ソードアート・オンライン ~少女のために~   作:*天邪鬼*

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もう、本当にDr.スランプアラレちゃんですよ…………
全然話しが進まない…………


43話 手掛かり

 

皆は茅場さんに恋人がいたと聞いて信じる事が出来るだろうか?

あの無愛想で色恋沙汰には一切の興味が無さそうな茅場さんにだ。

絶対にいないね。

うん、断言できる。

SAO事件の犯人だとかを差し引いても絶対にない。

 

「嘘に決まってる!あの人に恋人なんてありえない!」

 

病室のベットの上。

ベットサイドテーブルに乗せてあるノートパソコンに俺は叫んだ。

あの会議が終了した後、俺は茅場さんの過去を調べる事にした。

茅場さんが過去に深く関わった人物を捜し、茅場さんについて何か聞き出すつもりだった。

そんな中、茅場さんに一番深く関わったであろう女性が現れたのだが………

 

『いや、まだ恋人と決まった訳じゃないですよ………』

 

パソコンに映っている銀髪に青い瞳の少女が手を横に振っている。

 

「そうなんだけど、研究内容が………」

 

そう言って俺はアイと一緒にパソコンの画面を見詰めた。

茅場さんは量子物理学者。

当然、幾つかの論文が様々な所で発表されている。

その論文の最後、茅場さんは協力してくれた仲間を紹介するコーナー的なのを書く。

そして、いつも名前が出される女性がいる事に俺は………俺とアイは気付いた。

 神代凛子 

茅場さんの1つ歳下の後輩で、茅場さんと共にメディキュボイドを製作に携わった人。

それにメディキュボイドだけじゃない。

地味に情報が隠されてはいるが、茅場さんの研究、実験、そして茅場さんがアーガスに入ってからも彼女はまるで茅場さんの秘書のように付いて回っている。

 

「先輩大好きです!!………って感じの人ではないよな」

 

パソコンに写し出されている神代さんの顔を見る限りじゃそう感じる。

あ、因みに神代さんのプロフィールは彼女が所属していた大学から☆Hacking☆して盗んだ。

大学のデータバンクにアクセスして色々と情報をコピーして逃げてやったぜ。

俺とアイが協力したんだから、バレる可能性は皆無。

良いですか?皆さん。

 

バレなきゃ犯罪じゃないんですよ。

 

よく覚えておきましょうね。

 

『成績は学年トップレベル、今では優秀な科学者さんらしいですね』

 

「この人なら何か茅場さんの事知ってそうなんだけどな」

 

清楚で凛とした感じの科学者、神代さんは今何処にいるのだろう?

俺が研究室に電話する?

スグにでも頼んで研究室に直接行ってもらう?

防犯カメラを乗っ取って……………無しだな。

 

「…………アイ、電話してくれるか?」

 

『何ですか?”桐ヶ谷アイ、3歳でちゅ。あのね、茅場しゃんにちゅいて訊きたい事があゆの”っとでも言えと?私は人じゃありません。戸籍もありません。Are you OK?』

 

「OK………OK………」

 

途中の赤ちゃん言葉は大袈裟だけど、アイが科学者の巣窟に電話するのは危ないんだよな。

アイが危険になる事はしない。

しかし、俺がまともに話を訊けるとは思えない。

こうなればスグに事情を話して手伝ってもらおう。

スグに研究室に電話してもらうしかない。

俺は早速、家の剣道場で剣道の練習をしているであろうスグと連絡をとるために言った。

 

「家に行ってスグを呼んで来てくれ」

 

『了解です』

 

アイはパソコンの画面で敬礼をしてから画面から消えた。

これでアイは家に沢山あるアイ専用カメラを通りスグを呼んでくれる。

その間、暇になった。

 

「寝る」

 

やること無いなら寝るのが一番。

天気は良いし少しだけ開けられた窓からは風が程好く吹きこんでくる。

昼寝日和な天候に俺の瞼は重くなっていき、俺はベットに背中から倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい………はい。いえ、違います!………はい、そうです」

 

病室に我が妹のスグこと桐ヶ谷直葉の声が響いていた。

携帯を耳に当てて一生懸命受け答えしているスグには感謝しないと。

俺だったら、

 

”はい、どのようなご用件でしょうか?”

 

”間違いました”

 

これで終了していただろう。

堅苦しい人は常に怒っているようで怖い。

フレンドリー過ぎるのも難だけどしっかり者過ぎる人も苦手。

俺の性格ってめんどくさいな。

 

「え?そうなんですか!?………はい、分かりました。あ!いえ!こちらこそすみません!急に変な事訊いてしまって………はい………はい、では、失礼します」

 

電話が終わりスグが携帯を閉じた。

最後の方の反応が少々気になったので早速尋ねてみる。

 

「何かあったのか?」

 

スグは落胆した様子で口を開いた。

 

「数ヶ月前から来てないんだって。長期休暇ってやつ?休みの分のレポートも提出されてるから許可が降りたらしいよ。だから、神代凛子さんが何処にいるか分からないんだって」

 

『数ヶ月前………って事はSAO開始と同時ではないんですね』

 

「でも、何か関係があるのは間違いないな」

 

親しい先輩がSAO事件の犯人だったから病んでしまった可能性もあるが、レポートを提出してるので頭は回っていたようだ。

なら、何故彼女は姿を消した?

茅場さんを匿う為?………いや、それならSAO開始直後から匿ってる筈だ。

もしかして、神代さんが自分と共犯にならないように茅場さんが仕組んだトラップ?

 

「あ、それとね」

 

「ん?」

 

俺がグルグルと頭を回転させていると、スグが何かを思い出したようで人差し指を立てる。

 

「受付の人が言うには神代凛子さん、”やることが出来たんです”って言って出ていったらしいよ」

 

『やること?』

 

茅場さんを匿う事か?

………違う、出来たって事は何かを知った、もしくは何かを見付けたんだ。

じゃあ何を?

SAOを終わらせる方法を知った?カーディナルを止める方法を見付けた?

違う、それなら1人よりも仮想課の人達に協力を求めればいいだけの事。

1人でカーディナルを止めるなんて不可能だ。

じゃあ、何を?

 

「……………茅場さんを見付けたのか?」

 

『………ですかね』

 

最終的に辿り着いた答え。

神代さんは茅場さんを捜して、遂に発見した。

そして、茅場さんを匿う事にした。

今の情報だけだとこれが一番筋が通っている。

 

「でもさ、どうやって茅場さんの居場所を知ったんだろうね?」

 

「まだ、彼女が茅場さんを見付けたって証拠は無いけどな。これだけ茅場さんと一緒に研究してたんだ。何かヒントを貰っていたんじゃないか?」

 

そして、もし、神代さんが茅場さんを見つけたとすれば、神代さんを見つける=茅場さんを見つけるって事にも繋がる。

茅場さんよりも後に姿を消したのなら、茅場さんより手掛かりが多いかもしれない。

茅場さん捜索が一歩前進し事で顔がにやけてしまう。

 

『仮想課の菊岡様に連絡は?』

 

パソコンの画面内で俺と同じくにやつき顔のアイが楽しそうにしている。

よくある草原の写真が写し出されているホーム画面を右に左にとフヨフヨ揺れている。

 

「いやー、仮想課の皆さんも多分知ってるんじゃないですかねー。だから、言う必要も無いと思うなー」

 

っと、言ってもハッキングして手に入れた情報なので言ったら俺が逮捕されかねない。

それに、普通に聞き込みとかしただけじゃ神代さんの名前は出てこないだろうし。

出てきたとしても数多くいる天才茅場さんを憧れとした科学者。

そこまで深く調べないと思うから長期休暇の事も気にしない。

勿論、神代さんの事が捜査上に浮かんでいないのがベスト。

 

「お兄ちゃんがどんどん悪い方に行ってる………」

 

「さーて、どうやって神代さんを見つけ出そうかなー?」

 

俺は思いっきり引いているスグを無視してわざとらしく言った。

しかし、俺に出来るのはパソコンぐらい。

パソコンしかないなら、パソコンを有意義に使うしかない。

 

『このパソコンではスペックに問題がありますね。もっと良い物を用意しないといけません』

 

「そうだよな。もっと良いのを持ってこないと」

 

この仮想課の菊岡さんから支給された普通よりやや性能が良いノートパソコン程度では限界がある。

家にはもっと性能が良いノートパソコンがある。

 

「スグ、頼みがあるんだけどいいかな?」

 

「………」

 

100%スマイルで頼み事をスグに言った。

普通に引いていたスグが苦笑いになって更に一歩後退りをしてしまう。

だが、俺は続ける。

 

「家から内緒でパソコンを持って来てくれないか?アイも一緒に行かせるから外し方は問題ないしさ」

 

「………バレたら怒られるんじゃない?」

 

『何でですか?ただパソコンを持ってくるだけですよ?』

 

ナイス追い討ちだぜアイさん!!

スグは難しそうな顔をしていたが、諦めたのか突然大きな溜め息を吐いた。

 

「はぁ~………分かった。持ってくれば良いんでしょ?」

 

「おう!よろしく!!」

 

『では、行きましょうか』

 

スグはめんどくさそうに病室から出ていった。

俺はそんなスグを見て病室に戻ってきたら好きな物を奢ってあげようと思った。

 

()()が増えましたね』

 

「ああ、()()が増えたな」

 

俺はパソコンの画面にいるアイと見詰めあった。

そして、俺とアイはお互い笑顔になった。

 

「『共犯者(なかま)が』」

 

病室に男女の不気味な笑い声が響き渡たるのであった。

 

 




もう何でしょうね?
キリト君とアイちゃんどうしたんでしょうかね?
こんなに悪い子達でしたっけ?

まぁ、とにかく!!
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