ソードアート・オンライン ~少女のために~   作:*天邪鬼*

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DAIGOさんマラソンお疲れさま!!
残酷な天使のテーゼ………選曲最高!!


67話 友達の危険

 

 

「ごめんなさい。急に呼び出して」

 

「どうしたのシウネー?ボクだけ呼び出すなんて」

 

エギルと楽しい楽しいお話をしている時に送られてきたシウネーからの緊急招集。

ボクだけが集められたりメッセージがいつものシウネーとは何処か違う気がしたりと気になることがいっぱいあったけど特に意識しないでいた。

だけど、バーチャルホスピスにいたシウネーの顔を見て重大な事なんだと感じた。

無数で色とりどりの花が咲き誇るガーデン。

その中心にある大きなガーデンパラソルの下にある木製のベンチにシウネーは座っている。

ボクはSAOと同じ水色、でも髪は短くしたシウネーの隣に座っていた。

 

「あの、ユウキはSAOで出会った人の事を覚えていますか?ああ、現在交流がある人以外でです」

 

「SAOで?んー、印象に残ってる人とかトップギルドのリーダーとかは覚えてるよ。」

 

聖龍連合のリンド、軍のキバオウとかならパッと頭の中に思い浮かべることができるし印象に残ってる人だと卓越した裁縫スキルで有名なアシュレイとかがいる。

本当にアシュレイにはよくお世話になったよ。

この前、ALOで再会したときは驚いたしね。

ボクは他の人も思い出そうと腕を組んで唸っているとシウネーが変な事を尋ねてきた。

 

「それじゃ、相手の癖とかは覚えていますか?」

 

「え、癖?アルゴの話し方みたいに?」

 

シウネーが頷いた。

どうも表情の真剣さと話す会話の内容にズレがあるね。

中々本題に入ってくれないし。

本題が気になってムズムズする。

でもやっぱり、シウネーがここまで真剣に話しているからボクは我慢する事にした。

 

「………どうしたの?」

 

って思ったけど訊いちゃった☆

我慢するのは嫌いだから。

話も早く進むしシウネーにとっても都合が良いと思う。

ボクは出来るだけ穏やかに言った。

すると、シウネーは堅くなっていた表情を緩めると一旦目をつぶって深呼吸をした。

ボクの表情で針積めた糸を緩ませたのかな?

目を開けた時のシウネーの顔は真剣ではあるもののさっきよりは表情が楽になっていた。

 

「笑う棺桶………ラフィン・コフィンを覚えていますか?」

 

「も、勿論だよ!あんな危険な人達………警戒してないと殺られちゃうかもしれなかったしね」

 

最凶、最悪、最低な殺人鬼集団で構成されたSAOではある意味モンスターよりも注意しなくちゃならなかったギルド。

人を殺すという普通だったら考えもしないことを進んで行い、あまつさえ人殺しを喜んで楽しんでしまう人達。

ボクはシウネーの口からそんなギルドの事が出てくるなんて思いもしなかった。

シウネーはとても優しい。

ギルドの皆の命を自分の命のように思ってくれていた。

だから、誰もが嫌う殺人ギルドのラフィン・コフィンのことも人一倍嫌っていた。

ボクは移動してシウネーとの座る距離を短くした。

ピッタリと太股と二の腕がくっつている。

 

「あのギルドの1人と思われる人を見つけてしまったんです」

 

「ラフコフの1人を?誰なの?」

 

XaXa(ザザ)………赤眼のザザです」

 

「ザザ!?」

 

ボクは目を丸くしてシウネーを見上げた。

ラフィン・コフィン、トップ3の内の1人”赤眼のザザ”

エストックと呼ばれる細長い剣を扱いラフィン・コフィンの幹部でもあったと聞かされている。

実際に会ったことはないけど、手配書で姿などは知っている。

 

「で、でも、ザザは骸骨のマスクを着けていたんでしょ?」

 

「はい、ですが、ザザの特徴として言葉を極端に切るようにして話すとも言われています」

 

「あっ………」

 

ボクはSAOで見た手配書を鮮明に思い出した。

微妙にぶれている写真と一緒に書かれていた特徴の欄。

そこには言葉を極端に切るように話すと確かに書かれていた。

”お前を、殺す、刺して、殺す”

命からがら逃げてきたプレイヤーが聞いた声らしい。

こんな珍しい話し方をする人はそうそういない。

いるとしてもそれは戦場カメラマンぐらい。

それに加えてSAO生還者(サバイバー)が感じる同じ生還者(サバイバー)特有の雰囲気もシウネーが感じてたら。

シウネーがザザだと思った人が本物のザザである可能性は高い。

 

「でも、何処で見たの?」

 

「私が新川総合病院に入院していることは知ってますよね?」

 

「うん」

 

「私の病室から聞こえたんです。廊下を通り過ぎる2つの足音を。1人は新川総合病院の院長だとすぐに分かりました。そして、もう1人の人がザザの話し方だったのです。”ゲームばっかりしてないで勉強もしたらどうだ”、”勉強は、している。それと、後継ぎは、弟。俺は、関係ない。巻き込むな”って」

 

シウネーの演技力もあるけど手配書の特徴と同じだった。

それと会話から院長とザザらしき人は親子。

院長の息子。

つまり、シウネーの身近に赤眼のザザと呼ばれた殺人者かもしれない人が彷徨いている。

 

「情けないのですが。私………怖くて………」

 

「シウネー………」

 

シウネーは体を小刻みに震わせていた。

膝に乗せられた両手は小さく握られている。

同じ建物の中に、身近に、10数人も殺した殺人者がいるかもしれない。

シウネーが、どんなに怖いか………ボクには分からない。

けど、大切なボクの友達が危ないなら。

ボクは立ち上がってシウネーの肩を掴んだ。

 

「ボクが何とかしてみせる!!」

 

「でも、勘違いかもしれませんし。何よりも方法が………」

 

「あ………」

 

気の抜けるような声で口が半開きになった。

意気込んでみたけど方法が思い付かない。

それに何とかするって何をどうするかも考えてない。

気だけが進みすぎてしまった。

和人だったら何をどうするべきか最善を選ぶんだろうけど、和人は今、()()の依頼で忙しい。

負担は掛けたくない。

ならどうしよう………

 

「大丈夫です。私はユウキに相談しに来ただけで解決なんて………」

 

「そうだとしても!!やるって決めたらやるの!!」

 

ボクは考えた。

和人みたいに頭が良くないボクは協力者が必要になる。

動けないボクの代わりに動けて、和人みたいに頭が良くて、出来れば病院の人、そして何よりも迷惑が掛からない暇そうな………………アルゴ?

唐突に頭に浮かんだ身近なお姉さん。

その人はあまりにもボクが捜していた人の条件とピッタリだった。

元気に動けて、頭も良くて、看護師で、いつも暇だ暇だと言っている。

ついでに凄い権力も持っている。

 

「………何とかなるかもしれない」

 

「え?そんなどうやって………」

 

「ボクもどうやって説明すればいいか分からないんだけど。とにかく何とかなるかも」

 

アルゴがボクの頼みを聞いてくれるかが問題だけど。

もしアルゴがその気になってくれれば確実にシウネーが抱えている不安も取り除ける気がする。

 

「だから、シウネーは安心してて。これは命令だよ!ギルドリーダー命令!」

 

そういって、ボクはシウネーの返事も聞かずにバーチャルホスピスからログアウトして自分の仮想空間に帰った。

アルゴは多分ブツブツ言いながら勝手に持ち込んだ自前の机で書類を片付けていると思う。

ちゃんと分かりやすく説明しないとね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

と言ってもそんなに遅くない時間で7時頃だった。

ボクは何となく自分の仮想空間でアルゴから許可をもらった例のことをボーッと考えていた。

”意外とすんなり受け入れてくれたなー”とか、スパイごっこみたいで面白そうだナ!って喜んでたなー”とか他愛ないことから、”シウネーを助けなきゃ!”や”ザザ………”と真剣なことまで色々な思いが頭を廻っていた。

その時だ。

 

「「ママ!!」」

 

「うわぁ!?」

 

目の前が光だし、2人の美少女が降ってきた。

その正体はボクと和人の娘達のユイちゃんとアイちゃんだった。

けど、いつもと様子がおかしい。

何故か2人とも必死な表情でボクに抱き付いてきたからだ。

ボクは初めてアイちゃんがボクの事を”ママ”と呼んでくれた余韻にも浸れず、2人の叫びに動揺する。

 

「パパが!パパが!!」

 

「詳しい話は後でしますから!!パパのところに!!」

 

「え、ちょっと!?2人とも落ち着いて!!」

 

ユイがボクの腕を抱き締めて涙を滝のように流している。

アイはユイとは逆方向の腕を無理に引っ張りながら今にも泣き出しそうな顔をしている。

嫌でも異常な事が起きていると分かってしまう。

和人の家にはユイ達用の仮想空間がある。

ボクはユイとアイに引きずられるようにその仮想空間に移動した。

そして、聞いた。

和人の精神が崩壊仕掛けていることを。

 




ユウキのお話でしたね。
お気付きの通り、GGO編ではこんな感じで現実はユウキ仮想はキリト。
みたいな感じで進行します。
原作と違う部分がありますけど、そもそも原作ブレイクの激しい小説です。
無視の方向でおなしゃす!!

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