Justice前章:Labyrinth 嶺編   作:斬刄

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17話ようこそフェアリーテイル、そして嶺の初任務(S級クエスト)

嶺は、ナツ達に逸れないようについて行く。

山賊の長とその一味を捕まえ、引きずりながら村へと到着した。

 

「ありがとうございます。これはそのお礼です」

「よし、これで仕事は終わりだな」

「それじゃあ、帰ろうぜ!」

「待てナツ、俺達はこの人のことを聞いてないだろ」

 

 

依頼通りに手渡しでお金が支給される。

山賊は刑務所へと連行され、ナツ達はギルドへと帰ろうとするが、肝心な嶺のことについてまだ聞かされていない。

 

「なんであの山にいたの?」

「えーっと、いつの間にか彼処にいた。

そもそも私は村の住民じゃない」

「なんだそりゃ…まさかこの子、誰かがあの山に放置されたのか」

 

ナツ達が、誰かに嶺を連れてこられたと勘違いしている。山賊かもしれなければ、それを確かめるすべがない。

 

「…あのさ、もし良かったら私もフェアリーテイルに入ってもいい?」

「え!本当か!」

「いやダメだろ。危険すぎる」

 

フェアリーテイルが殺者の楽園に襲われることもあるから、組織入りして同行することを決めた。

ナツは彼女が入ってくれることに歓迎するが、グレイは嶺という女が戦えるのか、そもそも依頼をこなすことが出来るのかと不審に思っていた。

「いいじゃん別にー、じっちゃんも歓迎してくれるだろ?」

こうしてガミガミ言いつつも、嶺を入れるかどうかについてはマグノリアにあるギルドに着いてからだった。

 

昼頃

 

「ここがフェアリーテイルだ」

(へー、これがギルドかー)

 

ギルドに入ると、ナツ以外にも他の人達がギルド内にゆっくりしている。帰っている道中でも嶺はナツ達と楽しく話していた。

ギルドマスター殺害を目論むララバイ事件での活躍、その事件中にエルザが大暴れしたことで器物損壊の罪で評議員にフィオーレ支部に連れてこらたりと、山賊倒す前までナツ達にも色々あった。

 

「ナツ、彼女は新入りか?」

「ルーシィと同じ新入りの女子がきたぞー!」

 

ナツとエルザの一騎打ちが出来なかったこともあったため、ナツのストレス発散とルーシィのお金稼ぎとして丁度よくフェアリーテイルからマグノリアから少し離れた村に依頼を申し込み、現在に至る。

 

「あの鎧の格好を着てんのが、エルザな」

(この人がエルザなんだ、確かにしっかりとしているなー)

 

ロングヘアの赤い髪をした鎧の女の人が、嶺の元へ近づく。

 

「はじめまして、嶺(レイ)です」

「エルザだ、よろしく」

 

嶺はエルザに動じることなく、彼女と握手した。他にも白い髪のした女の人と、小さい爺さんが声をかけた。

「初めまして、ミラジェーンって言います」

「嶺じゃったか?

事情はグレイから聞いた。

どうやらフェアリーテイルに入りたいそうじゃったな。

わしからは入っても良いと考えておる。

ちょっと、こちらに来なさい」

「あ、初めまして」

 

看板娘とマスターの二人は笑顔で迎えている。嶺はフェアリーテイルに認めてもらうための証を彼らから貰うこととなるが、

 

「あのー。身体じゃなくてブレスレットでも良いですか?」

「うむ、よかろう」

 

嶺は身体にタトゥーを付けるのは苦手なため、マカノフは嶺の腕に付けてあるブレスレッドに魔法をかけ、紋章が刻まれた。

 

「これでフェアリーテイルの一員になるのか。ちょっと、ナツ達に見せてく…」

 

嶺が振り向いて見せようとすると、他のみんなが一人、また一人と眠るように倒れていく。

(みんな寝ようとして…あ、これ、眠ったふりをした方がいいのかな)

(ん?新人として入ってきたレイという子は…遅れて眠っていたような…いや、気のせいじゃったかのう)

 

マカノフは嶺がみんなよりも遅れて寝ようとしていることに違和感を感じたが、倒れて寝たフリをした嶺は無心に目を閉じつつ終わるのを待っている。

「あれ…あたし」

(よし、このタイミングだな)

みんな起き上がり、同じ反応で嶺も起き上がる。眠りの魔法をかけたのはミストガンという男で、マスター以外は顔を知られないようにあの魔法をかけた。

エルザでさえも眠っており、彼の素顔を見たことはない。しかし、

「いんや、俺は知ってるぜ。

ミストガンはシャイなんだ、あんまり詮索してやんな」

「ラクサス!」

「もう一人の最強候補だ…」

 

二階には、ヒョウ柄のシャツとウールコートを羽織っている耳当ての大男がいた。まるで下にいる人達を見下ろすかのように嘲笑っている。

「ラクサス!俺と勝負しろ!」

「エルザ如きに勝てねぇようじゃ、俺には勝てねぇよ」

「どういう意味だ!」

 

嶺は知らないが、ナツとグレイも小さい頃から今までエルザにコテンパンにされている。

こうして恐れられているのもそれが理由だ。

「俺が最強ってことさ」

(最強かどうかなんて興味ないんだけどなー)

 

エルザとグレイは見下されていることに怒っている。

 

「降りてこい、この野郎!」

「お前が上がってこい」

 

ナツは安い挑発に乗られ、そのまま炎の拳を纏ってラクサスに立ち向かおうとする。

が、それをマカノフに止められてしまった。

 

「二階に上がってはならん…まだな。

ラクサスも良さんか!」

「フェアリーテイル最強の座は誰にも渡さねぇよ。エルザにもミストガンにもな?

俺が最強だ!」

(なんか、お山の大将だなー)

 

依頼をこなしている以上実力は確かにあるかもしれないが、自分が特別なんだと勘違いしている馬鹿のようでどうにも嶺には小物だなと考えてしまう。彼は小さい器量で物事を判断し、世界の広さを見ようとはしない。

 

煽るだけ煽って、ラクサスは帰っていく。

ルーシィと嶺は、マカノフが言っていた二階に何があるのかをミラジェーンに聞こうとする。

 

「あの、2階には上がっちゃいけないってどういう意味ですか?」

「まだルーシィと、入ってきたばかりの嶺さんには早い話だけどね。

 

二階のクエストボードには一階と比べものにならないくらい難しい仕事が入ってるの。

S級のクエストよ?

 

報酬は高くつくけど、その代わり一瞬の判断が死を招く仕事よ」

(生前でやってたことも、なんか正義側に入ってもこれぐらいの仕事なんだけどなー)

二階にある依頼書を受けずに興味本位で読みたいとはおもったことはあるが、それすらも間違いなく止められてしまうと嶺は諦める。

「S級の仕事は、マスターに認められた魔道士しか受けられないの。資格があるのはエルザ、ラクサス、ミストガンも含めてまだ五人しかいないわ。

 

S級なんて目指すものじゃないのよ。本当に命がいくつあっても足りない仕事のなんだから。

 

ところで嶺さんはこれからどうするの?

泊まる場所とかは決まった?」

 

嶺はフェアリーテイルの一員として入れたものの、住む場所が用意されてない。二階のことを聞いた後に、ルーシィやミラジェーンからどこに泊まるのかと聞かれると、

 

「まだ決まってないよ。最悪外でも大丈夫「いやいやダメだから!今日1日は私の方で泊めてあげるから」…ありがとう、お言葉に甘えて」

 

嶺は外でも寝れる(拠点である船に帰って寝る)と言ったが心配され、住まいが決まるまでの間はルーシィの家で寝泊まりすることとなる。が、

 

「おかえりっ!」

「ひやぁぁぁっ⁉︎」

「わー…」

 

何故かナツとハッピーが、家に入ってベッドの上で筋トレしている。彼女は汗臭いと怒り、ナツを思いっきりドロップキックした。

 

(どうやって入れ…ん?あーなるほどねー)

 

嶺は鍵も閉まっていたのにどうやって入れたんだろうと周囲を見渡してたら、ルーシィの家自体がビルみたいな階層ではない。登ったわけでもなく、窓に鍵がないために易々と入ることができたのが分かる。

 

「筋トレなんか自分家でやりなさいよ!」

「何言ってんだよ、俺たちはチームだろ?

ほら!お前の分!

嶺の分は持ってこれなかった」

「ルーシー、ピンク好きでしょ?」

「それ以前に鉄アレイに興味ないですからっ‼︎」

「あーうん、私も必要ないからいいよー」

 

ベッドから降りると、待っている鉄アレイを横に置いて腕立て伏せをしている。ルーシーが嫌がっても、彼がこの家から離れるつもりはなかった。

 

「エルザやラクサスを倒すには、力をつけねぇとな!」

「あぃ!」

「私関係ないし帰ってよ!誰か助けて〜」

 

ルーシーの机の上には、何故かS級ランクの依頼書が置いている。フェアリーテイルのルールを守っている彼女が二階に上がって取ったわけでもないのだから、ナツ達が何かしらの方法でギルド内にいる人目を掻い潜って手に入れたのは明白。そして、ナツのことだから何を言いだすかこの時点で嶺はだいたい理解した。

 

(あー…これ、一緒に行こうぜってなるな)

「俺決めたんだ!

S級クエスト、俺達で行くぞ!」

 

その紙を見せると、ルーシーは驚く。ナツ達が勝手に依頼書を持って帰るとは思ってもなかったんだから。

 

「どうしたのよそれ!二階には上がっちゃいけないはずでしょ⁉︎」

「しかもそれってさー、マスターに認めてもらわないと行けなかったはずだよね?

どうしたのそれ?」

「勝手にとってきたんだ!オイラが」

「おぉー凄い」

 

ナツだと確実にバレるから、ハッピーが持ってきた。しかも誰にもバレずに入手してる。

嶺はパチパチと拍手して褒め、ハッピーも照れている。

 

「いや〜それほどでも〜」

「岩谷さん!褒めちゃダメだって!」

「え、ダメなの?」

「いやいや、ダメだから!」

 

ルーシィは褒めている嶺にツッコム。

「私達にはS級に行く資格は無いのよ!」

「取り敢えず初めてだからな。

二階で一番安い仕事にしたんだ、それでも7百万ジュエルだぞ!

 

それに、成功したらじっちゃんも認めてくれるだろ?行こうぜ!ルーシー、嶺!」

(なんか…ルーシィって苦労人の陽介に見えるなー)

ルーシィがペルソナ世界にいる陽介と同じ感じだと、常識人であり予想外な反応をする周りにいつも振り回されることを思い出す。

 

「もうっ…本当にいつも滅茶苦茶なんだから…ギルドのルールくらい守りなさいよね!」

「そしたらいつまでたっても二階に行けないんだよ」

「とにかく私はいかない!二人でどう「ふーん、じゃあ行こうかな」…え?」

 

ルーシーは断るが、嶺はナツ達に同行する。ナツを正義側の船に連れて行く為の信頼もあれば、道中に殺者の楽園が出没する可能性もあると考え、一緒に行く。

 

「まぁナツ達には助けてもらった恩もあるし。

成るように成れ、かな」

「いやいや!あれは任務だったし、恩返しする必要もないから!」

「島を救ってほしいって仕事だよ?」

依頼書の内容には救って欲しいと記されているが、そこは呪われた島。

 

ルーシィはより一層行きたくないと拒否する。

 

「ルーシー、本当に行かないのー?」

「ちぇーそれじゃあ嶺、また明日の朝に集合な」

「分かったよー」

「窓じゃなくてドアから出てって!」

 

ナツ達はルーシーの部屋の窓を開け、ハッピーで飛びつつ帰っていく。そのままルーシィの部屋に依頼書を放り投げてたままに。

 

「ちょっと!私が盗んだみたいじゃない!どうしよう…それに、嶺さんもあんな約束して、本当に良かったの?」

「クエストがどれくらい難しいかによるけど、本気でヤバかったら引き下がればいい」

 

嶺は寝る用の毛布を探したりして、どうにか床で寝ころがろうとしている。ルーシィは依頼書を拾い、内容を確認すると

 

「えぇぇぇっ⁉︎黄道十二門の鍵が貰えるのーっ⁉︎」

 

ルーシーには家賃の金稼ぎも必要だが、鍵を集めることも目的の一つだ。ナツ達に断っていたが、この機会を逃すわけにはいかない。

 

「ち、ちょっと待ってぇぇっ‼︎」

 

嫌がっていたルーシィは、家を出てナツ達を引き止める。

彼女も、報酬を見てS級クエストを受けることに。

ナツ達は、早朝にてガルナ島へと出発した。

 

なお、ギルド内ではS級ランクの依頼書が一枚減っていたことに大慌てしていたのは言うまでもない。

 

*****

 

ガルナ島に向かうには、港町にあるハルジオンから向かうこととなる。ルーシィはナツと最初に出会った街に感動してたが、ナツとハッピーはそんなに気にしてない。

 

「ルーシィ、ばあちゃんみたい」

(私の方は、二人の出会いがどんな形かは知らないんだけどなー)

 

つい先日のことなのに、昔のことじゃないだろと色々と突っ込まれている。ルーシィは少し不機嫌になりつつも、気を取り直して街を探索した。

 

「さて、まずはガルナ島へ行く船を探しに行くわよ!」

「ふ、船だと⁉︎泳いで行くに決まってるだろ‼︎」

「いやいや、そっちの方が無理だから…」

 

船で行くのを避け、泳いで向かうという考えになるのかというのに疑問に思い、ナツと長い付き合いであるハッピーに聞く。

 

「ねぇねぇ、何でナツは船を避けるの?」

「そう言えば嶺は知らなかったっけ。

ナツは乗り物が苦手なんだー」

「へー、そうなんだ」

 

ハッピーは、ナツが乗り物が全般的に苦手という事ことを嶺にそう教えた。

しかし、いくら乗り物が苦手でも、ルーシィの言う通り船を使わずに人間の身体能力で目的地まで泳いで行くのは土台無理な話だ。

ナツ達はガルナ島に向かう船を探し回るが、海沿いにいる船持ちの人は冗談じゃないと嫌な顔をして断っている。他の人の聞いても断られ、これでは島に行くことすらままならない。

 

「何しに行くが知らねぇけど…あそこに行きたがる船乗りはいねぇよ。

海賊だって避けて通る」

「そんな…」

「なんか、誰に聞いても船に連れていってくれないね」

 

今こうしてバンダナをつけた船乗りに聞いているが、こうして彼にも断られる。

 

「決定だな!泳いで行くぞー!」

「あい!」

「だから無理だって!」

(ルーシィに同意…泳げないって)

 

嶺は誰かの視線に気づき、こちらを近づいてきてる人物がいる。ナツとルーシィ、ハッピーはまだ気づいていない。

(あ、グレイだ)

グレイが二人の背後に恐る恐る近づくことに気がつくが、ナツ達に注意した所で、ほぼほぼ至近距離だから今更もう言っても遅い。

 

「みーつけた」

「ぐ、グレイっ⁉︎」

「なんだテメェ⁉︎」

 

近づいている相手がナツ達の敵なら遅くても言うが、グレイならバレても即座に手を出して止めることはないだろうと言わなかった。

 

このまま対話だけでナツが引き下がるとは思えないからこのまま殴り合いになると予想して。

 

「連れ戻して来いって言う爺さんの命令でな

今ならまだ破門を免れるかもしれねぇ。

戻るぞ?」

「は、破門⁉︎」

 

グレイの言う破門というのは、フェアリーテイルを辞めさせられることだ。ギルドのマスターやメンバー達に何も言わずにS級の依頼書を取ったのは確かに悪いことだが、

 

「やなこった!俺はS級クエストをやるんだ‼︎」

「オメェらの実力じゃ無理なんだよ!このことがエルザに知れたらオメェ…」

 

エルザと言う人に怒られることがどれだけ恐ろしいのか、嶺にはまだ分かっていない。ナツ達は彼女のことが怖いと恐れているが、嶺にはそんな実感はなかった。

 

「グレイ助けてー、オイラ三人に無理矢理連れてこられたんだー」

「う、裏切り者ーっ!」

「…ん?」

 

たとえハッピーがナツに頼まれたとしても、依頼書を取った実行犯なのだから無罪になるとは到底思えない。

嶺はグレイに質問する。

 

「ねーグレイ。ハッピーが依頼書取ってきたのバレてる?」

「あぁ、それもバレてるから無駄だぞ。

羽の生えた猫が取ったってな」

「じゃあハッピーも確定だね」

「えぇっ⁉︎」

 

これでナツ達がやったことだが、依頼書を取ったハッピーも無関係とは言えなくなった。脅されてナツに協力したと言えばどうとにでもなるが、そもそもナツがハッピーに脅すような性格を持ちあわせるわけがない。

それ以前にバレたって反応をした時点で、ナツ達が確信犯であることを自白している。

 

「俺はエルザを見返してやるんだ!こんな所で引き返せねぇ!」

「マスター勅命だ!引きずってでも連れ戻してやらぁ‼︎怪我しても文句言うなよ!」

「やんのかゴラァ!」

(まぁ…こうなっちゃうよね)

 

嶺の予想は的中した。このままいけば、話しても無駄だから二人が戦う事になることを。

ナツは行きたいと引き下がらず、グレイの方も力づくで連れ戻そうとする。たとえこの場所か街中であろうと、穏便に解決することなく戦う準備はできている。

 

「魔法⁉︎…あんたら、魔導士だったのか!

まさか、島の呪いを解くために⁉︎」

 

その時船乗りが、二人の魔法を見て驚く。

まるで彼が、魔法を使える人を待っていたかのように。

 

「おう!」

「そうだよー」

「まぁ、一応…」

「行かせねぇよ」

 

グレイがナツ達を行かせまいと止めようとしている。しかし、船乗りは

 

「乗りなさい!」

「おぉマジで⁉︎」

「おい、アンタっ!」

 

断ってたはずなのに、まるで気が変わったかのように乗っていいと受け入れた。ナツはグレイが船乗りを見ていた隙に、蹴り飛ばして気絶させる。

 

「しゃーねぇ…この船に乗って行こう」

「グレイも連れて行くの?」

「こいつがギルドに戻ったら、次はエルザが来ちまう…」

 

こうして、止めようとやってきたグレイも連れたまま船でガルナ島に行くこととなった。

ナツはハッピーの言う通り乗り物酔いで気分が悪く、ルーシィも怖くなってきたと鳥肌を立って震えている。

いたって健康なのは船乗り、嶺、ハッピー、そして無理矢理連れてこられたグレイの四名。ハルジオンで見えた青い空は曇っていき、今まで青く綺麗だった海も深海のように黒くっていた。

「怖いのもそうだけど、なんか寒いね」

「テメェ、人巻き込んどいて何言ってやがる…あんたもあんただ!

なんで船を出した!」

「俺の名前はボボ、かつてはあの島の住民だった」

「だった?

それじゃなんで島から出たの?」

 

彼がその島の住民ならば、ナツ達のことを島の呪いのことを解決してくれると考えて、乗ってくれと頼むのも納得できる。

 

「逃げ出したんだ…あの呪いの島を。

 

災いは君達の身にも降りかかる…あの島に行くというのはそういうことだ。

 

君達に、この島の呪いを解けるのか?」

「おっさん、あんたその腕」

 

そう言って、ボボは自分の腕と手を見せる。

顔は人間に見え、体はマントで隠していた船乗りだと思っていたが、彼の半身が化け物みたいになっている。

 

「見えてきた…ガルナ島だ」

 

島は森で包まれ、山の頂上は灯台みたいに光っていた。ルーシィも不思議そうに見て、あれが何か聞こうとするが、いつの間にかボボがいなくなっている。

 

「あれ、おじさんは?」

「気がついたらいなくなってたよ」

 

その間に海が荒れ、船が大きく揺れている。

波が激しく船を打ち、人を覆うほどの大波が迫ってきた。

 

「あ、これもしかして流されちゃう…」

「ぎゃー!大波っ⁉︎」

「呑まれるぞ、捕まれ!」

 

船乗りは突然消え、謎の光も分からないまま四人ともその波に飲まれ、導かれるかのようにガルナ島へと流れつくのであった。

入って早々、波乱万丈な任務を頑張るのであった。

 


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