ソードアート・オンライン ~少女のために~   作:*天邪鬼*

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戦闘描写が短いです…………


20話 様子を見に

「はっ!!」

 

俺は一体のゴーレムの腹に糸が付いたピックを投擲ソードスキル”スティックシュート”を使って投げる。

このソードスキルは名前の通り刺さるので今ゴーレムの胸にはピックが深々と刺さりピックに付いている糸の先を俺が握っている。

 

「らっ!!」

 

そのまま俺は糸を持ったままゴーレムの周りを廻り始める。

廻っている時にピックが刺さったゴーレムの近くにいた三体のゴーレムも巻き込む。

 

「速い……」

 

サチがグルグル廻っている俺を見て呆気に取られている。

それもそうだろ、今俺は入団してから初めて本気を出しているのだから。

 

「こんなもんか……」

 

大分巻いた後、俺はゴーレム四体が糸で身動きが出来なくなるのを確認すると。

 

「せいっ!!」

 

俺は四体のゴーレムを片手剣ソードスキル”ホリゾンタルスクエア”で斬る。

地面と水平に正方形を描くように斬りつける。

 

「「「「ゴァァァァァ!!」」」」

 

ゴーレム四体は一斉に消滅した。

同時にピックと糸も消滅する。

元々は市販の服等を作る為の糸を何本も束ねただけなので耐久性が低くすぐに使えなくなってしまう。

しかし、俺はこの糸付きピックを数十本もアイと一緒に作ったのだ。

あの作業は地味で辛い……

俺はメニューから新しい糸付きピックを取り出してさっきと同じ事をする。

 

 

 

 

皆の周りのゴーレムの数が少なくなるのを見計らって俺は皆の所に戻る。

 

「しゃがんでくれ!!」

 

皆の中心で言う。

皆は言われた通りその場にしゃがむ。

俺は糸付きピックをメニューから五本出す。

出したピックをスティックシュートを使いながら同時に投げて皆の周りの地面に刺す。もう片方の糸の先にあるピックを適当な壁や天井に同じ方法で刺す。

云わば糸の索敵システムを作ったのだ。

 

「立っていいぞ皆、いいか、この糸にゴーレムが触れたらでいいからソードスキルでそのゴーレムを攻撃するんだ。糸でゴーレムの攻撃は遅くなるから出来るだけ速く攻撃するんだぞ。糸が切れたら俺がまた増やすから全力で攻撃するんだ」

 

「「「「おう!!」」」」

 

蜘蛛の巣のような糸の結界にゴーレムは迷わず入って来る。

しかし、糸が邪魔して動きが鈍る。

そこにソードスキルでゴーレムを攻撃して後退させる。

糸が切れるとすぐに俺が新しい糸を出して結界を修復する。

この方法で俺達はトラップが解除されるまで耐えることが出来た。

 

 

 

 

 

「「「本当にありがとう!!」」」

 

タフトに帰る途中にダッカー、ササマル、テツオの三人が俺の手を握って上下に振る。

 

「別に大した事はしてないよ」

 

俺は後退りしながら否定した。

 

「そんな事ない ! ! キリトは二回も私達の命を救ってくれたよ ! ! 」

 

サチが横からずいっと顔を俺の顔に近づいて来る。

 

「サチ!?近い近い近い!!」

 

俺は三人の手を振り払い、バク転でその場を離れてアイの後ろに行く。

 

「何で私の後ろなんですか?」

 

「一番安全で信頼出来る」

 

俺はこの後もずっとタフトに帰るまでアイの後ろにいた。

三人の男ではなくサチと言う女の子一人に怯えていたのだ。

だって、顔が近かったんだもん、美少女にあんな事されたら誰でも心臓バクバクになるでしょ?そうだよね?

 

 

 

 

「お礼を言わせてくれ、今日は本当にありがとう!!」

 

宿に着くと月夜の黒猫団リーダーのケイタが頭を下げてお礼をする。

 

「当たり前の事をしただけだよ、団員が命の危機だってのに助けない訳無いだろ?」

 

あの時みたいに近くにいるのに助けられないのはもう嫌だからな…………

 

「ケイタ、申し訳ないけどやっぱり俺達はもう行くよ」

 

「そんな事言わないでさ!これから買ったばっかりの家でキリト達の為のパーティーだよ!?」

 

ケイタが引き止めようとする。

他のメンバーも引き止めようとしてくれようとしている。

 

「悪いな、少し用事が出来たんだ。これからも頑張れよ、最前線で待ってるからな」

 

俺は宿を出て速足で転移門に歩く。

アイの足音が後ろから聞こえてくる。

 

「用事なんて無いですよね?」

 

俺は立ち止まり振り向きながら答える。

 

「いや、少し見てみたい場所があるんだ」

 

「見てみたい場所?」

 

俺の言葉にアイは可愛らしく首を傾げる。

すると、アイの更に後ろから女の子が走ってきた。

 

「サチ……」

 

「どこ行くの?」

 

サチは後ろで手を組んではにかむ。

 

「ちょっとな」

 

「キリトの好きな子に会いに行くの?」

 

サチが核心をついてくるので驚く。

そして驚いた俺を見たアイが驚く。

 

「……会うわけじゃない。ただ、様子を見に行くだけ」

 

俺は諦めて行く場所を告白する。

アイがもっと驚き目を見開く。

 

「今度その子に会っていいかな?キリトの好きな子がどんな子か見てみたいんだ」

 

「明るくて元気な子だよ、あいつも一応攻略組だからな会うには強くならないといけないぞ」

 

「勿論、強くなるよ!特にキリトと出会ってからは強くなってる気がするしね ! ! 」

 

サチは自分の両手を上げてマッチョがよくやるポーズをする。

しかし、サチはマッチョではないので全然様になっていない。

むしろ小動物が威嚇してるみたいだ。

 

「俺もだよ。サチと会って俺は強くなった気がする」

 

この世界に閉じ込めらてから俺は少しずつだけど強くなっていると思う。

クラインとアルゴ、アスナにアイやサチ。

色んな人に会った。

この面では茅場さんには感謝しないとな。

 

「私ね、君と会えて本当に良かった、ありがとう、さよなら」

 

俺は最後にフードを取って別れを言う。

 

「俺も会えて良かったよ、ありがとう、さよなら」

 

俺は手を振り歩き出す。

 

「サチ様、また何処かでお会いしましょう」

 

「うん、またね」

 

アイも別れを言い俺の横に並ぶ。

 

「何処に居るか知ってるんですか?」

 

「アルゴから聞いた」

 

「そうですか」

 

俺はまたフードを被った。

 

「月夜の黒猫団のメンバーを見てると木綿季がどんなメンバーとギルドを作ろうとしてるのか気になったんだよ」

 

「そうですか」

 

アイは同じ返事しかしなかった。

丁度夕日が沈みかけていて夕日に輝くタフトの街を俺達は歩いていた。

 

 

 

 

 

「ここですよね?」

 

「そうだな」

 

日が沈み星がきれいに輝く頃、俺達は木綿季が居るという宿の酒場の前に来ていた。

酒場の中からはワイワイっと何やら盛り上がってる様で笑い声が絶えず聞こえてくる。

 

「私が最初に様子を見に行きましょうか?」

 

「いや、大丈夫だ」

 

俺はいつも通り深呼吸をし酒場のドアに手をかける。

少しだけドアを開けて中を覗く。

 

「端から見たら不審者ですよ」

 

アイが後ろで何か言ってるが気にしない。

 

「ギルド創立祝いだ!!ユウキ!!飲み比べだ!!」

 

「お~?ボクに勝負を挑むのかい?ジュンくん?」

 

「飲み比べなら私も参加するぜ!!」

 

「ちょっと待ってろよ、今は俺とユウキがやんだから ! 」

 

誰だあいつ…………

何でだろう、とても楽しそうな木綿季がいたのはいいけど、胸がモヤモヤする。

 

「楽しそうですね」

 

アイもドアの隙間から木綿季を見ていた。

 

「木綿季様、あのジュンって人と良い感じですね」

 

「そうだな………」

 

「付き合ってるんですかね」

 

「それは嫌だ」

 

あ、返事を間違えた。

思わず自分の気持ちを言ってしまった。

アイを見ると何故かアイは満足そうにムフ~っと笑っていた。

何だその顔は…………

 

「あの~、通りたいんですが………」

 

「あ、すいません……」

 

しまった、中に夢中で後ろの警戒をしていなかった。

後ろにはアスナより髪が長く髪色が水色のローブを着たお姉さんがいた。

俺はアイと一緒にドアを譲った。

変な人って思われなかったかな?

 

「ユウキ~!買い出しから戻りましたよ~!」

 

何!?

マズイ!!ローブのあ姉さんがドアを満開にして酒場に入ったから今木綿季がこっちを見たら俺が見えてしまう!

くそ!この人木綿季のギルドメンバーだったのか!!

いや、俺はフードを被っているから顔は見えないはず、大丈夫だ!何もしないで平然としていればいい。

 

「ありがとうシウネー ! ! あのね ! これからジュンと飲み比べするん……」

 

「どうしました?」

 

木綿季が言葉を詰まらせる。

気付くな!気付くなよ!!

 

「和人? 」

 

「くっ!!」

 

「きゃ!」

 

俺はアイの手を引っ張り走りだした。

何でバレたんだ!?

フードも被ってた不審な行動もしていないだろ!?

 

「どうしたんですか!?」

 

俺に引っ張られているアイがアニメの様に地面とほとんど平行になりながら聞いてくる。

それでも俺はコツを使いながら走るスピードを緩めない。

 

「バレたから逃げてる!!」

 

「そんなまさか!?フードも被ってて顔は見られてないはずですよね!?」

 

流石にアイも疑っている。

でも、和人っと現実の名前を言われたのだ、何故か分からないが俺だとバレたのは確かだ。

 

「転移…”ロービア”…」

 

俺はアイを引っ張りながら今俺達がホームとしている街をシステムがギリギリ反応するぐらいの小声で言って転移した。

 

 

 

 

 

 

「何でバレたんだ?」

 

「分かりません」

 

第4層の街ロービアで借りている家で俺達は何故バレたのかを考えていた。

ここロービアは街の中に河があり何処に行くにも50コル使いゴンドラに乗って移動しなきゃいけない街だ。

しかし、そんな街でも良い所が沢山ある。

例えば料理、イタリア料理の様な食べ物にフランス料理の様な食べ物など多くの美味しい料理店がある。

全て、様な食べ物、ではあるけど…………

そして、風景 ! ! 外を見るとまるでイタリアのヴェネチアの様に河の上をゴンドラが進み、夜になると街灯が河に反射して幻想的な風景になる。

さらに、建物の間がジャンプすればギリギリ届く距離だし距離が離れていても本当にヴェネチアをモデルにしたのか建物の間に洗濯を干すための紐が繋がっているので走りながら綱渡りをすれば通れるので体を動かすコツの練習も日常的に出来て鍛えられる。

空中散歩は楽しいです。

 

「アルゴの仕業か?」

 

「いえ、確認しましたが本当に違うみたいです」

 

アルゴはたまに意地悪をするが俺と木綿季の事では何もしない。

アルゴはちゃんと分かってくれているのでそんな事するはず無いか…………

 

「物凄く現実的じゃないんですけど……」

 

「何だ?」

 

アイが顔を少しだけ赤くしながらモジモジしている。

 

「愛の力とか…………あ~!!やっぱり無しです!!忘れてください!!」

 

アイは自分が言った事が恥ずかしくて部屋に一つしかないベットにダイブする。

この部屋は家賃がそこそこ高いからか部屋が広い、窓からの風景も二階建てでメインチャネルにも面しているので綺麗な街並みが見れる夜になると尚更だ。

しかし、何故かベットが一つしかないのだ。

何かを狙ってるだろこれ……

 

「そうだったら嬉しいんだけどな」

 

「あのジュンって人ですか?」

 

アイがベットから顔だけ覗かせる。

あのジュンって奴、何か木綿季と仲が良さそうだったからな。

もしかして本当に付き合ってるのかな?

そんな事を考えてしまう。

 

「待ってるからって言われたんですよね?なら信じましょうよ」

 

アイがベットで寝っ転がりながら言った。

 

「………そうだな、笑っている木綿季も見れたしな」

 

俺は軽く伸びをしてからベットに入る。

 

「お休み」

 

「はい、お休みなさい」

 

俺とアイは向かい合ったまま眠った。




は~い!色々突っ込みたい所があると思いますがとりあえず月夜の黒猫団は生存させました!!
理由は簡単、サチに生きてほしいからです!!
その他の人はおまけ。

それでは、評価と感想お願いします!!

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