Justice前章:Labyrinth 嶺編   作:斬刄

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渡るテレビは迷路と自己像幻視 その1(ペルソナ4)
13話城内迷宮


「ん、あれ…」

 

嶺が目を開けて起き上がると、床は赤い絨毯が敷かれており、彼女は頭が働いてないまま起き上がる。周囲を見渡すと中は中世にある城のようになっており、広い城内をぐるぐると回っていた。

 

「亮ーっ!千草ーっ!」

 

嶺以外の二人がもしかしたらいるのではないかと、叫んでいるが二人とも出てこない。

状況を察するに、嶺が考えついた答えは

 

(うーん、夢を見てるのか!)

 

正式な転移装置も使わずに、いつの間にか介入してるとは思ってもない。これは船内ではなく今いる場所が城の中にいるからだと自己完結し、そのまま探索する。しかし、

 

(ちょっと待って…夢でもお姫様になりたすぎるとかなにそれ怖い)

 

どこを歩いても見ている景色が一向に変わらない。ドアを開いても一本道と空き部屋のみ。精々あるとしたらトラップが仕掛けられてない宝箱がポツリとあるだけ。まるで世界に一人だけのお姫様になってる状態である。

 

そもそも潜在意識に姫になりたい宣言があった事に絶望感を抱きつつ、あまりにも景色が変わらなすぎてスタート地点に戻らされたのかと彼女は思ってしまう。そもそも地図も事前準備もないため何処にいるのか分かるずじまいで、印もつけないまま体の感覚だけで把握していた。目印こい、というかマップこいと考えながら。

 

「ん?」

 

城内の探索中に、複数の影が見える。

人の影でもなければ真正面に動くものもない。

彼女が上を見上げると唇と舌だけの変色した貝殻の化け物が複数浮いており、嶺を囲みつつ一斉に襲いかかってきた。その状況でも焦りはなく、のんびりとしている。

 

(ゲーム風の夢か。ということは、ラグとか諸々は現実と同じって考えでいっか。攻撃は単調で、動きも遅い…避けてもいいけど反撃も可能かな)

「一双燕返し」

 

彼女はその貝殻を敵と判断して攻撃を避けつつ、双剣を取り出してなぎ払う。人よりも大きい怪物を吹き飛ばし、二、三体集まったところを潰した。

敵の舌と唇を切り裂き、消滅する。

 

それでも他の敵の攻撃はおさまらないため防御して距離を置くと、改造した手持ちの呪符を一枚取り出して試す。

 

(丁度いいし、実験に付き合ってもらおうか?)

 

.hackG.U.の世界ではどんな種類の呪符も基本一枚で魔法系攻撃一つ分というのが決まりである。しかし、介入前に嶺が施した改造によって呪符一枚の発動で

 

「爆ぜろー」

『ガァァァァッ⁉︎』

 

一度に魔法系攻撃3回分の発動となる。嶺が発動したのはバクドーンという火属性魔法。上空に飛来する大量の火炎球が敵めがけて飛ぶ魔法だが、落ちてくる球の数が多い。襲ってきた怪物の大半はそのまま焼かれ、断末魔を上げて消えていく。

 

この上位魔法がオルバクドーンという魔法だが、まだこの段階では低レベルのエリアワールドのアイテムしか手にしていない。

 

(おおー、上手くいったいった。これでスキル以外にも範囲攻撃を可能にできるってことがわかった。追尾機能はないけど、改造で多少量が増えてるから上空にいる敵に当たってる。

なんか、数の暴力には数の暴力で制裁したけど。

 

それでも現実と似た夢の世界でこれだと、今の段階でアイテムの連続使用は出来ない。そもそもアイテム使うと数秒時間を立てないとまた再使用出来ない仕様だし、使っても何体か敵が残るか…まだ改造の施しがありそうかな?)

「イザナギっ‼︎」

「いけっ!ジライア‼︎」

 

そう嶺が考えていると残った敵には突風が巻き上がり、落雷が落とされた。

 

嶺が声のする方を見ると学ランを着た男子高校生が二人、その後ろにはスポーツをしてそうな格好をする女子高生もいれば、熊に似た【何か】までやってきている。一人はヘッドホンを首にかけており、もう一人は背の高く、髪型が整っている。

 

 

(…爆発音で気づいちゃったかー。次から実験するときはもう少し慎重にしないと。

 

あ、でも実験をしても結局これ【夢】だから無意味だっけ?まぁいいや。にしても、シチュエーションが凝ってる夢だなー)

 

嶺はすぐに双剣をしまい、出会った三人と一匹が来るのを待つ。彼らは嶺の持つ凶器を見たわけでもなく、彼女自身道がわからない。

親切そうな彼らに話して、ここがどういう場所なのかを知る必要があった。

 

「そこに誰かいるクマ!」

「まさか俺達以外にテレビの中に入ってる人がいるなんてな…」

 

城の中ではなくテレビの中という、不可解な発言に嶺は首を傾げる。

 

「?…テレビ?何処かの城の中じゃないの?」

「…え?」

 

介入前にその世界についての知識を教えてもらうはずだったが、その前に介入してしまった彼女にはこの城とテレビの関連性なんて考えてない。

 

嶺がよく分からないという顔をしていると、一人がテレビのことについてまた聞く。

 

「なぁあんた…マヨナカテレビを知らないのか?アンタもその噂を聞いて、巻き込まれたんじゃないのか?」

(よく分かんないけど。取り敢えず学生達と熊、特殊なテレビが関わってる【夢】なのかー)

「えーと、なにそれ?」

 

よく分からないという顔をし、マヨナカテレビという噂の存在すら何も知らなかった。彼らもどういう経緯で彼女はテレビの中に入ったかを聞き込もうとする。

 

怪物な襲われ、ここはどうなってるんだと恐怖で怯えているのならば興味本位で入ってきたか、或いは噂だけしか何も知らないままテレビの中に入っている人か。或いは、その噂が実査にあったマヨナカテレビを悪用し、それに巻き込まれた人なのかと。

 

「あの、どうやってテレビの中に入ったんですか?」

「一息ついて寝ようとしたら…いつの間にかここに辿り着いた」

「ね、寝たらって…ならその側にテレビとかなかったの?」

 

今度は後ろにいた女子が話しかける。嶺は寝る前に改造室に何があったのかを思い出そうとするが、その時は札の魔改造と量産に手こずっていたからあまり覚えてない。

 

 

「うーん。ずっと工作(魔改造)に集中してたから、周りに何があるか分かんなかった」

「工作って…よっぽど気にいるものでも作ってたのかよ。

 

なぁ悠…もしかしたらこの人、作業してたところを知らない誰かに背後から襲われて、無理矢理テレビの中に入れられたかもしれねーぞ。寝てる側にテレビでもない限り、そう考えるのが妥当だろ」

「なにそれ…最低っ!」

(えー…なんか誤解されてる)

 

彼らが状況証拠を聞いても、興味や関心を持ってテレビに入ったわけでもなく、無関心な上に知らないという顔に見えていた。

嶺本人は襲われた訳でもなければ、憎まれる相手だっていない。

今の彼女に外傷もなく、至って健康である。

 

「いやいや、襲われてるって訳じゃなくて本当に寝たら此処にいたってだけだから」

「まぁ、本人がそう言うなら…そう言えば俺達、自己紹介がまだだったよな」

「お互い会ったばかりで名前も知らないね」

 

彼等は、ずっと嶺に対して事情を聞いていたから

マップが来ないまま一人きりだったが、少なくとも彼等と一緒に動けばこの城の中をぐるぐる回らずに済むとホッとしている。

 

今度は気軽に話していた。

 

「鳴上悠です」

「花村陽介、よろしくな」

「私は里中千枝」

「オイラのことは気軽にクマと呼んでくれればいいクマ!」

(?クマって喋れたっけ?)

「うん。鳴上、花村、里中、クマね。それじゃあ…岩崎嶺、四人とも嶺でいいよー」

 

こうして名前を言いつつ知り合ったが、彼らにとって無関係な嶺をこのまま同行して巻き込まれる訳にいかないと

「でも大丈夫なの?一度外に出してあげないとまたシャドウに襲われるでしょ?」

「黒い怪物のこと?あーそれなら。さっき戦って、倒したから」

「「「…え?」」」

 

一度テレビに出るようにと提案したが、嶺本人が怪物を恐れずに生身一つで撃破したことを発言し、三人とも驚いている。

 

「え…?それじゃ、まさかお前もペルソナを持ってるのか?」

「…えーっと、ペルソナ?何それ?」

 

今度はペルソナという言葉が発し、また嶺は首をかしげる。少なくともそのペルソナという異能力を持って怪物相手に抗っている手段であることだけ。

 

嶺にはその手段を持っておらず、単身でなんとか出来たということがあり得ないことなのだ。

 

「え⁉︎ち、ちょっと待ってよ!それじゃあ本当に生身で倒したっていうの⁉︎」

「護身用の武器ぐらいは持ってるよー。折りたたみのナイフと予備の一本しかないかな」

 

そのまま話が続き、今度は護身用の武器でなんとかしたと言う。

彼らの開いた口が塞がらない。

 

(倒せんのかよ……)

(倒せるのか…)

(すご…)

 

ペルソナもマヨナカテレビも知らない女性が化け物相手に生身で倒したということを軽々と言ったことに、どんな反応をされるかよくよくよく考えると

 

(あれ、これ言ったらマズかったやつかな。

なんか3人とも複雑な顔してるし。

 

ま、いっか。

言ってしまったものはしょーがなーい)

 

ヤバイ人だと思われるのではないかと最初は内心少し焦っていたが、今更取り消してももう遅いと開き直っている。

最悪【夢】なのだから気にしても無駄だと。

 

「えーと、それじゃあ今度はこっちから話してもいい?

 

 

ここ何処?今までずっと迷子だったから」

「…行きながらでいいか?俺達も急いでるんだ」

「いいよー」

 

人に会った上に、会話も無警戒なままフレンドリーに話してしまったが、それでも迷子になりそうなこの場所から出ることが可能なのが救いだった。

 

*****

 

鳴上達が親切にマップを見せ、嶺達がどこにいるのかを見ている。

 

「ん、だいたい分かった。でも鳴上達の方はなんでこんな危険な場所に?」

「その…実は…」

 

事の発端は、彼ら三人がマヨナカテレビという噂が学校で話題となり、興味を持ったことだった。実際にやろうとした結果、陽介と千枝は人が写っていたくらいで、悠はテレビに手を突っ込むと浸透するかのように手が画面を入れることができた。

所詮噂なだけで、実際に現実に影響するわけがないと。

 

そこから今度はジュネスというショッピングモール店にある大画面テレビで試そうとしたら、三人ともテレビの中に入ってしまった。

この時は、噂がニュースになっているアナウンサーの山野真由美の死と関連しているとも知らずに。

彼らはテレビの中ではクマと出会い、シャドウという化け物、ペルソナという力を知った。

 

 

真夜中の雨に一人でテレビを見ることで、その画面に誰かが写ったらそれが運命の人になるという噂のに、事は噂ですませるような事態にならない。犠牲者の中には、真由美だけではなく陽介の先輩である小西早希も第一発見者としてアナウンサーが聞いていたのをテレビで放送されていた。

 

鳴上達はその報道を見ても似てるというだけで、これが本人かどうかも分からない。

しかし、マヨナカテレビの存在で彼らは確信した。

テレビに入った二人はシャドウに襲われ、変死体となって死んだのだと。

 

今度は雪子がテレビにうつり、里中の友達まで変死体になって死ぬことになるかもしれない。まず雪子の死を食い止めるために、鳴上達はこの事件に関わり、そして現在に至る。

 

(で、今は千枝の親友を助けたいってことになってるのか)

【マヨナカテレビに写った人は、次の日の雨になると死ぬ】

 

 

ニュースでは変死体となって発見され、怪奇殺人事件のはずが【連続】怪奇殺人事件となった。

それに関係しているテレビの中の世界にはシャドウという怪物が生きているため、その対抗手段としてペルソナを使って戦い、助けようとしている。

 

ペルソナの力は、この世界にいるもう一人の自分と立ち向かい、向き合う事でその身に宿す。花村の場合はジライア、千枝の場合はトモエのように個々の持つ己の心から生み出される。悠に関してはイザナギ以外にも複数のペルソナを使うことができる。

 

それを聞きながら嶺はあらぬ方向を見て、

(良かった〜お姫様願望じゃなくて…)

 

悠達の話はちゃんと聞いているものの、嶺の頭の中では全く違うことを考えていた。

まだ最上階まで登ってないが、長い階段を登っていくと明かりが消される。頭上には照明ライトがいつの間にが用意され、その照らす先には黒くて長い髪をしているお姫様が立っている。

「雪子っ⁉︎」

『あら?サプライズゲストぉ?盛り上がってまいりました!』

「一応聞くけど、あれが…里中の友達なの?」

「姿を似せてるだけで、本人じゃない」

(ですよねー)

悠達が雪子の普段な性格を知っている分、彼女の反応には違和感を感じた。特にこの中で千枝が、雪子の性格を一番良く知っている。

 

『さて、次はこのコーナーっ!』

【やらせナシ!

雪子姫、白馬の王子様さがし!】

 

雪子の影の頭上には、タイトルロゴがドーンと出てくる。悠と陽介は文字が出てきたことにまた驚き、嶺はおーっという反応なまま関心している。

「アンタっ…誰なの‼︎」

『うふふ…なーに言ってるの?私は雪子、雪子は私』

「違う、本物の雪子はどこっ!」

千枝だけがを睨んだまま、親友の姿を似せた影を敵視し、問いただす。しかし、千枝の質問に返答することないまま、自由気ままにやった。

『それじゃ!再突撃に行ってきまーすっ‼︎

王子様っ首を洗って待ってろよ!』

(なにこの…なに?)

「ま、待って‼︎」

照明が消える代わりに、明かりが元に戻る。

お姫様姿の雪子が走り去っていくと同時に、シャドウが襲ってくる。

 

兎にも角にも、偽者とはいえ彼女の王子様発言や、逆ナンされたいという願望が込められた結果、あぁいった城や偽者の格好がお姫様服なのと嶺は納得する。しかし、過去に自分が作った黒歴史をみんなに暴露するかのように、顔も当てられない。

 

「邪魔をっ…するなぁ!」

 

道行く先にシャドウが阻むが、親友の命が危ういのだから里中は止まらない。その彼女の背中を追うかのように鳴上達と嶺も走っていく。このまま勢いよく城の最上階まで登っていくと、そこにはさっきまで話したお姫様姿と、着物姿の雪子がいる。

雪子は目が覚めたばかりで自分と瓜二つの存在がいることに目を見開き、驚いていた。

 

「雪子っ!」

「千枝っ!」

『あら〜、もう来ちゃったの?

もしかして途中で来たサプライズゲスト?

いや〜ん、ちゃんと見とけばよかったぁ…王子様が三人も、雪子困っちゃう』

 

お姫様姿の雪子から王子様と呼ばれているのが前線にいる悠や陽介の男子組二人であれば、もう一人は一体誰なのか。

『つーかぁ、雪子ね。

何処かに行っちゃいたいんだ!

誰も知らないずーっと遠く。

 

王子様なら連れてってくれるよね?ねぇ早くぅ!』

「三人の王子様って、私か嶺なの?」

 

そう疑問を投げかけつつも里中が嶺の方に顔を向けるが、しおらしい顔で手を振りつつ断っている。

それは絶対にあり得ない、無いからと。

 

「イヤイヤイヤイヤ…こっちは王子様願望全くもって無いよ」

「三人目はクマでしょうが!」

「「それはないな(かな)」」

 

クマが王子だと主張しているが、そんな姿で王子様だっていうのは無理があると嶺と陽介が二人一緒にツッコむ。

 

『千枝…うふふ。そうよ、私の王子様…

 

いつもリードしてくれて、私にとって強くてステキな王子様…だった』

「だった…?」

 

お姫様姿の雪子の言葉はかつて千枝が王子様だという願望だったが、今となってはそれが過去になっている。

 

『でももう、いらない』

「里中!危ないっ‼︎」

 

頭上からシャンデリアが落ち、悠が手を差し出す。仮に悠達のペルソナを召喚してからでは間に合わない。彼の目の前にペルソナのカードが出現するが、カードは『愚者』のイザナギでも『魔術』のジャックランタンでもない。

出現させるペルソナは

 

「アラミタマっ!」

 

 

赤い勾玉を召喚する。そのまま落ちたシャンデリアをしのぐ。受けた攻撃はそのまま悠に流れていくが、千枝を守ることができた。

 

(おー、こうやって別のペルソナを召喚するのか)

「鳴上君、大丈夫!」

「あぁっ…」

『結局千枝じゃ駄目だった…千枝じゃ私をここから連れ出せない。救ってくれない‼︎

 

老舗旅館?女将修行?そんなウザい束縛…まっぴらなのよ‼︎‼︎』

 

悠はアラミタマからイザナギにペルソナを変え、雪子も自分のペルソナを呼ぶ。しかし、

 

(え、また物が勝手に動いてんですけど

 

落ちて来たシャンデリアだけではなく床にあるカーペットも三人とペルソナを拘束し、動きを止めた。

 

『たまたま此処に生まれただけ、なのに生まれも育ちまで縛られる…あぁ嫌だ…嫌ぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎』

『何処か遠くへ行きたいの、私には希望も、出ていく勇気もない…だから王子様に連れていってもらうの‼︎』

『老舗の伝統?街の誇り?

そんなもん、糞食らえだわ‼︎』

 

お姫様の雪子は、かつて溜め込んでいた思いを吐き出す。その思いには、雪子本人が心の奥に僅かながらにあったもの。

「やめてっ…わたし、そんなこと」

そう思ってはならない、旅館の娘だから、ここにずっと。

そんな環境が、こんな形となって現れた。

 

本人はやめてと苦しみながら否定しても、お姫様の雪子は嘲笑うかのように上から見下ろしている。

 

ーこれが本音、そうよね"アタシ"?

「違う…あんたなんか、あんたなんか私じゃない!」

 

本人である雪子が目の前にいる偽者の存在を否定した。お姫様姿の雪子が高笑いし、彼女の身体が黒くなっていく。鳥籠が付いたシャンデリアが落とされ、彼女は赤き鳥へと変わった。

 

『我は影、真なる我』

 

 

雪子は別の鳥籠に閉じ込め、赤い羽を広げて羽を飛ばす。陽介も千枝はペルソナを召喚して、挑もうと前に出る。さっきまで邪魔をしていたカーペットを切り裂き、シャンデリアも退けた。

 

「待ってて雪子、私が全部受け止めてあげる‼︎」

『あら本当?じゃあ私も…

 

 

がっつり本気でぶつかってあげる‼︎‼︎』

「行くぞっ‼︎」

「おうっ!」

 

先に鳴上達が先手を取ろうとするが、雪子の影が開閉している鳥籠が硬く、攻撃すればすぐさま閉じてくる。

これでは物理も、スキルも通用しない。

「硬ってぇな…⁉︎」

『千枝なら、私を助けてくれると思っていた…でも違った。

 

千枝は私の王子様なんかじゃなかったっ‼︎‼︎』

「雪子っ…!」

『もう雪子なんていらない‼︎

おいで、私の王子様っ‼︎』

雪子の影は、王冠の被り物をしている王子様に似せたシャドウを召喚する。レイピアを片手に持ち、嶺とクマに向かってきた。

 

(えぇ…マジで出るんかい)

「およよーっ⁉︎こっちに襲ってきてるクマーっ!」

「クマ!うわっ…⁉︎」

 

悠と陽介が動けないことを察し、嶺がクマを守る。動きは浮いていた貝殻の化け物よりと同じくらいで、どうにかなるレベルの相手だった。

 

(よし。この敵がナイフでどうにかなるレベルなら、問題なし)

「ペルソナを持ってる三人が私のことまで配慮してくれてるけど…こんな状況だし、囮は私がやるから…戦闘任せてもらっていい?

 

敵一体なら何も問題ないでしょ」

「…え?」

「出来る…のか?」

王子様を蹴り飛ばして、陽介達に顔を向ける。

「おー、任せろー(棒読み)」

((本当に大丈夫なのか?任せて…))

「…どうする、悠?」

 

悠と花村は互いに苦い顔をしていた。悠達からしたらシャドウに立ち向かうペルソナを持ってない上に、知り合ったとはいえ嶺を犠牲者にしてしまう可能性だってある。

彼女をこのまま死なせるわけにはいかないという気持ちもあるが、だからといって敵はクマにも襲ってくる可能性だってある。

そこで悠は、

「花村、嶺とクマを頼む!」

「任せろ!」

 

花村が嶺を見張り、悠が千枝を守るように指示した。

シャドウの王子様がレイピアで突き刺そうとするが、全く当たらない。敵が突きで当たらないことが分かり、振り払おうとする。

しかし、

(剣技下手くそ)

 

折りたたみナイフを腹部に突き刺すが、その程度で怪物を倒せないことは嶺も分かっている。だから嶺は、刺したナイフを回収した後にレイピアを奪う。

 

手にしたレイピアを槍投げのように飛ばすと、敵の額に命中した。

王子様は成すすべもなく、消えていく。

 

「よし、撃破」

「ま、マジかよ…」

『王子様…いや、いやぁぁっ‼︎』

 

雪子の影は王子を倒した嶺に向かって火を放出するが、その前に花村のジライアが嶺を救出することで逃れることができた。

 

「おぉ…陽介、ナイス」

(あっぶねぇ…肝を冷やしたぜ)

『王子様、王子様!』

(鳥の方は、不用意に近づいたら予備の小型ナイフまで一瞬で溶かされそうだし。

 

後は悠達に任せよう。あと夢願望やべーな…)

王子様はもう来ない。

雪子の影が落ち込んでいる間に、知恵が火の中でも雪子が捕らえられている檻に近づいていく。

『なんで…なんで私の元に来てくれないの…こんなにも…こんなにも王子様を…待ってたのにぃぃぃぃぃっ‼︎‼︎‼︎』

だが、雪子の影は王子様が来ないことに逆ギレし、鳥籠周辺に炎が包まれる。咄嗟に鳴上がペルソナをジャックランタンに変え、千枝を守る。

「確かに里中は、王子様じゃないかもしれない。でもそれがなんだ!

 

 

里中は天城を助けたくて、ここまできた!自分のことを本気で思ってくれる人がいるって凄いことなんじゃないのか?」

「鳴上君…」

 

千枝は近づくだけで危険な場所でも、雪子を助ける為に胸を張って近づこうとしていく。

 

 

「なんか二人とも…度胸あるなー」

(いやいやいやいや…あんたもだろ)

 

嶺がボソリと呟いた発言に、陽介は心の中でツッコンだ。

嶺に関しては、シャドウ相手にペルソナすら持っていない。それなのにたった一本のナイフで、あの敵を恐れずに倒している。普通の一般人なら怪物に襲われることに発狂し、背を向けて逃げるしか何もできない。

 

だが、嶺本人の場合だと冷静に敵の行動を予測して回避し、逆に翻弄している。化け物相手に生身で戦っている時点で、ブーメラン発言だった。

 

『私は…私はぁぁぁぁっ‼︎』

雪子の影は、所構わず辺り一面を焼き払おうとしている。激情に任せて、助けてくれなかった千枝に対する怒りと、救われたいという一心だったのに結局それが報われない事に許せなかった。

 

炎は増し、悠達でも火が強すぎて近づけない。

 

「雪子、逃げて!」

「逃げないよ…伝えないといけないことがあるから。

 

私、ずっと雪子が羨ましかった。

なんでも持ってて、それに比べて私なんて全然で…そんな私を、雪子が頼ってくれることが嬉しかった。

 

雪子は私が守ってあげなきゃ駄目なんだって、そう思いたかった…」

『そうよ!私は一人じゃ何もできない!何もな「そんなことないっ!だって雪子は、本当は…強いもの」』

 

雪子の影が言い終える前に、千枝が何もないことを否定する。雪子本人が何もないと言っても、千枝は雪子が強いことを認めている。

一人でも、ちゃんと羽ばたいていけると。

 

「外に出たい?だったらそんな鳥籠なんて、自分で壊して何処までも羽ばたいていけるよ!雪子だったら!」

「…私は、強くなんかない!自分から踏み出す勇気が無くて…最低で…」

彼女はかつて自分の家で小鳥を飼っていた頃を思い返す。飼っている間は、自分と似た待遇である事に親近感を抱き、育てていた。

 

だが、雪子が鍵を忘れたせいで鳥籠から鳥が出て行った。彼女と同じだったはずなのに、小鳥は勇気を振り絞って籠から外へ出ようとしたことに悔しく、認める事も嫌だった。

 

雪子は鳥籠を破壊し、千枝の元へ行く。弱い自分を肯定するたびに、雪子の影の力が弱まっていく。

「人に頼って…連れ出そうとして!」

「最低だっていいよ…だって…雪子の思うような私じゃない。

 

最低な所だっていっぱいある!

それでも…私は雪子のそばにいたいっ!

大切な友達だからっ…‼︎」

 

かつての弱い心を明かされ、不安で悲しんだ雪子も、千枝のおかげで前に踏み出す勇気を貰った。

(私、何を怖がっていたんだろう…怖がる事なんて無かった。だって私には)

『ヤメロ…ヤメロォォォッ‼︎』

彼女は立ち上がり、自分の手で鳥籠を破壊する。鳥籠は、雪子が自分の心を認めてゆく事で人間の手で崩れていくほどに弱くなっていた。

「千枝、ありがとう…」

「ううん」

『嘘…嘘ヨォ‼︎』

雪子の影がひどく病弱している。

後はあの影を悠達で倒せばいいだけ。

「シャドウが弱っているクマ!」

「一気に畳み掛けるっ!」

ジャックランタンで火を吸収し、ジライアが下にはたき落とす、そして最後に千枝のトモエでトドメを刺した。

「飛んでけっ!」

『イヤァァァァッ‼︎』

高く蹴り飛ばされた赤い鳥は天井にぶつかり、鳥は悲鳴をあげると同時に消し飛んだ。

幾つもの羽根がゆっくりと落ち、再度人の姿をした雪子の影が出現する。しかし、あの時のような高いテンションでは無く、暗い顔をしたまま。

「ごめんね雪子…私、自分のことばっかりだった。雪子の悩みを全然分かって無かった…友達なのに」

「私も千枝のことが見えてなかった。

 

自分が逃げるばかりで、だから…あなたを生んでしまった。

ごめんね、認めてあげられなくて。

逃げたい、誰かに救ってほしい…それは…確かに私の気持ち。

 

貴方は、私だね…」

『うん…』

 

どんなに醜くかったとしても、惨めな弱さも、吐いた言葉も、存在自体そのものも。

それが自分自身であることを認め、雪子の影は真の姿を現す。

(おーっ。これがペルソナかー)

彼女はコノハナサクヤを手にする。

雪子は倒れそうになりながらも、それを千枝が支えている。

「大丈夫、雪子?」

「うん…ありがとう」

精神的に疲れ気味ではあったが、悠達と多少なりとも会話できる程度は可能だった。

「それで、君をここに放り込んだのは誰クマ?」

「え?貴方誰?てゆうか何?」

「クマはクマクマ!」

「ごめんなさい、意味がわからない」

「お前は存在が混乱を招くんだよ、ちょっと黙ってろ!」

(まぁでも…これで事件も一件落着したし、少なくとも楽園が出てこなくて良かったかな。

 

あ、でもこれ夢だから…意味ないっけ?)

嶺が会話に加わってないのは戦闘が終わっても、シャドウだけじゃなくて嶺以外の敵組織こと殺者の楽園が横から入ってくることも警戒していたが、人の気配がない以上介入もなくごく自然に千枝の問題が解決したことに肩の荷が下りていた。

 

しばらくの間、嶺は彼らの会話をほのぼのと眺めており傍観者のような状態になっている。悠達は雪子が辛くなっているために、早く外に出ていこうと動くが、同行しているクマは元々テレビの中の住民だと置いてけぼりになる。陽介からは元々テレビの中に住んでるんだろと言われ、クマはションボリしていた。

 

「ごめんね?クマさん…また今度改めてお礼に来るから。

それまで良い子で待っててね」

「雪ちゃん優しいクマ〜!」

(チョロいね…)

雪子が撫でられると落ち込んでいたクマはすぐに上機嫌になっている。クマからのプレゼントで雪子が変なメガネをつけたり、それを千枝にもつけて雪子が大笑いしているところを見ると、悠達のおかげで元気になっていることがよく分かる。

 

こうして嶺はこんな状況でもまだ夢なのかと寝ぼけつつも、この場所で逸れない為に城から出るまでは彼等と同行することとなった。

因みに帰る時に嶺について雪子から聞かれると、

「あの、貴方は?」

「んー迷い人でもあり、悠達の協力者だよ。

詳しい話は悠達に聞けばいいから、今はまず身体を安静にすることだけを考えてればいいよ」

 

*****

 

三人と一緒にテレビから出ると陽介が働いているジュネスへとたどり着く。このまま千枝は雪子を家に送らせるために帰ることとなったが、

 

「そうだ、嶺の住んでる場所ってどこなんだ?」

(あ、やばい。どう言い訳しよう)

 

陽介にそのことを聞かれると、嶺は鳥肌がたった。元々この世界の住民というわけでもなければ、介入の仕方も正式なものでもない。

迷子になったとはいえ、なんの準備も用意されないまま彼女は彼らと関わってしまったのだから。仮に居住している場所が船でしたなんて言えるわけがなく、言葉が出ない。

 

「あ、え、えっと…」

嶺が返答に困ってる中、良いタイミングに例の持つ携帯から着信音が鳴っている。

 

「ごめん。

携帯、確認させてもらっていい?」

「あぁ」

 

すぐさま携帯を開き、メールを見るとグランディ宛の連絡が何十件も来ている。

内容からして怒っている様子だった。

 

(…げ、ヤベ)

 

この事態を把握して嶺はようやっと気づいてしまった。いま起きていることが夢ではなく現実だと。

 

「ち、ちょっと保護者から心配して連絡してきたから急いで帰る!じゃ!」

「あ、あぁ…それじゃあ」

(…保護者?)

首を傾げつつ悠は嶺がこの場から立ち去っていくのを呆然と眺めていた。嶺は急いでその場から立ち去る。人気の多い場所で船に転移するのはまずいと考え、まず神のメールを確認した。事前に神が田舎町の地図を用意している。すぐさまハセヲに連絡し、彼が待っている場所へと移動する。

 

「…やっと見つけた」

「ただいまー。なんか寝たらいつの間にか介入してさー報酬もちゃんと貰えたよ」

「違う、そういうことが言いたいんじゃない」

 

殺者の楽園も出てこなかったため、物語解決ということで報酬は29万となった。

ほとんどが悠達のやるべきことだったとはいえ間接的に協力しても、この額を貰うことができた。

 

「起きようとしたら知らない城に居て、後々そこが化け物の住処だったのを知ったけど」

「…お前、眠った間にあのレトロテレビの中に入ったな」

「え、じゃあ寄りかかった場所がテレビだったの?」

「そういうことだな。まさか他の誰かと会う時に迂闊なこと、喋ってないよな?」

 

何も知らない場所だったとはいえ、道案内されたのはともかく迂闊なことをしてないんじゃないかと疑心になっているが、嶺が何をしたのかを聞くのは帰ってからだった。兎にも角にも、予測できない不慮な事故とはいえ心配かけさせた嶺が亮に向かってするべきことは、

 

「…あと、まず言うべき事があるだろ」

「う、ごめんなさい」

 

まず、謝ること。知らない場所であっても、船にいる仲間が居なくなったことで心配をかけてしまうため、ちゃんと亮達に連絡する必要があった。とはいえ、嶺自身も介入するつもりではなかったから亮もそこまでは怒ってない。

 

「帰るぞ、千草が心配してたからな」

「ん、行こっか」

 

亮は嶺を連れて、神から指示された人気のない場所へ向かっていく。緊急用として人払いの結界を用意してくれており、結界の中で転移する事ができる。

 

「お前の消失についてはレトロテレビでの介入を可能にしてしまったことから…神側も不測の事故だったってことが判明した。

 

そのおかげで余った休息分が3日増えて4日分休めることとなった。

その給与も1.5倍に引き上げるってさ。

今回は神側の問題だったが…せめてお前が船内で何かしら閃いて動く時は俺に伝えろ。

 

そうしなかったらまた俺がランディのやつに怒られる」

「おー、休日と給与が増えたねー」

「お前なぁ…」

 

亮はそう思いつつも、能天気な嶺を引っ張って人気のない場所へと移動する。転移しているところを他の誰かに見られたら、後々デス★ランディに叱られる。

 

 

船のリーダーであり、敵が人であっても殺す覚悟や単独になると決断力と行動が早いが、その反面少人数ならともかく大勢の集団行動は苦手で、どこか一つ二つ抜けてる所がある嶺。

デス★ランディに副隊長を任命され、正義側の仕事内容自体荷が重すぎるからと馬鹿にされたが、これでも嶺よりはしっかり者の亮(ハセヲ)

 

仲間も戦力も資金もまだまだ序の口なため、これからの先行きが不安であるが

 

(ま、なるようになれ。だな…)

「帰ったらまたメールの方も確認しとけよ。詳しいことは言えないけど、どうやらこの世界についての重要連絡だってさ」

「了解っと」

まず、生き抜く為に正義側の任務を努力して全うすることから頑張っていく。その上でこれまでの不安要素をちょっとずつ取り除いていくことが嶺達の第一目標となった。

 

こうして嶺の介入によって物語の一部分だけが解決し、二人は船へと転移して帰っていった。

 

 

 

 




おまけ1

嶺「あれ?そういえば千草は?」
亮「千草は船で帰りを待ってる。それに転移を誰かにでも見られたら二人よりも3人の方がバレる危険性がある」
嶺「おー、さすがー」
亮(…ホントこれから先、大丈夫なのか)

おまけ2(後日談ー彼らが嶺の超人さに気にしなかった理由)


雪子「え、あの人生身で戦ってたの⁉︎」
千枝「実際そうだったから驚いたよ」
陽介「信じられねぇけど…実際俺も見てたからな」
悠「…何者なんだろう」
雪子「少なくとも只者じゃないよね…なら、警官か…それとも武人か軍人とか…だったりして?」
千枝「いやいやまさか〜」
悠「あの人のこと、聞けなかったな」
花村「聞けない事情があったんじゃないのかよ。そもそも…護身用とはいえナイフ一本でシャドウを退けたり、敵の武器奪ってトドメさしたりとか。

敵が集団で襲いかかってきた時でさえ、的確に避けてたんだぜ?
幾らなんでも流石に人間離れしてないか?」

嶺の存在に疑問に思う。ちゃんも嶺のことを聞けたらと一同は考えていたがもう一度会える保証なんて何処にもない。偶然テレビの中で彼女と出会い、知り合っただけで肝心な連絡先を聞いてなどいない。

悠「なら、こう考えないか?俺たちの使ってるペルソナやクマのような存在だっているから、別にそんな人がいてもおかしく無いんじゃないかって」

ぼそりと呟いた彼の言葉に沈黙が降りる。
数分頭の中で考え、整理していく。
架空ならばその発想は絶対にあり得ないが、彼らは実際にテレビの中で経験している。
陽介を除いて、千枝と雪子の二人が納得した。

千枝「あぁ!なるほど!」
陽介「いやいや、ちょっと待て⁉︎仮にもし嶺って人が、クマと同じように世界の住民だったとしても、シャドウのことも何も知らなかったんだぞ⁉︎
クマでさえシャドウの存在に恐れてたのに、なんでそんな簡単に信じれんだよ⁉︎」
悠「悪い人ってわけでもなければ、自分から囮になるとも言っている。考え方や行動については同じく疑問に思うことはあるけど、少なくとも俺達のことを察して彼女はあぁいったことをしたと思ってる。
彼女のこと、信用できないか?」
陽介「いや確かにそりゃそうだけどさ…だいたいその人のことを俺達は良く知らな「私は信じていいと思うかな」里中、お前まで⁉︎」
千枝「だってあたし達の都合であんな危険な場所に付き合ってくれたし」
雪子「私も、そんなに彼女とは会ったばかりで話もしてないけど…もう少し彼女自身のことを話してくれたら、うん。
わたしも信用できるかな」
陽介「え、ちょっ、おま⁉︎
マジでお前らそれで納得するの⁉︎」
千枝「それじゃあ決まりっ!その人について聞くのは、また会ったらでいいでしょ?」
雪子「うん、そうしよう」
悠「?どうした、花村」
陽介「ひ、ひょっとして…俺がおかしいだけなのか?」

【結果】
噂が存在し、ペルソナという架空のものまで使えるようになっていることで、別に嶺の強さに誰もツッコマない。

最初は四人とも何者なのかと考えたが、マヨナカテレビという存在から非現実的なことが実際あったため、あまり気にはしていない。寧ろ三人のボケさで困惑している常識人(ツッコミ)の陽介であった まる



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