべながらの言葉に、メガトロンが低く唸る。

 

「オプっち、……私たちは」

 

 ネプテューヌは迷っていた。

 バンブルビーがいるとはいえ、ネプギアたちのことが心配だ。

 しかし、ここをオートボットたちだけに任せてしまうのも無責任ではないか?

 

「ネプテューヌ」

 

 オプティマスは静かに言った。

 

「信じてくれ。私の部下を、この国の兵士たちを。なにより、君の妹を」

 

 その言葉は一種の冷酷とも取れるだろう。

 だが、ネプテューヌにとっては違った。

 

「……そうね。ありがとう、オプっち」

 

 ネプテューヌは決意を固めた。

 どの道、ここでメガトロンを止めなければプラネテューヌに明日はない。

 それに、ネプギアもこの国の警備兵も優秀だ。

 姉であり女神である自分が信じなくてどうするのか。

 

「なるほどな、答は変わらないと言うわけか」

 

 メガトロンがネプテューヌとオプティマスを睨みながら言葉を出した。

 

「ならば、茶番は終わりだ! シェアクリスタルを寄越さないと言うのなら、奪い取るまでよ!」

 

 メガトロンの言葉に、周りのディセプティコンもモンスター軍団も戦闘態勢を取る。

 

「みんな! 来るわよ、気をつけて!」

 

 ネプテューヌが太刀を構え、他の女神たちも敵を見据える。

 その言葉を受け、オプティマスが皆に号令をかける。

 それに呼応して、メガトロンも配下に命ずる。

 

「オートボット戦士!」

 

「ディセプティコン軍団!」

 

「「攻撃(アタック)!!」」

 

 その言葉とともに、オートボットが、女神が、ディセプティコンが、モンスターが、一斉に敵に向かっていく。

 

 さあ、戦いの始まりだ!

 

  *  *  *

 

 戦闘が始まった。

 

 プラネテューヌ市街のメインストリートで。

 

 プラネタワーの前庭で。

 

 そしてもう一か所、オプティマス、メガトロン、そして四女神のあずかり知らぬところで、戦いが起ころうとしていた。

 

  *  *  *

 

 プランテューヌ中央部から少し離れた場所にある自然公園。

 普段は家族連れで賑わうここは、避難場所の一つとなっていた。

 家を離れた人々は、身を寄せ合っている。その顔は、一様に不安に満ちていた。

 そんな人々をバイクに跨った状態で、アイエフは見回していた。

 

「とりあえず、ここも大丈夫そうね」

「はいです! ……でも、みんな不安そうですぅ」

 

 この避難所を見回ってきたコンパは、顔を曇らせる。

 心優しい彼女は、震える人々の姿に心を痛めていた。

 そしてなにより、ここにいない親友のことを思いやる。

 

「ねぷねぷたちは、大丈夫でしょうか……」

「ネプ子のことですもの、大丈夫よ!」

 

 アイエフは、笑顔で言って見せる。

 

「他の女神様たちや、オートボットとか言う連中もついてるんだし、心配はいらないわ!」

「……そうですね」

 

 親友が自分を気遣ってくれていることに気づき、コンパは笑顔を作った。

 アイエフだって本当は不安でしかたないはずだ。

 しかし、気丈に振る舞って見せる。

 この少女は、昔からそういう子だった。

 

「あいちゃん」

「なに? コンパ」

「ありがとうです」

 

 コンパのお礼に、アイエフは照れ笑いを見せた。

 二人の間に和やかな空気が流れる。

 

「さ! 次の避難所に移動しましょ!」

 

 しかし、いつまでも和やかではいられない。

 彼女たちはいくつかある避難所を巡回しているのだ。

 

「はいです!」

 

 コンパが、アイエフの後ろに跨ろうとしたその時だ。

 公園の林の向こうから、なにかが木々をバリバリとへし折る音がする。

 

「ッ! コンパ、下がって!」

 

 アイエフがバイクから飛び降り、コンパを後ろに庇う。

 

「も、モンスターさん、ですか?」

「今回に限っては、そうであってほしいわね」

 

 コンパの不安そうな声に、アイエフは緊迫した声で返した。

 モンスターならば、アイエフと警備兵で対処できるはずだ。

 

 だが、それ以外だとしたら……

 

 そして、公園の太くはない木々をへし折り、いや轢き潰しながら現れたのは、巨大な、緑色のダンプカーだった。

 ゲイムギョウ界で使われる機種の中でも、かなり大型の物だ。

 

「ダンプカー……ですか?」

 

 停車したダンプカーを見上げ、コンパが呟いた。

 なぜ、こんな巨大なダンプカーがここに?

 

「まさか、こいつも……」

 

 アイエフの声はさらに緊迫する。

 オートボットたちが、車から変形するところは見た。

 ネプテューヌたちの話によると、ディセプティコンはヘリやジェット機に変形したと言う。

 ならば、このダンプカーも……。

 そして二人の疑問の答えはすぐに得られた。

 

「有機物をぶっ壊してたら、変な所に出たんダナ。ムシケラがたくさんいるんダナ」

 

 ダンプカーから声が聞こえてきたかと思うと、その車体が震え、寸断され、組み変わる。

 

「警備兵! みんなを避難させて! 早く!!」

 

 アイエフのその声とダンプカーの異変に警備兵たちが反応し、すばやく人々を逃がしていく。

 そうしている合間にもダンプカーは人型へと姿を変える。

 元々のダンプカーの大きさに比例して、あのオプティマスをも上回るずんぐりとした巨体だ。

 

「一応、聞いておくわ、あんたはディセプティコン?」

 

 アイエフの声に巨体のロボットは、その赤いオプティックをギロリと彼女のほうへ向ける。

 

「そうなんダナ。ボクの名前はロングハウルなんダナ」

「なるほどね、あのメガトロンって奴の手下ってわけ」

 

 アイエフが緊張で冷や汗を垂らしながら言うと、そのロボット、ロングハウルは不機嫌そうに体を揺らした。

 

「メガトロンなんか関係ないんダナ!」

「なんですって?」

 

 ロングハウルの言葉にアイエフは驚く。

 ディセプティコンは、平たく言ってしまえばメガトロンの手下たちのはず。しかし、このロングハウルは違うと言う。

 

「ディセプティコンの奴らは、どいつもこいつもボクのことを運び屋扱いして…… 本当はすごくムカついてたんダナ!」

「そ、そうなんですか……」

 

 なにやら勝手にヒートアップしていくロングハウルに、コンパは引き気味だ。

 

「く、苦労してるのね」

 

 アイエフはなおも警戒を解かず、コンパとともにジリジリと後ろへ下がって行く。

 その視線は腕の装甲の内側のミサイルに注がれていた。

 

「いつもボクは運搬役ばっかりなんダナ! 泣けてくるんダナ!」

 

 ――じゃあ、運搬車両(ダンプカー)の姿になんかなるなよ!

 

 アイエフの頭をそんな言葉がよぎるが、黙っておく。

 総括すると、このダンプカーはディセプティコンでの自分の立場に不満があるらしい。

 ひょっとして、今回の襲撃とは無関係なんだろうか?

 

「ボクだって、暴れたいんダナ!」

 

 ロングハウルはそう叫ぶ。

 無関係かもしれないが、危険なことに変わりないようだ。

 

「だけど、ここにはオートボットも、ディセプティコンもいないんダナ! 暴れ放題の壊し放題なんダナ!! 手始めに……」

 

 その赤いオプティックが、アイエフとコンパに向けられる。

 

「ここにいるムシケラどもをぶっ潰すんダナ!」

 

 ロングハウルの両腕の装甲から、斧が飛び出す。

 アイエフは焦った声を出した。

 

「コンパ! アンタも早く逃げなさい!!」

「あいちゃんはどうするですか!?」

「わたしは……」

 

 アイエフは、キッと緑のディセプティコンを睨みつける。

 

「こいつを食い止めるわ!!」

 

 そう言うとアイエフは両手にカタールを呼び出し、ロングハウルに飛びかかっていった……。

 




まずは、ビーストウォーズファンのみなさん、全力でごめんなさい!!
そうです、ランページつながりでキャラ付けした瞬間、残りのコンストラクティコンの運命も決まりました。
彼らはビーストウォーズにおけるデストロンのメンバーを基にキャラ付けしています。(ダナダナ言うのはデストロンだっけ? というかたは禁断の作品ビーストウォーズリターンズをどうぞ)
あくまでも基にしているだけなのでイコールではありません。

そしてネプテューヌ側は、総選挙が行われていますが、個人的に中間結果の時点でキセイジョウ・レイがあんな人やこんな人より順位が上であることに驚いていたり……
逆に上位は、それほど意外ではないかと。

※謝らなけれければいけないのは、コンストラクティコンのファンの方々に対してもでした。
本当に、申し訳ありません。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。