クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~デバステイター~   作:Mr.エメト

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連続投稿、その2!!


もう一つの地球~再会~

二機のパラメイルとドラゴン達の群れに連れられて、何処か別の場所へと向かわされていた。

リュガたちはコンテナの中に入っていた。

 

「しかし……生存者がいたとはな。だが、どうしてドラゴンと一緒にいるのか謎だが……」

 

「あの人たちから情報を得られればこの世界が解るかもね」

 

一行がたどり着いた場所は和風の宮殿だった。

コンテナが開きナーガとカナメが刀と薙刀を構える。

 

「大巫女様がお会いになる。コチラへ」

 

突然、ヴィヴィアンの背中に麻酔弾が撃ち込まれ、それにヴィヴィアンは気を失う。

ヴィヴィアンの異変に気付いたリュガたちはヴィヴィアンの方を向く

 

「何をする気だ!?」

 

リュガは食ってかかろうとするがナーガとカナメが構えるが一人の声が響く

 

「心配することはない。そいつを治療するだけだ」

 

声の主にリュガは振り向く。

アルゼナルを強襲し、戦い合った―――ゼランディアが姿を現す

 

「お前、どうしてここに!?」

 

「無礼だぞ、この御方はバルドル一族の王。大将ゼランディア様だ!!」

 

ナーガは今にもリュガに斬りに掛かろうとするが、ゼランディアが制止した。

 

「やめろナーガ、そいつは大事な客人でミリルの息子だ」

 

「なんで、母さんの名前を知っているんだ!?」

 

母親の名前に反応してリュガはゼランディアに問う。

 

「色々と話したいが……大巫女様を待たせるわけにはいかん。ついてこい」

 

宮殿に入り、通路を歩き、玉座の間に着いたリュガ達。

そこに数人の者達がその場に座っていて、すざれに隠れていた。

ゼランディアは一番上の者に問う。

 

「大巫女様、連れてきました」

 

「ゼランディア、その者達がお前が認めたという男と異界の女と男か?」

 

「女の方はラグナメイルが一つ、ヴィルキスを操る者です」

 

「……お主等、名は何と申す?」

 

「人の名前を聞く時は、まずは自分から名乗りなさいよ!」

 

アンジュが怒鳴り声で叫び、それに他の者達はざわつく。

ナーガとカナメはアンジュに睨みつける。

 

「大巫女様に何たる無礼を!」

 

ゼランディアはクククっと笑っていた

 

「肝が据わっている女だ。同族なら、中々の実力者になってたよ」

 

「特異点は開いておらぬはず、どうやってここに来た?」

 

アンジュは答えそうにないのでリュガが代わりに答えた

 

「ヴィルキスが青くなって、気がついたらここに来た。証拠とかないと思うが……」

 

「それと、プルートと呼ばれる機体もですね」

 

別の女性の声が聞こえ、そのすざれから女性が出て来た。

女性にアンジュは見覚えがある女性だった。

それはアルゼナルを襲撃してきたあの美しい黒髪の女性だった。

 

「あなたは……!!」

 

「私は神祖アウラの末裔にしてフレイヤ一族の姫、中将サラマンディーネです」

 

「ようこそ真なる地球へ、偽りの星の者達よ」

 

「知っておるのか?」

 

大巫女がサラマンディーネに問いかけ、それにサラマンディーネが答える。

 

「この者ですわ。先の戦闘で我が機体と互角に戦ったヴィルキスの乗り手は……」

 

「あの者が………」

 

大巫女がアンジュをそう見て呟き、そして他の者達が大巫女に言いだす。

 

「あの女は危険です! 生かして置くわけにはなりません!」

 

「早急に処分を!!」

 

「やれば。死刑には慣れている。ただし…ただで済む事は思わない事ね」

 

「やめろアンジュ。こんな所で争っても何も解決にならん」

 

「でも……!!」

 

「ヴィヴィアンだって、こいつらの手に渡っている。下手に刺激したらヴィヴィアンが危ない」

 

その言葉にアンジュは渋々と黙る。

 

「お待ちください皆さん、女はヴィルキスを動かせる特別な存在。

 それに男は半分は我々の血が流れており、ミリルの息子です。

 ここは生かして置く方が得策かと、この者達の命……私にお預け頂けませんか?」

 

「私からも頼む。ミリルの息子に伝えないといけない事が山ほどあるからな」

 

サラマンディーネとゼランディアの言葉に周囲は納得したようだ

 

 

◆◆◆◆

 

 

客室に案内されたアンジュたち。

サラマンディーネとゼランディアは座り、御茶と菓子を用意する。

 

「さて、何から聞きたいんだ?」

 

「ここは……本当に地球なのか?」

 

タスクの問いにゼランディアは「ああっ」と肯定の返事をする

 

「なら。お前らは一体なんだ?」

 

「……人間ですわ」

 

「だがドラゴンの羽と尻尾があるが……?」

 

「それについては後で話すとしよう。それでだ地球が二つあるとしたら、信じるか?

 一部の人間がこの地球を捨て、移り住んだのが、お前らが住んでいる地球だ」

 

「……何故、そんな事を?」

 

「あなた達はあの廃墟を見たはずです。この星で何が起きたのかを……」

 

「世界戦争に環境汚染か……。それで移り住んだというわけか?」

 

「ああ。ミリルはいち早くエンブリヲとカノープスの存在を知りお前たちが住む地球へ渡った」

 

「母さんはこの世界から俺たちの世界へ渡ったのか……」

 

「そっちの世界でミリルと同じ志を持つ者ができ、エルドという男と愛し合ってお前が生まれたというのも知ったさ。

 そのエルドという男は大きな器を持ってたな。

 ミリルがドラゴンだと知っても《ドラゴンでも人間でも関係ない、ミリルを愛する》っと」

 

父さんと母さんは種族を越えた愛を育んでいた事を知るリュガ。

それなのにあの時の自分は、最低な両親だと思ってしまったことを恥じ入っていた。

リュガはある疑問が思いつき、ゼランディアに問う。

 

「じゃあ、なんで母さんの事を知っているんだ?」

 

「……ミリルは。私の妹だからな」

 

「「「ええええーーーー!!?」」」

 

ゼランディアの言葉に衝撃を受けるリュガとアンジュとタスク。

シュレディンガーは知っていたが、エルドに口止めされていたようだ。

 

「まぁ、呼ぶなら義兄さんって呼んでくれよ。叔父さんって呼ばれたくないしな。

 話を戻すがエンブリヲとカノープスはある計画を実行したんだ」

 

「計画……?」

 

「それについては、直接見せたほうがいいでわね」

 

サラマンディーネは立ち上がり、リュガたち一行はある場所へと向かう。




サラのフレイヤというのは北欧の女神なのでゼランディアは同じ北欧の神のバルドルをつけてみました。
次回はリュガの母、ミリルが遺した物

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