ソードアート・オンライン ~少女のために~   作:*天邪鬼*

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冬休みは予定が無いので更新ペースがアップ!!…………するかもしれないです。


16話 攻略会議

「キー坊後はよろしくナ~」

 

「おう!!」

 

俺はアルゴに言われ、洞窟の出口にいる牛のモンスターに向かって剣を振りかぶる。

 

「セイッ!」

 

剣を真上から降り下ろすソードスキル”バーチカル”

 

「ブオオ!!」

 

牛のモンスターは雄叫びをあげ、一瞬硬直した後にポリゴンとなって消えていった。

 

「まさか俺っちの名でデマを流すとはナ」

 

「俺は最初から信じてなかったけどな」

 

俺とアルゴは最近噂になっている、ログアウトが出来る洞窟に来ていた。

噂とは、この洞窟に入ったプレイヤーはログアウト出来るっと言うものだ。

この洞窟に入ったプレイヤーが1人も戻ってこないっと安易な理由。

実際には強いモンスターに殺られただけだったが。

 

「キー坊はレベルどのくらいダ?」

 

「今ので11レベだな」

 

アルゴと行動するようになって数日、いくつものクエストをクリアしてきた俺は狩りをしなくてもレベルがどんどん上がりSAOのトッププレイヤーの一員となっていた。

でも、クエストでレベルアップしているのであまり知られてない……

影の勇者、うん!カッコいいな!

 

「あらラ?女の子が倒れてるゾ」

 

「あの噂を信じて来ちゃったプレイヤーだな、さっきのモンスターの攻撃が当たったかな?」

 

「みたいだナ、ビギナーさんポーションのサービスダ」

 

アルゴが女のビギナーにポーションを飲ませる。

ビギナーは無言でポーションを飲み始めた。

これでもう大丈夫だろう。

 

「じゃ、俺は噂は嘘だったって情報を流しに行ってくる」

 

「よろしくナ~」

 

俺はメニューから黒いフード付きのマントを出し羽織る。

そして、顔が見えないようにフードを深く被った。

 

「後でいつもの酒場に集合な」

 

「ほーイ」

 

俺は”トールバーナ”に向かって走り始める。

 

 

 

   トールバーナ

 

トールバーナに着いた俺は街に噂は嘘だったと流す。

方法は簡単、色々な店にある掲示板のアルゴの情報屋のコーナーを更新。

”ログアウト出来る洞窟は嘘だった!!偽物のアルゴの情報屋に注意!!”

その後に街を歩きながら独り言のように言いまくる。

 

「ログアウトの噂って嘘だったのか……」

 

これがコミュニケーション能力が高い奴が聞くと一気に街全体に広まる。

そしたら、本当かどうかを確認しに掲示板に集まる。

これで情報の拡散が終了。

 

「ん?第1層攻略会議が明日、トールバーナの広場で開催?」

 

俺が情報の拡散が終わった時、新しい広告が掲示板に新しく出ていた。

どうやら、何処かのパーティーが第1層のボスベアを見つけたらしい。

 

「明日、丁度1ヶ月か……」

 

俺はアルゴと待ち合わせの酒場に向かった。

デスゲームが始まって1ヶ月、まだ第1層もクリアされていなかった。

 

 

   酒場

 

「そっカ~、キー坊はボス戦に出るのカ?」

 

「一応な、第1層攻略本ボス戦ver.出すか?」

 

酒場の目立たない席で俺達は夕食を食べていた。

アルゴはスパゲッティで俺はピザ。

 

「用意はしてあるヨ、鼠のアルゴに抜かり無しダ」

 

アルゴはメモ帳程の大きさの本を見せてきた。

 

第1層ボス”インファング·ザ·コボルド·ロード”

その他にも最初に持ってる武器やHPゲージが1本になった時の武器の交換などが書かれていた。

 

「ボスってβテストの時と同じなのか?」

 

これまでのクエストでもβテストの時と違う所がいくつかあった。

ボスが全くβテストの時と同じってのは少し考えにくい。

 

「最初のページの注意書にその事はかいてあるヨ」

 

注意書には”これはβテストの時の情報です。変更点がある可能性がありますのでご注意下さい”っと書かれていた。

 

「やっと1層カ~、ユーちゃんは来ると思ウ?」

 

「木綿季は来るよ」

 

即答だった。

アルゴは目をパチクリさせている。

 

「即答ネ~、何でそう思うダ?」

 

アルゴはスパゲッティが巻かれたフォークを俺の方に向けた。

 

「勘だ」

 

それ以外に理由がない。

ただ、木綿季なら来ると思っただけだ。

 

「勘カ、愛の力とか言わないんだナ」

 

アルゴがスパゲッティを食べながら何気ない顔で言う。

 

「言えるか!」

 

全力で否定するがアルゴはニヤニヤしたまま俺を見ている。

その視線が嫌で俺は半分まで食べたピザをまた食べ始める。

アルゴはまだ、ニヤニヤしていた。

 

夕食が終わって俺達は拠点としている少し古い家の2階にいた。

それなりに広いこの部屋は2人でコルを払ってるから家賃は安く、さらにこの家の人は牧場を開いているので牛乳は飲み放題。

しかし、アルゴが言うに1番の魅力は風呂があることらしい。

SAOでは風呂に入らなくても臭くも汚くともならないのにだ。

女って難しいな……

 

「そろそろ寝るか」

 

「そうだナ、配布の準備も出来たし寝るカ~」

 

アルゴが欠伸をしてベットに向かう。

明日、配布予定の攻略本第1層ボス戦ver.の最終チェックを終わって疲れたのだろう。

肉体的な疲労はなくても精神的な疲労はある。

精神的な疲労があると戦いの時に影響がでてしまう。

アルゴがベットにダイビングして3秒後に寝息が聞こえたので俺は電気を消してベットの少し離れた所で寝袋を使い寝る。

何故少し離れた所かと言うと、この部屋を借りた初日は真横で寝ていたが夜中にアルゴがベットから落下して熟睡中の俺に激突。

以来、何度も落ちてくるので少し離れたところで寝ている。

この前、アルゴが床で寝る事を提案したがベットがいいとアルゴは主張。

落ちても寝たままで落ちた記憶が無いのだ。

普通なら痛みがあるがSAOなので痛みはないので寝たままでいられる。

少しは痛覚を入れるべきだった……

あ、それだと俺の方が痛いじゃん……

 

 

次の日、アルゴは攻略本を配布しに行ったので俺は久しぶりに迷宮区に潜っていた。

討伐系のクエストもやってきたので全然苦戦しなかった。

調子も良くどんどん進んで行くと俺と同じ様にフード付きのマントを着た女のプレイヤーがいた。

そのプレイヤーは残り数ドットのHPの狼のモンスターに向かって細剣のソードスキル”リニアー”で攻撃した。

オーバーキル過ぎるがプレイヤーの戦闘スタイルに口出しするつもりなんて無いので、そのままスルーしようとしたのだが……

 

「は?」

 

攻撃を受けてないのにいきなりそのプレイヤーが倒れたのだ。

急いで駆け寄るとただ疲労で倒れただけのようだ。

しかし、このままではリポップしたモンスターに攻撃されてしまうので俺は仕方なくメニューから寝袋を取り出す。

女のプレイヤーを寝袋の中に入れ隠蔽スキルを使い寝袋を引きずりながら迷宮区の外に向かう。

外に出ると近くの木の下で寝袋から女のプレイヤーを取り出して俺はモンスターが現れた時の為に見張りをする。

 

 

 

   数分後

 

「う、うん~…」

 

「あ、」

 

数分後、女のプレイヤーが起き上がろうともぞもぞしている。

 

「ここは……」

 

女のプレイヤーは起き上がり女の子座りをして辺りを見渡す。

当然、近くの木の下で座っていた俺と目が合う。

 

「あなたがここまで運んだの?」

 

「え、あ、はい……」

 

女のプレイヤーが鋭く睨んできたので身を引きながら肯定する。

目で人殺せるレベルだ……

 

「寝てる間に何したの?」

 

「え?それは、その、寝袋を用意して色々と……」

 

すると、女のプレイヤーは自分を抱き締めてうつ向く。

え、どうしたんだ?

 

「……色々って何?」

 

「はい?」

 

うつ向きながら小さな声で発する言葉に何を言ったのかわからず聞き返す。

 

「あなた!!私が気を失ってる間にその……色々したんでしょ!!!」

 

女のプレイヤーは顔を上げて大声を出しさらに、自分の武器のレイピアを俺に向けた。

別に武器を突き付けようが俺には大した問題じゃない、だって逃げればいいんだし。

だけど、俺に向かって大声を出し怒っているって事が俺にとって大問題だった。

 

「す……すいません。別にあなたが考えている色々なんてしてません。ただ、その……あなたがあのまま迷宮区の中に倒れていたらモンスターにやられちゃうって思って寝袋を使って外まで運んだんです。え、えっと、なので、何も心配する事はありません。も、もし、それが余計なお節介だったのなら謝ります。すみませんでした……」

 

見知らぬ人に突然怒られた俺は木の後ろに隠れて震えてしまった。

しかも、涙を我慢しながらだ。

 

「え、あ、そう……勘違いしてごめんなさい」

 

そんな俺を見て呆気に取られたのか謝る。

女のプレイヤーの方からレイピアをしまう音がした。

 

「え~と、大丈夫?」

 

「ひっ!!」

 

後から声を掛けられ体がビクンとほんの少し飛び上がる。

 

「突然怒ってごめんなさい、そんなに怯えるなんて思わなかったから……」

 

振り向くと女のプレイヤーが心配そうにこちらに顔を向けていた。

 

「いえ、すいません。ちょっと、驚いちゃって……もう大丈夫です。では、俺はこれで……」

 

俺は立ち上がりトールバーナで行われる第1層攻略会議に参加するために歩き出す。

フードを被ってたので顔を見られてないはずなのでこのまま逃げてしまえばこの事は無かった事になると思ったのだが、

 

「ちょっと、何処に行くの?迷宮区に戻るんじゃないの?」

 

この人、攻略会議の事を知らないのか?

俺は仕方なく教える事にした。

 

「もうすぐ第1層攻略会議が始まるんです」

 

「攻略会議?あなた、本当にクリア出来るって思っているの?」

 

冷たい視線を俺に向けてくる。

 

「クリアしないといけないんです」

 

「ッ!!」

 

俺はもっと冷たい視線で対抗する。

すると、女のプレイヤーはそのまま黙ってしまう。

俺は再度トールバーナに向けて歩きだした。

 

「……私も行く」

 

「え?でも、倒れたばっかりじゃ……」

 

振り向くと女のプレイヤーが腰に手を当てていた。

俺は無理をしないようにもう少し休むよう言おうとした。

が、俺に指を指し怒鳴る。

 

「とにかく、行くの!!」

 

「ひっ!」

 

ビックリして思わず速足でトールバーナに向かう。

この人よく怒るから恐い!

 

「ご、ごめんなさい!つい……」

 

後から慌てて謝る声がする。

アルゴ~助けてよ~

 

 

 

トールバーナの広場に着くと会議が丁度始まろうとしていた。

俺達は1番後ろに座った。

まるで、音楽のライブ会場の様な広場の中心には濃い水色の髪を持つ青年がいた。

 

「皆!今日は集まってくれてありがとう!!俺の名前はディアベル!職業は気持ち的にナイトやってます!!」

 

ディアベルがいい笑顔で自己紹介をすると周りから明るいヤジが飛ぶ。

何てコミュニケーション能力の高さだ、もう広場にいるプレイヤーの心を掴んでしまった。

そんなディアベルに尊敬の眼差しを向けると今度は真剣な表情となり攻略の話になった。

 

「先日、俺のパーティーが迷宮区でボス部屋を発見した」

 

広場にいる全てのプレイヤーが同じ様に真剣な顔をする。

 

「俺達が第1層をクリアすれば勢いがつく!100層まではまだまだ遠いけど、この小さな1

歩を積み重ねていけば必ず100層にたどり着く!!その小さな1歩を踏み出すきっかけを作るのは俺達だ!!そうだろ、皆!!」

 

ディアベルは凄いな。

最初に場を盛り上げて皆のボスへの恐怖心をなくそうとしている。

 

「じゃあ、早速パーティーメンバーを決めてくれ!」

 

……どうしよう。

全く考えていなかった~!!

そうだ!アルゴにも攻略を手伝ってもらえば!

うん、そうしよう!我ながら名案だ!!

 ピコン

ん?メールだ。

 

『キー坊へ、俺っちは出ないから隣のアーちゃんと組みな。鼠のアルゴより』

 

裏切り者め!!

アルゴの奴、どっからか見ているな!!

って、アーちゃん?

 

「ねえ、君。私と組まない?」

 

隣のアーちゃん?が首をかしげていた。

おう、怒りんぼさんもこんな顔出来るんだ。

 

「よ、よろしくお願いします」

 

俺はメニューからパーティーの申請を送る。

アーちゃん?が○ボタンをタッチして左上に1つHPゲージが追加される。

Asuna

アスナ?成る程、だからアーちゃんか。

でも、アルゴはどこで彼女と知り合ったんだ?

 

「ちょっと待ってくれんかナイトはん!」

 

広場に響く声。

出たか空気読まない奴。

声の主は広場の中心に行き勝手に自己紹介を始める。

なんとも、独特な髪型だ。

 

「わいはキバオウってもんや、ボスと戦う前に今まで死んでいった2000人に詫びいれなあかん奴がおるはずや!!こんクソゲームが始まった瞬間、ビギナーを見捨てたβあがりの奴等が!!」

 

キバオウが広場をぐるっと見渡す。

その時にキバオウの視線が俺で止まった……様な気がした。

体が強ってしまう。

謝りに場に出るべきか?いや、そんな勇気、俺にはない……

 

「大丈夫?」

 

アスナが隣で心配そうにしてくれた。

俺は頷くだけにしてディアベルがどう判断するかで行動しようと思った。

しかし、ディアベルは何か躊躇っていた。

どうしたんだ?

……まさかディアベルもβテス___

 

「ちょ~っと、発言いいかな?」

 

前の方で数年ぶりに、だけど聞き慣れてもいる少女の声がした。

 

「なんや?」

 

キバオウが少女にガンを飛ばす。

少女はそんなの無視してキバオウに笑顔で自己紹介と質問する。

 

「ボクはユウキって言うんだ。キバオウさんはこの本を貰った事ある?」

 

ユウキだった、ユウキの手には俺とアルゴが集めた情報が書かれた攻略本が握られていた。

 

「持ってるで、それがなんや」

 

何を思ったのかキバオウは腕を組んで胸を張る。

お前は作って無いだろ。

 

「幾らなんでも情報が速すぎだって思わない?これを配っているのはβテスターさん達だよ。情報は誰でも手に入ったんだから、死んじゃった2000人のプレイヤーさん達には悪いけどSAOを甘く見た結果で自業自得じゃないかな?」

 

「なんや!お前はんはβテスターを庇うっちゅーんかい!?もしかして……お前はんがβテスターなんやろ!!」

 

一瞬、キバオウを本気で殴ろうと考えてしまい飛び出そうとしたときユウキが笑ってるのにきずく。

 

「残念ながらボクはβテスターじゃないよ。でもねキバオウさん……」

 

「な、なんや?」

 

ユウキが一旦区切りを入れ、キバオウを鋭く睨む。

キバオウが腕を組むのを止めた。

 

「βテスターにはボクの家族がいるんだ。家族を悪く言うのは許せないよ」

 

ユウキは腰の片手剣を手にして居合い斬りの様に構える。

キバオウはユウキの凄みに負け席に戻る。

ユウキも剣から手を離して元の席に戻る。

それからは順調に会議は進み解散となった。

明日、ボス戦が行われる。

 

 

 

「ユーちゃんの気持ちがわかったロ?」

 

トールバーナのパン屋でパンを買いながらアルゴが言ってくる。

 

「ああ、正直嬉しかったよ」

 

家族と言ってくれた時、本当に嬉しかった。

これは事実だけど、

 

「でも、その前の2000人の死者が出ているって聞いたから……」

 

「キバオウって奴、余計な事言ってくれたナ」

 

アルゴが溜め息をつく。

これで俺とユウキの関係が改善されると思ったのだろう。

2000人、俺は間接的にだが2000人もの命を奪った事になる。

その衝撃が強すぎてユウキの言葉が薄れてしまった。

 

「少しずつでいいサ、簡単な事じゃないしナ」

 

「ありがとう」

 

アルゴは何も言わなかった。

拠点の家に戻ろうと裏道に入った時アスナが1人で俺達と同じパンを食べていた。

 

「あ、そう言えばアルゴ、何処でアスナと知り合ったんだ?っていないし……」

 

アルゴは忍者のように忽然と姿を消していた。

アルゴは隠蔽スキルが高い為隠れるのが得意なのだ。

ちなみ、俺は索敵スキルを高くしている。

俺は1人のアスナに話し掛ける事にした。

対人恐怖症のリハビリだ。

 

「こ、こんばんは……」

 

「あ、キリト君。こんばんわ」

 

キ、キリト君?

え、じゃあこっちはアスナちゃんって言わなきゃ駄目なのか?

 

「いきなり、名前は馴れ馴れしかったかな?」

 

オロオロする俺に向かって顔を赤くそして上目ずかいで聞いてくる。

可愛らしすぎるアスナを見て一瞬フリーズしてしまう。

 

「…………そんなことない!」

 

「ふふ、じゃあ私の事はアスナでいいよ」

 

アスナはニッコリと笑った。

怒りんぼって思ってすみませんでした。

俺は心の中で謝っておく。

 

「これ……使ってみて……」

 

俺はメニューから小さな瓶を出してアスナの横に置く。

俺もさりげなく隣に座る。

俺今凄いことしてない!?

進歩だよ!進歩だよ!

 

「クリーム?」

 

小瓶を指でタッチしてその指をパンに当てるとクリームが出てくる。

 

「1つ前のクエストの報酬です」

 

俺もさっき買ったばっかりのパンにクリームを乗っける。

 

「美味しい……」

 

アスナを見ると凄い勢いでパンを食べていた。

大食いなんですね。

俺も負けじとパンを食べる。

 

「…………」

 

同時に食べ終わった俺をアスナがじ~っと見てくる。

何で?

 

「キリト君はフード取らないの?」

 

「いや、俺ってコミュ症だから……」

 

すると、アスナのがニヤニヤしながら俺のフードを取ろうとした。

 

「ちょ、止めて!」

 

「いいじゃん、顔に自信がなくても私は気にしないよ!」

 

「何を!?」

 

アスナの目は子供の様に好奇心に満ちていた。

だ、誰か助けて~!!

だが、助けに来た人物は予想外の者だった。

しかも、第一声が、

 

「成る程、これが浮気ですか」

 

「「え?」」

 

俺とアスナはフード攻防戦を止めて一緒に後ろを見る。

そこには小さな少女がいた。

 

「キリト君知り合い?」

 

「俺に友達がいるとでも?」

 

こんな小さな少女は知らない。

SAOに入って知り合った主なプレイヤーはクライン、アルゴ、アスナ、あとMPK未遂の少年の4人だけだ。

しかも、1人は名前も知らない殺人未遂者。

 

「1ヶ月で私の事を忘れてしまったのですか?キリト様?」

 

キリト様?そう言えばどっかで聞いた事のある声……

 

「キリト君……そんな趣味が……」

 

横でアスナが全力で引いていた。

 

「俺にそんな趣味はありません!」

 

「でも、キリト様って……」

 

そうだ、俺の事を様を付けて呼ぶ奴いる訳ない…………

 

「あ、いた」

 

「思い出すのが遅すぎます。お前はいつも遅いんだよって言って欲しいんですか?」

 

何処の超次元サッカーだよ、しかも古すぎだろ……ってそれより!!

 

「え、何でここにいるの?あれ?その姿は何?」

 

「キリト君?」

 

身長は俺のお腹の少し上ぐらいで、だいぶ小柄。

キラキラと光を反射して光っている長い銀髪の髪をポニーテールでまとめている。

目の色は蒼く綺麗に輝いていて宝石のようだ。

だが、格好は捨てられた子供の様にボロボロでせっかくの可愛い顔が台無しになっている。

 

「アイだよな?」

 

「はい、お久しぶりです。キリト様」

 

俺が作った世界初の真のAI、アイは満面の笑みで答えた。




久々のアイを登場!!
やっと、登場させる事が出来ました。
次回はアイがメインのお話です。
お楽しみに!!

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