捻くれボッチの転生記   作:ジャージマン

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修行をした

いつも命がけで、死にかけることも多々あった

そんな中で思う

―――本当に帰れるのか

戦う途中で思う

―――俺は誰だ

戦いが終わったときに思う

―――あぁ、俺は人間じゃない

誰もが思う。特別な力がほしいと、この世界でたった一つの力。皆が自分を見てくれるそんな力が。

今だからはっきり言える

やめておけ、と そんなもの自分が自分でなくなるのではないか、大切な者に自分は受け入れてもらえないのではないか。

そんな感情にいつまでも付き纏われそして逃げられない

そして最後に―――壊れる

これは少なからずあっていると思う

少なからず俺がそうだから―――


十五話 零れ落ちたもの

黒いローブを被った多分悪魔だろう者たちが俺達を囲んだまま少しづつ近づいてくる。相手は一気に攻めて来なく疑問に思う

 

―――なぜそんなに警戒している

 

相手は確かに何かを恐れている。しかしこっちのメンバーは全員子供、警戒に値するものではないはずなのだが―――

 

瞬間一気に距離を詰めてきた。俺の考えるときを隙と見たのだろうか、様々な武器をどこからか取り出し襲い掛かってくる。鎌、剣、鈍器を持ちしかもそれは俺だけを狙っているだけではなく後ろの者達も狙ってくる。一人の者が俺に斬りかかってくる。余裕などない・・・!

 

        『intense aversion』

 

『misfortune』『misfortune』『misfortune』『misfortune』『misfortune』

 

一気に禁手を解放する。そして相手の剣を止め、剣と剣が擦れ合う。その間に俺の後ろに行きグレモリーたちを襲おうとする者、俺の背後に回り斬りつけようとする者。・・・・駄目だ、数が多い過ぎる。

まず正面の者を力を倍加し相手の剣を上に弾き飛ばしそこから回転斬りで二人とも片付ける。そうしてその勢いからグレモリーたちを襲おうとしようとする者に飛び掛かり体を真っ二つにする。返り血が俺に付着する。そして後ろを振り向く。だが相手は仲間の死にも怯むことなくまた多数が迫ってくる。

最初に俺を排除すべきかと思ったのかその大半が俺一人を囲み少人数がグレモリーたちに向かう。グレモリーたちは判断力がよくさっき俺が作り出した一つの隙から逃げ出した。しかしまださほど遠くない、時機に追いつかれてしまうだろう。しかもさっきのケルベロスとの戦いのせいで体が少し疲労している。技を連発するんじゃなかったな、しかしそんな後悔はしない。

まだ後ろにはローブを羽織ったものが沢山いる、そして俺は囲まれている。そしてまた襲い掛かってくる。・・・クソッたれ、やはり動物とは違う。頭を使ってくる。俺の一瞬の隙を狙ってきて受け止めたらその隙から襲い掛かって来て挟み込みなど四人全員の連携技などを繰り出してくる。

それを何とか躱し羽をだし空へ飛びつつ後方へ向かう。これではいつか必ず致命的攻撃を受けてしまう、四連携技では腕を負傷してしまった。いや、それだけで済んでよかったぐらいだ。

どうすればいい! ここから逆転できる一手は何だ!? 相手の動きからは目を離さず頭を働かせる。しかし相手がそれを許してくれない。

剣を投げつけられる。何とか躱すが予想外の攻撃で思考が離れる―――

 

「~~~~ッ!!?」

 

その瞬間何とか回避行動はとれたが判断が遅いせいで左腕に剣が突き刺さった。これが心臓に刺さると思うとゾッとした。もう左は使えない、危険、しかし迂闊に派手な技は使えない。相手の数が分からない以上相手が一人でも生き残ったらもうジ・エンドだ。左腕から血が噴き出すように出てくる、それが俺の考えを邪魔する。もう何もかも捨てて逃げ出したいと、本能がそう叫ぶ。だがそれを理性の化け物がとめる。

そして戦いへと考えが変わっていく。助けは・・・、駄目だ無理だろう。この状況で助けにくるほどの奴なんていないだろう。やはり一人で打破するアイデアが必要だ。しかし考えにまともに浸ることも出来ない。その瞬間俺は殺される。その時コツコツと足音が聞こえた。その足音を出した者を見る。

 

「いやぁ~、凄いねー!」

 

その場に合わない程の陽気な声が聞こえた。・・・なんだ?

 

「君まだ子供なのにまだこの状況で生きていてしかも何人も殺してるし!」

 

その瞬間胸が痛んだ。しかしそれを振り切る。なんだ? 隙を作ろうとしているのか・・・?

 

「そんな君に僕の能力を実験させてもらいます!」

 

「・・・子供に効くか試したかったんだよね」

 

その言葉で寒気がした。何だ? 何をする・・・?

 

「神器発動!」

 

来る・・・! その予想ができない攻撃に全神経を向ける。運のいいことに他の者は誰一人とこちらにこようとしない。なら・・・。相手の目と自分の目があった、相手は相変わらず気味悪い笑みを浮かべている。相手が一向に動きを見せないことに俺の頭は安心してしまったのか、瞬きをする。

 

その僅かな時間、ほんの一瞬視覚を遮断した、してしまった。

 

目を開けた瞬間

 

そこには

 

―――嘘だ

 

何よりも大切で

 

―――ここに居る筈あるわけない

 

今の俺にとっては

 

―――なのに

 

絶望でしかない

 

―――なんでいるんだ

 

         『雪ノ下、由比ヶ浜!』

 

―――それは最悪の再開となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前・・・、何を、したんだ・・・?」

 

まだ目の前の存在を信じれずにいる。俺の大切な者たちで、失いたくないもの、奉仕部のメンバーがいた。

 

「へぇ~。その年で君の大切な物が高校生の女の子二人とは・・・。君、ませてるね~」

 

しかしこいつは俺の質問を無視し喋りだした。そして思いっきりの笑顔でこいつは絶望の言葉を繰り返した。

 

「じゃあ、お二人さん」

 

「この少年を」

 

「殺しちゃって♪」

 

その言葉が繰り出されてから雪ノ下、由比ヶ浜が前世と異なる速さで迫ってきた。そして蹴りを繰り出してきた。その姿に茫然としていた俺はそのまま蹴りをダイレクトに受けた。そして俺は木に叩きつけられた。

 

「何でだよ・・・」

 

つい言葉が零れる。しかし二人は止まってくれない。俺に蹴りを、拳を容赦なく叩きつけてくる。それを何とか受け止め続ける。これは偽物だ・・・! そう自分に言い聞かせ力の入っていない蹴りを雪ノ下に当てようとする―――

 

「あーーー。言い忘れてたけどその攻撃君の本当の大切な人にもダメージ受けるから気を付けてねー」

 

―――蹴りが止まる

 

そこから俺は雪ノ下に足払いをされ由比ヶ浜にボディブローを受けまた吹っ飛んでいった。地面と擦りながら勢いは収まっていく、が俺はまともに立ち上がれなかった。こんなの・・・ねぇよ。

 

大切な者の姿になった相手にボコられしかも攻撃を与えると本当の雪ノ下たちにダメージがいく。俺が全力で殴れば多分こいつらはすぐに殺せる、こいつらの動きは少しぎこちなくすぐ仕留められるものだった。しかしこいつらを殺したら、あいつらも死ぬ。その瞬間俺は帰る意味を失う。

 

「ケホッ! ・・・くそ」

 

・・・なんて無理ゲーだ。情けないことに涙が一筋流れてしまった。ゆっくりと立ち上がる。二人が俺に近づいてくる。もう嫌だ・・・! 俺は背中を向け全力で逃げ出した。こんなの戦えるわけないじゃないか。

 

しかしそれは許されない。あの二人を呼び出しただろう憎らしいさっきの男が道をふさいだ。しかし迷いなく俺はそいつに全力で剣で斬りかかろうとした、がその斬りかかろうとした場所に雪ノ下の手が現れた。

 

「~~~~~~!!!!!」

 

思わず止めてしまう。その瞬間俺は蹴りを受けまた公園へと戻された。

 

「アハハハハハ!!! どうしたの? 手も足もでないね!」

 

そりゃあそうだろう。手も足も出せるわけがない。もう俺はサンドバック状態だった。殴られ蹴られ体中に激痛が奔る。そして遂に剣を持ち倒れている俺に斬りかかってきた。

 

「・・・・止めてくれ」

 

剣が止まった。

 

「何で、お前らと殺し合いなんてしなくちゃいけねぇんだ」

 

涙があふれてきた。もう言葉が止まらなかった。

 

「俺は・・・・」

 

顔を上げる。

 

「お前らが何よりも、俺の命なんかよりも大切なのに!!!」

 

あぁ。かっこ悪い。敵もこんなにも見ていて笑われている。理性の化け物も耐えられず本音が出てきた。

 

「だから俺は死なない。死ぬわけにはいかねぇ」

 

何とか立とうとする。

 

「本当のお前らと本物を見つけるまで絶対にだ」

 

感情のないはずの二人が俺の言葉を聞いている。

 

「その為には―――」

 

俺の止まらない言葉を紡ぐように二人が抱き付いてきた。

 

「――――え・・・?」

 

二人も・・・泣いていた。何故・・? こいつらは偽物のはずじゃないのか・・・? そう思って相手の顔を見ると驚きに満ちていた。しかし俺はそれはたいして何も思わなかった。

 

それは―――

 

「「ごめんなさい・・・・」」

 

こいつらの言葉が聞けたから。泣きながらそして消えていった。その姿はとても神秘的で何よりも俺に力をくれた。

 

・・・すまねぇな、二人とも

 

「バカな!? 僕の能力が消えるはず―――「黙れよ」

 

あいつらには沢山ボコられた。もう目の前の世界は揺らいでいる。けど不思議とあいつらに険悪感は抱かなかった。

 

今の俺にあったのは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺す、お前ら全員!」

 

凄まじい殺人衝動だった。


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