Justice前章:Labyrinth 嶺編   作:斬刄

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6話弟と新たな仲間

嶺は昨夜のことでハセヲに言わなかった事を叱られつつも、その日の夜に明日なのはの家へと向かう約束を電話取った。

 

「取り敢えず分からないことがあると思うから、そっち行くね」

『うん、分かったの』

 

なのはは学校におり、フェイト達のことがまだ気になっているものの事情がまだハッキリ分かってない。正輝が止めてくれたおかげでレイジングハートもバルディッシュも壊れてはいないが、

 

「お邪魔します。なのはさんはいますか?」

「あら、嶺さんにハセヲさん。なのはなら…」

「あ、こんにちは!」

 

桃子に挨拶し、二階にいたなのはは嶺達と話せるように部屋を掃除して待っていたところだった。母親から嶺が家に来ている伝えられ、急いで降りてきている。

 

「ん、やっほ」

「それじゃあお邪魔します」

 

なのはの家族全員もまた魔法のことを既に知っているために、なのは達が何をやっているのかを帰るときに報告して聞いている。

嶺とハセヲがなのはの部屋に入り、昨夜の事で整理することとなった。

 

「それじゃフェイトに協力している。ウチの弟である正輝のことを話そうか…現段階で知ってることだけどね」

 

一度目は温泉で、二度目もまた昨日に彼はセイバー(アルトリア)の英霊を連れてフェイトを助けていた。が、なのは側で姉が来ることも、ましてや空間耐性があとことも知らずに空間属性の罠を張っていたけどそれが水の泡になって直接戦闘をすることになっていた。

 

「戦闘中に話をしてたらどうやら正輝も私と同様に漂流者みたいだし、そのフェイトって子の複雑な事情で協力してるそうだよ。シャドーの能力を使ってたのもやっぱり弟で、複数の分身に指示を出して至る場所に分散して探してるはずだと思う。実際ジュエルシードを持ってたハセヲも敵だと思って襲ってきたわけだし、まぁ弟のことだから、今でもまだ探してるんだろうけど。

もし接触したら気をつけてね」

「でも、魔力反応がない限りジュエルシードを見つける場所なんて困難じゃ…」

「まぁこの海鳴市全体の散策は可能だよ。私も使えるけど10体しか出来ない。弟の方がその倍を操れるから多い、ただし分裂ごとに下がるけどね」

昨夜の事で嶺はフェイトと一緒にいる正輝と会話したことを表向きな部分だけ(アリシア等や目的のことは言わない)をなのは達に教えた。能力で探し回っているから気をつけてということと、弟について説明している。そんな時に

「んっ…あ、れっ…」

「ならまた正輝とまた戦うことになる…ん?さっきのってなのはか?」

「え?違いますよ?」

 

なのはが喋ったわけでもなく、聞き覚えのない声が聞こえていた。それに反応して四人とも後ろを振り向くと

 

「「「「…ん?」」」」

「えっと、ハセヲさん?ここってどこですか?」

「ふぇっ⁉︎」

 

黒髪の女の人がなのはの部屋にいる。なのはは知らない女が急に後ろにいるから体が飛んじゃうぐらいに、嶺とハセヲは距離を離していつの間にいたのかと目を丸くして驚いている。

 

「お前、いつの間にいたのか?つーかどうやって…俺と同じように転移されたのかよ?」

「あの…私、目覚めた時にはここに。そしたらハセヲさんと他の人が一緒に話していて」

「目覚めた時ねぇ…」

『本当にっすみません!転移する時に連絡するのを忘れてました‼︎』

(あーうん、でも説明どうしよ)

後々もう一人やって来ることを知らせなかったのは、神様側からの失態だった。嶺だけに念話で送られてきている。

忘れたという神の言葉に嶺もあることを言うのを思い出した。

「あぁそういえば。正輝の連絡先はもうとっくにあるから、私に頼んだらいつでも聞けるから正輝側が一旦落ち着いたら話そうか」

「はい、そうですね。

 

…え?え、ち、ちょっとまっ…えぇぇぇっ⁉︎」

「それじゃあ弟さんの連絡も取ってるんですかっ⁉︎でもいつから」

なのははそのまま普通通りの返事を返したが、後々嶺の言葉に耳を疑った。正輝のことを知りたかったのに、既に彼のことを知る機会を嶺がとっくに用意している。嶺は正輝と接触して連絡先をもらってはいるが、そのことについても話していない。

 

「あ、ゴメン。これも言うの忘れてた」

「お前なぁ…」

「え、なに?なんの話をしてるんですか⁉︎それとここって一体どこですかーっ⁉︎」

なのは達は、嶺がフェイトの協力者である正輝とすぐにでも連絡できるとは思ってもなかった。ハセヲも正輝のことと同様に何も聞かされていない。なお、状況が飲み込めてないまま一心不乱のアトリが嶺達の話と場所を知ったのは正輝の連絡先を嶺がなのは、ハセヲはこれまでのことを簡潔に説明している。

「詳しい話は帰ってそこの嶺って人がやるから、それでいいな?」

「はい、ありがとうございます。ハセヲさ…「今はプレイヤーネームじゃなくて亮って呼べ」あ、そ、そうでしたね」

神や転生者等の詳しい話をなのはの家で話す以前に、今のところは漂流者ということで済ませているので帰ってから済ませることにした。

 

*****

 

 

こうして会話を終え、嶺とハセヲの二人からアトリが次元漂流者として、部屋に転移してきたことをなのはに家族に伝えている。魔法の存在は納得したが女の人がなのはの部屋にいつの間にか出現したということを、なのは以外の家族が分かってくれるかと二人とも内心不安ではあったものの。

 

「そういうわけなので、今なのはとユーノの二人だけじゃなくて、もう一人女性の人がいるんですが…」

「なら仕方ないな。魔法があるのだから、こんなことが起きてもおかしくない。その様子だと悪い人でもなさそうだし」

「というよりこっち側の仲間だ。俺たちと同様に次元漂流者としてやってきたと考えてもらってもいい」

 

このままだとなのはの家族がアトリのことを家に無断で侵入した不審者として無理矢理捕らえようとしかねない為、納得するまでアトリはなのはの部屋にずっといることとなった。

意外にもなのはの家族が非現実的なものを見ている時点で、事情を話しても驚かなくなっていた。

 

「終わったよー。案外素直に分かってくれましたー」

「ほ、ホントですかっ⁉︎」

「あぁ、なのはの家族にアトリのことを伝えたから問題ねぇよ。しかし、女性の人が部屋に出現したって聞いたときは驚いたけどな。

実際その場にいた俺達も驚いたけどよ。でも魔法が存在しているっていうのを知っているおかげで、なんとか納得してくれたけどな。

 

ところで嶺、お前なのはの家族だけじゃなくて居候させてもらっているすずかの家にもちゃんと説明しろよ」

「あっ、そうでした…」

こうして嶺はアトリ、ハセヲの3人はなのはに見送られながらすずかの家へと帰っていった。その後にすずかはともかく、他の人は余りに唐突だった為に説明するにもなのは達よりも時間がかかっていた。

 

次の日、レイジングハートの索敵やユーノの結界で展開しようとしてもジュエルシードは見つからないままたった。

 

「ジュエルシード見つからないね…今日はもう帰ろうか?」

「お疲れ、なのは。だいぶ広い範囲で探し回っているのになんで見つからないんだろう…もう回収されたのかな」

嶺側は何も知らない。

正輝達の方は既になのは達が持っているジュエルシードを除く他の全てを回収している。嶺はアトリだったが正輝は新しく入ってきたアーチャーを連れて時の楽園でアリシア復活の準備をしていた。そして

 

「いよっしゃぁぁぁっ‼︎成功したぞぉぉっ‼︎」

「よくやったな、マスター」

「アリシアぁぁぁぁぁっ‼︎」

 

なのは達よりもジュエルシードを多く集めて使い、身体が傷だらけになりながらも蘇生させることに成功した。が、その裏で嶺達は無印の時点でアリサ、すずか、なのはとその家族までユーノや魔法について知れ渡っていることを正輝達が知る由もない。フェイトの家のことを考えてはいたが、姉は一体どこで何をやっていたのかという肝心なことをほぼ一人で完結させてるせいで、伝えられてない。姉もまた正輝がジュエルシードでアリシアを蘇生させたことは知らないが、よっぽど大事なことを先に伝えるのは嶺よりも正輝の方が話しているのだから。

 

嶺からなのは達、すずかとアリサ達のことを知らされるのは随分後だと、彼とその彼の愉快な仲間達は知るまでの間、嶺達がここに介入するまで一体何をどうしていたのかは知らなかった。


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