クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~デバステイター~   作:Mr.エメト

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ここから戦闘開始、オリジナル敵機体の登場


トリアングルム

夜―――。

宮殿の玉座の間で大巫女、サラマンディーネ、ゼランディア。

アウラの民の巫女たちが集まっていて、彼女達の前にリザーディア―――リィザがホログラムで通信回線を開き話していた。

 

「それは真かリザーディア!」

 

『はい大巫女様、新生ミスルギ帝国の地下。アウラの反応は確かに此処から』

 

リィザの報告に巫女たちは思わず声を上げ、大巫女は頷きながらリィザをほめる。

 

「よくぞやってくれたリザーディア、時は来た。

 アウラの子よ、これよりエンブリヲとカノープスの手から全能の母――アウラを奪還する。

 リザーディア、特異点解放のタイミングは手筈通りに」

 

『おおせのままに』

 

そう言い残してリィザは通信を終えて消える。

 

「これはこの星の運命を掛けた戦い、アウラと地球に勝利を!」

 

『『『勝利を!』』』

 

大巫女の声と同時に皆も頭をさげる。

会議が終わったゼランディアはヴィルキスとプルートの修理をしているシュレディンガーに会う。

 

「やはりというべきか、ミスルギの地下にアウラがいるか」

 

「決戦の時は近い。シュレディンガー、お前たち天才の力を借りたい」

 

「何を今更、エンブリヲとカノープスを倒すために君たちと協力している。

 ヘンペル、いや……カシムの仇を取らなければ死んでいった彼に申し訳ない」

 

シュレディンガーはそう言い、ヴィルキスとプルートを見る。

 

「ヴィルキスはOKだが、プルートは封印を解かなければならん。

 カノープスが所持している剣―――トリアングルムを使ってくるはずだ」

 

「ああ、トリアングルムと対等に渡り合うには黄龍號とプルートが必要だ」

 

 

◆◆◆◆

 

 

寝室へと案内されるアンジュ、タスク、リュガ。

 

「お前たち、二人はこの部屋だ。リュガは別室だ」

 

ナーガ、カナメが部屋の前に立つが、この部屋はアンジュとタスクが使用するようだ。

 

「えっ!?二人で!?」

 

「ああ、ではまた早朝の時に」

 

ナーガとカナメの後をついていくリュガ。

タスクとアンジュは思わず目線を合わせると、顔を赤くして、視線を逸らす。

しばらく歩くと、襖の前に立つナーガとカナメ。

 

「お連れしました」

 

「どうぞ」

 

開けると、サラマンディーネが座っていた。

 

「まさかだと思うが……」

 

「ええ、リュガは私と一緒に」

 

「姫様に手を出したら、私は許さんぞ……!!」

 

ナーガは今にも斬りかからんとする目でリュガに忠告する。

それに対しサラマンディーネはナーガを咎める

 

「ナーガ、お止めなさい。カナメはナーガと共に行きなさい」

 

「え!!し、しかし、サラマンディーネ様!!」

 

ナーガが戸惑いながらもサラマンディーネに問う。

 

「……ナーガ?」

 

サラマンディーネから凍り付くような視線を放ち、二人は慌てて襖を閉めて、その場を離れてた

 

「……警戒しないのかよ?」

 

「ええ。それに……貴方に襲われても……」

 

少しだけ頬を赤く染めるサラマンディーネ。

 

(ドラゴン世界の女性って……肉食系なのか?)

 

二つの意味で感じたリュガ。

しかも、布団が一つで二人分は入れるサイズだ。

サラマンディーネが先に入り、リュガは背を向けて寝る

 

「どうして背を向けるのですか?」

 

「……女と一緒に寝るのは初めてだからな……」

 

少し焦りながら、言うリュガ。

サラマンディーネはイタズラな顔になり、リュガを抱きしめる。

 

「!!?」

 

背中に温もりと柔らかな感触―――胸を押し付けられているのを感じる。

心臓がバクバクと鼓動し、身体が火照るの感じる。

 

「……男性の背中って広いのですね」

 

「……ゼランディアがいるのにか?」

 

「ゼランディアは兄の様な人でもあり、アウラの守り人でもあり、師範ですわ」

 

「アウラの守り人?」

 

「彼の一族はアウラを守護する戦士。彼と貴方の母はアウラを奪還することに命をかけていますわ」

 

命をかけるほどまで、アウラを取り戻す使命を背負っている。

母も自分の命を犠牲にして、プルートと黄龍號を造った。

サラマンディーネだって、アウラを取り戻すために戦っている。

リュガはサラマンディーネの方を向き、彼女を抱きしめる

 

「……リュガ?」

 

「……俺にはこうするしか安心させてやれないと思う。

 命をかけて戦っていたからさ、今だけは安心させてやりたいと思っている」

 

不器用な優しさにサラマンディーネはフフッと笑い彼の胸に顔を埋める。

 

(彼は本当に優しいのですね……)

 

 

◆◆◆◆

 

 

次の日―――。

 

「貴様、サラマンディーネ様に何かしたんじゃないだろうな…!」

 

「……まぁ、お互い抱きしめ合って寝たぐらいだしな」

 

その言葉にナーガは震え出し、斬りに掛かろうとしたがゼランディアが止めに入る

 

「落ち着けって、リュガもサラも大人だからさ」

 

「し、しかし……!!」

 

「ナーガ、お前はもう少しサラ離れしないと……。それに、二人は間違いなんかはしないだろうよ」

 

そんな会話をしてタスクとアンジュの部屋の前に来て、サラマンディーネが襖をノックし入る。

 

「おはようございます…あら?」

 

タスクがパンツ一丁でアンジュの寝間着が完全に崩れていた状態。

リュガは"またか"と思い、ナーガとカナメ頬を赤めており、ゼランディアはふむっとしていた

 

「朝の“交尾中”でしたか。どうぞお続けになって?」

 

「どうして、そう見える……」

 

とんでもない発言にリュガはツッコミを入れる。

 

「ちがーーーーーう!!!!」

 

アンジュはタスクを突き飛ばしてしまい、終いにタスクの尻を何度も蹴っていた。

リュガ達が朝食に行くと、そこにはヴィヴィアンと母ラミアの姿が居て、共に朝食を取っていた所だった。

 

「サラマンディーネ様、ゼランディア様」

 

「よく眠れましたか?」

 

「それが、ミィと朝まで喋りしてまして……」

 

「寝不足~」

 

ラミアがそのミィと言った言葉にリュガは頭を傾げる。

 

「ミィ?誰だ…?」

 

「ヴィヴィアンの事だよ。彼女の本当の名前だって」

 

タスクからその事を聞いたリュガは思わずヴィヴィアンの方を向く。

ヴィヴィアンの本当の名前がミィと言うのは予想も付かなかっただろう。

 

「貴方がミリルの息子ですか?母と同じ色の瞳と顔立ちをしていますわね」

 

「母さんを知っているのか?」

 

「私たちに知恵や勉学を教えてくださった御方です。……立派に育ちましたね」

 

ラミアはリュガの頬を優しく撫でる。

母はこちらの世界でも、頑張っていたことを知る。

その時―――――。

 

「なんだ……?」

 

ゼランディアは窓から外の景色を見る、アウラの塔から何やら異変が起きていた。

ある空間が変化して行き、ある風景が映る。

アンジュがまだ学生だった時に試合した事がある試合会場―――

 

「あれは……エアリアのスタジアム!?」

 

異変の空間はその人々を飲み込み、街を崩し、がれきと共に生き埋めにさせて行く。

 

「一体何が……!?」

 

「サラ、いくぞ!!」

 

「ナーガは街の人々を!!カナメは大巫女様に報告を!!」

 

サラマンディーネは指示を出し、ゼランディアと共に外へ出る。

 

「焔龍號!!」

 

サラの額の宝玉が光り、空から焔龍號がやってくる。

 

「黄龍號、招来!!」

 

ゼランディアは刀を天に掲げると空から黄龍號がやってくる。

 

「アンジュ、俺たちもあいつらを助けに行くぞ」

 

「……ええ」

 

アンジュ、リュガ、タスクはシュレディンガーの所へ向かう。

 

 

◆◆◆◆

 

 

「皆さん!すぐに宮殿に避難を!!」

 

それに皆はすぐに避難をし始めて、サラマンディーネとゼランディアは落ちて来るがれきを次々と破壊して行く。

サラマンディーネとゼランディアは気配に気づく。

迫っている異変の空間が止まり、三体の機体が出現する。

 

――――盾と槍を持つ騎士風の灰色の機体。

 

――――全身が透明感あり、女性の様なフォルムをした翡翠色の機体。

 

――――6つの黒いモノリスを浮かばせている黄色のラインが入った黒い機体。

 

三機は、焔龍號と黄龍號を囲む。

 

「この機体は……!?」

 

「トリアングルム……!!」

 

一方、シュレディンガーの研究所へとたどり着いたアンジュたち。

 

「シュレディンガー、機体は!?」

 

「いつでも出撃できるぞ。それに、ミリルが遺した資料やパーツを使ってプルートの改修もした」

 

「母さんが遺した物を改修したのか、ありがとうよ」

 

「リュガ、アンジュ。あの三機はカノープスが所持している剣……トリアングルムだ

 エンブリヲが所持しているラグナメイルと同等、それ以上の性能を持つ。気を付けろよ」

 

「……解った」

 

アンジュはヴィルキス、リュガはプルートへと乗り込み、サラとゼランディアの所へ向う

 

――――

 

ガギィン!!ガギィン!!

 

灰色の機体――デネボラが繰り出すランスの突きを弾くゼランディア。

翡翠の機体――スピカからツララを放ち、切り払うサラマンディーネ。

黒い機体――アルクトゥルスは、熱光線を放つが、二人はなんとか避ける。

 

「デネボラ、スピカ、アルクトゥルス。一度に三機も相手をすると手強い……」

 

「それに、次元が迫ってきてますから時間だって……。まさか、敵の狙いはこれ?」

 

焦る二人だが、アンジュとリュガと合流する。

 

「何やってるのよ!サラマンドリル!!」

 

「名前、間違えているぞアンジュ……」

 

二人は異変の空間が人々を飲み込んで行く光景に驚愕する。

するとタスクから通信が入る。

 

「空間を歪ませているのはエンブリヲの仕業だ。

 エンブリヲは時間と空間を自由に操る事が出来るんだ!

 俺の父さんも仲間も石の中に埋められて死んだ………あんな風に!!」

 

「ひでぇ事をしやがる……!!」

 

三機はプルートを見つけると、一直線に向かい囲むように立ちふさがる。

 

「狙いは俺か……!!」

 

デネボラは槍を構えて、連続で突くが、チェーンソーで迫り合いをする。

斬りに掛かろうとするが、スピカは翡翠の独楽を生み出し、プルート目掛けて放つ。

チェーンソーで切り裂くが翡翠の独楽が弾け、氷の結晶となりプルートを傷つける

 

「厄介な!」

 

反撃に両手をウェルダーに変形させて、スピカ目掛けて火炎放射を放つ。

しかし、アルクトゥルスはモノリスを使い、シールドの様に使い火炎放射を防ぐ。

モノリスから無数の穴が開き、レーザーを放つ

 

「あの黒い楯は防御にも攻撃にも使えるのかよ!!」

 

敵の多彩な武器を前に、攻撃に転ずることもできない

 

「アンジュ!!サラマンディーネ!!二人は迫りくる空間を何とかしてくれ!!

 この三機は俺が抑えておく!!取り返しのつかないことになる前に!!」

 

アンジュとサラマンディーネは戸惑っていたが、リュガを信じて空間を止めに向かう。

ゼランディアはリュガと並び立ち、手には大剣を構える

 

「一人でやろうとするな。俺も協力する」

 

「それじゃあ、頼むぜ」

 

プルートはチェーンソーを、黄龍號は剣を構えてトリアングルムと交戦する。


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