クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~デバステイター~   作:Mr.エメト

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ミスルギ皇国での戦い 前編

救出

 

 

「うあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

アンジュは生まれたままの姿で何やら床に転がりながら暴れまわっていて、それをエンブリヲは眺めていた。

エンブリヲがアンジュの感覚と痛覚を全て快感へと変化させていて、それにアンジュは苦しめられていた。

彼はそれを使ってアンジュの心を徹底的に落とそうとしていた。

ようやく快感である呪いが解けて、アンジュは息荒らした状態で床へと倒れ込む。

エンブリヲはアンジュのそばにより、アンジュを見ながら問う。

 

「どうだねアンジュ、これで私の妻になる気はあるかい?」

 

それにアンジュは息荒らした状態で、エンブリヲを睨む。

 

「ぜ…絶対…に……アンタの……妻に…は…ならな…い!!」

 

アンジュの心の強さはエンブリヲの感覚変化さえも折らせる事は出来ない。

しかし、エンブリヲはため息を少し出しながらアンジュを見る。

 

「はぁ…、やれやれ、困った子だ」

 

エンブリヲは指でアンジュ頭を突き、アンジュに再び快感の感覚を味あわせる。

 

「ああああああああああああああ!!!!熱いいぃぃぃぃぃぃぃぃいい!!!!」

 

アンジュは再び転がりまくりながら暴れ、エンブリヲはその部屋を出ようとした時だった。

 

「タ、スク……!!」

 

「ん?」

 

エンブリヲはアンジュの言った言葉に思わず振り向き、アンジュは目に涙を流し絶えながらタスクの名を言う。

 

「助けて…!!タスク……!!」

 

エンブリヲはつまらなそうに部屋から出ていくとカノープスが壁にもたれていた。

 

「やれやれ手こずっているようだね。あのお姫様は」

 

「おもったより、強情だが……やりがいがあるよ。そちらも同じだろ?」

 

「普通の人間なら、精神崩壊なのに耐えるんだよね。

 やはりドラゴンの血を引いているのか、壊れなくてね。

 ……だから、興味深いし面白いよ。まぁ、駄目なら生きたまま解剖というのもありだね」

 

カノープスもまた、嗤って次の事を考えていた。

 

 

◆◆◆◆

 

 

アンジュとリュガの帰りが遅いと感じたモモカはミスルギ王家の地下を調べてアンジュを探していた。

 

「アンジュリーゼ様ー!リュガさーん!何処ですか?!」

 

―――バシュバシュ!!

 

何やらムチの音がしたのをモモカは振り向き、その場に向かう。

その場には裸のまま吊るされたリィザの姿が居て、そシルヴィアがムチでリィザを痛みつけていた。

 

「全く!何て汚らわしい!そこで反省していなさい!!」

 

シルヴィアはその場から離れて行き、隠れて見ていたモモカはすぐさまリィザの元に行き、彼女を解放する。

下ろされたリィザはモモカに水を渡されて、それを飲み干すとモモカを見る。

 

「……ど、どうして」

 

「ジュリオ様と一緒に、アンジュリーゼ様を貶めた事、忘れはしません」

 

アンジュの誕生16年祭の時に彼女をノーマと暴露し、

彼女に酷い仕打ちをしたことを忘れはしないと言うモモカ。

 

「だから……アンジュリーゼ様に謝ってください。それまでは絶対に死んでは駄目です」

 

アンジュに謝罪を申し込むモモカ、それだけの思いにリィザの目に涙が浮かび上がって来る。

あの時、アンジュに酷い事をしたとは言え、だた謝れと言うだけで死んでは駄目だと言う事を言われれば、

涙を流さない者はいない。

 

「……皇宮西側の地下、皇族専用シェルター……彼女はきっとそこに居る」

 

それを聞いたモモカは有力な情報を手に入れた。

モモカはすぐにリィザを隠れる場所へと案内した後、まずアンジュの元へとすぐに向かった。

その次に、リュガを救おうと決意する。

 

 

◆◆◆◆

 

 

一方の地下祭壇で、リュガは酷い拷問をかけられていた。

カノープスが視覚、触覚、痛覚を狂わせて、骨が砕かれ、全身が血ダルマにされ、炎で焼かれ、氷に閉じ込められたりと。

だが……彼はそれでも耐えたのだ、サラとの約束を果たすためにも決して折れなかった。

カノープスは次なる手を考えるからといって、元の状態に戻した。

 

「……元の状態に戻ったとはいえ、恐怖が残っているな」

 

それは、心臓を鷲掴みにされかけた恐怖。

カノープスがあんなことをするのは簡単に殺せるという意味でもあるからだ。

 

「あんな事ができるのなら、勝てるのか……心配になってきた……」

 

いつのまにか弱気になりかけている。

ガチャリとドアが開かれ、顔を上げると―――エルドが立っていた。

 

「今度は父さんを使った幻か……」

 

「幻じゃない、俺は本物だ」

 

ペシペシッとエルドはリュガの顔を軽く叩き、きつけをする。

眼に光が戻り、潤ませる。

 

「と、父さん……。本当に!?」

 

「ああ、遅くなったな」

 

直ぐに拘束を解いて、自由の身になるリュガ。

 

「まずはアンジュを助けろ、彼女はここのシェルターにいる。

 それから、ここにお前らのパラメイルが置いてある」

 

エルドはここから脱出するための地図を渡す。

 

「父さん、俺……母さんの故郷の世界で全部知ったよ。母さんの最期とその覚悟も」

 

「………そうか」

 

エルドはリュガの頭をポンポンと撫でる。

 

「……辛い思いをさせて悪かったな」

 

「困るね~。人のペットを盗もうとするのは?」

 

カノープスが立っており、人差し指でチッチッ、とする。

 

「リュガ、走れ!!俺は後から追いかける!!」

 

エルドは拳銃を抜き、リュガは全速力で走る。

カノープスはヒョイヒョイと避けるが、リュガの回し蹴りがカノープスの顔に当たる。

よろけて、リュガはその隙にここから脱出する。

 

「やってくれたね……!!」

 

「何処に行くつもりだ?お前の相手は俺だ!!」

 

「いいだろう、まずは君から殺してやる」

 

 

◆◆◆◆

 

 

一方―――。

 

アンジュは完全に疲れ切った状態で床に倒れ込んでいた所にサリアが入って来た。

 

「不様ねアンジュ」

 

「サリア……」

 

アンジュは何とか目を動かし、サリアの方を見る。

 

「エンブリヲ様に歯向かうからよ、馬鹿」

 

「馬鹿はあなたの方よ、あんなゲス男に心中しちゃって」

 

「私にはもうエンブリヲ様しか残ってないもの。

 でもあんたは違う…ヴィルキス、仲間、自分の居場所…何で持ってる」

 

サリアはアンジュがどれだけ恵まれている事に羨ましがっていた。

しかし、アンジュは頭を横に振る。

 

「ううん、私は居場所だけは持っていなかった………」

 

アンジュの言葉にサリアは少し驚く。

 

「何時も居場所を作っていたのは、リュガの方だった。

 あいつは粗暴だけど、困っている人は放っておけなくて、

 ……痛みを悲しむこともずっと知っていた」

 

最初に来た時は、"殺人鬼ノーマ"と呼ばれていた。

母親の魂は機体に、自分はドラゴンの混血児と真実を知って心が壊れてしまうかと思っていた。

だが、それでもリュガは受け入れて前を歩き続けていた。

 

「そう……あいつがそうしているのね。

 でもさっきも言った通り、あんたは私やあいつよりも凄い物持ってるじゃない。

 変身なんてしなくても十分よ……これ以上私から奪わないで!」

 

そう言い残しサリアは出ようとして、再びアンジュの方を向く。

 

「出て行きなさい、エンブリヲ様が戻ってくる前に……。

 抵抗を続ければその内心を壊されるわ、それでも良いの?」

 

「えっ!?」

 

アンジュはサリアの行動に見開いて驚きを隠せない。

エンブリヲに忠実であるサリアが自分を逃がすなんて考えられなかったからだ。

 

「別にあんたを助ける訳じゃないからよ……不様なあんたを見たくないから」

 

そう言い残して出て行くサリア。

アンジュはサリアの首に手刀をかける。

 

「ありがとうサリア、これは助けてくれたお礼よ

 "逃がした"より"逃げられた"事にしておいた方が罪は軽くなるでしょ……!!」

 

「余計な…お世話よ…!この…筋肉…バカ……」

 

言い残した後にサリアは意識を失い、アンジュはサリアを寝かせて呼吸を整えている。

 

「アンジュリーゼ様!」

 

「モモカ!」

 

モモカと再会して、アンジュは走る。

奥の方にリュガの姿を確認し、合流して、急いでパラメイルを確保しに行く。

 

 

◆◆◆◆

 

 

その頃のエンブリヲ達はアケノミハシラでラグナメイルを使い、アウラのエネルギーである事をしようとしていた。

 

「諸君、揃ったな。ん?サリアはどうしたのだい?」

 

「それが何処を探しても見かけていないのです」

 

エンブリヲは頭を抱えながらも、ホログラフィック端末を展開させる。

 

「カノープスも帰ってこないな……ふむ」

 

見ると、アンジュがいなくなっておりサリアが気絶させられていた。

 

「逃げられたのか……?」

 

「リュガも逃げられてしまったよ、思わず邪魔が入ってね」

 

扉からカノープスが入ってくる所々、返り血がついていた。

 

「そちらもか?」

 

「だが……痛め付けておいたから、追ってはこないよ。

 それに、ミスルギ皇国から脱出することは……不可能だよ」

 

だが、二人は知らない。

ヴィルキスとは別の所で置いていた、鎖で縛られていたプルートのアイカメラが輝きだし、引き千切る。

 

 

◆◆◆◆

 

 

アンジュはモモカに支えられながら宮邸の外に出る。

リュガは先頭に立って、警戒しながら走る。

 

『何処に行くの?アンジュちゃん』

 

「「「!?」」」

 

三人は空からやって来た追跡部隊であるエルシャとクリスに発見されてしまう。

 

「エンブリヲさんが探しているわ、戻りましょう」

 

アンジュは再びエンブリヲに捕まる訳には行かない。

あんな苦しい思いをするのは二度とゴメンだった。

 

「走れますか?アンジュリーゼ様」

 

「ええ!」

 

そう言ってアンジュはモモカに引っ張られながら走り出しリュガも走る。

それにはエルシャは困った表情になる。

 

「あらあら、仕方ないわね」

 

エルシャはすぐさまレイジアをアンジュの方に向かわせ、

それにアンジュ達は逃げているとアンジュの指輪が光り始める。

同時にアケノミハシラにあるヴィルキスが起動して青色に変化、ヴィルキスはアンジュの元にジャンプしてアンジュ達の目の前へと現れる。

それに追跡していたエルシャとクリスがヴィルキスの登場に驚く。

 

 

「二人は先に行け、俺は後から追う」

 

「でも、直ぐに捕まるわ!!」

 

「心配するな……もうすぐ、来る」

 

「クリスちゃん!!」

 

「解っている……逃がさない!!」

 

攻撃をしようとしたが、背後から突然の衝撃波で二人は吹き飛ばされる。

プルートがリュガの前に降り立つ。

アイカメラが輝き、コクピットが開く。

 

「ありがとよ!!」

 

乗り込んで、二人は脱出するが――――――目の前の三機が出現する。

カノープスが所持しているトリアングルムだ。

 

「あれは……!!」

 

「トリアングルム……!!」

 

絶体絶命のピンチかと思われたが、シンギュラーゲートが開き、龍神器――サラたちが現れた。

 

「借りを返しに来ましたよ。リュガ、アンジュ」




まさかのクロスアンジュ、スーパーロボット大戦Vで参戦!!おめでとうございます!!

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