クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~デバステイター~   作:Mr.エメト

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今回は前編と後編と分けます!!まずは前編から


竜の歌 前編

アンジュとリュガがアルゼナルに帰ってから数日が立つ―――。

 

「あ~、サリアお姉様だ」

 

サリアが呼ばれた方を見ると、幼年部の子供たちとその担当員が居た。

 

「サリアお姉様に敬礼~」

 

子供たちがサリア達に敬礼をし、サリアも子供たちに向かって敬礼をする。

子供たちは「サリアお姉様綺麗~」、「おっきくなったら第一中隊に入る~!」とそう言って去って行き。

担当員も挨拶をして子供たちの面倒を見に行った。

サリアは幼い頃の自分を思い出す。自分もかつてはジルの様になりたいと幼い頃からの夢であった。

 

「どうしたの?」

 

「幼年部の子供たちに、お姉様って呼ばれた。もうそんな年かな?」

 

「まだ17じゃん」

 

「もう17よ。同い年になっちゃった。"アレクトラ"と」

 

 

◇◇◇◇

 

 

アルゼナルの海岸に、後部から煙を上げるヴィルキスが降下して来た。

ヴィルキスはそのままアルゼナルの海岸に着地する。

そこに乗っていたのは当時メイルライダーとして戦っていたアレクトラこと"ジル"だった。

 

「アレクトラ!!」

 

アレクトラの元に、当時、司令官であるジャスミンと部下のマギー達もやってきた。

ジャスミンはアレクトラの右腕が無い事を見て、すぐにマギーに命令する。

 

「マギー!鎮痛剤だ!!ありったけの包帯を持ってこい!!」

 

「イエス・マム!!」

 

その様子を上のデッキにいる、まだ当時幼かったサリアとメイが居た。

 

「あれは……お姉様の?」

 

サリアが見ている中で、ジャスミンはアレクトラをヴィルキスから下ろす。

 

「しっかりしろ、アレクトラ!一体何があった!?」

 

ジャスミンはアレクトラから事情を聞く。

しかし、アレクトラはある者からメイに伝言があると言うばかりであった。

それを却下するジャスミンは何があったかと事情を問う。

ところがアレクトラは突然、ジャスミンへと謝る。

 

「ごめんなさいジャスミン、私じゃあ使えなかった…。ヴィルキスを使いこなせなかった!!」

 

涙ぐんでジャスミンに謝り、それにはジャスミンは何も言えなかった。

 

「そんな事ないよ!」

 

そこにメイとやって来たサリアが居て、サリアはアレクトラの弱さを否定しする。

 

「わたしが全部やっつけるんだから!」

 

アレクトラに向かって力強く言う、アレクトラはそれにサリアの頭に手を置いて撫でる。

 

 

◇◇◇◇

 

 

格納庫に着いたサリアはヴィルキスを見る。

 

(一体私に何が足りないの?アンジュと私に一体何が違うって言うの?あの子にヴィルキスは渡さない!)」

 

「どうしたのかしら?そんな怖い顔をして」

 

声がする方を見ると、茶髪の女性がいた。

確か、カルネアデスと一緒にいた――――。

 

「ラプラスさん?」

 

「覚えていてくれてありがとう。今、プルートの調整と修理を終えたところよ」

 

「あの…プルートってリュガの両親が造ったパラメイルなんですよね?」

 

「ええ、二人はこうなることを予想して造ったのかもしれないわね。

 それに、私もカルネアデスもシュレディンガーも協力して造ったわ。

 ――――――全ては2つの神を滅ぼすための」

 

最後はサリアに聞こえない様に喋るラプラス。

 

「・・・タスクの事も知っているの?」

 

「ええ、彼の両親とリュガの両親は知り合いだからね。それらを通じて、知り合えたわ。

 まだタスクは子供だったから、覚えているのかどうか解らないけどね」

 

フフッと笑うラプラス。

 

「話は変わるけど、貴女はヴィルキスに執拗に拘っていないかしら?」

 

「・・・っ!!」

 

的確な事を言われてサリアは少しだけ狼狽える。

 

「アンジュにとられたのがそんなに悔しいのかしら?でも、それは悪い事ではないわ。

 人は誰しも他人が持っているのを嫉む、いいことだと思うわよ」

 

「・・・失礼します」

 

サリアはそう言って、立ち去る。

 

「ちょっと厳しい事を言ったかしら・・・」

 

 

◇◇◇◇

 

 

一方のアルゼナル司令室、レーダーに何かをキャッチした。

 

「これは、シンギュラー反応です!」

 

「場所は?」

 

ジルが出現地を特定しろと命令を言い、それにパメラが急いで特定する。

 

「それがアルゼナル上空です!」

 

出現場所はアルゼナル上空、そしてアルゼナルの上空にゲートが出現し、そこから大量のドラゴン達が現れる。

 

「スクーナー級。数は・・・20・・・45・・・70・・・120・・・、数特定不能!」

 

「電話もなっていないのにどうして!?」

 

エマが司令室に到着して、電話が鳴らなかった事に疑問を感じていた。

ジルは基地全体放送で、アルゼナルの皆に言う。

 

「こちらは司令官のジルだ、総員第一戦闘態勢を発令。

 シンギュラーが基地直上に展開、大量のドラゴンが効果接近中だ。

 パラメイル第二、第三中隊全機出撃。

 総員白兵戦準備、対空火器重火器の使用を許可する。総力を持ってドラゴンを撃破せよ」

 

 

◇◇◇◇

 

 

「おいおい、ドラゴンが大量出現って・・・どういうことだよ!?」

 

「解らん!!だが、連中は本気で我々を潰しにかかってきたのだろうな」

 

シュージとテンゲンも武器を持ってドラゴンの襲撃に備える。

リュガも武器を整えて、アンジュとヒルダを思い出す。

 

「……アンジュとヒルダが心配だ。あいつらを迎えに行く」

 

「気を付けろよ、リュガ!!」

 

独房へ向かうリュガ、シュージとテンゲンは頷いて、ゼノンと合流へ向かう

パラメイル第二、第三中隊がドラゴンをなんとか、迎撃しているが数が多すぎて減る気配がない。

すると上空に居るドラゴン立はゲートの回りを飛び回ると、ゲートから4機のパラメイルがゆっくりと降下してきた。

その内の一機の紅いパラメイルはヴィルキスと同じ間接部が金色のパラメイルであり、そこから歌が流れていた。

 

「♪~♪~♪」

 

その光景を臨時司令部にいるジルが双眼鏡で見ていた。

 

「パラメイルだと・・・!?」

 

同じ様にアルゼナルの上空で戦っている中隊の隊長のエレノアもその機体に目を奪われる。

 

「何こいつ?何処の機体?」

 

皆が見ていると、その機体がいきなり金色の染まり始め、その両肩が露出展開し、そこから光学兵器が発射された。

エレノアを含め第二中隊と第三中隊の数名を含むメンバーは消し炭へとなっていた。

中隊を消し去った光学兵器はそのままアルゼナルに直撃し、強烈な光が包み込む。

 

「ありゃりゃ・・・酷いことになっているね」

 

半分ほど削られたアルゼナルを目にしたカルネアデスとラプラス。

それをチャンスとしたドラゴン達は一斉に襲い掛かってきた。

 

「……少し気が引けるけど、倒すしかないわね」

 

ラプラスは槍を取り出して、ドラゴンの首を撥ね飛ばす

 

「けど、ある意味チャンスかもね。お姫様とリューくんが覚醒する刻かも♪」

 

カルネアデスは背中からショットガンを取り出して、ドラゴンの脳天を撃ち貫く

他に誰かがいたのなら常人離れしている二人に驚愕するだろう。

 

 

◇◇◇◇

 

 

ヒルダとアンジュが囚われて独房へたどり着くリュガ。

扉を開けに掛かろうとするが、そのうちのスクーナー級ドラゴンが独房へと突撃し破壊した。

ドラゴンは唸り声をあげて二人を喰らおうとするが―――。

 

「どっせえええええええええい!!!!」

 

リュガの回し蹴りがドラゴンの側頭部に直撃し外へと飛ばされ落ちた。

 

「ど、ドラゴンを生身で蹴飛ばすなんて、あんた、人間やめてない?」

 

「まぁ、自分でも人間なのか解んなくなってきたわ」

 

呆れるヒルダをよそにリュガはそう返答をする。

急いで格納庫へ向かうが……。

 

「流石に一週間も独房にいたからか、臭うぞ二人とも」

 

「「うっさい!!」」

 

リュガは乙女の最大の禁句を言い、ヒルダとアンジュに殴られた。

 

「……イテェ」

 

涙目になりながらも二人の後を追う。


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