クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~デバステイター~ 作:Mr.エメト
この作品は必ず完結させます!!
サラたちと再び会えたがサラは鼻をおさえていた。
「しばらく見ない間にとても淫らになって、それに風下だと何だか臭いますわ」
「ううっ……」
サラに痛い所を突かれるアンジュは思わず表情を歪め、リュガは首を傾げる
「コックピットに入っていたら臭いはしないだろう?なんで解るんだ?」
「龍神器のコックピットは気圧や空気を安定するためには外の空気を取り入れるんだよ」
ゼランディアが説明し、そういう設計なのかと納得するリュガ。
トリアングルムたちが行動を開始し、襲い掛かってくる。
「来るか……!!」
デネボラの手に持っているランスが形状変化し、三又の槍トライデントとなる。
対してプルートは両手をチェーンソーに変形させて、鍔迫り合いをする。
スピカは氷の剣を六つ生成し、放つがサラは剣を抜き、叩き斬る。
遅れて、エルシャとクリスも現れるがゼランディアが向かおうとするが―――。
「ゼラ!!その二人は俺たちの元仲間だ!!だから……」
「殺すなって、言いたいのか?解った!!」
剣を振りかざして、牽制する。
しかし、アルクトゥルスはアンジュを追跡する。
「どけっ!!」
プルートはデネボラを蹴り飛ばして、急いで後を追いかける。
◆◆◆◆
ミスルギ皇国へと向かっていたタスク達。
ココ達は別の場所で待機を命じられていて今は居ない。
しかし、ミスルギ皇国の状況の異変に気付いたロザリーが皆に問う。
「おい皆、何か変だ。もう戦闘が始まってる!」
「クンクン…!タスク!ヒルダ!アンジュあっち!!」
「えっ?」
「はぁ?」
タスクとヒルダはヴィヴィアンの反応を見て振り向く。
「アンジュ、あっち~~!!」
そう言ってヴィヴィアンは違う方向へと向かって行く。
「クソっ!どうなってるんだよ!?」
そう舌打ちをするロザリー。
すぐにヴィヴィアンの行動に気付いたタスク。
「そうか!ヴィヴィアンはシルフィスの一族だから分かるんだ!」
すると、ヴィヴィアンの言う通り、ヴィルキスの姿が確認。
「助けに来たぞ!アン……『アンジューー!!』うぐ!?」
ヒルダが言おうとした時にタスクがアンジュに向かって叫んで、それに割り込まれた事に思わず言葉を詰まらせる。
アンジュはタスクの声を聴いた途端に目に涙を出て来る。
「タスク!!」
だが、背後にアルクトゥルスが迫っており4つの黒い石板を合体させて拡散熱線を放つ。
「こんな時に!!」
「来るぞ!!散開!!」
ヒルダの声に、一同は散開し熱線を避ける。
地面が抉り飛び、木々が吹き飛び、湖から水柱が大量に上がる。
「オラアアアアアアアアアアアッ!!」
リュガは気合を入れた声をあげるとともに右手のパイルバンカーをアルクトゥルスの背中に叩き付けた
背後の攻撃に対処できないのかアルクトゥルスはバランスを崩し、地面に落とされた。
「……あんときの借りを返したぞ」
追手が来ないうちに、脱出しようとしたその時、モモカに異変が起きる。
「うっ!」
「モモカ?どうしたの?」
アンジュがモモカに問うも、モモカは何も答えずにアンジュの手を掴み、操縦桿から離す。
それにアンジュは驚きながら動かそうとするも、モモカの力とは思えない程の腕力でビクともしなかった。
徐々に高度を落として行くヴィルキスの異変にリュガ達は気づく。
「どうしたんだ!?」
通信からゼラディアの声が入る。
『おそらくエンブリヲが操作しているんだろ。マナを生み出したのアイツだからそれくらい造作もない』
言い方を変えればマナを持つ人間はエンブリヲの操り人形みたいなものだ。
急いで、ヴィルキスを追いかけるタスクとリュガ。
ヴィルキスは近くのビルの屋上へと不時着してアンジュとモモカは外に放り出される。
ぶつかった衝撃でモモカは正気に戻ったようだ。
「あれ?私は今……」
「モモカ!?」
「やれやれ、強情な花嫁だ」
聞き覚えのある声にアンジュはもの凄く驚いた表情をし振り向くと、近くのベンチに座っていたエンブリヲが居た。
エンブリヲは呼んでいる本を閉じて、立ち上がって人差し指をアンジュに向ける。
「またお仕置きが必要かな?」
「っ!!!!」
エンブリヲの指を見た途端、アンジュの心に途轍もない恐怖心が襲い掛かろうとしていた。
エンブリヲの足元に斧が刺さり、投擲した方向を見ると。
機体から降りたリュガとタスクはアンジュ達の元に行く。
「アンジュ!!」
「無事か!?」
「タスク!リュガ!」
「ふむ……カノープスめ逃がしてしまったのか」
「いやはや、申し訳ないね」
声がする方を見るとカノープスだ。
「てめぇ、父さんはどうした!!」
「……どうなったと思う?今頃はボロボロに倒れているよ」
◆◆◆◆
一方別の場所で待機をしていたココ達。
「皆…」
「無事アンジュを助けられると良いけど…」
ココとミランダはタスク達がアンジュを救出できるか不安に思っていた時だった。
「もう駄目!私行く!!」
「ええ!?」
「駄目よ!タスクさんやリュガさん達が此処に居ろって命令されたでしょ!」
ココとミランダがマリカに待つようにと命令をするも、マリカは自分の我慢を抑えられなかった。
「でも……今行かなきゃロザリーお姉様が危ないもの!!」
そう言ってマリカはココとミランダの命令を無視して飛び立ってしまった。
◆◆◆◆
「アンジュ、ここは俺たちに任せて逃げろ」
「……二人とも、気を付けて」
アンジュとモモカは逃げ出し、タスクとリュガはエンブリヲとカノープスの前に立つ。
「ヴィルキスの騎士イシュト・ヴァーンとメイルライダー、バネッサの子………タスク!!」
タスクは自分から名乗りをあげながら走り出す。
「最後の古の民にして…アンジュの騎士だ!!」
そう言った瞬間にタスクは閃光手榴弾を投げ、閃光手榴弾の閃光にエンブリヲとカノープスは思わず目がくらむ。
エンブリヲはタスクが言った言葉、アンジュが言ったタスクを見て睨む。
「くっ…!そうか貴様が!」
「余所見をすんな!」
リュガの回し蹴りがエンブリヲの首を捉える。
きりもみに吹き飛ばされるエンブリヲだが、何事もなかったかのように起き上がる。
「ちっ……本当に死なないのかよ」
「こっちですよ」
カノープスが眼前に迫り、右手を振り下ろすがリュガはかわす。
立っていた場所が五本線に抉れている。
「っ!?なんだ、あの威力!?」
「ふふふ、造作もない事だよ。少し能力を使えばね」
カノープスの能力に驚かされるが、なんとかアンジュが仲間たちと合流するまで時間を稼ぐ二人。
◆◆◆◆
ラグナメイル、デネボラとスピカと戦うサラたちだが、敵の機体の性能が上でアウラの所までいけない。
「はやり今の戦力ではアウラを………」
サラはナーガとカナメに通信を入れる。
「引きますよ、カナメ、ナーガ」
『『ええっ!?』』
二人はサラの言った言葉に驚きを隠せず、サラはそのまま言う。
「現有戦力でのアウラ奪還は不可能です。一度引いて体制を立て直します」
そう言ってサラは皇宮のそばに隠れているリィザに言う。
『リィザ、聞こえますか?貴女も合流するのです。
貴女に何があったのか今は問いません。
ですが多くの仲間を死なせた事を悔やんでいるのなら、より多くの仲間を救う為共に戦いなさい!』
「サラマンディーネ様……」
その事を言われたリィザは少しばかり考えた後、決心を決めて外に出て飛ぼうした時だった。
彼女の近くの壁に銃弾が当たり、それにリィザは撃って来た方を見ると、
ライフルを不器用に構えたシルヴィアがいた。
「大人しく地下牢に戻りなさい!さもなくばエンブリヲおじ様に切開してもらいますわよ!」
「……哀れな子、ジュリオは、あなたのお兄様を殺したのは…あの男だと言うのに」
「な、何を言って?」
リィザの真実の話に思わず困惑するシルヴィア。
そしてリィザは空へ飛んでいき、それに慌てるシルヴィア。
カナメの碧龍號がリィザを乗せて飛び立ち、サラはビーム砲を撃ちまくった後にナーガ達とそのばから撤退した。
「くそっ!逃がすか!!」
ターニャが思わず追いかけようとした所をエルシャがそれを止める。
「深追いは駄目よ……ん?………っ!!」
エルシャは皇宮の側の庭を見ると
アルクトゥルスの熱線の巻き添えを食らってしまった子供たちが死んでいて、
それにエルシャは思わず目を見開いてしまう。
「あっ……あっ……」
一方、クリスと対峙してるヒルダたち。
「ぐぅぅっ!クリス強ぇぇ…!」
ヴィヴィアンがクリスの強さに思わず声を出し、ヒルダは舌打ちをして睨み返す。
「くそっ…!」
「待ってくれよクリス!!」
ロザリーは必死にクリスに問いかけ、見捨てた事を必死に否定していたが、クリスはそれを耳も傾けず、自分の八つ当たりを人にぶつけていた。
ヒルダはどうすればいいかと考えていた所に。
「お姉様ーー!!」
マリカがのるグレイブがやって来て、マシンガンを撃ちながらクリスに向かって行った。
それにヒルダ達は足を止めて、マリカを止める。
「やめろ!マリカ!!」
「邪魔…!」
クリスがラツィーエルを投げて、マリカに向かって行く。
それにマリカは思わず目を瞑った。
しかし、金色の閃光が奔り――ゼランディアが刀を抜きラツィーエルを切り払う。
「……無事か?」
「あ、ありがとうございます」
「……急いでここから、離れるぞ。死にたくない奴は急いで後をついてこい!!」
ゼランディアの号令に、ヒルダたちは驚くが頷き後をついていき、戦線から離脱する。
◆◆◆◆
なんとか逃げようにもエンブリヲがマナを持つ人間たちによって行くてを阻まれていく。
まるで誘導されるかのように……、そして、たどり着いたのが、何処かの庭園だった。
優雅に紅茶を飲むエンブリヲとカノープスが待っていた。
「くッ……」
「もう、逃げ場は無いよ。アンジュ……」
エンブリヲはゆっくりと歩むが、タスクとリュガなんとか追いついてアンジュを庇う様に立つ。
「ふむ……しつこいね。やれ」
エンブリヲは操作して、モモカを操る。
手には剣を持っており二人に斬りにかかる。
「モモカ!?」
「マナを持つ人間達は私の支配下にある。忘れたのかね?」
エンブリヲに言われた事にアンジュはエンブリヲを睨みつける。
しかし、エンブリヲは徐々に表情を恐ろしくしていく。
「また、調教しないといけないようだね」
アンジュは恐怖に染まった顔になり、一歩ずつ後ろへと下がる。
「モモカ!!負けちゃダメ!!戻って来なさいよ!!」
アンジュの声を聴きモモカの目が正気へと戻った。
そして――――。
「タスクさん……アンジュリーゼ様をお願いします!!」
「モモカさん、なにを!?」
タスクはモモカの言葉に振り向き、モモカはエンブリヲに向かって行く。
ふらつきながらも剣を振り下ろし、アンジュを引き離してエンブリヲに向かって行く。
「フッ、愚かな」
エンブリヲは銃を構えてモモカに目がけて撃ち、それにモモカは胸に銃弾を受けてしまう
だが、そのままエンブリヲに向かって行く。
「マナの光よ!!」
モモカは車をマナで動かし、エンブリヲはまだ動けるモモカを見て驚いた。
「何……!?」
「やああーーーーッ!」
モモカはそのまま剣をエンブリヲに向かって突き刺し、
車はモモカとエンブリヲに突っ込んで行き、二人を巻き込んで壁を突き破って崖へと落ちて行く。
「モモカ!!」
アンジュはすぐさま崖へと落ちて行くモモカに向かうも、既に落ちて行ってしまい、車は地面に直撃して爆発していった。
その光景を見てしまったアンジュは信じられないまま唖然としてしまう。
「モモカーーーーー!!」
いつの間にか傷一つないエンブリヲが立っていて、銃を構えて笑っていた。
「エンブリヲ!!」
「この私があのくらいで終わると思っていたのか?
私から離れて行ったホムンクルスなど、もう私には必要ない」
「てめぇぇぇぇぇ!!」
リュガはエンブリヲを殴りに掛かろうとするが、カノープスが阻みリュガの首を掴む。
「やはり君は危険な存在だね。このまま殺してあげるよ」
ミシミシッと力を入れて、リュガの首を圧し折ろうとする。
「うぁぁ……がぁ……!!」
なんとか振り解こうとするが、だんだんと抵抗する力が無くなり意識が遠のこうとするが……。
―――ドゴッ!!
「っ!?」
「俺の息子に手を出すな……!!」
カノープスを殴り飛ばしたのはエルドだ。
「父さん…!!」
「ワリィな、遅れちまって」
だが、エルドはボロボロになっていた。
あの時の地下祭壇で傷を負っていたのだ。
「やれやれ、君もしつこいね。無駄だというのが何故、解らない?」
タスクは隙をついて、アンジュを空中バイクに乗せてとある場所へと登録する。
「君は生きるんだアンジュ。必ず戻るから…君の元に……」
タスクは笑顔でアンジュに言い、それにアンジュは頭を横に振る。
「駄目…駄目よ!タスクッ!」
次の瞬間、タスクがアンジュに突如キスをする。
それにアンジュは思わず唖然とし、少し頬を赤くする。
キスを終えたタスクは持っているネックレスをアンジュに渡し、バイクはアンジュを乗せて自動で飛び立っていく。
「タスク……!!」
「貴様!!」
その時、手榴弾が投げ込まれる。
現れたのはシュレディンガーだ、背中にはモモカを背負っていた
「落ちていくところをなんとか回収してね。しかし……この状況はあまりにも不利だ」
そう、ヴィルキスが無ければエンブリヲ倒すこともできない。
エルドは一つの決断をした。
「リュガ、お前は生きろ……」
強く抱きしめて、シュレディンガーへ渡す。
「シュレディンガー……いや、ニコル。リュガを頼む」
シュレディンガーは目を瞑り、リュガ、タスク、モモカと共に退避する。
エルドは傷だらけの体でカノープスを見据える。
「愚かな、神に勝つつもりかい?」
「……最後の希望は若者たちだ」
エルドは口に咥えていた煙草をプッと吐き、一気に駆け出す。
ポケットから金属製のボールを取り出し、操作する。
「後は頼んだ……リュガ!!」
カノープスに叩き付けてた瞬間―――――凄まじき閃光と爆炎が巻き起こる。
「父さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
リュガの慟哭が夕焼け空に響き渡る。