八幡×雪乃派の自分は、いっけ~!ゆきのん!!
と思って俺ガイルを読んでいます。
でも、奉仕部の関係が崩れるのも嫌だなー
と、ジレンマを抱える俺ガイル………
「んっ………」
強い光に照らされたと瞼を閉じていても分かった。
瞼の内側が赤く染まり少しばかり眩しいと感じる。
俺は目に襲い掛かってくる可視光線を右手で防いだ。
右手の影によって光が大分遮られ、目を開けれるぐらいにはなったので少しずつ瞼を上昇させる。
「ここは………」
薄く目を開けた俺は自分が倒れていたのだと今さらだが気づき上半身だけを起こした。
目を覚ましたばかりで状況が全然把握出来ない。
周りを見渡しても真っ赤な夕焼け空で美しい光景が広がっているだけ。
変な形の雲がいい感じに真横にある太陽の光を浴びてかっこよくなってる。
下を見ても………
「………浮いてる!?」
自分が倒れていた場所が空中だと知り、思わず飛び上がる。
しかし、飛び上がってもほんの数十センチ程度なので雲が敷き詰められている雲海の高度じゃ何の意味もない。
そもそも、ジャンプや倒れたり座ったり出来る時点で透明な床の上に居るのだ。
俺は正座で透明な床に着地した時にその事を閃いた。
頭をぶん!ぶん!ぶぶぶん!!と横に激しく振った。
「なんでここにいる?」
俺は頭を振って冷静さを取り戻し、最初の疑問に入った。
記憶を辿ればすぐに分かるのだが、俺は茅場………さんに”ウォーパル・ストライク”を放った。
茅場さんも同じで俺にウォーパル・ストライクを向けてきた。
………で、俺の胸にドンッていう衝撃が広がった。
俺の剣が茅場さんに届いたのかは不明だ。
えっと………つまり………?
「俺、死んだ………?」
だから俺は浮いてるのか?ここはあの世に逝く為の準備をする場所なのか?
おい、おい、おい!!!
ふざけんじゃねぇよ!!何死んでるんだよ!!木綿季ともう逢えないのかよ!!アイとユイに逢えないのかよ!!大切な友達ともう逢えないのかよ!!
「クソが!!!」
俺は拳に持てる力の全てを捧げ無色透明に叩き付けた。
責任を果たせず無駄死にし、何より約束を破ってしまった。
本当に情けない自分に怒り拳が震える。
所詮、俺はこの程度の奴だったて事か………
生きる価値すら無いのかよ………
怒りを含め色んな物が途端に猛烈な勢いで砂のように吹き飛んだ。
後には何も残らず全て綺麗さっぱり何処かへ飛んでいった。
何もかもを諦めた俺はあそこに向かうのかな~?と上を見上げて黄昏た。
本当、最悪な人生だった………
「何を勘違いしてるのか、訊いてもいいかい?」
「………」
上を見上げ過ぎて首に変な違和感を覚えようとした時、顔がにょきっと俺の視界に入ってきた。
光のせいか茶色に見える髪を乱暴に短くした男性は俺の後ろに立っているようで顔が反対になっている。
俺は完全な放心状態で何も感じず何も考えず何も思わないでいたので、またまた状況把握に手間を取った。
そして、意識が戻り現実に追い付くと死んだ魚のようでDHA豊富そうだった俺の目は輝きを取り戻した。
「茅場………さん?」
「そうだとも。生憎、私はドッペルゲンガーに遭遇したことはないんでね。ドッキリも無理だよ」
危うく呼び捨てにしてしまうところを何とか乗り越えて平然を保つ。
慌ててさんを着けたからもしかしたら早口で声も裏返っていたかもしれない。
けど、茅場さんは気付く素振りを見せず俺に手を差し伸べた。
俺はありがたくその手を掴み立ち上がった。
白衣姿の茅場さんを見たのは久し振りだった。
「安心したまえ。君は死んでないよ、和人君。ここはまだSAOの中だ」
「あ、いえ、別に………」
茅場さんがふと可笑しそうに笑いながら教えてくれたので、急激にさっきまでの俺の行動や思考が凄く恥ずかしくなった。
自分は死んだと勘違いをして、乱暴にこの透明な床を殴った。
その時気づけばよかった………
感触と感覚が仮想世界の物であったと………
俺は頭を掻いて恥ずかしさを紛らわす。
そんな俺を見て茅場さんは着いて来たまえと言って歩き出した。
俺も後を追って歩き出す。
茅場さんの背中は大きく見えた。
ヒースクリフ時代の顔や服装が削ぎ落とされ現実と同じ姿といつも着ていた白衣になった茅場さんに連れられて歩いていると突然茅場さんが足を止めた。
俺は何となく茅場さんの隣に立った。
そして、俺はこの美しい夕焼けや雲海よりも数倍視線を釘付けにする光景に口が半開きになってしまった。
「アインクラッドが………」
全100層から成る巨大な鉄と岩で造り出された浮遊城。
どんな攻撃にも耐えれそうな城の領域を遥かに超越したそれは、俺と茅場さんが立っている斜め下で音もなく崩れ去っている真っ最中だった。
あれだけ堅かった地面や壁も呆気なく破壊される。
地面が岩に、岩が石に、石が砂へと変化していく。
俺は大迫力な光景に息を飲んだ。
「あの時、」
「え?」
茅場さんが口をおもむろに開いた。
「私の剣は和人君の剣と交差した事によって急所を外してしまった。しかし、和人君の剣は逸れずにピンポイントで私の心臓を貫いた。驚いたよ。和人君の剣には強い意志が宿っていた。和人君を助ける為かそれとも私を殺す為にか………」
茅場さんは自らの胸に手を当てて俺の剣が差し込まれた時を思い出しているようだった。
「和人君、SAOクリアおめでとう」
俺は茅場さんの顔を見た。
途中でリタイアしたり4分の3の所で姿を見破られたりと波乱に満ちた展開だった筈なのに、茅場さんは清々しい笑顔を見せていた。
SAOクリアつまり、約6000人のプレイヤーを助け出した事になる。
目の前で起きている現象もデータサーバーの削除を演出したものなのだろう。
それと………
「俺はあなたを殺したんですか?」
「………気にする事はない。和人君は被害者なのだから」
殺したと断言しないのは茅場さんなりの優しさだろう。
それでも、気にするなと言われれば気になってしまうのが人間。
茅場さんの言葉が逆に殺したと実感させる。
「和人君、君はこの仮想世界がこれからどう変化すると思う?」
どう変化するか、1度現実に戻った俺は茅場さんが言う変化を目の当たりにしていた。
新聞ではSAO関連専用のコーナーで何人が死んだだとかを読者に報告。
テレビのニュースでは仮想世界のメリットとデメリットを話し合い、結局仮想世界は危ないと結論付けられている。
雑誌も偏見たっぷりでVRMMORPGをせっせと罵倒しているしまつ。
アミュスフィアのような絶対安全を掲げて売っている商品もあるが、仮想世界が身近な物では無くなっているのが印象に残っている。
「まぁ、忘れ去られたりはしないでしょうけど………」
別に言いにくくて口ごもった訳ではなく、単に続く言葉が見つからないだけである。
まぁ、同じ事か。
結局、どうなるか何て俺なんかには分からないのだ。
世間が仮想世界に好印象を受ければ良いのだが、人という存在は好印象よりも悪印象の方を強く受け止める。
どんなに良い事をしていても一度の失敗で信用がなくなり、失敗し続けていたけど一回成功した、でもいつも失敗してるからなと信用がなくなる。
無くなった信用は成功を見せつけないと駄目だ。
だから、今の仮想世界の現状は厳しい。
失敗が大きすぎるから。
「渡したい
そう言って茅場さんは俺の後ろを見た。
俺は視線に釣れられて振り返った。
この場所には俺と茅場さん以外誰も居ないと思っていた。
音も俺と茅場さんの会話だけ。
しかし、彼女はそこにいた。
茶色い巻き毛を揺らしながら緑色の瞳を光らせる。
鼻先に小さな眼鏡を乗っけているがちゃんと効果があるのか疑問だ。
それと、何故か木製の杖。
黒のロングコートを羽織っているので、一瞬賢者みたいな子だなと思った。
「あ、あの………彼女は?」
「すぐに分かるよ」
茅場さんは笑いながら言った。
すると、いつの間にか側まで歩いて着ていた少女と正面から向かい合う事になっていた。
俺は少女を見下ろし、少女は俺を見上げる。
少女が持つ緑色の瞳に俺が映っていた。
「………」
「………」
沈黙を破ったのは彼女の方からだった。
見た目では想像も付かない声だった。
少女の声だが老婆のようでもある不思議な声、それでもって何処か惹き付けられる。
「初めましてじゃな。パパ殿」
「………カーディナル!?」
小さくて可愛い賢者さんは俺の2番目の娘でした。
カーディナルさん登場!!
次回も天空でのお話です!!
では、評価と感想お願いします!!