何と、"SAO"と"のんのんびより"のクロスです。
しかも、SAOの世界にれんげ達が入るのではなく、のんのんびよりの世界に和人だけを入れる謎設定。
中学2年の和人が転校してきて、皆とのんのんと過ごす変な世界。
そしてヒロインがこまちゃん。
あの小さなこまちゃん………
おい、自分………頭大丈夫か?
「新川昌一か新川恭治だナ」
ボクの仮想空間でアルゴは胡座をかいたまま、だるまさんのように揺れている。
それも結構大きく動くから髪はなびくし、後ろに倒れたときは顔すら見えなくなっちゃう。
ボクとユイちゃんはそんなアルゴの前できちんと体育座りで話を聞いていた。
「そんデ、恐らく昌一が兄で恭治が弟………」
「シウネーが聞いた話だと"ザザ"の可能性があるのは病院を受け継ごうとしている弟………じゃない方の兄」
「つまり、新川昌一が
ユイちゃんが人差し指を立てて"ムフー"と鼻を鳴らす。
アルゴも両手を組んで深く頷いている。
ボクもそう思うし何よりアルゴがそうだと確信しているようだし間違いは無さそうだ。
あとはこの事を仮想課の菊岡さんに言ってどうにかしてもらおう。
「じゃあ早く菊岡さんに言わないとね」
「そうですね!!」
ボクは張り切って飛び上がった。
ユイちゃんも便乗して同じように飛び上がる。
これで菊岡さんもボク達が望むような対応をしてくれたらハッピーエンドになる。
だけど、ユイちゃんと両手を組んで"やったやった"とはしゃいでいる中、アルゴは少しだけ浮かない顔をしていた。
「………どうしたの?」
ボクはユイちゃんとの小ジャンプを止めてアルゴに訊いた。
「イヤ、連中がこんなに大人しい人間なのかと思ってナ」
「連中とはラフィンコフィンの事でしょうか?」
アルゴは無言で頷いた。
まぁ、確かにSAO時代には殺人を好きで殺っていたラフィンコフィンが現実で大人しくするとは思えないけど、現実と仮想の性格が全然違うって人は大勢いる。
ザザもその1人なのかもしれないし。
そんな事を考えているなんてお見通しなのかアルゴが首を横に振った。
「奴らは快楽の為に人を殺していタ。それは相当ヤバイ事なんだヨ。人によっては人を殺すことによって性的快感を感じようとすることもあル。快楽殺人者がいきなり殺人を止めるのは無理なんダ」
「殺人を性的快感に?」
「主に幼児期の体験が原因とされていてナ。昌一は産まれた時から病院で過ごしているようだから生と死に関心も強かったんだヨ。その探求が快感に結び付いちまったんじゃねーカ?SAOという罰せられることのない世界デ」
ボクには想像もつかない世界の話だった。
家族を失い事故にあってHIVに感染したりと控えめに考えても生と死に無関係だとは言えない人生をボクは送ってきた。
けど、人を殺すとは一度も考えたことがない。
………狂ってる。
ボクはザザでもなく昌一でもないから彼の経験したことは分からない。
それでもそう思わずにはいられなかった。
「もしかするト………何処かでヤバいことを今でもしてるんじゃないかってナ」
「だとすれば、いっそう早く仮想課の人達に報告しないとです!!」
「そうだよ!ボク達が言えば何かしてくれるかもしれないよ!!」
それでもアルゴは仏頂面を崩してはくれない。
言えば解決することは分かっているようだけど、何か別のことを考えているようにも見える。
いつの間にかだるまさんのような揺れも止めていて腕を組んで考え込んでしまっていた。
梃子でも動かなさそうなアルゴにボクとユイちゃんは困ってしまう。
『警察の前に伝えておかないといけない人がいるぞ』
「「「!?」」」
突然、老婆のような声がボクの仮想空間に響き渡る。
その声は一ヶ所から発せられているのではなく、仮想空間全体から発せられているようだった。
驚きのあまり、皆一瞬肩を震わせてしまう。
すると、ふいに光の粒子のような物が何処からともなく現れて形作り始めた。
丁度、ボク達の間で集まっていく光は形を成していき遂には人形へと変化する。
そして、光の形成が終わるとボクとアルゴの間には1人の少女が立っていた。
「久し振りじゃの。ママ殿」
木製の杖を突いてまるで賢者のような服装と風貌の眼鏡少女。
クリーム色の短い髪に翠色の瞳。
ボクと和人の3姉妹の内の次女であるカーディナルだった。
「カーディナル!!」
普段は自分で造り上げている情報の大図書館を管理していているのでなかなか姿を見せないカーディナルが目の前に現れたことを嬉しく思い飛び付く。
アイちゃんとほとんど背に差がないからボクでも十分に抱き締めることが出来た。
「お姉ちゃん!!」
ボクに続いてユイちゃんがカーディナルに飛び付く。
それによってボクとユイちゃんに挟まれたカーディナルは苦しそうに呻き声を上げている。
だけど、ボクは一向に力を緩めることはしなかった。
「ホイホイ。ユーちゃんもユイちゃんもカーちゃんが苦しがってるゾ」
本当はもう少しくっついていたかったけど、アルゴの言う通り眼鏡や帽子がずれたりしていてカーディナルに精神的なダメージを与えすぎたと反省する。
ボクとユイちゃんから解放されたカーディナルはわざとらしく咳をしながらずれた帽子と眼鏡を治してついでに乱れた賢者服も治した。
それから杖を一回大きく突いてから咳を1つ。
「久し振りに会えて嬉しいのはわしも同じなのじゃが、今はそれどころではないじゃろ」
見事なまでのおばあちゃん口調でカーディナルは話始めた。
老婆のような声も姿を見ると年相応の幼さも感じられる。
「ママ殿達が話していた新川昌一なのじゃが。今、とあるゲームにログインしておる」
そう言って、カーディナルは杖を横に振ってシステムの画面を呼び出した。
オリジナルの画面の呼び出しに少し驚いたけど、更に驚くことが開いた画面に映っていた。
カーディナルが呼び出したのは今和人がいる世界のホームページだったからだ。
「ガンゲイルオンライン………パパ殿が戦っている世界じゃ」
「昌一………ザザが和人のいる世界に?」
「成る程、キー坊はそれを知っていたんだナ。それで本気を出しタ」
「パパ………!」
皆、思い思いに口を開いた。
多分、和人はザザに出会ったことで精神崩壊を起こしてしまったんだと思う。
そして、和人はザザに挑んでるんだ。
ボクはすぐにでもGGOに飛び込みたかった。
和人と一緒に戦いたかった。
「VRゲーム全てのデータはわしの図書館に常時更新されておる。そこから見付けたのじゃ。GGO内でのアバター名はステルベンじゃ」
「死を意味する医療用語………確実にしたナ」
アルゴがステルベンという名前に反応すると頬をつり上げた。
その不気味な笑みには怒気が混じっているのがよく分かる。
そして、そのアルゴに数秒遅れて何とユイちゃんが大声を出した。
「あ~!!」
小さい体から大きな声が飛び出して、皆目を丸くする。
しかし、ユイちゃんは目を大きく開いて若干背伸びの態勢になった状態で驚きというより閃きを全身使って表していた。
「パパの依頼の犯人!!!」
オヒサデス!カーディナルさん!!
以上!!!
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