キノの旅×IS リメイク   作:un

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番外編 5 ドイツと旅人 1

 ドイツ軍基地の射撃所にて。

 

 パンッ

 

 一発の銃声が鳴り、的の真ん中に綺麗な穴が開く。

 

 「あの距離を正確に...」

 

 ラウラの隣に立つ女性クラリッサがつぶやき、他の隊員達も一人の人間の射撃を見て驚く。

 

 「...やりづらい」

 

 キノは借りた軍服を着て、フルートの弾倉を再装填する。

 

 「どんな時も平常心」

 

 

 首に鎖を通して下げている指輪から、エルメスが小声で言い、キノは返事を返さず一発、また一発と発砲し、これもまた命中させた。

 

  

 何故キノはIS学園でなく、遠く離れたドイツにいるのか。それは、昨日の昼時ーー

 

 

 「え? ラウラ、ドイツに帰るのか?」

 

 「あぁ、一時的にな。ISの整備やら、隊の者達にも報告があってな」

 

 食堂にいた一夏達は、ラウラが明日から三日間IS学園を離れる事を告げられ、少し驚いていた。

 

 「そうか、少し寂しくなるな...」

 

 「なっ、だ、大丈夫だ!! 何かあればすぐに戻る!! お前は、私の嫁なんだからな!!」

 

 一夏のつぶやきに必死になるラウラ。箒達がにらみ、周りの視線が集まるが一夏は気づかす、ラウラをなだめる。

 

 本当なら、一夏を連れて行き二人で旅行。とも考えたが、一夏は男性操縦者で、世界中から狙われているし、IS学園から勝手にでる事はできない。

 

 例え明日から連休が始まるといえど、生徒は担任から許可書のサインをもらわなければならない。

 

 箒達はさっそく、一夏をどうやって誘うか悩む中。ラウラは、

 

 「さて、クラリッサ達の土産はどうした物か...」

 

 日本のアニメグッズは買い占めた、しかしそれだけでは物足りない と考えた時。食堂の端で見覚えのある人物を見かけ、ラウラが向かう。

 

 「キノ、お客さんだよ」

 

 「ん?」

 

 キノが顔を上げると、ラウラが「獲物を見つけた」ような目をしてーー

 

 「ちょうどいい、お前の実力を見てきたい」

 

 と一言告げられ、ドイツへの同行を言い渡された。いきなりの事でキノは断り、書類がない事を告げるが、ラウラが無理やりキノを連れ職員室に入り、さっそく千冬に事情を伝えると、ほんの数秒でサイン入りの許可書が返ってきた。

 

 その時の千冬の顔は、かつて盗賊から金品を巻き上げた時の師匠と同じ目をしており、キノは何も言えず、そのままの流れでラウラと共にドイツに入国して数時間後。

 

 迎えにきた軍車両に乗り、軍の施設に二人が入る。

 

 「お待ちしておりました、隊長」

 

 ラウラが隊長をしている部隊の女性たちが敬礼し、キノとラウラを出迎える。副官であるクラリッサと言う女性が、キノの事を聞きラウラが「ライバル」だと答え、その場に衝撃が走る。

 

 「そ、それはどういう事なのでしょうか!?」

 

 「ら、ライバルとは!?」

 

 隊員達の質問にキノは「友人です」と答え、落ち着くのに時間がかかる。

 

 その後、射撃場に案内され、キノはラウラから撃つように言われ、カバンの中に入れていた「カノン」と「森の人」を出し、簡単な整備をする。

 

 

 「隊長、彼の実力は確かなのですか?」

 

 「ずいぶん古い銃ですが?」

 

 隊員のが聞き、黙って見ている事を告げる。後、性別の訂正を告げると、隊員達がさらに驚く。

 

 「さて...」

 

 右手にカノンを持ち、遠くにある的に向け発砲する。轟音が響き、弾は真ん中に命中し、続けて5発とも同じ所が当たる。

 

 次にキノは、腰に吊っている森の人を素早く左手で抜き。これも、的確に当てる。

 

 「最近練習してなかったけど、腕は鈍ってなくてよかった」

 

 キノはつぶやき、カノンと森の人の弾を装填していると、隊員達が駆け寄り

 

 「す、すごい...ほとんど命中率している」

 

 「あ、あの。一体その銃はどこで手に入れたのですか?」

 

 キノの腕を見て、隊員達が質問攻めをし、いつの間にか周りには人が増えていた。

 

 代表候補であるラウラが連れたきたというのもあるが、先ほど見せた射撃を見て人が増えていた。

 

 その後も、二丁の練習をしたキノは、カバンから折り畳み式のライフル「フルート」を組み立てる。

 

 「そんなライフル初めてみた、どこで手に入れたんだ?」

 

 と、ラウラが聞き「旅をしている時にもらいました」とキノが答え、フルートで射撃をした。そして、フルートの射撃をしているうちにギャラリーたちに見られ今に至る。

 

 三丁の射撃が終ると、隊員だけでなく一般の兵達がキノに駆け寄る。

 

 どこで、その銃を手に入れたのか?

 

 どこの国の所属で、訓練をしてきたのか?

 

 よければ、軍に来ないか?

 

 など、声をかけられ。さらに、キノの持つ三丁の内どれかを譲ってくれと言われるが、キノは丁重に断りながら質問に可能な限り答える。

 

 銃は一時、家族と旅行した際にどこかでを購入したとごまかし

 

 自分は日本出身で、知り合いに銃に詳しい人がいて教えられた事

 

 今、IS学園に所属しているため軍には入れない事を告げる。

 

 やがて、質問の波が収まった頃

「...疲れた」

 

 案内された腰のベッドに横になりキノがつぶやく。

 

 「お疲れ、こんな風に質問攻めなんて、あの国いらいだね」

 

 「あぁ、そうだね」

 

 キノが短く答え、しばらく沈黙になる。

 

 「あぁ、そういえば」

 

 キノが何かを思いだし、端末を開く。

 

 「ドイツってなにが有名なんだろ? 何かおいしい食べ物とかあるかな...」

 

 「食いしん坊、お昼にあれだけ食べた癖に」

 

 「ここの料理はもちろん美味しかったよ、けど、せっかく外国に来たんだから堪能しないと」

 

 「キノ? お姉さんたち、キノの性別知った後も驚いていけど、食べてる所見ててかなり驚いてたよ?」

 

 「特にお腹おさえながら」とエルメスが付けたし、キノは「ごはんが足りなかったのかな?」と首をかしげるが、エルメスは「そんなに食べてなんで太らないのか?」と女性たちの心の声を察知していたが、キノには伝えなかった。

 

 ドイツでの滞在は3日。残りの2日で、キノとエルメスが予定を話し合い、時間が過ぎていく。

 

  

 

 

 

  

 

 


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