クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~デバステイター~   作:Mr.エメト

8 / 39
反逆者-リベリオン-

反逆者-リベリオン-

 

 

「三度の出撃で、この撃墜数・・・アンジュとリュガは大したものだよ」

 

執務室にはジルを初めジャスミン、マギー、サリア、メカニックのメイが集まっていた。

リュガの機体プルート、アンジュの機体ヴィルキスの活躍で襲ってくるドラゴンを全て排除してきた。

その結果を報告しているのであろう。

 

「いままで、誰にも動かせなかったヴィルキスを乗りこなしている物ね」

 

「たぶん、ヴィルキスがアンジュを認めた。リュガのプルートも」

 

「始めるとしようか・・リベルタスを」

 

ジルの言葉から出た"リベルタス"。

大規模な計画がいよいよ始まろうとしていたのだ。

 

「不満かサリア?」

 

「……すぐ死ぬわ。あの二人」

 

「アンジュはゾーラ隊長を負傷、リュガは単独で危ない戦いをしているものねぇ」

 

―回想 戦闘区域―

 

スクーナー級ドラゴンを撃ち落とすアンジュ。

だが、ロザリーはワザとアンジュ目掛けて砲弾を放つがアンジュはこれを回避する。

ヒルダが止めを刺そうとするが、アンジュは突き飛ばし、ガレオン級ドラゴンに凍結バレットを撃ちこんだ。

獲物を横取りされて、舌打ちをするヒルダ。

 

一方のリュガはガレオン級ドラゴンが放つ光弾を避けて接近、右手武器が油圧カッターとなり顔を縦に切断する。

チェーンソーに換装して、切断した顔から突き刺し、そのまま下まで切り裂く。

ガレオン級ドラゴンはまるでアジの開きとなる。

最後に心臓に凍結バレットを撃ちこむというこれほどにもない追い討ちをする。

海が凍結し、血の色が混ざった氷の塊が出来上がる。

ロザリーとクリスの方へと向き、二人が戦っているスクーナー級ドラゴン目掛けて、ダイヤモンドカッターを射出し撃墜する。

どうやら、リュガは獲物を横取りする気でドラゴンを討伐したのだ。

 

最後のガレオン級ドラゴンを仕留めようと、アンジュとリュガはお互い譲る気配もなく攻撃を仕掛ける。

ヴィルキスは接近し、剣を持ちドラゴンの顔面を連続で切る。

プルートは油圧クラッシャーとなりドラゴンの腹部を連続で穿つ。

 

「邪魔しないでくれる?」

 

「そいつは無理な相談だ」

 

言い争っているうちに、二人は次々と部位破壊をし、最後にアンジュとリュガが同時に止めを刺す。

ドラゴンは血ダルマになって海へと落ちていく。

 

 

―回想 終了―

 

 

今日のアンジュとリュガの無茶苦茶な戦闘を思い出すサリア。

 

「私なら、もっと上手くヴィルキスを使いこなせます!!」

 

「適材適所というやつだ」

 

ジルはバッサリ言うが、サリアは尚も食い下がる。

 

「もしも、ヴィルキスとプルートに何かあったら……!!」

 

「その時はメイがあの二機を直す!!命を懸けて、それが私たち一族の使命だから」

 

「しかし、黒鋼・ホクトという名前を聞いたとき、驚いたねぇ。

 あのDr.パブロフの――エルドの息子だから乗れたというわけかい」

 

「お前はお前の使命を果たすんだ、いいね?サリア」

 

「でも、これからが忙しくなりそうだね」

 

「気取られない様にするんだ。特にエマ監察官にはな」

 

話が終わり、サリア、メイ、マギーが部屋を退室。

 

「ジル、あんたはどれだけ利用するのかい?」

 

「利用するものはなんだって、利用するさ。地獄は見て来たからな」

 

煙草を義手で握り潰すジル。

 

◆アルゼナル 給与カウンター◆

 

昨日のドラゴン討伐、弾薬、燃料消費、装甲修理など計算し、報酬金を受け取っている。

 

「撃破数スクーナー級3、ガレオン級へのアンカー撃ち込み。

 弾薬消費、燃料消費、装甲消費等を差し引きして今週分は18万キャッシュ」

 

「っち、これっぽっちか」

 

少ない報酬金を受け取るロザリー。

 

「まだ、良い方だよ。私なんて一桁だから……」

 

クリスはハァーとため息している。

彼女が扱う機体はハウザータイプ。

砲撃戦が得意のパラメイルだが、中々稼げないためカスタマイズされてない。

そのため、被弾が目立つため一桁しか貰えないことが多い。

 

「ヒルダは?」

 

ロザリーの問いに、ヒルダは分厚い札束を見て二人は感動している。

 

「アンジュは550万キャッシュ、リュガは600万キャッシュ」

 

アンジュとリュガの大金を受け取っていた。

 

「アンジュ、リュガ。やるー!!」

 

「大活躍ですものね」

 

ヴィヴィアンとエルシャは二人の活躍に褒めている。

しかし、アンジュとリュガは必要な資金だけはとり、残りは預金した。

 

◆女子用更衣室◆

 

アンジュは自分のロッカーを開けると、中が落書きされており制服がボロボロとなっていた。

 

「また、貴方達ね」

 

「さぁーねぇ~」

 

サリアが注意するのだが、ロザリーはしらを切っていた。

だが、アンジュはボロボロになった制服を身に纏い、ロザリーを睨む。

瞬時に近づきナイフを抜き、空を切る。

ナイフを納めると同時に、ロザリーのライダー服が切れ、胸が見てしまう。

 

「ひゃああああああああああ!?」

 

「うざ」

 

アンジュはただそれだけ言って更衣室を出る。

 

◆アルゼナル 食堂◆

 

「大丈夫ですよ、仕事も慣れてきましたし私がいる限り秩序を・・・」

 

父に仕事の報告をしているエマ。

コーヒーを飲んでいる最中、アンジュの姿が目に入る。

ボロボロの制服を身に纏っており、思わず吹いた。

 

「と、と、止まりなさい!!」

 

アンジュは後ろからの声を聞き、立ち止まる。

 

「あなた、その恰好は何?秩序を乱す服装は慎みなさい。

 まったく、そんな恰好をして恥ずかしくないのですか?」

 

「監察官殿は、虫に裸を見られて恥ずかしいと思いますか?」

 

「えっ?」

 

アンジュはそう言って敬礼して立ち去った。

今度は食堂の方で騒ぎが起きている。

何かと思い、戻ると、リュガと別部隊ライダーと取っ組み合いになっている。

いや、リュガの方が優勢で相手は戦意喪失している。

リュガはそんなのお構いなしに相手の髪を掴み、今にも殴りにはいろうとするが・・・

 

「そこ!!やめなさい!!」

 

「なんだ、監察官?」

 

「どういうことか、説明しなさい!!」

 

「こいつらが俺にケンカを売ってきたから力の差を解らせてやっただけだ」

 

リュガの視線には、既に軽く痛めつけた二人が泣いていた。

 

「だからって、髪を掴んで顔を殴ろうとしましたわよね!!」

 

「肩か腹に殴ろうとしたがな」

 

「屁理屈を言わない!!この件は司令に注意しておきますからね」

 

「了解」

 

リュガは心の中で舌打ちをし、相手の髪を離す。

 

「俺やアンジュの事を気にくわない連中がいるからケンカを吹っかけて来たんだ。

 監察官なら、こういう陰湿な連中に目を光らせてほしいもんだ」

 

リュガは連中に鋭い睨みをつけて、食堂を後にする。

エマが一番悩ませる事になるのがリュガだろう、胃が痛くなりそうだ・・・。




◇登場した工具・重機◇

油圧カッター(鉄骨切断機とも呼ばれ単純に言えば建物などを斬るためのハサミ。ドラゴンの皮膚も簡単に切り裂くことができる)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。