束が装置を機動させ大きな光が生まれる。
「皆さん、今まで本当にありがとうございました」
キノが光を背にし、一夏や千冬達に最後の別れを告げる。
「俺の方こそ...ありがとう...キノ...」
一夏が、涙をこらえながら答え後ろにいる箒達の目から涙がこぼれ落ていた。
これまで共に学び、戦ってきた仲間との別れを前にして涙が止まらない。
「いっくん...きーちゃん...」
二人を見つめる束は、今すぐにでも機械を止めようとする自分を必死に抑えつけ涙を流していた。
ほんの数秒。一夏とキノは見つめ合う。
「それじゃ...」
先にキノが背を向けて、光の元に歩き、キノと共に帰る彼らの元に立つ。そして、光が大きくなりキノ達を包み込もうとした時、一夏が前に出る。
「キノ!!」
一夏はキノを見つめ、口を開く
「俺も...俺もいつか旅人になってみる!! そしてキノみたいに世界の美しい物を見ようと思う!!」
一夏の発した言葉に全員が驚き、キノは
「はい...一夏さんなら、きっとなれますよ」
優しい目で一夏を見つめ、キノはそう答えてーー
「また、どこかで!!」
光に包まれたキノが一夏達に最後の挨拶をし、一夏達もーー
「「「「 また、どこかで!! 」」」
一夏達が答えた瞬間。光が大きく輝きを放ち、一瞬でその場から消えるのだったーー
...10年後
本格的にISが宇宙へ向けての開発が行われ、地球外への調査等が行われていた。
そして、この日。
宇宙の長旅から白いISを纏った一人の男性が帰還し、誰もが彼の生還を喜んだ。
IS学園に新しく作られた、宇宙への打ち上げの基地にて。
かつて、この学園でただ一人のIS操縦者だった彼は、いち早く出迎えてくれた愛する人と我が子。そして、姉や仲間達に笑顔で
「世界は美しかったよ」
と答えるのであった。
さらに数年の時が経ち。
彼の調査のおかげで人々が星への移住が可能となり、誰もが宇宙への旅に憧れを抱く時代となっていた。
そして、旅人となった彼は歳を重ねその命も尽きかけていた。
彼を見守っていた姉は安心し先立ち、学友や先輩達も皆それぞれの人生を歩み、永遠の眠りにつき。最後に残ったのは彼が愛した女性だけで、彼女の命も尽きようとしていた。
「一夏...」
「あぁ、すまない...今までこんな私と一緒にいてくれて...ありがとう...」
ベッドに横になる彼に、女性は最後の力を振り絞り車椅子から降りて、彼の顔に近づき手を強く握った。
「いいえ、私は貴方を愛していたからいいの。だから一緒に...眠り、ま、...しょ...」
「...本当に、あり、がと...う...」
二人は手を握りしめたまま、安らかな顔をしたままその生涯を終えるのだったーー
更新は遅くなりますが、よろしくお願いします。