「あれ~~? きー君じゃない?」
キノに抱きついてきたウサギ耳のような機械を頭につけたピンク髪の女性は不思議そうにキノが着ているコートを見つめ何かを呟く。下敷きになり砂まみれになったキノは目の前の女性を警戒しつつ体を起こし声をかける。
「あの...」
「ん? 君、誰? きー君と同じコート着てたから、もう~~違ったじゃん!!」
頬をふくらませ可愛く怒りキノを睨みつけ立ちあがり、今度は傍にたエルメスに目を向ける。なんでこんなとこにバイクが? と謎の女性がエルメスに触れると
「なんだか不思議な人だね? ねぇキノ?」
「うわ!! モトラド!? ねぇ、どこから声出してるの? それと、どうやって動くのかな? 」
「え、あ...その...」
エルメスが相当気に入ったのか、キノが困っているのに関わらず女性はエルメスのエンジンやタンク等を触り始めエルメスが何度も強くやめるように声を出すがそれでもやめない。
「すみませんが...ここはどこなんですか?」
今だにエルメスをおさわり中の彼女の背に声をかけると、エルメスを触るのを止めキノの方を向く。
「ん~~ここは束さんの秘密基地だけど、そもそも君たちどうやって入って来たの?」
自分の事を束と呼ぶ彼女の言葉に首をかしげるキノ。それがどういう意味なのか聞こうとしたが、ひとまず基地に行こうと束に言われ、夕陽が大分傾き暗くなった砂浜を後にした。
「うわ~~すごいねキノ?」
機械に囲まれた部屋を見て声を出すエルメス。それらが何のために使う物かキノには分から無いが、部屋の中心に置かれた二つの機械が目立っていた。
一つは全体が銀で出来ており、まるで人が乗れるスペースがあった。さらに、もう一つは全体的に黒で染まっていて、こっちの方は人の乗れるスペースは無かった。
「どう? この束さんの手製IS。すごいでしょ?」
「あい...えす?」
「え? もしかして知らないの?」
キノが頷くと、まるで信じられない と言ったような表情を浮かべる。一人と一台は初めて聞いた事を告げると束は空中に画面を出現させ、それにキノとエルメスが驚く。 出現した画面には先ほど束が言ったISと言う物がどうゆう物なのかが音声つきで説明される。
インフィ二ット・ストラトス
通称ISは、宇宙進出に向けて作られた発明であり、様々な機能が搭載されその性能から最強の兵器とも呼ばれており。ISを倒せるのはISだけと言うのが世間における常識ともされている。
また、ISの中核とも言うべきISコアは開発者である 篠ノ乃束 にしか作れない事も説明に含まれていた。そして、画面に表示された青い星ーー地球をみて
「キノ、この惑星キノがいた星と違う」
「え?」
ーー数分後、一人と一台は空中に浮かぶ画面を眺めていた。内容は歴史だったり、科学技術だったりと、ありとあらゆる物でそれらを見てある事が分かった。いや、分かってしまった。
「キノ...どうやら僕ら遠い所どころか...別の惑星に来ちゃってた見たい...」
「...あぁ、そうだね。エルメス」
そっけなくキノが答え少し黙っていると「これから、どうしようか?」とエルメスが聞き、ため息をついていると
「じゃさ!! 私にいい案があるんだけど!!」
キノ達の暗い雰囲気を吹き飛ばすかのように話しに割り込む束。彼女の提案とは、自分の仕事を手伝う変わりに衣食住などを保証する と言うかなりいい話だった。そして、彼女の言う仕事をキノが引き受けーー数ヶ月後。
人口の島にあるモノレール駅からキノが出て、今はいつもの旅で着ていた服装ではなく白を基準とした制服を着ていた。
周りにも同じ制服を着た女生徒達がいたが、キノだけズボンを穿き少し浮いていた。
「と、そろそろ時間かな?」
(初日から遅刻すると目立つよ? ただでさえ今も浮いてるんだから)
エルメスの声に黙って頷き、他の生徒達に混じり学園に進むキノ。そしてキノの右手の指には黒の指輪がはまっており、指輪から誰にも聞こえない声で「あ~~暇」とエルメスの声がするのであった。
今年最後の更新になりましたが、来年もよろしくお願いします!!