バカとボケと召喚獣   作:神爪 勇人

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第1章 試召戦争編
第1問 史上最強の馬鹿の始まり


バカテスト 化学

問 以下の問に答えなさい。

 

『調理の為に火にかける鍋を製作する際、重量が軽いのでマグネシウムを材料に選んだのだが、調理を始めると問題が発生した。この時の問題点とマグネシウムの代わりに用いるべき金属合金の例を1つ挙げなさい』

 

姫路瑞希の答え

『問題点・・・マグネシウムは炎にかけると激しく酸素と反応する為、危険であるという点』

 

『合金の例・・・ジュラルミン』

 

教師のコメント

「正解です。合金なので“鉄”では駄目という引っ掛け問題なのですが、姫路さんは引っ掛かりませんでしたね」

 

 

土屋康太の答え

『問題点・・・ガス代を払っていなかったこと』

 

教師のコメント

「そこは問題じゃありません」

 

 

吉井明久の答え

『合金の例・・・未来合金(←すごく強い)』

 

教師のコメント

「すごく強いと言われても」

 

 

坂本雄二の答え

『合金の例・・・鉄人』

 

教師のコメント

「一瞬“鉄”と見間違えましたが、西村先生で鍋は製作出来ませんし、合金でもありません」

 

 

上田祐一の解答

『問題点・・・鍋を作ろうとしたこと』

 

教師のコメント

「そこはつっこまないでください」

 

 

◆◆◆

 

 

『文月学園』

 

新設校にして、現在世間で最も話題を呼ぶ新技術“試験召喚システム”の試験採用校。

学力低下が嘆かれる昨今に新風を巻き起こし、進学校であると同時に最新技術の実験場としても知られるこの学園。

それ故に、多くのスポンサーが付いており学費は極めて安い。

そんな文月学園に俺が入学してから、1年が経過した。

あっという間だなぁ・・・と、俺は入学の頃を思い出す。

そう、あの時もこうやって、

 

「上田」

 

こんな感じにドスの効いた声を掛けられたんだっけな。

 

「よ、鉄じn―――――ゴリr――――――西村ティーチャー」

「お前、今なんて言おうとした?」

「別に鉄人とかゴリラなんて言ってませんよ?」

 

――――――ゴスッ‼‼

 

「先生、頭が凹みます」

「大丈夫だ、お前は頑丈だからな」

 

頑丈だったら生徒の頭を殴っていいとでも!?

まったく、相変わらず脳筋な奴だ、このクソゴリラが。

 

――――――ゴスッ‼‼‼

 

「先生、マジ痛いっす」

「我慢しろ」

「何でだ!?」

「お前が何か良からぬことを考えたからだ」

 

何で知ってる!?

野生の勘かよ、マジでゴリラなんじゃねぇかコイツ。

 

――――――ゴスッ‼‼‼‼

 

「おい! バカスカ殴ってんじゃねぇよ‼ 馬鹿になったらどうしてくれる!?」

「そんな心配はしなくてもいい」

「あぁん!?」

 

西村先生こと鉄人ことクソゴリラが、俺に無言で封筒を手渡す。

ああ、コレに今年の所属クラスが書かれてるんだっけか。

 

「上田。お前、入学式の事を覚えているか?」

 

封筒を開けて中身を確認しようとする俺に、鉄人が語り掛けて来た。

 

「そりゃあ、まぁ、覚えてっけど」

「俺はな、色んな生徒を見て来たが、お前達のような奴は初めてだった」

「そうか?」

「ああ。まさか高校の入学式で――――――」

 

俺は入学式の頃を思い出す。

 

「――――――パンツ一丁で式に出る生徒なんて初めて見た」

 

そうだ、俺はボクサーパンツ一丁で入学式に出てたんだ。

それだけ聞くとただの変態だが、勿論俺はそんな変態じゃない。

アレには深い訳があるのだ。

 

「先生、知らないかも知れませんが、アレには深い訳が――――――」

「知らないはずが無いだろう。あの時、お前と吉井を見つけたのは俺なんだぞ?」

 

そうか、知っているよな。

なら、何も問題は無いハズだ。

 

「高等学校の門前で夜通し酒盛りし、パンツ一丁で寝ていたのを見つけた時は自分の目を疑ったぞ」

 

・・・・・・何も問題なんて無いよね?

 

「明久にも言いましたが、それは誤解なんです」

「ほう? そうだったのか」

「ええ」

「では、何故あんな事になっていたんだ?」

「学校前で酒盛りすれば、寝過ごしても遅刻しないだろうと」

「そもそも未成年が酒を飲むなぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼」

 

ゴスッ‼‼と、再び鉄拳が俺の脳天に‼

殴られた拍子に、封筒の中身から一枚の紙きれが落ちた。

そこにはこう書かれていた。

 

「まったく、やはりあの時感じた俺の評価は間違っていなかったようだな」

 

『上田祐一・・・・・・Fクラス』

 

「お前はバカだ」

 

 

.


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