ソードアート・オンライン ~少女のために~   作:*天邪鬼*

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あ~、体がだるいのも、やる気が出ないのも。
全部、全部、妖怪のせいなのだ~!!
更新が遅いのも妖怪の仕業に違いない!!


44話 面倒事

 

会議2回目。

 

英数字の羅列が並ぶ波が周りを取り囲む不思議な空間。

その不思議な空間の中心で10人の男女が円の形に座っている。

皆、時間通り集まった。

そして、1人1人が順に自分が調べてきた事を発表していく。

アルゴにエギルやクラインは流石、大人の人脈と裏技の成果なのか、良い情報を集めてくれた。

しかし、茅場さんを見つける手懸かりとなる情報はなかった。

そこで、俺の調べ、考え、推測した事を皆に聞いてもうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうよ!!私の推測が正しかったって事ね!!」

 

俺が茅場さん恋人存在説の内容を全て説明したところ、リズが胸を張って威張ってきた。

たしかに、一番最初に茅場さん恋人存在説を思い付いたのはリズだったけど。

何だろう?カッチーンっとくる。

 

「まだ、分からないからな。今、全力で神代さんを捜索中」

 

防犯カメラ、ほぼエンドレスハッキング状態で捜索をしているがカメラの解像度が悪かったり似たような人物がたまにいて、中々捜索が進まない。

ドッペルゲンガーかよと思うぐらい似た人物もいてビックリもした。

あれマジでビックリするからな。

 

「とにかく、まだ少し掛かりそう」

 

店の防犯カメラや公共の防犯カメラを少ーしだけ無断で借りています。

何て口が裂けても言えない。

警察とかに言えば即解決する問題だけど、仮想課の人達には負けたくないし、言ったら俺達は捜査に邪魔だと言われ弾き出されるかもしれない。

詰まるところ、これはただの意地であり我儘だ。

 

「私、これからはキリトの説を中心に行動するよ」

 

「そうだな。俺もそうすんわ」

 

サチとクラインがありがたいことを言ってくれた。

正直に言うと、自分の推測が正しいかなんて全く分からない。

なので、最初はサチとクラインに余計な手間を手間を取らせてしまうかもしれないと思い、断ろうとした。

だけど、折角2人は手伝うと言ってくれたのだ。

断ってしまったら人として駄目だろう。

それに、どうせクラインが無理矢理にでも手伝う。

ここは2人の好意を受け取ろう。

 

「………………ありがとう。助かる」

 

お礼を言っただけなのに、何故こんなにも恥ずかしいのだろう?

木綿季もアイもユイも、満足そうに笑わないでほしい。

アルゴに限っては涙ぐんでいる。

勿論、演技ではあるが。

 

「キリトさん、変わりましたね!最初見た時、1人でタイタンズハンドを倒しちゃったんで少し怖かったんですよ………でも、今のキリトさんは凄く良い感じがします!!」

 

恥ずかしいから止めてくれ………

あの時は威嚇する事で頭が一杯になっていたんだ。

 

「俺の時なんて、最初俺の顔を見て泣き出したんだぜ!」

 

恥ずかしいから止めてくれ………

エギルの顔怖いんだよ。

良い人だけど怖いんだよ!!

 

「私なんて、いきなり剣を叩き折られたんだからね!!」

 

それは剣が弱い方が悪い。

 

「ボクはね~」

 

「もういいだろ!!」

 

会議が会議では無くなり、キリト君と出会った時のエピソード暴露大会と化した。

皆からは面白エピソードを言うだけかもしれないが、俺からすれば普通に嫌がらせ。

木綿季が話始めようとした瞬間、それこそマッハ20程のスピードで俺は木綿季の口を手で閉ざした。

しかし、悪魔は別の場所に居る。

静かに、気配を消して、タイミングを見計らい、俺が油断して出来た隙を的確に突いてくる。

 

「キリト様はですね___」

 

「……………」

 

アイには絶対敵わない。

例えそれがパパだとしてもだ。

アイは楽しそうに俺の黒歴史の一部を話し始める。

全部言わない所がイヤらしい………

誰かヘルプ!!

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと良いか?」

 

「ん、何だ?」

 

第2回目の会議が終わり、皆がログアウトをして新たな情報を集めようとしている中。

エギルに呼び止められた。

会議中の笑顔は鳴りを潜め、何やら深刻そうな顔をしている。

 

「お前、情報屋って信じるか?」

 

「は?いや、ま、まぁ、信じるかな。警察とかも捜査に協力してもらっているってテレビで聞いたことあるし………」

 

外国なんかだと情報を提供してその情報が役に立つと公に国から報酬があるらしい。

凄腕の情報屋だとそれだけで食っていけるとか聞いたことがある。

噂によれば住民票なんか造作もなく手に入れることが出来るとかなんとか。

 

「informant、アメリカではこう呼ぶらしいですね」

 

「アイちゃん………ちょっとキリトと大事な話があるんだ。2人にしてくれないか?」

 

ネイティブ発音で俺の後ろから出てきたアイにエギルは申し訳なさそうに両手を合わせて頼む。

他の人には言いにくい内容らしい。

情報屋って名が出てくるんだ。

結構、ヤバい話なのかもしれない。

だがしかし!!アイが仲間外れにされる理由は何処にもない!!

 

「それは駄目だ。話をするならアイも一緒。これは絶対条件」

 

俺はアイの肩に右手を乗っけてエギルを睨む。

これで話が無かった事になっても、俺にとっては厄介事が無くなるだけ。

兎に角、俺はアイが蚊帳の外にされるのが嫌なのだ。

 

「その話、オレっちも聞きたいナ~」

 

「え?あ、あの………アルゴ様、私を支えにしないでください」

 

アイの後ろからアルゴがぬらりくらりと現れた。

自分の顎をアイの頭の上に乗せてだらりとしている。

この仮想空間に身を隠す場所は何処にもない。

隠蔽スキルを使わずに姿を消すことが出来るなんて驚き桃の木山椒の木、あたりき車力よ車曳きー………古いか。

って事で俺は周りを見てみるが誰もいない。

仮想空間には俺とアイとアルゴとエギルの4人だけになった。

流石に確認した後で後ろから誰かが現れるなんて事はないだろう。

フラグじゃないよ?本当に出てこないよ!!

 

「んー、でもな………」

 

エギルはまだ悩んでいる。

ここまでくれば話は無かった事にしてくれると嬉しい。

厄介事はご面倒だからな。

それに神代さんの捜索に集中出来る。

しかし、アルゴが余計な事を言ってしまう。

 

「大丈夫だッテ、ここにいる3人は一応国に関わってるからナ。秘密を守る事は得意ダ」

 

「国!?」

 

俺は顔に手を当てて溜め息を吐いてしまった。

アイもそうだ。

肩を落として余計な事をっと小さく嘆いている。

エギルはエギルで衝撃の事実を知って驚きを隠せないでいる。

 

「別に関わってる訳でもないだろ………」

 

世界初、真のAIであるアイは国に戦争とか良からぬ事に使われそうで正体を隠しているだけ。

俺は真のAIを作り出す事が出来るただ1人の人物。

正体がバレると色々大変だし、下手すると命までも危ないので正体を隠しているだけ。

アルゴは………アルゴは何なんだ?

ただの看護師ですよね?

安岐アオイとは一体何者なんだ………

 

「詳しくは言えないけど秘密は守れるって事」

 

「そ、そうか。分かった。まぁ、人には知られたくない事の1つや2つあるよな」

 

エギルはそれ以上何も言わずに納得してくれた。

しかし、俺はその知られたくない事の1つや2つを先程の会議中に散々ぶちまけられたのだが。

 

「ちょっと長くなるからな」

 

そう言ってエギルはどっしりとその場に座り込んで胡座をかいた。

頭が綺麗にスキンヘッドなので洋風の坊さんに見えなくもない。

ポーズをとれば完璧だ。

 

「………どうせ厄介事なんだろ?」

 

「それも飛びっきりのな」

 

俺は崩れ落ちるように腰を落として適当に座る。

座ってからエギルに軽く愚痴ってみると笑顔で返されてしまった。

 

「キリト様はお人好しですね」

 

隣を見ればアイが礼儀正しく正座をしている。

昔、俺とスグが剣道をしている所を見て覚えたのかな?

それと俺はお人好しなのでは無く、事件とかに巻き込まれやすいだけだ。

 

「キー坊は何でも屋みたいな奴だからナ!」

 

「別に俺は………」

 

俺の逆隣ではアルゴがエギルと同様に胡座をかいていた。

左右に体を揺らしていて、これからエギルに話してもらう内容がとても楽しみらしい。

相変わらず緊張感というものが備わっていない。

 

「俺さ、現実で喫茶店を開いてんだ。ダイシー・カフェって言う」

 

エギルが知ってるか?っと目で訊いてきたので俺は首を振った。

 

「ごめん、知らない」

 

「いや、元々小さい店だ。俺が居ない間潰れないで済んだのが奇跡だ。嫁さんには感謝しなくちゃな」

 

何かエギルのお嫁さん自慢が始まった。

聞くところによると、エギルがSAOに囚われても1人で一生懸命エギルの大切な店を守ったのだと言う。

普通に聞いていれば単なる夫婦の感動物語なのだが、全然厄介事ではない。

むしろ、良かったね、と祝福してあげる程だ。

 

「あの、本題を………」

 

アイがエギルが語るのろけ話に耐えきれなくなり、口を開いた。

エギルも我に返ったようで、真剣な顔になった。

 

「すまん………まぁそんな俺の店にはちょっと凄腕の情報屋が通っていてな。茅場昌彦とかの情報を売ってもらったんだ。いつも世話になってるからって格安でな」

 

「んデ、その情報屋からとんでもない真実を知ってしまったってカ?」

 

SAO時代、同じ情報屋として動いていたアルゴは頬を吊り上げて怖いぐらいの笑顔をしていた。

エギルは頷いてその情報屋から聞いた話を俺達に話始めた。

 

「神代凛子とは別の茅場昌彦の後輩………今は総合電子機器メーカー”レクト”の社員。そして、フルダイブ技術の研究員」

 

俺はまだ、核心的な内容を話されていないのに何故か拳を硬く握り締めたしまった。

それほどエギルの話はヤバい話だと無意識に感じているのだ。

 

「須郷伸之って男が計画している。悪魔の実験の事だ………」

 

俺はこの須郷伸之と言う冷徹非道の野心家が目論んでいる、最低最悪で非人道的な研究内容を聞かされることになった。




えっと、ネタバレしてでも言いたい事があります。

須合伸之よ…………和人君にボコられなさい!!

だから、()()話目にあんたの名前を出したのさ!!

以上!!

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