もっとデレこいよ!!黒歴史積み重ねすぎ!!
まぁ、その分デレが良いものになることを願います!!
ただ、主人公が神薙ユウじゃないのが未だに不満。
レンカも格好いいけどやっぱりアリサのお相手はユウでしょ!!
漫画だとキスもしてるしね!!
「その………すまなかったわね」
「いえいえ、この人がちゃんと言わなかったのが悪いんです。シノンさんは悪くありません」
地下空間にあるテーブル席で俺達3人は予選開始を待っていた。
俺とアイのメンバーにシノンという少女が加わっている。
彼女はついさっき起きた事件を謝罪したいと言って来たのだ。
勘違いとはいえ強引に女性更衣室へ連れていき、その結果先客に殴られる。
俺でも申し訳ないと思ってしまう。
「でも何でこの人が女の子だと思ったんですか?フードも被ってますよね?」
アイが隣に座る俺のフードをツイツイと軽く引っ張った。
俺は只でさえうつ向いていた顔を更にうつ向かせた。
「簡単なことよ。歩き方に背。GGOには女の子プレイヤーは比較的少ないから何となくで分かるのよ。………今回は間違えたけど」
「俺ってそんなに女の子っぽいのか………」
更にうつ向かせた顔を更に更にうつ向かせて暗いオーラを発生させる。
別にアイに殴られたり女性更衣室へ連行されたことに不満を持っている訳ではない。
アイの姿を見てしまったことならむしろ………………
俺が!!一番落ち込んで不満に思っているのは女性と間違えられたことなのです!!
「そりゃもう。ビックリするぐらいね」
シノンが苦笑いを浮かべながら言った。
謝罪というよりか驚きの方が勝っているらしい。
「キリト様は現実でも女顔ですからね」
「様?」
「気にしないでくれ………」
シノンの目付きが厳しくなった。
アイが俺に様を付けると誰でも同じ反応をするのでこの目には慣れてしまった。
途中からアイ本人も嫌々では無いと感じ初めて最終的には気にならなくなるのが普通になっている。
シノンと長い付き合いになるかは分からないけど。
「そういえば、あなた達はどのブロックなの?」
「私はEです」
「俺はF」
先着順なのかランダムなのかどっちにしろ俺とアイは別ブロックに振り分けられていた。
アイとは本選で共に戦ってほしいのでブロックが別なのはとても嬉しかった。
アイの本選は絶対だ、俺が保証する。
「そう………じゃ私は貴方を撃ち殺さないといけないようね」
「え?」
うつ向かせていた顔を上げてシノンの意味ありげな言葉に耳を向けた。
シノンは片手でピストルの形を作り俺の眉間に標準を合わせている。
心臓ではなく頭の眉間。
人間が即死するといわれる場所だ。
そして目。
獲物を目前とした虎のような目をしている。
GGO………仮想世界関係無く本気で”撃ち殺す”言っている気がしてならない。
身の毛がよだつ程のプレッシャーを受けた。
「君もFなのか?」
シノンはメニュー画面からFブロックのトーナメント表を俺に見せてきた。
右から何番目かに”Sinonn”の名前があった。
そして、俺の”Kirito”は左端。
つまり、勝つ進めば決勝で当たることになる。
俺は思わず頬がつり上がり、自分自身の中に熱く煮えたぎる感情を見つけた。
「出来るもんならな」
俺は上目遣いでシノンを睨み付けた。
殺気が出ていたのか、シノンは一瞬だけ驚いた顔をしたが、俺と対峙するような表情を浮かべた。
なぜ俺はあんなかっこつけたことを言ってしまったんだ………………
うああああ!死にたい!死にたいよおおおお!アイに合わせる顔がないよおおおお!馬鹿じゃねーの!馬鹿じゃねーの!バーカ!バーカ!うおおおおおおおん!
アイデンティティークライシスになるとこうなってしまうのかー!!
目の腐った人と同じように心中で叫びまくってやった。
こうすれば少しは楽になると思って全力で唸り声を揚げた。
しかし、その努力虚しく結果は全然で全く恥ずかしさは何処かに行ってはくれなかった。
「はぁー………」
俺が今いるのは予選第一回戦が開始される直前の心落ち着き時間のような場所。
永遠に続きそうな闇の中に俺のいる所だけ光が何処からか射し込んでいる。
俺の少し上空には餓丸VSKiritoと書かれた文字が浮かんでいる。
この時に漢字に変換出来たのかと気付いた。
元からローマ字のつもりだったので意味ないけど。
「初戦は負けられないよな」
フードを深く被り直して集中力を高める。
すると、足元から青白い光が現れて俺のアバターを丸く包み込んだ。
第一回戦が始まった。
転移が終わった瞬間に俺は強烈なバックステップを踏んだ。
俺が転移された場所が敵から丸見えの場所だったからだ。
森のようなフィールドでその中心に草と何かの建物の残骸があるだけど空き地。
その空き地のど真ん中に転移したら下手するとリスキルの可能性もあった。
「森か………」
俺はメニューを開き迷彩柄の一回り大きなマントを取り出した。
それを早速羽織り森と同化する。
元から来ていたマントを薄手にして重ね着できるようにしておいたのだ。
黒のマントは道具入れの役割を果たしているのでしまうのは出来ない。
俺は音を出来るだけ発せずに上に跳んだ。
木の上に登り一時的な安全を確保すると耳をすませた。
自分から数メートル以内に敵の餓丸が居ないかを確かめる。
「………いる」
俺から見て左方面にゆっくりと上に進む人工的な音を感じ取れた。
非常にゆっくりなのは匍匐前進をしているからだろう。
それに恐らくこちらの位置を知られていない。
開始早々絶好のチャンス。
「よし」
俺はマントの裏から細い糸を取り出した。
裁縫道具にある糸のようにぐるぐると巻かれた糸。
しかし、裁縫道具の糸とは確実に違う性能がある。
それは強度。
硬いがバネのように反発力もある。
ピアノ線だ。
俺はピアノ線の先っぽに人の頭が入る程度の輪を作た。
強く念入りに引っ張っり輪が崩れないようにする。
「行くか………」
準備が整うと枝を揺らして餓丸が居る方角に向かった。
某忍者張りの身のこなしで枝を蹴っていく。
出来るだけ太い枝を選びながら進んでいるので音は最小限に留めている。
「………いた」
前方に餓丸が匍匐前進をしながら辺りを警戒していた。
時々後ろを振り返ったりして後方の警戒も怠ってはいない。
が、流石に木の上には注意を払っていないようだった。
俺はピアノ線を握りしめ餓丸が出てくる草むらの入り口にピアノ線を垂らそうと思った。
ピアノ線で首吊りにしてやろうと計画を立てていた。
そんな時だった。
俺はふと気付いた。
別に首吊りじゃなくてもよくない?
アニメや漫画では何かしら理由があって首吊りをしているんかもしれないけどただ仕留めるだけならナイフで急所を狙った方が確実だよね?
何だか真剣にこれを作った俺が馬鹿みたいに感じた。
俺はピアノ線をしまい懐からタクティカルナイフを取り出した。
真っ黒いその刀身は光を反射しないようにするための色。
光の反射などシビアに設定されている仮想世界でも黒いナイフは重宝する。
俺はタクティカルナイフを構えながら餓丸の真上にある枝まで跳んだ。
枝へ着陸した時に餓丸の動きが止まり辺りを見渡したときは焦ったが逆にラッキーだと思考をいい方向へと持っていく。
俺は動きの止まった餓丸に落下していった。
「な!?」
地面に接している両腕を全力で踏みつけて腕の自由を奪う。
いきなり腕に強烈な違和感を感じ加えて動かなくなったのだ。
どんなプレイヤーでも驚いてパニックになるだろう。
しかし、俺はパニックのなる前に止めを指す。
自衛隊のような姿格好の餓丸のうなじ目掛けてナイフを両手で差し込む。
「ぐあぁ!!」
餓丸が声を揚げた。
と同時に俺は深々と刺さったナイフを右に払い餓丸の首半分を切り裂いた。
切り跡には赤い血のの代わりに赤いエフェクトがかかっている。
俺は最後にナイフを餓丸の右首から入れ左に振り払った。
人体の急所と仮想世界の急所はほとんど同じ。
うなじという人間の弱点を切り刻まれた餓丸のアバターは当然。
バーン………!!
粉々に砕け散る。
青いガラスのようなエフェクトがチラチラと舞う。
餓丸は最後まで俺の姿を見ることは出来なかっただろう。
俺はその場にどさりと座り込んだ。
今回はスムーズに進行できたが、緊張感は異常だった。
バレたら終わりのムリゲー感。
俺は一度あの地下空間に戻される時まで寝っ転がることにした。
地下空間には思ったよりプレイヤーが居なかった。
俺の戦いが早く終わりすぎたようだ。
アイの姿も見られない。
俺は地下空間の中央に映されている各バトルの中継の中からアイを探した。
「お前………」
俺は思わず裏拳を放ってしまった。
それでも何とか直撃すれすれの所で拳を止めることが出来た。
まさに幽霊。
音もなく俺の後ろに現れたそいつの存在を気配だけで感じ取った俺は全力で警戒した。
そいつから距離を取りマントの中でタクティカルナイフを構える。
「お前、本物か?」
「………何がだ?」
意味不明なことだけを言うそいつは黒みが強い灰色のマントに何故かダースベイダーのような仮面を付けていた。
俺は警戒しながらも聞き返した。
すると、仮面男はメニューを素早く開きBoB予選のFブロックにある餓丸VSKiritoの場所を見せてきた。
「この、名前。あの、仮想世界でも、異常な、身体能力の、動き。お前、本物か?」
「すみません………意味が………?」
俺は本物に意味が分からず仮面男に謝った。
「まぁ、いい。本物なら、礼を言う」
「礼?……………ッ!!」
仮面男はメニューを閉じて腕を下ろした。
別に仮面男は意識した訳ではないだろう。
しかし、あのエンブレムが見えてしまった。
下ろした腕がマントの中に入っていく。
その腕に黒い棺桶のようなマーク。
SAOサバイバーなら誰もが知っている最悪な存在意味するマーク。
それだけでも逃げ出したい気分なのに仮面男は追撃を放つ。
仮面の顔をフードに近付けて恐ろしく低い声まるで死神のような声で言った。
「あの世界を、作ってくれて、ありがとう」
崩れ落ちなかったのは奇跡に近かった。
マントに隠れている膝が小鹿のように震え立っているのがやっとの状況。
そんな俺のことなんか気にせず仮面男は横を通り過ぎて何処かへ行ってしまった。
仮面男を追うことなど考えもせず今はただ座りたかった。
ゆっくり、ゆっくりと足取りを進め一番近くにあったベンチに腰を下ろした。
「はぁ………!!はぁ………!!」
自分の体を強く抱き締めて荒い息を吐き出す。
胃の中にある物が全て飛び出そうな気分だ。
「ラフィンコフィン………!!」
仮面男が腕に付けていたエンブレム。
SAO時代、殺人を快楽と見出だした狂乱プレイヤーが集まったギルドのマーク。
その狂乱プレイヤーがGGOにいる。
そしてなにより、そのエンブレムを付けたあの仮面男と死銃の声が同じということ。
勘違いでもなんでもない。
間違いなくあの仮面男が死銃でその死銃の正体が殺人ギルドラフィンコフィンのメンバーだ。
俺は歯をガタガタと震える歯を食いしばって無理矢理止める。
「あの世界を作ってくれてありがとう………だと………?」
あの世界とは十中八九SAOのことだ。
死銃は何処で俺の秘密を知った?
俺のことを知っているのは75層で茅場さんと俺の戦いを見ていた攻略組だけ。
殺人ギルドが知るはずもないのだ。
………いや、そうじゃないだろ。
死銃はラフィンコフィンで殺人を楽しんでいた奴。
ラフィンコフィンで殺人を楽しむ切っ掛けを作ってしまったのは茅場さんと俺の2人。
つまり、死銃事件は少なからず俺達に責任があるのではないか?
そして、茅場さんは死んで俺だけ。
俺には責任がある?
死銃の………殺人ギルドの………
「あぁ………あぁ………!!」
頭を抱え俺は腰を折った。
何規模を少なくしているんだ俺は!!!
何忘れようとしてたんだ俺は!!!
何が依頼だ!何が暗殺だ!!
俺はそれ以前に絶対に許されないことをしてしまったではないか!!!
約4千人と正確な数字も知らず、確実に1人の命を奪った殺人者。
戦後、誰がこんなにも膨大な人間を死に陥れただろうか。
今回の死銃事件も俺が原因じゃないか。
耳の奥から叫び声が聞こえる。
女の叫び声、男の叫び声。
多くの声が混じり合い不快な耳鳴りを響かせる。
それは耳を通り越し、頭に、胸に、心にまで強く残酷に届いた。
「助けて………」
周りの音が聞こえない。
視界が万華鏡のようにぐにゃりぐにゃりと焦点が定まらない。
頭の中が恐怖で埋め尽くされる。
思わず出た助けの言葉も返してくれる人は誰もいない。
俺は強くなんてなっていなかった。
ただ逃げていただけ。
自分は悪くないと目を背けて生きていた。
忘れてはならない。
俺は約4千人を殺した最低な奴だと………
「………あんた何してるのよ?」
若干強引感がありますけどキリト君に落ち込んでもらいました。
この小説のキリト君はラフィンコフィン討伐事件が無くてもこうなった気がします。
この展開は最初から決まってました。
では、評価と感想お願いします!!