ギルティクラウン~The Devil's Hearts~ 作:すぱーだ
青白く薄明るい外から降り注ぐ月光だけが、その部屋の唯一の照明だった。
ホテルの部屋の絨毯やカーテンなどありとあらゆる備品を軒並み引っぺがしたような殺風景の極みの様な部屋で窓ガラスすら嵌っていない。その部屋の中央にポツリと白く清純な色の椅子と小さく丸いテーブルが逆に異質だった。
その椅子に腰掛けた純白の白衣のようなコートを羽織った男が銀製のワイングラスを傾けていた。
髭を蓄えた口元を赤ワインで濡らす男はしかし、人間味を一切感じないほどの冷たい眼を持っていた。
不意に、その部屋に初めて男の出す音以外の乾いた音が響く。
男の近く後頭部の辺りに音の発生源があった。
「 やぁ 」
「チャオ、社長さん」
男ーーアリウスが背後のオッドアイの女性、レディに親友を呼び掛けるように低く響く声で軽いあいさつをする。
レディはアリウスの後頭部に銃を突き付け、笑みを浮かべている。
しかし赤と青のオッドアイは計り知れない怒りによって獣のような眼光を光らしていた。
「 不服だったかい?彼との再会は… 」
「………」
レディは沈黙で返す。
実際彼女にはこの男の話を聞く気は欠片もなかった。銃を突き付け、耳を撃ち抜き、悪魔について洗いざらい吐かせる気でいた。
だが、この男の口振りはまるでーー
「 いや実際、ギリギリのタイミングだったよ…。何らかのトラブルで彼が君に殺されることはおろか、捕まってもアウトだったからね… 」
「……テロリストからあの施設を守って欲しいんじゃなかったの?」
「モチロン、それも目的の一つさ…。しかし、私の目的は彼が君の前に立つ事だけだ」
レディは眼を細めてこのアリウスという男を観察する。
楽しそうな口調だが、その声はどこか無機質で抽象的だった。
「……つまり、貴方の目的はシュウと私を会わせることだったというの?」
「 そうだ 」
アリウスはレディの問いにクイーッと歪んだ笑みを見せて答える。
銃口はまだアリウスの後頭部に擦るような距離で突き付けている。
もしレディが引き金を引けば銃弾は確実に脳幹を破壊し、アリウスは即死だ。
しかしアリウスはカエルを呑み込む寸前の蛇のような醜悪な笑みと笑い声を上げている。
(こいつ…)
今までも、悪魔の様な人間は飽きるほど見てきた。平静な表情を装い、その下で例えようのない狂気に満ちた人間を何人も相手にし、何人も葬った。だがこの男は今までレディが出会って来たものとは何かが違う。
もちろん自分の父ともーー
「私とシュウが会うからなんだって言うの?」
「ーーーーー」
不意にアリウスの笑い声が止まる。
殺風景な部屋は水を打って静まり返る。
「 君はどう思った?」
「なんですって?」
「彼のーー桜満集のチカラだよ。彼の中にある魔剣士スパーダのーーいやダンテのチカラをだよ!」
アリウスは興奮と歓喜で顔を歪めて叫ぶ。
「今まで悪魔と同化した人間の数は億にも届くだろう。だが、彼ほど純粋な思いを保ったまま、チカラに呑まれることなく生きる人間はそう多くない…。それこそ混血でもない限りはな」
「質問に答えなさいよ。私とシュウが会うからどうだっていうの?」
「今のが答えだよ」
「はぁ?」
「今の彼を君に見てもらいたかった。彼のチカラは今のままでも十分素晴らしい。だが、まだ幼く拙い。君の協力が必要なのさ」
つまりこの男は集を強くするために自分を会わせたというのか。
ますます分からない。
「なぜシュウに拘るの?」
「答えだからさ」
「答え?」
「正確には" 答えを出せるかもしれない "だがね。彼は人類…いや、この世界が行き着く結末の答えを握っているのさ」
レディは怒りで歯を強く食い縛る。少しでも気を抜けば、うっかり引き金を引いてしまいそうだった。
「そうだろう!?なにしろ彼は『奈落の蛇王』の毒牙から生き延び!!救世主たる魔剣士の血を受け入れられ!!更には滅亡を呼ぶ歌姫のつがいとなる権利を持っているのだ!!」
「…滅亡を呼ぶ…歌姫…?」
破裂寸前だったレディは聞き覚えの無い言葉に冷静さを取り戻す。魔剣士の事は考えるまでもない。『奈落の蛇王』はダンテと集が初めて出会った時にダンテの手によって討伐された大蛇の悪魔だ。
だが滅亡を呼ぶ歌姫という言葉には聞き覚えがない。さらに" つがいになる権利 "とは何の事だろうか。
「……喋りすぎたな…」
更に追求しようとした時、椅子に座っていたアリウスの姿が掻き消えた。
レディは後ろを見ないまま背後に向けて数発発砲する。
銃弾は寸分違わず、アリウスの胸と腹と頭部に命中する。
「おお怖い怖い」
しかし銃弾がアリウスの身体に命中した瞬間、銃弾はアリウスを傷付けることなく呑み込まれる。
「それなりに動揺させたと思ったのだがね…。その反応速度にこの精密さ、やはり流石だね」
「あんたこそ面白い芸当使うじゃない、どういうカラクリ?」
「マジックはタネを明かすと魔法が解けてしまうからね」
「あらそう」
言い終わらないうちにレディは再びアリウスに向けて発砲する。しかし、結果は同じだった。
弾丸はまるで吸収される様にアリウスの身体に吸い込まれる。
当然アリウスに傷一つない。
「ではこれで失礼、オウマ シュウが一秒でも早く強くなることを願うよ…」
「……」
アリウスの姿が溶ける様に空中に消える。
寂れた空間は再び静寂に包まれる。まるで最初から男など居なかったという様に、椅子や机も消えていた。
「……はぁ…全く。あの子はーー」
その場所でレディは一人、呆れた様に嘆息する。
「ーーあいっかわらずトラブルに巻き込まれるのね…」
************
月を見ていた。
何処までも途方も無く暗く黒い場所で、仰向けに転がって月を見ていた。
目だけで横を向くと、僅かに顔が動き耳に冷たい水が入り、脳が芯まで冷る感覚が伝う。
黒い水が何処までも広がり、海の上に居ると思うほど水は重々しくタールの様に指に絡みつく。
自分の身体を絵の具のように汚す水を、指先で摘んで顔の前に持ち上げる。
そこでようやく月が近付いている事に集は気付いた。
黄色く大きな月だ。表面はクレーターもなく綺麗光沢を放っている。
瞳が見えた。
目を見開く。月だと思っていたものは巨大な眼だと気付いた。
恐怖のあまり悲鳴を上げようという無意識的な思考すら凍り付いている。
眼はただ集を見下ろしていた。
見くだしてる訳でも、当然見守っている訳でもない。
眼はただ見下ろしている。
まるで何かを待つようにーーー
************
「ーはっーー!!」
集は目が覚めるのと同時に跳ね起きる。
10キロ全力疾走したかのように息が切れる。周囲を見渡すと自分はベンチに腰掛けおり、その隣には颯太が寝息と言うかいびきをかいていた。
そこは集が颯太がいのりに告白しようとした瞬間に思わず飛び出し、勢いで颯太のヴォイドを引き抜いたあの展望台だった。
さっきまでの出来事が夢であることに安堵し、集は大きなため息をつく。
項垂れながら集はつい一時間近く前の記憶を思い起こす。
レディとの戦闘を終え、集は『はじまりの石』とやらを奪った悪魔を涯とルシアといのり共に追ったのだが、地中を自在に泳ぐカットラスに追い付ける道理など初めからありはしなかった。
あっという間に距離を離され追跡不可能になってしまった。
ここからは情けない話だが集の疲労は極限まで来ていて、むしろ衰弱といっていい段階まで来てしまっていた。
無理もない話、集は全身を特に両腕に多くの傷を負い、その状態でいのり達と共に悪魔の追跡を行っていたのだ。
身体は数分保たず、すぐいのりと離脱することとなった。
意識が朦朧としていてあまり覚えていないが、いのりに介抱され、別荘に戻そうとするいのりに無理を言って颯太と一緒にこの場に置いて行ってもらったのだ。
何度も不安そうな顔で集を見るいのりに心を痛めながら、集はいのりを先に別荘に帰らせたのだ。
その後すぐベンチに座り込んで、眠ってしまったようだ。
(後でいのりに謝らないと…お礼も……)
集はいのりが巻いた両腕の包帯を見ながら、そう考える。
両腕は軽く握ってもまだ激しく痛む。
むしろレディを相手にしてこの程度で済んだのは僥倖だった。
集は顔をしかめながら、あれからまだそれ程時間が経っていないことを悟った。悪夢のせいで時間の感覚がズレていたが実際ここに来てからまだ10分、15分程しか経っていない。
「むお…?」
ふとヴォイドを戻した颯太が目覚めると大きなあくびをする。
集はベンチから腰を上げる。
「起きた?」
「んあ、集か?」
颯太は目を擦りながら辺りを見回す。
「あれ?なんで俺…?」
「颯太…ごめん、僕やっぱり協力出来ない」
「…は?」
突然話を切り出した集を颯太は僅かな時間見上げる。
そしてすぐ何の話をしているか集の表情で察した。
「……やっぱりお前、いのりちゃんのこと……」
「…………」
「それならそうって何で最初から正直に話してくれなかったんだよ!!」
「…僕は、」
「いっつも人当たりいい面して!何考えてるのかさっぱりわかんねぇよ!!」
「ーーっ颯太だって!!!人の迷惑も事情も考えないでデリカシーのないことばっかり!!それがどれだけ人がイヤな思いするか考えたことあるの!!?」
颯太は突然糸が切れた様に罵声を浴びせる集に驚いた顔をした。
集も自分で自分に驚いていた。
最初はただ黙って颯太からの言葉を受け入れるつもりでいた。
しかし、今まで溜め込んでいたものがここに来て一気に爆発した。
「自分がやらなきゃいけないことをいっつも押し付けて!!それで何をしてるかと思えば、隠れてゲーム!!何様のつもりだよ!!」
言葉が後から後から溢れ出す。
正直に言えば、今までも何度か爆発しかけた事はあった。
しかし大抵誰かにその場を抑えられ、結局は集が不満を封じ込めることになってしまった。
だが、今この場にはその役目を担う人間はいない。
「さんざん迷惑かけた挙句、今度はいのりが好きだから手伝ってくれだって!?ふざけるのもいい加減にしろ!!」
集は刹那大きく息を吸い込んだ。
「 僕 は 颯太 が 大っ嫌い だ!!! 」
ビリビリと辺りを震わせる大音量で集はありったけの怒りと不満を込めて叫びが響き渡る。
集はゼーゼーと肩で息をする。
両手の痛みも忘れ強く握りしめていた。
指を緩く開くと激痛が思い出したかのように疼き始める。
「…お前ずっとそんなこと思ってたのか……」
「…っ」
集は少し後悔した。
確かに颯太は最悪の場面で最悪な行動する事がある。
だが、そんなある意味では明るい性格に集は何度も助けられた。
誰とでもすぐ親友の様に話す事が出来る性格を、集はかなり本気で羨ましく思ってもいる。
それをたった今、集は全否定した。
感情に任せてとんでもないことを叫んでしまった気まずさに、僅かに顔が下がる。
(…怒らせただろうな、きっと…)
だが後悔とは裏腹につかえていたものが取れたかの様に胸がフッと軽くなっている。
隠し事も上っ面なものを剥ぎっ取ったスッキリとした感覚がする。
(いや…本当に友達なんだとしたら。本気でぶつからなきゃいけなかったんだ)
今まで相手の顔色を伺い、傷付けない嫌われない所まで距離を離しそれを怠った。その報いが今この場で訪れただけの話だ。
「そうなんじゃないかと思ったよ」
「え?」
今度こそ颯太からの罵声を受け入れる体勢に入っていた集は予想外の言葉に再び顔を上げた。
「はっきり言ってもらえてよかったよ。まぁ…流石に傷付いたけど…」
「ごめん…大嫌いは言いすぎた。本当はちゃんと友達だと思ってるし、これからも今までと同じ関係でいたいってーー」
「分かってるよ。実はさ…俺も少しお前のこと苦手だったんだ…。いいヤツだって事は分かってたんだけど。なんかあまり相手に踏み込んで来ないっていうか…それでいてお前も俺とか相手に踏み込んで来ないって感じでさ……。なんか距離ある感じだったんだよ」
「……そっか、上手くやってるつもりだったんだけど」
「だから、正直に言ってもらえてよかった」
颯太は展望台から夜の海を手すりに寄り掛かって一望し、集に顔を向ける。
「やっと心開いたって感じがするぜ」
そう言っていつものようにニカッと歯を見せて笑う。
(……心を開く……)
集の中でピースがひとつはまる。
(ああ…そうか、ヴォイドの" 扉を開く "能力はーー)
集も颯太の横に立ち手すりに寄りかかる。
「そういやその身体中の包帯どした?」
「神社でヤブ蚊に刺されまくった後、階段転げ落ちた。颯太は近付かない方がいいよ」
「マジか気を付けるわ」
黒い海が僅かにあの悪夢を想起させ、軽く恐怖を覚えたがそれもすぐ消えた。
黒々とした海もいずれは横の星空と同じ様に、多くの光を抱えるのかもとそんな想像をしながら、夜空と海を眺めた。
************
「眠れん」
畳みに敷いた敷布団の上で上体を起こし、集は誰に聞かせるでもなく呟いた。
時計を見れば深夜の12時半。集の横では颯太が豪快なイビキをかきながら身体の上の掛け布団を蹴飛ばして不格好に寝ている。
それを見た集にあれだけ寝たのにまだ寝る気かという呆れと、蹴っ飛ばして起こしてやろうかというイタズラ心が同時に湧き上がる。
だがわざわざ耳障りなイビキを聞きたくないのと、起こしたら起こしたで帰るまで恨み言を言われそうなので、集は黙ってふすまから外へ出る。
裏庭の縁側に座った集はホーっと息を吐く。
「シュウ…?」
集は声をかける人物に顔を向けた。
「いのり、眠れないの?」
寝巻き用の薄地の浴衣を羽織ったいのりが歩いて来た。
縁側に座れる場所はいくらでもあるが、集はいのりの為に横にずれる。
いのりも静かに集の横に腰掛ける。
「………」
「………あー」
沈黙は決して居心地の悪いものでは無かったが、このままだんまりもどうかと考えた集が話しを切り出す。
「ハレ達とはどう?」
「ん?」
「いやさ、いのりって葬儀社メンバーや僕以外はあまり話そうとしないじゃない。だから、今日1日ハレと一緒にいて何か変わったかなって?」
葬儀社メンバーといっても涯や綾瀬ぐらいしか、いのりとの会話が多い人物はいないが…。
いのりはしばらく考え込む様に夜空を見上げる。
「……ハレと友達になった…」
月夜に照らされた庭で鳴き続ける虫の声に混じり、いのりはポツリと嚙みしめる様に呟く。
「そっか…、よかった。そういえばいのりが風邪引いた時もハレが看病してくれたね」
「うん…、集がハレを信じてるのも分かる。…すごく優しい…」
いのりの顔は自然と綻んでいた。
とても自然なその笑顔に集もついつい嬉しくなる。
「はは、それ聞いたらハレも喜ぶよ」
「ハレもカノン一緒にいるとすごく楽しい。集と一緒にいる時とちょっと違うけど…すごく胸が温かくなる…」
「僕と一緒にいる時と違うって…どういうこと?」
「ナイショ」
いのりは集の顔を見てクスリと笑う。それからいのりは祭と花音と一緒にやった事、話したことを集に話して聞かせた。
ただ、集の話を沢山したと言ったが、その詳しい内容については全てはぐらかされてしまい、集は少しムズムズした気持ちになった。
「シュウ…聞かせて…」
数分話した後、いのりは唐突に真剣な顔で集に切り出す。
僅かに空気も緊張する。
「何を聞きたいの?」
「あの女の人のこと…集が何をして来たのか…」
集は少し考えてから、いのりに頷く。
「……うん、分かった。いいよ」
今が話すのに一番いいタイミングだろうと、集はそう思い集の言葉を待ついのりを見る。
いのりは少し嬉しそうに微笑んだ後、再び真剣な眼差しを集に向ける。
「…何から話そうかな…」
話せることも話したいこともあまりにも多すぎる。
集が思案しているといのりから切り出す。
「シュウはあの人のことを師匠って言ってたよね。シュウの師匠はダンテっていう人じゃなかったの?」
「うん、僕には三人くらい師匠がいてね。それぞれダンテが戦い方を教える担当。レディさんが武器や銃火器、サバイバルの担当。で、最後がトリッシュっていう御呪いや魔除けの担当」
集の話をいのりは頷きながら耳を傾ける。
「まぁ…全員凄いスパルタで、何回も死にかけたよ…」
苦笑いする集にいのりもつられる様に微笑む。
話してる集が心の底から楽しそうに話してる事をいのりは強く感じていた。
「その頃から……?」
「……」
月が雲で隠れたせいか、 微笑んでいたいのりに僅かに暗い影が刺す。
「その頃からシュウは戦ってたの…?」
「…うん…。十年前から、ロストクリスマスのすぐ後からだよ…」
集が覚えている中で一番古い記憶、燃え盛る東京の街。
助けられてしばらく経つまで、その光景が唯一の日本の記憶だと集は気付きもしなかった。
赤と炎で塗り潰されたものだけが、集の知る故郷の姿だった。
不意に右手が暖かいものに包まれた。
隣りを見るといのりが両手で集の手を包み込んでいた。
泣く子をあやす様な優しい顔を集に向けている。
集もいのりの手を握り返すと、またポツポツと語りだす。
楽しかった事と嬉しかった事、そしてそれより沢山あった辛くて悲しい事。集は自分の見て来たもの、聞いて来たものを余す事なくいのりに話して聞かせた。
どれ程話していただろうか。
夜空が白んで、永遠に続くように思えた夜の語りにも終わりが来る。
「ーーあっ、いのり」
今のうちに部屋に戻って置かないと、また大騒ぎになるような気がしていのりを見るとーーー。
集の肩にいのりの頭が乗った。
「…へっ?」
突然の事に唖然とする。そしてそれは直ぐ羞恥と焦りに変わる。
いのりは寝ているようだった。
柔らかく瞼を閉じ寝息を立てて、全身を集に預けている。
「…………」
集はいのりの前髪を優しく整えると、白み始めた夜空で輝き続ける月を見上げる。
(……もう少しだけ……)
自然とそう思っていた。
集もいのりにならって両目を優しく閉じる。
「ーーーーシュウ、
寝ているはずのいのりから声が聞こえた気がした。
ーーーどこにも行かないでねーーー。
はっと目を開け、いのりの顔を見る。
いのりは集が前髪を整えた時と変わらず、寝息を立てていた。どう見ても一度目覚めた気配が無い。
「…………」
幻聴だったのだろうか。
不安そうで、懇願するような必死さが篭っていた。
「ーーー行かないよ…何処にも」
そう言った瞬間、心なしかいのりの寝顔が微笑んだ気がした。
なんかここに来るといつも謝っているよく無い習慣。
どうも皆さんお久しぶりです。久々の投稿です。
こんなに待たして悪いなと思いつつ、感想欄に『早く続きを上げて下さい』といった内容があるのでは無いかと思ってガックリした作者です。
いや〜、ゲスい期待などするものでは無いですねwww
このペースだと完結に五年はかかりそうなので、ここらで頑張ってペースを上げて行きたいと思います。
ペース上げると言ってもお察しレベルなので、皆さんいつも通り気長にお待ち下さい。
これからもよろしくお願いします。
追記
シン・ゴジラとオーブはいいぞぅ!!