クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~デバステイター~ 作:Mr.エメト
私情で忙しく内容をまとめるのが遅くなりました。
今回、メイドのモモカとリュガの友人との再会です。
◆アルゼナル物資搬入場◆
「食料良し、薬品類良し…あーソイツは其処に運んでおいておくれ」
「確かに受領しました今後ともよろしくお願い致します」
ジャスミンは物資搬入の確認をしていたが、4つの影に気がついていなかった。
一方、今日もドラゴン狩りを終えて基地の廊下を歩いているアンジュたち。
ヒルダ、ロザリー、クリスの三人は不満な顔をしている。
「クソ!またアイツらだけ荒稼ぎしやがって!」
「……なんで生きてるの?」
「どっちがゴキブリなんだか……」
ロザリーは胸からネジを取り出しアンジュの頭部目がけて投げ突けようとする。
「アイツの頭にネジ穴開けてやる!」
「バレタら、指令に怒られるよ……」
ジルの折檻が嫌なクリスはロザリーを止めようとする。
流石にジルの叱りが怖いのか躊躇うロザリー。
「バレなきゃいいじゃない」
「……それもそうだね」
ヒルダがそう言ったのでクリスも悪乗りする。
「そういうこと、これでも喰らいな害虫女!」
そうロザリーがネジを投げようとした瞬間、警報が鳴り出す。
「ひえっ!?違います違います!私何もしてませんよ!?」
「ロザリー違うみたいよ」
「え?」
ヒルダに言われロザリーは顔を上げる、館内放送が鳴り響く。
《総員に告ぐ!アルゼナル内に数人の侵入者有!対象は上部甲板を逃走中!直ちに付近の者は侵入者確保に協力せよ!》
「侵入者!?」
それに驚きを隠せないエルシャ、対してリュガは呆れた顔をしている。
「ここって、警備がザルなのか?」
「とにかく向かいます!上部甲板の侵入者を対処するわよ!」
「「イェス・マム!」」
リュガたちは上部甲板へ向かう
=上部甲板=
「まったく、シュージがこけたせいで見つかったじゃないか」
「俺のせいにすんなよ!!」
二人は逃げながらケンカしているが警備兵たちが現れて警備棒を振りかざすが小柄な少年がマナを使って弾く。
「ケンカしてないで、速く逃げるよ!!」
「……残念だが、それは無理のようだ」
前も後ろにも警備兵たちが取り囲んでいる。
「すみません、三人にも迷惑をかけてしまって……」
「なーに、気にする事ねぇよ。俺たちだって、アイツに会うために侵入したからさ」
「それに女性一人では、心細いだろう」
「でも、僕たちがピンチだよ……」
メイドと男性3人はどうするかと考えている。
アンジュとリュガは見覚えある姿と声を聞き、まさかだと思った。
「モモカ!?」
「シュージ、テンゲン、ゼノン!?」
声の方を見る侵入者たちは驚きの声を上げる。
「アンジュリーゼ様!!」
「「「リュガ!!」」」
◆アルゼナル 司令室◆
侵入者たちの正体はアンジュとリュガの知り合いと判明しエマは委員会と連絡している。
「モモカ・荻野目、シュージ・グラムス、テンゲン・ベルトル、ゼノン・スプリンです。はい・・・はい・・・。了解しました。」
「委員会はなんと?それとも・・・予想通りか?」
「最高機密であるアルゼナルとドラゴンの戦闘、それらが漏れたら・・・。
あの四人はなんとかなりませんか?ここに来ただけなのに」
「ただ、ここに来ただけねぇ。ノーマの私に人間が作ったルールを変える事なんてできませんよ」
ジルは吹かした煙草を灰皿で潰し消す。
◆◆◆◆
モモカはアンジュの部屋に、シュージ、テンゲン、ゼノンはリュガの部屋にいる。
「全く、危険を冒してまでこんな所に来るとは……」
「どうしても、リュガに会おうと思ってあのメイドさんと協力してここに来たんだ」
昔からシュージの無茶苦茶ぶりには解る。
けど、ここまでやるとは思わなかった。
「……ニックはどうなったんだ?」
「ニックはあの時、死んじまったさ。即死だそうだ」
「腹が貫通し、出血多量、臓器と背骨の一部が破壊された」
「そう、か………」
やはり、あの時の一撃でニックは死んでしまったのか。
「けど、ニックだって僕たちの事を親友として見ていなかったと思うよ。
大学に入れたのだって親が権力と金の力で入ったようなもの。
僕たちと友人になったのもただの番犬みたいな扱いしてたしさ」
「あいつは、ノーマの事が恐ろしい存在だと認識しているからな。無理もないさ」
「…ミスルギ皇国が滅んだと聞いたが、本当なのか?」
三人はその言葉を聞いて、縦に頷きゼノンが口を開いた。
「リュガがアルゼナルに連行された三日後。
アンジュリーゼ皇女がノーマだとジュリオ皇太子が告白したんだ。
ノーマに関わった僕たちまで狙われることになったけど、なんとか逃げ延びたんだ」
「お前たちはアンジュのメイドとどうやって、知り合ったんだ?」
「なんとか、アルゼナルに入る方法を探していたところ偶然、出会ってな。
ゼノンとテンゲンの知恵でどうにか荷物に紛れ込んで侵入できたというわけよ」
「シュージが途中でドジを踏まなければ、バレずに済んだのだがな」
「バレタらバレタでシュージがマナ使って、コンテナを兵士に向けてブン投げたから余計に被害が出たからさ」
テンゲンとゼノンの言葉にリュガは苦笑いをする。
そういえば、シュージは後先を考えずに行動するし、怪我とかも多かったな。
今でも思うけど、どうして停学ならなかったのか不思議なぐらいだ。
「けど、親友と再会できて、よかったよ。これから、どうすればいいのか問題だけどね」
「危険を冒してまでここにきて、すまないが、俺はお前たちの親友には戻れない」
リュガの言葉に三人は驚愕する。
「ミスルギ皇国でお前たちと共に過ごしたリュガ・黒鋼・ホクトは死んだ。
今の俺はドラゴンを殺すノーマのリュガ。ただそれだけの存在だ」
「アンジュリーゼ皇女も髪を切って、戦士の顔つきになっていたが、お前も」
テンゲンの言葉にリュガは頷く、空気が悪くなりかけたがゼノンが両手で叩く。
「まぁまぁ!!積もる話はあるけどさ、夜も遅いし寝ようよ」
ベットの数が足りないのが、シュージとテンゲンは寝袋を持っておりそれで寝ることに。
ゼノンは空いているベッドで寝る
三人が寝静まり、リュガは空に浮かんでいる満月を見て、眠りに入る。
◆◆◆◆
◆アルゼナル 食堂付近◆
「ここって飯とかあるのか」
「味はお前たちの口に合うか解らんが・・・」
四人は食堂へと歩いているが―――。
「なんたることですか!!」
大きな声が響く。あの声の主はメイドのモモカのだ。
食堂の方へと急ぐとモモカが怒っている。
「アンジュリーゼ様に席を譲りなさい!!」
「やっぱ、イタ姫様のメイドね」
なにやら口論になっているようだ。
朝食を食べに来ていたココとミランダにに事実を聞く。
「あのモモカさんが"アンジュ様に席を譲りなさい"と言って、口論になっているんです」
「やっぱり、元皇女さまの従者だからかな……」
何にせよ、食堂で暴れるのはよろしくない。
止めに入るリュガはアンジュたちの方へと歩む。
「ストップ。朝からケンカか?見てて飽きないな」
「あら、あんたも来ていたの?」
「腹が減ったから飯を喰う。それ以外になんの理由がある?」
モモカはリュガの顔を見て、何かを思い出す。
「もしかして、貴方は……人を殺したというノーマの?」
人殺しという言葉に苦い顔をするリュガ。
ロザリーが便乗する。
「そうだよ、イタ姫様のメイドさん。そいつは人殺しのノーマさ」
ロザリーが暴言を言うと、シュージからブチッと音が聞こえた。
「き、君!!今すぐ、謝った方が!!」
ゼノンがそういうが、既に遅い。
「なんだと!!このアバズレ!!」
シュージがロザリーの胸ぐらを掴み、持ち上げる。
「ロ、ロザリー!?」
「何するのよ、あんた!!」
ヒルダがシュージに掴みにかかるが、シュージは椅子をヒルダに目掛けて蹴り飛ばす。
間一髪、避けるが蹴り飛ばした椅子は壁に直撃し粉々になった。
「あんた……!!」
今度はロザリーを投げようとするが、リュガは肩を掴む。
「シュージ、離してやれ」
「リュガ!!こいつは酷い事を言ったんだぞ!?何も知らないで、軽々しく!!」
「シュージ!!頼む!!」
リュガの言葉にロザリーを離す、シュージ。
「………すまない」
頭を下げるリュガはその場を後にする。
テンゲン、ゼノン、シュージは後を追いかける。