Justice前章:Labyrinth 嶺編   作:斬刄

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24話救援任務ー巴マミの救助

巴マミが自殺しようとしたその時に、澄んでのところを助ける。急ぎで来た嶺は敵か味方で判断し、敵を蹴飛ばした。

 

「えっと、巴マミさんでいいよね。動ける?」

「あっ…あ、はい」

「じゃ、ひとまず此処から退却しよっか」

 

それを見て呆けていた彼女は、我に帰ったかのようにを返事する。蹴り飛ばされた敵が起き上がる前にこの場所から、真美を連れて撤退した。

 

敵のいる場所よりも遠くの場所に移動し、安全なところで足を止める。

一方の巴マミは複雑な気持ちでいた。

目の前にいる女の人は誰なのだろうかと、

 

「…あの、貴方は誰なんですか?

どうして私を」

「弟から助けるよう言われてねー」

 

正輝がマミのことを心配して同盟関係である嶺に助けを呼んだ。

 

「弟って、もしかして正輝さんのお姉さん」

「そだよー」

 

簡単に返事する。マミの事情は分からなかったが、とにかく目的の人を助けたからと次どうするかを考えている。

 

助けた後は襲ったあの敵を倒すか、それとも正輝達に届けるかを。

 

「…助ける必要なんてないのに。

もう…生きる意味を見失った私なんて」

「何があったかは私も、救助要請で連絡した正輝達も知らないと思うけど。じゃあ、そうなる前には生きる意味があったの?」

「後輩に先輩らしいところを見せたかったけど…でも私、無知で馬鹿だった」

 

更に魔法少女の真実を知り、キュウベェに騙されていたことを引きずっている。彼女のソウルジェムも魔女になりかけで、殆ど濁っていった。

 

「…本当にそうかな?単独で動いたのって、正輝と何か揉めたの?」

「実は…」

 

悩んでいたことはマミやまどか達には黙って行動し、魔女に襲われることについても何も言わなかったことだ。

 

かといって、本当に正輝達が彼女のことを大事じゃないと思ってなかったなら救援要請の連絡は来ていない。

 

「…じゃあさ、こう考えようか。いきなり正輝達がほむらを信じた方がいい、マミのためにもなるって話を聞いて、それじゃあ『はい、そうですか』って信じることってできたの?」

「言うにしても…それでも、事情を私に話したって!」

「言っても信用もしてもらえないし納得もしてくれないから、正輝もああいったら行動をするしかないんじゃないのかな。

 

その後のフォローが出来てなかった正輝も問題であるけど」

 

マミが聞いても、その話を信用しないかもしれないから正輝は何も言わなかったんじゃなくて言えなかったのではないかと説明した。

 

「それに魔法少女の真実を知ったところで、二人の後輩も貴方に不快な思いをしてないよ。救援要請で助けて欲しいってこっちに連絡が来てるんだから。

 

 

あ、ボイスメッセージも入ってたけど聞く?」

「え?」

嶺は携帯から送られた音声フォルダを開く。

 

【マミさん大丈夫ですか⁉

やっぱり昨日のことでつらかったんですか?だとしたら、ごめんなさい。

私が魔法少女に慣れたら代わりに助けれたのに…けれどそんなことをしてはいけないって正輝達が私に言ってました。

実際マミさんが死ぬのを知ってましたが変に思われて言いづらかったんです。

あの人も、傷つけるつもりでやったわけじゃないって言ってました。マミさんを見捨てたり、裏切ったりってわけじゃないって…だから戻ってください。

魔法少女体験が出来なくても、私にとって大事な先輩だと思っています】

【マミさん。元気ですか?

魔法少女体験のことで辛かったんですよね。あれからあたしも正輝になぜ助けなかったのかを聞いても、納得のいく答えばかりで非の打ち所がありませんでした。だからと言って正輝達はマミさんを裏切って転校生と協力し合うってわけじゃありませんでした。転校生の方も完全に協力したつもりでもなかったと正輝達から聞いたからです。

元気なマミさんに戻ってください。

まどかも元気て帰ってくるマミさんを待ってますから】

【…騙すような形になってすまなかった。

周りの警告無視して突っ走っちまうところもあったからな。でも、伝えなくて悪かった…仮に伝えたとしても俺たちを疑うのは間違いないと思ってな。あと多分これを聞いてるってことは転生者とやらに会って真実を言われたんだろ?

けど、俺達はゾンビだと思わないからな。

お前は何も悪くない。

話を聞いて、一人で苦しかったんだけれどもまどか達と俺達がいる。

だからもし余裕があるなら、その敵をぶちのめして帰って来い。魔力で気づいてると思うが、まどか達が襲われている件については俺に任せろ。お前は一人で背負い込む必要なんてないんだからな】

 

まどか、さやか、正輝の順番にボイスメッセージの音声が流れている。黙って聞いていたマミは少し泣き、3人とも戻ってきて欲しいことを願っていた。

 

誰も、マミに対して悪意なんてものはない。

 

「じゃ、本題に入るけどさ。

結界を破壊して正輝達と合流することもできるけど、あの敵に反撃もできるよ?

どうしたい?」

「私は…」

 

 

*****

 

 

「あの女共はどこへ行った⁉︎」

 

一方、蹴り飛ばされた殺者の楽園の幹部は、二人を探し回っている。行方がわからず、接触した瞬間に先手が取れるよう背後にテレビを浮かせていつでも見せれるよう準備する。

 

こちらのいる場所が分からないのは相手も同じ。

 

(また同じような状況に陥らせてやるっ‼︎)

背後と正面から走るような足音が聞こえている。

男は止まり、迎撃の準備をした。

テレビだけではなく、床や壁にも見えるよう沢山のカメラを展開する。

 

(さぁ、こい…魔法少女なら魔女に…助けた奴なら脳の精神を破壊してやる!)

しかし、彼の視界に飛び出してきたのは

 

「真っ黒っ…⁉︎」

 

嶺がシャドーで出現させた、分身体だった。

ーーー数分前

 

嶺がマミ本人に戦えるかどうか聞いたところ、

 

「…前に出て戦うのはちょっと無理みたい。

でも、貴方の支援くらいならできるかもしれないわ」

「まぁうん、それでもいいよ」

 

前に出て戦うのは無理だったが、魔法を使って嶺に力を貸すことはできた。

 

(うーん、画面を見るのはかなり不味そうだなー)

 

巴マミの話と彼女の状態から察するに、見る事でその影響を及ぼす能力なのは間違いなかった。

敵は映像機器のようなものを宙に浮かせ、それを巴マミに見せた。直視されて発動する能力なら、映像を見た時点で術中に陥る。

それならばわざわざ正面で戦う必要はない。

 

嶺が8体のシャドーを出現させ、嶺達と近い場所を二人1組で散策させた。見つけ次第その呪符を使用するよう指示してある。

 

 

(…携帯のような防水加工されてるものならともかく、パソコンは水に浸ると、流石にダメになっちゃうよね?)

 

影の分身体に、映像を見せても何の効果もない。正面の影は鉄崩水の呪符を三枚所持していた。

発動した瞬間、多量の水が放出された。

水は置かれてある機材に浸水し蓄積していた電気が漏れていく。

 

(ま、不味い…逃げ、ぐっ⁉︎)

 

水が押し寄せる前に、残りの機材で水を止めてこの場から離れようとする。が、平面な地面のはずなのに盛大に躓いた。

仕掛けたのは、札だけではない。

 

「…あ、足が」

 

影全員にマミの作った魔法のリボンを持たせ、呪符を使ったと同時にリボンで敵を縛りつけ、機材と片足を結ばせて動けなくした。

そして、逃げた先には影がもう一体出現し、呪符を発動させる。

 

逃げ場のない彼は大量の水と超高電圧に身体が耐えきれず、感電死する。

 

「あ、あぁぁぁっ、あぎあぁああぁっ…あ、か、はっ」

 

残った機材は水で濡れたことで全て駄目になり、男の身体は灰と化して散り散りとなってしまった。

 

 

*****

 

 

「よし、完了っと。

手伝ってくれてありがとう」

 

楽園の討伐と救援達成によって報酬の連絡が来た。出現させたシャドーは、嶺本人の影へと戻ってくる。

「あの、これで良かったのかしらせめて確認だけでも」

「もう倒したのは確認できたから大丈夫だよ」

(今頃遺体はとっくに消えてるだろうし)

 

敵が灰になって消え去っていくのを見るだけで十分。わざわざマミと確認に行くだけ無駄なのは分かっていた。

 

「あの…正輝さんには会わないのですか?」

「救援が終わったら、船に帰るようになってるからねー。

私もやることがあるし」

(船、何のこと?どう言うことか正輝さんに…聞きましょう)

 

マミは疑問に思ったが、とりあえず納得した。

嶺は携帯の画面をマミに見せず、説明だけで済ませた。

世界に介入するのは、あくまで救援要請によるもので、共闘要請についてはまだ神側が用意していない。

協力も一時的なものであり、介入する世界が同じであれば話は別である。

 

「この呪符あげるから、何かあった時に使って。あと、私から弟にこの件でメッセージを送ってるからちゃんと読むように伝えといてねー。一人で大丈夫?」

「大丈夫よ、ありがとう」

「ん、それじゃあ家に帰るんだよ。

道に迷わないようにねー」

 

マミは頷き、そのまま自分の家へと戻っていく。嶺の携帯から着信音が鳴り、神から連絡が来ていた。

 

「もしもし?」

『ごめんなさい!ごめんなさい!

救援要請が正輝さん側の神で送られてのがそのままになってました!

本当なら私が連絡すべき事なのに…』

「あーうん、いいよー」

 

本来は自分達の陣営が知らせる事なのに、あの知らせは正輝側の神から連絡しなくてはならなかった。

嶺陣営の神側のミスで、謝罪していた。

 

「…そういえばフェアリーテイルに明日帰るって言ってたけどどしよ」

『いえ、そのまま船に帰ってもらって結構です。確か、あのギルドでは呪いの島だけではなく複数依頼も受けてましたよ』

「あー…そうだったっけ?」

『気をつけてくださいよ。

私もとやかくは言えませんけど…』

フェアリーテイルに入って、複数受けていることに受諾したことをすっかり忘れていた。

依頼の受注はミラが管理しているため、1日だけじゃ足りない事は分かっている。

ギルドへ帰るにも、依頼の達成に当分時間はかかった。

 

『船に戻って準備を整ったほうがいいですよ』

「そっかー、まーそう言うなら帰ろっか」

 

嶺は転移し、そのまま船へと戻っていく。

ナツ達と会うのはまた今度となった。

 

「ただいまー、救援と介入の任務終わったよ」

「おう、お帰り。今さっき朝食を用意したばっかりだ、ひとまず何かあったか説明してくれ」

「ん、分かったよー」

 

いつものように呑気に帰ってきた嶺に、呆れつつも朝食を取りながら介入して何があったか話を聞き、亮から寝る時に煩くても耳栓するなと叱られていた。

なお、マミがまどか達の元へ帰った後、正輝の携帯に嶺のメッセージが送られて、フォローしてなかったことに対する注意文を見て彼は苦い顔をして反省したのは言うまでもない。

 

 


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