キノの旅×IS リメイク   作:un

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三話 青髪のクラスメイト

 入学式を終えたキノは1-4の教室に入り自分の席についていた。周りの生徒達は、

いくつかグループを作って談笑したり又は、一組にいるある人物を見に教室から出て行く者がいた。

 

(いいのキノ? 一組に行かなくて?)

 

 黒い指輪からエルメスがして、キノにだけ聞こえるように小声で声を出しキノは黙って首を縦に動かしただけだった。

 

(もう、あの兎の姉さんとの約束でしょ? 確か...親友の弟さんだっけ? その人を守るように言われてここにいるんだからさ)

 

 首を再び動かすキノ。制服のポケットから携帯端末を取り出し文字を打ちメールを送り、エルメスが何かを読み上げる。

 

(なになに...なんでも、その弟さんの姉さんは感が鋭くて、ばれたら面倒だからうかつに近づくなって注意を受けてる。後、せっかくの学校だから楽しみたいって...)

 

 キノがそっと、机の上で腕を組み右手にある指輪を優しくさすと予鈴の鐘が鳴り始めて、生徒達が教室に戻り席に着く中。キノと同じ誰とも話す事なく一人だけ机に座りキーボードを打ち込む生徒がいた。

 

「...」

 

授業の予鈴に気づき、キーボードから指を話した青髪の少女は一度ため息を吐いて授業の準備をし授業が始まった。

 

 

 時間が経ちやがて夕方になり、授業を終えた生徒達が遼に入る。キノも荷物と部屋の鍵を手に部屋を探していた。

 

「え~と...あ、ここだ。すみません」

 

 ドアをノックし、中から小さく「誰?」と声が聞こえ、自分は相部屋の者だとキノが告げると、先に入っていた人物から入室の許可が出て入ると、教室にいた青髪で眼鏡をかけた少女が椅子に座り、何か作業をしている途中だった。

 

「突然すみません、こちらの部屋で相部屋になった者でキノといいます」

 

「...更識、簪...よろしく」

 

 自分を簪と言った少女はそう短く伝え再びキーボードを打ち込む。キノは特に気にした様子もなく既に物が置かれている入り口側のベッドと窓側にある綺麗なベッドを見て、

 

「綺麗なシーツ...」

 

 そう呟き、窓側のベッドの方に歩き荷物を床に置いてベッドに横になり

 

「しかも、ふかふか...」

 

 ベッドの感想を呟いて、目を閉じたキノ。数秒してベッドに横になって動かないキノを変に思い簪が画面から目を離しベッドの方を向くと、小さな寝息が聞こえキノの寝入りの速さに思わずため息を出した簪は寝ているキノを見ていて自分と同じクラスの者だとやっと思い出した。

 

「...変な人」

 

 だが、同室者が大人しそうな人だった事に安堵をつき再び作業しようとしたが、そこで腹の音が鳴り簪が腹を押さえる。食堂がそろそろ混む頃だと思い椅子から立ち上がり部屋を出た所で購買に向かおうとしたが

 

「鍵、忘れてた...」

 

 部屋の鍵を忘れた事に思い出し再び部屋に引き返す簪。ドアを開けると

 

 

「キノ、起きないと食堂行けなくなるよ? あ、まず...」

 

「え?」

 

 部屋の中で小さな男の子の声が聞こえた。驚きながら声の主を探す簪。部屋の中には寝ているキノしかいないはずなのだが、声の主の姿は見えなかった。

 

(...?)

 

 寝息を立てるキノがつけている黒い指輪を見て、何を思ったのか簪がキノに近づき手を伸ばそうとして、キノが目を覚ます。

 

「あ」

 

「ん?」

 

 いきなり起きだしたキノと目が合って簪は慌てて離れた。対してキノは寝ぼけた目で簪を見つめている。二人の間に沈黙が生まれて、お互いに何も言わない事数秒ーー

 

「いや~~ごめんキノ。うっかり声出しちゃってさ~~」

 

 再び男の子の声が聞こえ、キノが目を大きくし簪はここで声の出処が黒い指輪からだと気づいたようだった。

 

「エルメス...」

 

 状況が理解できたのか、キノはため息を吐き指輪となっている相棒を睨み目の前で固まっている簪に困ったような顔をしながら説明をした。

 

「えっと...こいつはボクの相棒なんです」

 

「あい、ぼう? 」

 

「そうそう、よろしくね」

 

 軽口で話し始める指輪を見せるキノ。まじまじと黒い指輪を観察する彼女にエルメスが逆に質問した。

 

「ところでさ、さっきから君がしてたのってISの設計でしょ? 」

 

「!? なんで? それを...?」

 

「キノが寝ている間ずっと画面が見えててね、それにまだ設計の途中みたいだけどいつごろ完成するの?」

 

「それは...」

 

顔を下に向ける簪。目つきが鋭くなり目に涙を浮かべながら「あなた達には、関係ない」とだけ言い部屋を飛び出してしまった。部屋に残ったキノとエルメスは部屋の扉を見つめ呆然とする。

 

「...何かまずかったかな?」

 

「さぁ? ボクは知らないよ」

 

「まぁ、あれだね。愚痴は災いの元ってやつだね?」

 

「...口は災いの元?」

 

「そう!! それそれ!!」

 

 

 

 部屋を飛び出した簪は、人気の無い遼の屋上でベンチに座り涙を流していた。夜空に登る満月の光が流れる涙を照らしISを装着して空から簪を身守る一人の少女も照らしていた。

 

「かんちゃん...」

 

 簪と同じ青の髪を持つ女生徒は簪に近づこうとしたが、屋上に誰かが出て来た事により動かずにその人物を見た。

 

「えっと...」

 

 手にはビニール袋を持ち気まずそうに簪を見つめるキノ。

 

「あっ...」

   

 簪は慌てて目を拭い視線を下げて「ご、ごめんなさい...」と小さな声で謝罪をした。 キノも気にしていない事を告げ指にしている指輪を見せて、エルメスが悪かった事を謝罪した。

 

(キノ、誰かこっち見てる。しかもIS使ってる)

 

 キノは小さく頷き、辺りを見渡そうとして、ぐっ~~と腹の音が聞こえ簪が慌ててお腹を抑えた。顔を赤くする簪にキノは苦笑しベンチに腰掛けて、簪にも一緒にどうですか? と声をかけ袋からパンとジュースを簪に渡した。

 

(...誰なのあの子? 簪ちゃんとあんなに仲よく...)

 

 ISのカメラを使い二人が楽しそうに会話している姿を見て顔をしかめる少女。時折、笑顔になる簪を見てIS乗りーー簪の姉である楯無はキノを睨みつけるのであったーー 

  

   

「ねぇ、その指輪なんだけど...」

 

 その後、部屋に戻った簪がエルメスについて聞き、さっきから黙っていたエルメスが返事をした。

 

「あぁ、これね。実を言うとISなんだよね~~」

 

「エルメス...」

 

「仕方ないじゃん、ここでごまかしてもスパイか何かって勘違いされるだけだし」

 

 口の軽い相棒にため息をつくキノ。

 

 「IS!?」

 

 

 簪が突如、キノの手をつかみ目を輝かせながら、このISはなんで話せるの? どこの企業が開発したのか次次と質問し始めた。キノもエルメスも彼女の変貌に驚きながらも、黙秘したり多少嘘を交えながら質問に答えるのだった。

 

 そして、質問が終わると今度はエルメスを見せて欲しいとまで言われそこまではできな

いと強く断った。がっかりして肩を落とす簪だが、その後も三人の会話が就寝する前まで続くのであった。

 

 

 

 

   

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

  


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