ギルティクラウン~The Devil's Hearts~   作:すぱーだ

40 / 68
今年、初めてコミケに行きました。

人生初のコミケで興奮しました。
でも熱中症でダウンしました。




#36乱調〜proposal〜

 

ーーーー髪が焦げる匂いがした。ーーーー

 

 

 

 

 

 

むせ返りそうになる程の暑さが、開きかけた意識の中に流れ混んでくる。

次に汗の臭いが鼻をついた。

 

「ん…むっ」

 

寝苦しさのあまり集は目を覚ました。

どうやら鍛錬の最中に眠ってしまったようだった。

 

「…修行の途中で寝るなんて…」

 

自分の第二の師でもあるレディから助言をもらい、感覚だけでやっていた魔力制御もようやく軌道に乗ったと思っていたのに、肝心の自分がこれでは笑い話にもならない。

 

集は自分の頬を抓ると、エアコンのリモコンに手を伸ばした。

 

「ん?点いてる…」

 

リモコンにはしっかり" 冷房 "という表示がディスプレイされているし、エアコン本体にも電源が点いている。

 

「なんでさっきはあんなに暑かったんだ?」

 

エアコンに手をかざし、風が出ていることも確認した集は首を捻る。

 

「…もしかして魔力制御の修行のせいか?」

 

魔力は強力な武器になると同時に、強力な楯にもなる。修行の最中で冷房の風を阻んでいたのかもしれない。

だがそうだとしても、目覚める直前まで感じていたあの焦げ臭いにおいはなんだったのか…。

 

集は部屋を出ると洗面所の電気を点け、鏡を覗き込む。

 

「……………」

 

鏡の中で、いつもの自分の顔が少し険しい表情でこちらを見ていた。

見たところ変わった事はない。それに今は焦げ臭いにおいもない。

 

「…気のせいか」

 

集は蛇口の水で顔を軽く洗うと、洗面所を出る。

ふとベランダが目に入った。

リビングに接したベランダに小さな灯りが見える。

 

その灯り以外に部屋の灯りはなく、手元を照らす程度の小さな灯りがやけに目立っている。

その灯りの前に、ひとつの人影が備え付けの椅子に腰掛けていた。

 

「パティさん?」

 

「あら。シュウ起きたの」

 

近付くと、ようやく弱々しい光に浮かぶ女性の顔が見えた。

普段、活発で物怖じしない陽気な雰囲気を纏った彼女も、こうして見るととても儚げに見えた。

 

「パティさんもーーあいだ!!?」

「もぉ、何度言ったらわかるの。他人じゃないんだから『miss』を付けるな!」

 

集は背中をさすりながら顔を引きつらせ、パティの横のもうひとつの椅子に腰掛けた。

 

「何やってるの?」

 

「せっかくだから、街の様子を目に焼けつけとこうと思ってね」

 

「はぁ…」

 

「質問しといてその反応は淡白すぎやしませんーーかっ!」

 

「あだ!!?人をポンポン叩かないでよ!」

 

「悪かったわ。はい」

 

パティは椅子の横から瓶を取り出した。

 

「…未成年なんだけど」

 

「おばかっ、ジュースよ。なんとなくあなたが来る気がしてね」

 

パティはその瓶を集に押し付けると、椅子の横からもう一本瓶を取り出した。

パティがその瓶をあおり、集もそれにならって瓶の中身を飲む。

中身はオレンジジュースで、オレンジジュースの甘みとその後を僅かな苦味が通り過ぎる。

 

「良いところね…日本って」

 

「ん?」

 

「ごはんは美味しいし、人はみんな優しいし。シュウもそう思うでしょう?」

 

「それはもちろん」

 

突然切り出されたが、集は迷うことなく答えた。

 

5年前、集を故郷に帰れるよう動いていたのはパティだった。

どうやったかは詳しく知らないが、彼女は春夏と連絡を取り合っていた。

 

最初それを知った時、自分のことを知る家族がいることに驚き、それ以上に嬉しかった。

もう自分の家族はすでに、記憶の中のあの炎に包まれたものだとばかり考えていたから。

 

それに、ずっとパティを羨ましく思っていた。

彼女にも母親がいる。集がダンテのもとに来る少し前まで、彼女は母親と別々に暮らしていた。

 

一緒に暮らす選択肢もあったが、パティは母親に迷惑をかけたくないと、しばらく孤児院に留まった。

 

やがてパティの母親はIT企業に就職する。パティも母親や他の人に迷惑を掛けないようにと猛勉強し、飛び級するまでになった。

奨学金を受け取れるようになって、ようやく二人は一緒に暮らすようになった。

 

その後、集がデビルメイクライで暮らすようになった時には、二人は豪邸に使用人数人を持つ程になっていた。

 

彼女達は別々に暮らしながら、お互いに高め合っていたのだ。

家族を知らない集にとって、そんなローエル一家が理想的な家族像だった。

 

 

「ーーーなの…?」

 

「え?」

 

「シュウはまだ…デビルハンターになりたいの?」

 

「……パティ……」

 

「正直に答えて…。故郷に帰って、本当の家族が出来て、友達も今まで比べものにならない程出来て…それでもダンテの跡を継ぐの?」

 

「……はい」

 

「………」

 

「パティは反対なの?」

 

短い沈黙が流れ、パティの瞳が僅かに揺れた気がした。

 

「ごめんね…。シュウがダンテの後を追おうとするのに、反対ってわけじゃないの」

 

「……」

 

「だけど…今までさんざん苦しんで来たのに…。そこまでしてなる程の価値は私にはないと思う。せっかく生き残れたなら…その命を自分の幸せの為に使ってほしい」

 

「それは…」

 

「私はシュウに幸せになってほしい。悪魔と戦って…毎日傷ついて…。酷い死に方するんじゃないかって考えただけで胸が張り裂けそうになる…」

 

「………」

 

パティの声が涙ぐんでいるような気がした。集の中にも言い表せないような寂しさと切なさが込み上げてくる。

パティが集の目を見る。

 

「パティ……奴らの事を知ってるのは僕達だけだ」

 

「!!」

 

「魔界は異次元の世界…だけど、少し裏返すだけで魔界は何処にでも顔を出す、隣り合わせの世界。だけどみんなその事を知らない。魔界はおとぎ話で、悪魔は笑い話なんだ」

 

集は見えるはずの無い魔界を見据える様に、夜景を見る。

 

「見える人にしか…知っている人間にしか奴らと戦えない」

 

「…そうね…」

 

「…なら僕が戦うことにだって意味はある。僕は強くなる。自分の手で全て守れるくらい…」

 

「シュウ…」

 

「それでいつかダンテにも追いついてみせる。もう背中だけを見ることなんか無い様に…」

 

再び二人の間に短い沈黙が流れ、そしてパティは諦めたようにため息を吐いた。

 

「やっぱり…変わってないのね…」

 

少し寂しそうにそう言うと立ち上がる。

 

「そろそろ寝るわ。付き合ってくれてありがとう」

 

「うん。おやすみなさい」

 

部屋に戻ろうとしていたパティはふと足を止めた。

 

「シュウ…」

 

「ん?」

 

「ーーあなたが、周りの人に傷付いて欲しくないって思ってる様に…。同じくらい私たちも、あなたに傷付いて欲しくないって思ってるんだからね」

 

「っ……」

 

「それを忘れないでーー」

 

そう言うと、パティは電灯の消えた暗い部屋へと戻っていく。集はしばらくそれを目で追っていた。集は息を深く吸い、それを長いため息に変え吐いた。

 

それから数分間、集は宝石の様に瞬く街の明かりを何も考えず、ただ眺めていた。

時折口に含んだオレンジジュースが先程よりほろ苦く感じた。

 

 

 

 

 

******************

 

 

夏休みも終わり、照り付ける太陽も集が海に行った時と比べればかなり穏やかになった。

 

大島で取り逃がした『はじまりの石』は相変わらず行方知れず。ツグミと城戸研二の成果待ちと言ったところだ。

(綾瀬曰く二人のハッカーのセンスは互角らしいが、研二は性格に難があり全体的にツグミの方が評価自体は高いらしい)

 

あの後、アンチボディズも解体されたと涯が言っていた。

大きな成果を上げられず、代わりに数々の失態を犯したのだから、当然といえば当然だ。

だが、集はアンチボディズが解体された原因は失態を犯したからだけではなく、" 代わりになる兵 "が見つかったからだと考えている。

 

もしこの考えが正しければ、近い内悪魔との大規模な戦闘が起こる可能性が高い。

 

そうなればかなり苦しい状況になると、集は涯にそれとなく伝えた。

 

魔力の運用も未発達、涯の様に戦力を確保することも出来ない。

現状で集が出来ることは様子見だけだった。

 

 

 

 

 

夏休みが終わった直後は学校があるものの、しばらくは午前中で授業が終了する。

まだ夏休み気分が抜け切っていない生徒達は、特別用のない生徒以外は早々に帰宅している。

 

 

 

「カット!カット!あの、もっと悲しげにお願いします…」

 

「………」

 

そして集達は文化祭へ向けて、いのりを主役にした映像を制作していた。どの様な内容にするかは颯太が隠している。

 

本人はサプライズか何かのつもりかもしれないが、テーマが分からないのではこちらも手伝いようが無い。

 

(まぁ…あの様子なら、一時間ぐらいで泣きついてくるか……)

 

慣れない事に悪戦苦闘する二人は気掛かりだが、こうしてただ見守るのも時間がもったいない。

 

「集、これからどうする?」

 

すぐ横を歩く制服姿の祭が言う。

 

「ん〜取り敢えず、映像の素材を探すところからだね」

 

集は手の中にあるハンディカメラを弄りながら、道を歩く。

 

「集がこの前言ってた場所は?」

 

「どうだろう?この時間帯は人が多いからな…」

 

いのりには一応自分のする事に集中するよう言って来た。

彼女もなんだかんだで熱心なところがあるので、問題は無いだろう。

問題は颯太の方だ。彼が上手くいのりを制御できるとは思えない。

 

「まぁいいや。早く済ませよう」

 

「うん」

 

公園を横切ろうとした集は突然、足を止めた。

 

「わっ!なに!?」

 

集の背中にダイブしそうになった祭も、慌てて足を止める。

そして集の横顔を見た祭は、今まで見た事の無い彼の目付きに凍り付いた。

 

集の目は建物と建物の間に入って行く人影を捉えていた。

 

「…あれは…」

 

「集?」

 

戸惑う祭に一声も掛けず、集はその背を追って駆け出した。

 

「えっ!?集、待って!!」

 

その人影はうずくまっていた。

顔も確かな身長も分からない。だが集には分かった。

 

「……やっぱり、谷尋」

 

「っ!?」

 

名前を呼ばれた谷尋は石のように固まる。

 

「…おまえ…集か…」

 

「あぁ、僕だよ」

 

集の顔を見た谷尋は突然、狂ったように笑い出した。

笑いながら谷尋はゆらりと立ち上がる。

 

「なんでここにいる…?まだ懲りずクスリを売っているのか?」

 

集は背後を庇う様に立つ。

祭の姿は公園の家族連れに遮られ、まだ見えない。

 

「うるせぇ、おまえにカンケーあるか!!俺がどんな気持ちでーーー

 

「知ってるよ」

 

谷尋の言葉を遮る様に、集が言葉を挟む。

 

「なに?」

 

「谷尋がなんでクスリ売っていたのか…僕は知ってるよ」

 

「ーーーーだから何だってんだっ!」

 

「助けたい」

 

「はぁ??」

 

「谷尋が持ってるの…ワクチンだよね。GHQの施設が潤くんを" 浄化 "しようとしたから、逃げて来たんだろ?」

 

「ーーーっち。スカした顔で…ああテメエの言う通りだ」

 

「しゅうーー?」

 

「!!?」

 

祭の声に谷尋は肩を震わせる。

 

「えっ!?」

 

祭は谷尋の姿を確認し、口を押さえながら驚きの声を上げる。

 

「よぉ…。お楽しみの最中悪かったな…」

 

谷尋は口は笑っていたが、その顔は隠しようの無い焦りと恐怖が張り付いていた。

 

「ど…い…今まで何処に!?」

 

「祭、先にいのり達の所へ戻ってて」

 

「えっーーえ?」

 

祭は困惑しながら、集の差し出したハンディカメラを受け取る。

 

「勝手なこと言ってごめん。谷尋とは一対一で話さなきゃならないから」

 

そう言って集は谷尋に路地の奥を示した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

祭は集から押し付けられたハンディカメラを持って、呆然としていた。

 

今見たのは何だったのか、集はどうしたのか…?

様々な疑問が祭の頭の中で渦を成している。

 

「集…」

 

好きな人の顔を思い浮かべる。

 

怖かった。

あんな彼は初めて見た。

 

彼があんな顔をするのは、何か理由があるはず。きっと寒川谷尋と何か良くない事があったのだ。

 

そしてそれは寒川谷尋が消息を絶っていた事と関係があるはず。

 

確かめなければと思った。

 

そして何よりも、このままでは彼が何処か遠くへ行ってしまう。

そんな漠然とした不安が襲う。

 

その不安に背を押されながら、少女は走った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「奴ら施設がヤバくなったら、患者を処分し始めた。突然だった。ーーヤツらは…クッソォ、俺たちを人間を何だなんて思って無かったんだ!」

 

集は谷尋の話を黙って聞いた。

あまり同情の感情は湧かない。

いのりには格好を付けて『それほど怒っていない』などと言ってしまったが、やはり、平気なつもりで心の何処かでは彼を恨んでいたのかも知れない。

 

集は降って湧いたその思考を、唇を噛んだ痛みで搔き消した。

 

「ここだ」

 

着いた場所は街の外れにある、荒れ果てた倉庫のような廃屋だった。

谷尋は扉を軋ませながら開ける。

すると中で動く物が見えた。

 

「潤!?」

 

谷尋が中へ駆け込み、集も慌ててその後を追う。

中へ駆け込むと、学校で使うボロボロのマットが何重にも積まれ、その上にシートを被されただけのお粗末なベットがあり、その下に一人の少年が呻いていた。

 

「また落ちたのか?待ってろ潤」

 

谷尋はその少年を抱き起こし、ベットの上に寝かせる。

 

(前、見た時より酷くなってる…)

 

アポカリプスウイルス感染症の最終段階、" キャンサー "は既に彼の全身へ転移するだけでは飽き足らず、体半分を甲殻類の鎧の様に覆っていた。

 

彼が動く度に、その結晶がガラスが割れる様な音を立てながら欠け落ちる。

 

「集…頼む。金をくれ…」

 

「…素直に僕をここまで案内した理由はそれか…」

 

「お前は葬儀社と繋がってんだろ?頼む、少しだけでいい。それにさっき助けたいって言ってただろ?」

 

「……ああ」

 

谷尋は縋り付く様に集を見る。

集は少し自分の軽率な発言を恨んだ。

 

「金はやれない」

 

「な!?」

 

「その代わり、葬儀社に君達を保護してもらう」

 

集はズボンから盗聴や追跡防止用の電波へ繋がれている携帯を取り出した。

通話しか出来ないが、不自由な無い。

 

『もしもし?』

 

電話に出たのは綾瀬だった。

 

「もしもし集だけど。涯はいる?」

 

『集?涯はちょうど出ちゃったわよ。しばらく帰って来ないと思うけど、伝言を残す?』

 

「いや、大丈夫。実は感染者を見つけたんだ。そっちで保護してほしい。大至急」

 

『は はぁ?ちょっといきなり言わないでよ。う〜…出た!ーーってうわ!?あんた何てとこに居るの!!』

 

「早くっ、回収ポイントは!」

 

『Bー4ー6地点に一時間以内!!急いで、敵兵達がもうそこまで来てる!!』

 

「分かった。ありがとう。ーー移動しよう、もうここは嗅ぎ付けられてる」

 

集は電話を切ると、谷尋に向き直る。

谷尋は信じられない物を見る様に集の顔を見る。

 

「集…お前…」

 

「正直君の事は、許していいのか分からない…。けど、潤くんに罪は無いだろ」

 

「………」

 

まだ呆然とする谷尋を集はせかす。潤を背負わせ、扉を慎重に開ける。周囲を見回すが、GHQの兵は見当たらない。

 

集は谷尋にハンドサインを送ると、扉の外へ出る。

谷尋も潤を背負いながらその後に続く。

 

異変が起きたのはそれから僅か5分後だった。

突如、集の鼻に例えようのない異臭が突いた。

 

「やばい…」

 

「なに?…なんだよ」

 

谷尋は周囲を見回すが、相変わらずなにも見えない。

それに何者かが自分達に気付いた様子も無い。

だが集は違った。

猛烈なスピードで自分達を追ってくる存在に気付いていた。

 

「ーーー奴らの方が早い…ーー」

 

「さっきから何…」

 

「 走 れ ぇ !! 」

 

集の怒号にハッと我に返り、谷尋はガムシャラに走り出す。

集もそれに追走する。

 

「うっ!!?」

 

足下へ目をやると、数え切れない大量のネズミが自分達の足を縫って、何かから逃げる様に同じ方向へ駆けていた。

 

津波でも起こるのかと一瞬思った。

 

『 ル オオオオオオおおお 』

 

次の瞬間、背後から獣の唸り声の様な声が聞こえた。

振り返ってその正体を確かめる気にすらなれず、谷尋は恐怖にかられるまま、必死に走り続ける。

 

 

 

「くっ!!」

 

集は背後を振り返って、悪魔の姿を見た。

黒く大型犬の様な大きさの身体で、獣の様な姿だ。しかし毛は無く、鋭く長い爪と、口には剥き出しの牙がズラリと並んでいる。

 

「絶対に振り返るな!!」

 

「誰が向くか!!」

 

集の言葉に谷尋が即答する。

集は懐から小型のナイフを引き抜く。

 

悪魔は背中を見せる獲物に真っ直ぐ飛び込む。

 

集は土と砂を背後に思いっ切り蹴り上げる。

 

『 ギュ !!? 』

 

悪魔が僅かに怯んだのを見逃さず、集は喉元にナイフを突き立てる。

 

悪魔は一度痙攣すると、すぐ動かなくなった。

集は突き刺さったままのナイフを放置して、逃走を再開する。

 

同胞の屍を跨ぎ、同じ姿をした悪魔達が集と谷尋を追跡する。

その姿はまさしく、獲物を狩る狼そのものだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「なんなのあれ…」

 

少女は目の前の光景が信じられなかった。

猟犬かと思った動物は、見た事がないおぞましい姿をしていた。

 

彼らに悟られぬよう、高台へ登って見張っていたが、もし様子を伺おうと下に降りていたら、自分も襲われていたかもしない。

そんな想像が彼女の足を鈍らせる。

 

だが、立ち止まっては居られない。

あの奇怪な動物に牙を向けられているのは、他でもないあの少年なのだ。

 

彼らの逃走の手助けが出来なくとも、せめて一部始終を記録しようと…。

 

 

 

ーーー祭は震える手でカメラを回し続けた。

 

 

 

 

 

 

 




最後に使った集のナイフは、
集の修行で少しだけ魔力が通ってます。(捨てたけど)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。