ソードアート・オンライン ~少女のために~   作:*天邪鬼*

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今回のごちうさでシャロが携帯使っていたじゃないですか。
その携帯がなんと自分の妹と全く同じ機種と色だったんです!!
つまり、シャロは自分の妹になり今回の話からチノも自分の妹となって、その姉になったココア、リゼ、千夜も自分の妹となる訳です!!
なんと、メイン全員が自分の妹に!!
ついでにココアの妹のチヤ、メグも妹!!
モカは姉!!

………………違うか。
うん、違いますね。


86話 天才の戦略

 

俺は顔をテーブルの上に置いていた。

おでこから伝わる擬似的な木材独特のひんやりさが多少でも頭を冷やしてくれる。

俺は頬にもこのテーブルの冷たさを味わわせようと顔を横にした。

うむ、なかなかの心地よさでこのまま顔を上げたくない。

 

「ちょっと、だらしないわね」

 

「そうだそうだ!胸を張っていこう!!」

 

「………………張る胸無い癖に」

 

俺は覆い被さるフードの中でフカ次郎に毒を吐いてやる。

この声が届いたかは分からないが、フカ次郎からの返事が無いので聞こえなかったのだろう。

今、俺達はSJ2が開催される酒場のテーブル。

1つの丸みを帯びたテーブルを囲うようにしてできた所々に傷のある茶色のソファー。

そこに左からレン、フカ次郎、アイ、俺、シノンの順番になって座っている。

フカ次郎以外皆黒や焦げ茶色などと姿をできるだけ隠すような格好をしているので、見方を変えればちょっと怪しい宗教団体に見えなくもない。

 

「………誰か来ましたよ」

 

隣のアイがそういって俺の足を軽くつつく。

俺はそれに合わせてフードから片目だけ出せるぐらいの隙間を身をよじって作る。

 

「や!レンちゃん!!」

 

フードの隙間から見えたのは何か凄いボディーの女性だった。

ありとあらゆる脂肪が一切無く、筋肉だけのスレンダーボディーはまるでサイボーグのよう。

全身ピッチリとした黒のスーツはどこぞの星人と戦う物語に出てきたバトルスーツに似ている。

お陰で僅かに分かる女性特有の膨らみで街を歩けば通り過ぎる男性のほとんどが鼻下を伸ばして振り返ることだろう。

しかし、いくら俺が貧乳好きだとしてもこの女性にはドキッとはしない。

豹や狼のような野性的な雰囲気を際限なく絶えず流しているからだ。

片目だけでもこいつがヤバい奴だということは一瞬で理解してしまう。

 

「前回優勝者おめでとう!!」

 

「ありがと!」

 

サイボーグ女は俺やフカ次郎などの他プレイヤーを無視してレンだけに話をする。

レンも笑顔で答えて2人だけの独立した空間を作り出していた。

彼女達の笑顔に一体何が込められているのだろか。

アハハ、ウフフの綺麗かつ恐ろしい笑顔合戦が行われている。

俺はその光景を見てサイボーグ女が例のピトフーイだと想像がついた。

 

『待機エリア転送30秒前です。出場者は準備をお願いします』

 

その時、酒場に機械的な女性のアナウンスが流れた。

ついに、戦いが始まる。

俺はテンションが自然に上がってしまい、がばっと起き上がった。

その勢いでフードまで後ろに取れてしまう。

 

「やっとやる気になりましたか?」

 

「まぁ、一応」

 

俺はそう答えながら首を回す。

仮想空間なのに何故かコキコキといった現実と変わらない感覚が首筋に走る。

シノンもシノンでエンジンが掛かってきたのか目付きが山猫へと変貌していた。

逆にフカ次郎は"早く飲まないと!"とテーブルに置いてあるレモネードをせっせと飲んでいる。

全く緊張感を感じさせないある意味羨ましい態度だ。

このように俺達が一斉に態度を変えたからだろうか?

ピトフーイと思われるサイボーグ女が初めて俺達4人に視線を向けてきた。

まるで品定めをするようにねっとりとした視線が俺達を襲う。

 

「へぇ~、良い友達持ってるじゃん」

 

「それはどうも」

 

なめるような視線を俺達から外し再度レンに向き直る。

サイボーグ女の目には悪意は無く純粋な好奇心が浮かんでいた。

残り数秒で30秒になる。

 

「ピトさん」

 

「………何?」

 

「私が殺すんで、()()忘れないで下さいよ」

 

「あは!!」

 

レンの宣言にピトフーイは悪魔のような恐ろしく無邪気で気味が悪い笑みを浮かべた。

殺れるもんなら殺ってみろと言わんばかりの笑みだ。

俺はその笑みを見て思った。

確かに………こいつはSAOだとレッド側だ。

SAOでは稀にいる命のやり取りを全力で楽しむ頭の糸が切れてるイカれた奴。

この時、俺の頭の中から冗談という僅かに残っていた可能性を完全に排除する。

マジでこいつは死ぬつもりだ。

 

「キリト様」

 

「キリト」

 

アイとシノンも同時に俺と同じことを感じたのか、より一層瞳が鋭くなる。

 

「女の子5人でも私の所まで来れるなら相手してあげるわ」

 

ピトフーイは余裕のある言葉を残して去っていく。

彼女は自分が上だと思っているそこを突けば勝機は十分にある。

保険を使わなくても済む。

ただ、それよりも大事なことがあるのだ。

その事でアイとシノン、フカ次郎は勿論のことあのレンまでもが声を殺して笑いを堪えている。

さっきの殺伐とした雰囲気をピトフーイが持っていってしまった。

雰囲気を作り、雰囲気を壊していく。

なんと恐ろしいプレイヤーだろうかピトフーイ。

 

「俺………男なんだけどな」

 

4人の盛大な大爆笑を酒場に響かせながら俺は待機エリアへと転送されていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い空間で10分間の殺戮準備が整うと俺達はすぐにSJ2のフィールドへと移った。

青白い光エフェクトが消えて一瞬の浮遊間もそれで終わる。

俺が立っていたのはコンクリート。

ざらざらと荒い面をしたコンクリート道の上だった。

 

「街か」

 

「みたいだね」

 

周りを見ると2メートル程の間隔を置きながらレン、フカ次郎、アイ、シノンの皆が揃っていた。

ルール上敵チームとはは1キロメートル以上離れているから初っぱなからドンパチする必要はない。

だが、一部の狙撃銃や対物ライフは射程1キロなど余裕。

もし、相手が見晴らしのよい場所に運良く転移したらここですぐに撃たれてしまう可能性がある。

リーダーのレンもそれは分かってるのだろう。

先ほどから小さい身長でも頑張ってジャンプしたりして辺りを見渡している。

 

「平気よ。少なくとも狙撃主が居そうな場所は無い」

 

そう冷静に伝えるのはGGO最強のスナイパー。

レンは"おぉ………"と拍手を贈っている。

俺も少し驚いたがよく考えればスナイパーであるシノンなら何処がスナイピングに最適か瞬時に見定めることが出来てもおかしくない。

 

「皆ー!これ見てよ!」

 

すると、何処からかフカ次郎の声が聞こえてきた。

なんとフカ次郎は忍者のように姿を眩ましてその編を詮索しにいっていたらしい。

俺達はフカ次郎の声が聞こえる方に歩いていった。

 

「壁」

 

アイがポツリと声を漏らす。

アイの言う通りそこには50メートル以上もあるどんな巨人も通さなそうなガッチリとした壁がそびえ建っていた。

最初に居たところからは丁度真逆で気づかなかったのだ。

まさに不動。

何事にでも崩れない壊れない倒れない。

冷たく、そして力強く存在している。

それも1つの壁が直角に曲がっている不思議な形で。

 

「ああ、ここフィールドの端っこなのか」

 

俺は首が痛くなりそうな程の壁を見上げながら言った。

そして、ほぼ同時にレンが胸ポケットから端末を取り出してフィールドマップを開く。

レンの端末を中心にしてSJ2の広いフィールドマップが展開される。

マップが開ききると俺達がいる場所が左上、つまり一番北西にあることが分かった。

 

「難しい場所ですね」

 

「まぁ、取り敢えず後ろの警戒は必要ないわね」

 

マップには色々な地形があった。

俺達がいる長いゴーストタウンに岩山、雪山、草原、ドーム状の建物。

あらゆる場面を楽しむ為なのかBoBを目指そうとしているのか、どっちにしろ使えそうな地形が揃っていた。

 

「じゃ、一先ず家に隠れてスキャンを待つよ」

 

「「「「了解」」」」

 

リーダーレンの一言に俺達は声を揃えて返す。

それが何だかおかしくて自然と笑みが溢れる。

俺はこの雰囲気に便乗してある提案をすることにした。

 

「レン、ちょっとした作戦があるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、スキャンすらまだの時間。

とあるチームが今家と家の間に細長い半透明の糸を繋げていた。

これに引っ掛かった奴を下に埋めてある爆弾で殺す為の罠を作っている最中だ。

どうやら最初のスキャンで自分のチームに目をつけたチームを狩ろうとする算段らしい。

 

「敵はいるか?」

 

「問題ない」

 

銃を構えた見張り役の男に罠を張る役の男が声をかける。

規律正しいその姿は素人目からすると抜群のチームワークに見えた。

数人の見張りという厳重な守備と数人で迅速に罠を張る。

これも普通のプレイヤーが見ればかなりのチームワークに見えるだろう。

武装も《M16A3》アサルトライフルが4人、拳銃弾のサブマシンガン《UZI》が1人、《イサカ M37》ショットガンが1人。

中距離型の武装もバランスがいいと言っても良い。

この6人の男達は上位までいくだろう。

酒場の観客に加えて自分達でさえもそう思っていた。

 

ドンッ

 

「へ?」

 

しかし、その抜群のチームワークも戦略も武装も天才には敵わないのである。

全てが彼の想像通り。

まず、たった1発の銃弾が罠を張る場所の中心に撃ち込まれる。

当然、地面の下にあった爆弾がその衝撃に耐えかねて爆発してしまう。

これで2人死んで残り4人。

爆発音を聞いた残りの4人が罠を張っていた仲間の方を見たのは当たり前の行動。

それもチームワークが良いチームなら尚更だ。

だが、それが仇となる。

一斉に振り返ってしまった瞬間、彼らはうなじ辺りに嫌な違和感を感じながら崩れ落ちることになる。

これで6人。

全ては一瞬の出来事であった。

 

「先ずは、1チーム」

 

リーダーらしき小さなウサギのような少女に不敵な笑みを見せる少女のようなアバターを持った少年。

この少年こそが敵チームを殲滅させた作戦を考え付いた人物。

かの天才、茅場昌彦が唯一認めたもう1人の天才。

桐ヶ谷和人、"キリト"である。

 




流石、キリト君!!
やはり天才!!

緊急報告!
近々、定期テストを迎えるため、勉強しなければなりません………
ですので、次回の更新が遅れてしまいます。
まぁ、いつものことですので皆様、どうかご了承下さい。

では、評価と感想お願いします!!

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