クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~デバステイター~ 作:Mr.エメト
もう一つの地球~母が遺した愛~
アケノミハシラと同じ塔へとたどり着く一行。
「アウラの塔とわたくし達は呼んでいます。嘗てのドラグニウムの制御施設ですわ」
「ドラグニウムって、シェルターのモニターが説明してた言葉だな」
サラマンディーネ達は制御施設内を進みながら説明していた。
「ドラグニウムは22世紀末に発見された強大なエネルギーを持つ超対称性粒子の一種。
世界を照らす筈だったその力は、すぐに戦争へと投入されました。
環境汚染、民族対立、貧困、格差、どれ一つも解決しないまま人類社会は滅んだのです」
環境汚染、民族対立、貧困、格差…元の世界でもそれらが起きたがマナで解決した。
こちらの地球ではマナというものがないのか?
エレベーターに乗って操作して稼働させる
「そんな地球に見切りをつけた一部の人間たちは、新天地を求めて旅立ちました。
「残された人類は一つの決断を下します。
自らの体を作り変え、環境に適応すること。遺伝子操作により、生態系ごと」
「そうやって、ドラゴンが誕生したわけか」
エレベーターは目的の場所へと着く、巨大な空洞が広がってた。
「ここに"アウラ"が居たのです」
ゼランディアは装置を動かすとホログラムに神々しく純白に輝く白いドラゴンが姿を現す。
「アウラ。汚染された世界に適応するため、自らの肉体を改造、偉大なる始祖。最初のドラゴン」
「私達は罪深き人類の歴史を受け入れ、贖罪と浄化のため、生きることを決めたのです。
男たちはドラゴンに姿を変え、世界の浄化のために生きる」
つまり今まで襲ってきた大型ドラゴンは、こちら側の男性というわけだ。
ただ、ひとつだけ疑問がある
「俺は半ドラゴンだから、解るが……ゼランディアはなんで人間体のままなんだ?」
「ミリルに特別な処置を施されたんでな。お前の成長を見る事と護る事をな
しかし、アウラはエンブリヲとカノープスが連れていきやがった
アウラのエネルギーを利用し、おまえらの世界の力の元―――"マナ"を発展させた」
マナの誕生の理由を知り驚愕するリュガたち。
「少しは分かって貰えましたか? ですが、まだあなた達は知らない事があります」
「え?」
サラマンディーネに問いかけられて、それにアンジュはサラマンディーネの方を向く。
「あなた達の戦いが偽りの戦いをしている事を、分かって貰えますか?」
「偽りの戦いって……」
「あなた達が私達の同僚を殺している事にあなた達の世界が維持されてることです」
アンジュはその事を聞いて驚く。
サラマンディーネの話を聞くとあの世界にマナのエネルギーを維持しているのはドラゴンの心臓から取り出されたドラグニウムだと言う。
ドラゴンからドラグニウムを取り出すにはドラゴンを連れて行く必要があるらしい。
可能とするのが今まで行って来たあのドラゴンとの戦いであった。
それを聞いたアンジュはある事を思い出す。
(それじゃあ、あの時――――!?)
あれはタスクと二人っきりで無人島で見た。凍結されたドラゴンを輸送されているのを。
「分かって頂けましたか?偽りの地球、偽りの人間、偽りの戦いと言った意味が」
アンジュはサラマンディーネが自分達の世界の偽りの真実を話す
「それでもあなたの世界に帰りますか?偽りの地球へ」
「……当然でしょ!貴方の話が全部本当だったとしても私達の世界はあっちよ!」
「ちょっとアンジュ!話を聞いてたの!?」
タスクはアンジュを慌てて止めるも全く聞かずだ。
「そうか……ならお前らを拘束させて貰う。これ以上、同朋を殺させる訳にはいかん」
ゼランディアはアンジュの前に立ちはだかり、戦おうとしたが――――。
「いい加減にしろ、アンジュ!!」
リュガが声を荒げて、止めに入る。
一同は、リュガを見る
「俺たちはエンブリヲとカノープスの掌で踊らされた。
ここで争っても何も解決しない、倒すべきなのはエンブリヲとカノープスだろ!?」
「リュガ……」
「なぁ、ゼランディア。俺の母さんはどうして俺の機体に魂を入れるような事をしたのか知らないか?」
リュガの問いに、ゼランディアは重苦しい表情になりながら、口を開く
「アウラを取り返そうとしてもエンブリヲには"ラグナメイル"、カノープスには剣である"トリアングルム"を持っている。
共に強力な兵器で勝ち目はない。そしてミリルはある一つの計画を出した」
「ある計画……?」
「自分を犠牲にして究極にして絶対兵器ドラゴメイルを造る。
ミリルは霊力が強力で機体に血、骨、魂を使う事でやつらの機体に対抗できる最後の手段。
プルートには魂を、黄龍號にミリルの骨を使ってドラゴメイルは完成した」
五年前の出来事に自分を犠牲にして最後の切り札を造ったミリル。
リュガもアンジュもタスクもただ言葉を失った。
「当然、私もエルドもサラも反対したさ……。
犠牲にして完成させなければいけない代物を。
だが……ミリルはなんて言ったと思う?」
ゼランディアはリュガの両肩を掴んで真っ直ぐに言う
「『私はどんなに傷ついても辛くても我慢できるわ。リュガは私の大事な子供だから。それが母親として最後の仕事だから』。
…………リュガ、お前はここまでミリルに愛されているんだな」
母の大きな愛にリュガは涙が止め処なく流れ、歯を食いしばった。
「泣きたい時は思いっきり泣いてもいい。泣いた数だけ強くなれる」
ゼランディアはリュガを抱きしめた。
それが止めとなり、リュガは涙を流し泣いた。
◆◆◆◆
日が沈みかけ、夕暮れ。
真実を知ったリュガたちはどうするのかしばらく、こっちの世界で休むことにした。
どのみち機体が完全に直らなければどうすることもできない。
リュガの後ろにサラマンディーネとゼランディアが立っていた
「母さんは、俺を護るために……辛かったよな」
頬に涙が伝うが、涙を払い決意の顔をする。
「俺にやるべき事ができたな……」
「やるべき事ですか……?」
「エンブリヲとカノープスを倒す。それに神に逆らい、神を殺すのは、いつだって人間とドラゴンだ」
リュガの言葉にサラは驚き、ゼランディアはフッと笑う
(神に逆らうのは人間とドラゴンか。
ミリル……お前の子はとてつもなく大きい器を持っている
だから、見ていてくれ。リュガと共にエンブリヲとカノープスを倒すのを!!)
――――竜の世界、新たな誓いを立てた。
自分の頭ではこれが精いっぱいです・・・!!上手く、伝わってくれればいいのですが・・・。
リュガは何回も転んで立ち上がるという、そんな性格にしてみました。
次回もまだまだ、"もう一つの地球編"を展開しますので、楽しみに待っててください!!